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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

紅い紅い花

作者: 空束 縋
掲載日:2015/07/18

 

 

 

 少女が花壇の前にしゃがんで如雨露を置いた。

花壇の中には、白くて綺麗な花が一輪咲いていた。

少女は何やら困った様な怒った様な表情を浮かべる。


「わたしは、ちゃんとお世話をしたはずよ」


少女は小さな指で花の茎を突いた。


「こんなにか弱い体じゃ、風で折れてしまうわ。育て方が悪かったのかしら」


腕を組んで、どこが悪かったのかを考える。



「わかったわ!」


閃いて、大きな目を更に見開いた。

そして花の透けているかの様な白い花弁を見つめる。


「きっと血が足りないのね!顔色も悪いし、そう、貧血よ」


原因は分かったけれど、貧血を治す方法を知らない。


「人はお肉を食べたりするわ。でも、お花に口はないのよね」


そこで少女は、図書館に向かった。



図書館に行って、貧血を治す本を読みたいと司書に伝えた。

医学関連の本が並ぶ棚に案内されて、それらしい本を見付けてもらった。


「そう、輸血すればいいのね」


勿論、花が貧血であるとは言わなかった。

司書も人の貧血の話であると思った。


少女は輸血をする為に、家の鶏の血を如雨露に入れて花にかけた。

でも、何も変わらない。


翌日、今度は猫の血をかけた。

それも駄目だった。


その次の日には、犬の血を。

やっぱり花はか弱いまま。




更に翌日、家に友達を呼んだ。

花に元気がないから助けてほしいと言って呼んだ。


「どうすれば、お花が元気になるのかなぁ?」


首を傾げる友達に、少女は笑いかける。


「方法はもうわかっているの。あなたには、このお花の栄養になってほしいのよ」


園芸用の鋏を突き立てた。

噴水の様に溢れる紅い雫を如雨露で受け止める。

動物に比べて量が多かった。


それから数日、友達を呼んだ。

毎日たくさんの輸血をした。


花は紅く紅く染まったけれど、それでもか弱いままだった。


「一体、何がいけないの?」




 ある日、花が枯れていた。

紅い紅い花弁を落として枯れてしまった。


「どうして?何がいけなかったっていうの?」


家族の様に大切にしていたのに。

何が足りなかったのかさっぱり分からなかった。


「家族に大切なものって何?」


少女は母に尋ねることにした。



母に尋ねる。

困った様な顔をして、少し考えた後に母は答えた。


「血が繋がっていること…?」


勿論、花のことなど言わなかった。

母も人の家族の話であると思った。




次の日、少女が花壇で見つかった。

首には園芸用の鋏が突き立てられていた。

花壇は紅い海の様だった。


それでも少女は、まるで母親の様に笑っていた。




それから花壇には、紅い紅い花が咲くようになった。







(終)




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