第七話
週末ではないですが、仕事がお休みなので投稿します(`・ω・´)
異世界生活4日目。
その日は朝食から気まずい雰囲気に包まれていた。
「・・・・。」
「どうしても行く気か?」
沈黙の中、イザークはサリーに問う。
「もちろんです。お父さんが止めても行くつもりですから。」
と、怒り気味に答えるサリー。
(・・・ああ、気まずすぎてご飯の味がしない。)
気まずい雰囲気に飲まれている高志であった。
二人が数秒睨みあった後、
「ふぅ、仕方ない。その代わり、タカシさんに迷惑を掛けるようなことはしないように。」
と、根負けしたように答えるイザークであった。
本当は既に許す気でいたのだったが、一応、ほいほいとOKを出すわけにもいかず、それなりに渋ることにしていた。もっとも、もしかしたら、根負けして思い直してくれるかもしれないという希望もないわけではなかったのだが。
「あ、ありがとう、お父さん!私必ずお母さんを見つけて連れて帰るから!」
と、急に膨れっ面が満面の笑顔に変わる。
「と、言う訳でよろしくお願いしますね、タカシさん!」
今度は高志にターゲットを変えたようだ。
「え? あ、ああ、よろしく。」
あまりの変わり身の早さに呆気に取られる高志であった。
(・・・あ、あれ?サリーさんには一緒に行くのOKって言った覚えは無いけど、なぜか強制的にそうなってる気がする・・・。)
こうして高志とサリーは旅の準備をしてから、夕方に広場に向かうことになった。
もっとも、高志のほうは準備など無いも同然だったが。
「これ、本当に全部もっていくのですか・・・?」
高志の目の前にはどうみても人一人が運べるとは思えない量の荷物があった。
「そうです!女の子は色々必要なんです。むしろ、高志さんは何も荷物を持っていないようですけど、大丈夫なんですか? そういえば、村に来たときも何も持っていなかったですよね?」
「え、えーと、実はちょっとした魔具がありまして、荷物をしまったり取り出したりできるものがあるんです。よろしければ、サリーさんの荷物も預かりましょうか?」
「そんなに便利なものがあるんですね! それにしてもタカシさんは色々な魔具を持っていらっしゃるのですね。やっぱりどこかの王族か、貴族だったりとか・・・。」
「いえ、そうではないんです。まぁ、うちの故郷では割とそういったものが多いだけです。」
(・・・うーん、サリーさんとは今後も旅をすることになりそうだし、もうちょっと事情を話しておいてもいいのかもしれないなぁ。まぁ、急ぐ必要はないだろうし、必要になったら話すってことにしとくかぁ)
こうして、サリーの荷物の一部、といってもほとんどが衣類だったのだが、それらは高志が預かり、保存しておくことになった。
そうこうしている間に夕方になり、二人は広場へと到着した。
ちょうど商人のマーチャ達は、馬車の荷造りをしているところであった。
「こんにちは、今日から王都までよろしくお願いします。あと申し訳ないのですが、一名追加でおねがいしたいのですが、よろしいでしょうか?」
「サリーと申します。急で申し訳ありません、私も連れて行ってもらえないでしょうか?」
「ええ、構いませんよ、むしろ話し相手が増えるのは大歓迎です。」
と、マーチャの許可が下りたところで、各自自己紹介をした。
サリーと高志は、馬車に乗ることになった。
二人分+荷物の重さが増えることで馬への負担が増えること危惧して聞いてみたところ、どうやらシェリアのほうが回復魔法を使えるとのことで、その問題は杞憂に終わった。
「シェリアさんは回復魔法が使えるんですか? ちなみにどちらの神様を信仰しているのでしょうか?」
と、回復魔法に興味があるのかサリーが聞いてみた。
「生命を司る神、ヴィエッタだ。」
ぶっきらぼうに答えるシェリア。
「シェリちゃは変わっているのだ。普通、エルフは神様を信仰しないで、精霊を崇めてるんだけど、便利だからって信仰してないクセに信仰してるのだ。」
と、ミンクが補足する。どうやら二人は仲が良いようで、ミンクは、シェリアのことをシェリちゃと呼んでいるようだ。
(・・・信仰してないのにって、それでいいのか、神様・・・)
