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ファンタジーに未来兵器を  作者: インゼリ
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第八話

今回、ルビを振る機能を使ってみました(´・∀・`)




一行が王都グリゴールに向けて出発してから2日目。


特に何事もなく、無事に進んでいた。

強いて言うならば、高志とサリーの呼び方が変わったくらいだろうか。



~~~~出発直後の出来事~~~~~


「私のことは『サリー』と呼び捨てでいいですよ。これからも一緒に旅をするんですから、いつまでもよそよしいのは気疲れするのではないですか?」


「え?えっと、そ、そうですね。じゃあ、私・・・いや、俺のことも『タカシ』と呼び捨てで呼んで下さい。その方がお互いに気軽だと思います。」

戸惑いながらもなんとか答える。


「わかりました・・・タカシ。」

と言って、ちょっと顔が赤くなるサリーだった。


「これからもよろしく、サリー。」

(・・・なんかちょっと良いような、照れくさいような・・・くぅ)

いい年してモジモジする高志であった。


補足しておくと高志は女性に免疫がない。

元の世界ではここ数年仕事以外では話したことが無かった。何も高志が特別そうだったというわけではない。

寿命が劇的に延びたことで様々が弊害が起こった。その中の一つとして、結婚率・出生率の劇的低下があげられる。

それは、人間という種の生存本能が低下したものなのかもしれないし、今までは長くてもせいぜい100年程度の人生だったが、長ければ数百年~数千年の時を共にする結婚相手を選ぶわけだから、より慎重を期すようになったということもあるのだろう。

また、相手を選ぶ時間も増えたわけで、積極的に相手を探そうという気概も低下しており、合コンやお見合いパーティといったものも芳しくない状況だった。


~~~~~~~~


といった事があったくらいだ。

そして、そろそろ王都に到着するかという頃、高志は馬車の中から外をみていた。


「そろそろ王都が見える頃ですよ。」

と、商人のマーチャが教えてくれた。


「やっぱり、王都は賑やかなんですか?」


「そう・・・ですね。まぁ、いってみれば分かると思います。」

と、何か意味ありげな返事だった。


途中、関所のような場所で検問があった。

マーチャだけが馬車を離れ、兵士となにやらやりとりをしてから、戻ってくる。


「なにか通行所のようなものが必要だったりするんですか?」

高志は、もしも必要であるなら身分証明もなにもないので、不安に思いマーチャに聞いてみた。


「いえ、基本的にそういったものは必要ないのですが、通行料が取られるのです。以前はこんなことはなかったんですが・・・。」


「以前は? 何か理由があってそうなったということですか?」


「理由といいますか、このカイの国では2年ほど前に国王が変わりまして。その後に色々と変わったのですよ。我々商人としては、正直かなりやりにくくなりました。」

いや、やりにくくなったのは商人だけではないでしょうね、と小声で補足した。


「なるほど。」

(・・・まぁ、国王ってくらいだから、君主制度なんだろうな。トップの王様が変われば、国の政策も一気に変わるか)



そして一行が丘の頂上に来たとき、マーチャが叫んだ。

「あ、見えてきましたよ!」


そこには巨大な石の壁に囲われた、まさに王都と呼ぶに相応しい景色が広がっていた。

壁の手前側は草原と畑になっており、王都向けてまっすぐと街道が伸びている。

薄っすらとではあるが、城壁の向こう側、遠くにお城や神殿らしきものが見える。



「これは・・・凄いですね。」

想像以上の広さに驚く高志であった。元々はこの文明レベルであれば大した規模ではないだろうと、高を括って(たかをくくって)いた事もあり、驚きも一入(ひとしお)だった。


「本当に凄いです。こんな大きな建物は初めて見ました!」

サリーも心なしか興奮しているようだった。




およそ1時間後、一行は門の入り口まで辿り着いた。

入り口の兵士達に荷物チェック等を受けてから中に入ることになったが、その辺りはマーチャが仕切ってくれたので、高志やサリーは特に何もすることもなく入ることができた。

そして、門をくぐるとそこは商店街のような場所だった。

門からすぐの通りは商売人にとっては一等地なのかもしれない、そのため、所狭しとお店が並んでいる。

だが、高志は気に掛かることがあった。


「お店が随分あるようですが、その割りになんと言うか、活気がないですね。開店していない店もちらほらあるようですし。」


「ええ、今の王都は大変住みにくい場所になってしまっています。現国王のトレノ様になってからというもの、新しい規則や税金が増えて、衰退する一方です。」

マーチャの表情は諦め半分と怒り半分といった感じだ。


「な、なるほど。あまりいい国王様ってわけじゃないんですね。」

(・・・会社も国もトップが駄目だと大変だからなぁ)


「そうですね。元々、前国王のシテン様が非常に優れたお方でしたから、その反動もあるのかもしれません。そもそも、シテン様が亡くなった後はご息女のシーリンス姫が跡を継ぐはずでした。しかし、当時はまだシーリンス姫は13歳という年齢だった為、シテン様の弟であるトレノ様が王座に就くことになったのです。」


「えっと、娘が13歳ってことは、前国王様は随分早くに亡くなったんですか?」

(・・・平和そうにみえるけど、戦争とかあるのかな?)


「そうですね。確かシテン様が亡くなったのはまだ30代だったと思います。なので当時は色々と噂が飛び交いました。そのほとんどが何者かに暗殺されたのではないか?といったような噂でしたが。もっとも、公式に病死という発表がありましたけどね。」


「なるほど。」

(・・・戦争じゃなくて、政争がありそうな感じだなぁ。ドロドロしてそうなところは極力避けよう・・・。)


「さて、私達はこれから商館の方に向かいますが、高志さん達はどうされますか?」


「あ、そうですね、まずは宿を取ってから神殿に向かおうと思います。」


「でしたら、いい宿を紹介しましょう。安くて料理もおいしいと評判です。」


と、マーチャ達と別れてから、高志とサリーは紹介された宿に向かうことになった。

シェリアとミンクは今回の護衛で雇われただけとのことで、これから冒険者ギルドの方に向かうらしい。


(・・・宿代ってどれくらいだろ、ワイバーンの牙と爪を売ったお金で足りるかな? 足りなければどっかに売りにいかないと。ああ、そーゆーのを売る場所を聞いておくべきだったなぁ)


別れ際に教えてもらった宿に向かう最中、高志は宿代の心配をしていた。

そんな心配をよそに、紹介された宿に辿り着いた。


「・・・ここかな?」


概観はその他の建物と比べると若干大きく、2階建ての普通の建物だった。

二人は早速中にはいった。


「いらっしゃませー。お二人でしょうかー?」

小さい10歳くらいの女の子が出迎えてくれた。


「はい、宿泊したいのですが、2部屋空いてますでしょうか?」

高志も(かが)みながら答える。

サリーは「可愛い~、小さいのに偉いね~」と笑顔で頭をなでていた。

女の子は慣れているのか、それでも堂々としていた。


「はい。宿帳に記入しますので、お名前をおねがいします。」


「タカシとサリーです。」


そこで高志はこの世界で日本語が使われていることを改めて実感した。

宿帳をみるとそこには日本語で書かれていたのだ。

その後、二人は部屋に案内されてから、手荷物を部屋においてから神殿に向かうことになった。

高志が預かっていたサリーの荷物は、サリーの部屋に召喚し置いておくことになった。



「まずは信仰する神様を選びたいから、王立大神殿の方に行きたいと思うけど、サリーはどうする?」

(・・・なんとなく呼び捨てにするのも慣れてきたような気が・・・する。)


「あ、じゃあ私は先にメスレク様の神殿に行って、職業を選んでいます。」


「分かった。じゃあ、出来るだけ早くそっちにいくようにするよ。」


「はい。では、またあとで。」


こうして高志は王立大神殿に向かった。

場所は一目瞭然だった。お城に次ぐ大きさの神殿だったのですぐに分かった。

ギリシャ神話等にでてきそうな、いかにもな神殿であった。

早速、中に入ってみると案内所のようなものがあり、そこで信仰する神を選びたい旨を伝えると受付場所を教えてもらえた。

中には高志と同じように信仰する神を選ぼうという人もいたが、どうやら大半はそれ以外の目的のようだった。


そして受付で並んでいると、すぐに高志の番になった。

「では次の方、中にお入りください。」


案内されて中にはいると、厳かな雰囲気の中、机の向こう側に老婆が一人座っていた。

机には大きな水晶球が鎮座している。


「そこに座りなされ。」


「はい。」

(・・・なんだかここだけ占い師の館っぽいなぁ。)


高志が座ると、老婆が呪文らしきものを唱えた。


「むむ、お主、変わっておるなぁ。今までどんな人生を歩んできたのかわからんが、ほとんど神々の影響を受けておらんとみえる。」


「え、ええ、そうかもしれません。」


「お主が信仰して加護を得られるのは、カドラ様だけじゃな。」


「カドラ様?」

(・・・あれ?そんな神様聞いたっけな?)


「運命を司る神様じゃ。ワシも長いことこの仕事をやっておるが、初めてじゃ。噂ではきいたことがあったがのぉ。通常カドラ様は人間個人に加護を与えることはないのじゃが、極稀に個人に加護を授けてくれる場合があるそうじゃ。」


「なるほど。ちなみに、カドラ様の加護というのはどのようなものがあるのでしょうか?」


「分からん。」


「え・・・?」


「なにせ前例がほとんどないのじゃ。じゃが、恐らくは運に関連してくることじゃろうて。」


「な、なるほど。」


「では、カドラ様を信仰するかえ?」


「はい、お願いします。」

(・・・ってか、それしかないんだよなぁ)


「では、隣の部屋で講義があるゆえしっかり聞いておくようにな。講義の後に信仰の儀式があるで、それが終われば完了じゃ。」



高志が講義を受ける為に隣の部屋にいくと、老婆は独り言を漏らした。

「まさか、この眼でカドラ様の加護を受ける者をみれるとはな。あの者はどのような英雄になるのか、それとも稀代の悪党となるのか、楽しみじゃて。」




高志が隣の部屋にいくと、ちょうど講義が始まるところだった。

講義自体は2時間に1回くらいしか開かれておらず、ある程度まとまった人数が講義を受ける方式だった。


講義の内容はこの世界の成り立ちの話だった。簡単にまとめると、大昔に神様が人間を作ったという話だった。

しかし、数千年前にこの世界は邪神により滅ぼされかかった。

神々が命がけで戦ったが邪神の力は強大で、神々は次々と倒されていったのだった。

窮地に追い込まれた残った神々はある決断を下した。

それはもう一つの世界を作り、隔離し、そこに生き物を避難させるという決断だった。

ただし、それでも全ての生き物を避難させることはできなかった。邪神が邪魔をしてきたからだ。

結局、一部の生き物を避難させた後、神々は自らの命をつかって邪神を7つに切り裂き、封印することに成功した。

命が潰えた神々も精神はこの世界に残り、様々な影響を与え続けているという。

要は常に神様が見守っていますよ、ということらしい。



約1時間ほどの講義のあとに、信仰の儀式があり、それも無事に終わった。

儀式といっても、自分が信仰する神の像の前で誓いを立てるだけであった。



こうして高志は運命の神であるカドラを信仰することになった。


(・・・さて、運命の神様かぁ。ってことは運が上がるってことだろうから、それにあった職業となると、ギャンブラーとかか? うーん・・・。)

などと考えながら、職業を選ぶ為、メスレク神殿に向かう高志であった。




はい、主人公補正も神の加護です(ノ∀`)

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