「ちなみに信仰する利点って何かあるんですか?」
「ああ、それはね、信仰する神様によって得られる加護の種類が変わってくるのですよ。私の場合は、商人なので、商売の神様であるコメース様を信仰しています。すると鑑定の魔法等が使えるようになったりするのです。一応、神聖魔法なので、使えるようになるまでには色々と大変なのですがね。」
マーチャがそう答えてくれた。
「神聖魔法は神官職じゃなくても使えるってことなんですね。」
「ええ、そうです。ただし、信仰しても加護が得られるかどうかは、その人と神様の相性などによります。例えば、悪人が正義の神様であるアドレット様を信仰したとしても、加護は得られません。自分にあった神様を神殿で教えてもらえるので、もしもまだ信仰していなのでしたら、王立大神殿にいってみることをお勧めしますよ。もっとも、相性がよければ確実に加護が得られる、というわけではないのでご注意ください。」
「なるほど。私も王都についたら、神殿にいってみることにします。」
(・・・魔法が使えるかもしれない。やっぱファンタジーには魔法だよなぁ。神聖魔法以外にも使えるようにならないかなぁ。なんにしても楽しみだ。)
「ちなみに、ミンクさんは何か魔法が使えるんですか?」
「うん、使えるよ。見ててね~。」
と言って、腰から短剣を取り出した。
横では、シェリアがなぜか呆れ顔になっていた。
「えいっ!」
ミンクが力を込めて短剣を折ろうと力を込めると、ボキッと見事に短剣が折れた。
「えっへんっ!」
そしてかなり得意げだった。
「・・・・。」
一瞬の沈黙のあと、シェリアが呆れたように答える。
「いや、それはただ単に力任せに折っただけだから。ええと、ミンちゃんは魔法は使えないですが、LVの高い戦士なので力は人並みはずれてます。その分、知能が・・・あ、いや、なんでもないです。」
「ああ、短剣折れちゃった。シェリちゃ~どうしよう~?」
半泣き状態でシェリアに短剣を直して~と頼むミンクであった。
ミンクを除く全員の心の中で、いやいや、自分で折ったんだろう!とツッコミが入っていたのは言うまでもない。
「え、ええと、魔法のことはおおよそわかりました。ちなみにLVってどれくらいなのでしょうか?」
(・・・まさかゲームみたいにステータスが見れたりはしないよなぁ)
「わたしは、38だよ。」
と、言ってミンクが何かのカードを見せてくれた。
そこには、名前と職業、そしてLV等が記載されていた。
「こ、これは?」
(・・・LVが数値で見れるのか?さすがにゲームみたいに細かいステータスの数値はないようだが)
「職業カードだよ。持ってないの?」
何故ないの?といった感じの空気だった。
「タカシさんは、旅芸人ですよね?そのカードはないんですか?」
サリーも不思議そうに聞いてきた。
「え、ええと、持ってないです・・・。」
と、しょげたように答える。
「もしかして、タカシさんはまだ職業の祝福を受けていないのでは?」
マーチャがもしやといった感じで聞いてきた。
「職業の祝福?なんですかそれは?」
「やはり・・・。職業の祝福というのは、この国では大人になった際に必ずといっていいほど受けることになります。これは、職業を司る神であるメスレク様の祝福を受けることによって、その職業に就くことを全ての神々に認めてもらうことができるのです。そして、その職業にあった経験を積むことでLVが上がります。LVが上がるとその職業に適した神様からの恩恵を受けます。例えば、戦士であれば魔物を退治することでLVが上がり、LVが上がることで筋力や、体力が増えたりするのです。」
「なるほど。ちなみに、職業の祝福というのはどこで受けられるのでしょうか・・・?」
「王都グリゴールであれば、メスレク神殿があるので、そこで受けることができるはずですよ。無事に祝福されれば、職業カードも発行してもらえるはずです。多少料金は取られますが、職業カードがあると色々と便利なので、発行してもらうことをお勧めします。」
「では、王都に着いたら行ってみます。」
(・・・王都グリゴールっていうのか。ついたら色々やることがありそうだ。それにしても、ここでは神様の影響が大きいんだなぁ。)
「あ、私も一緒にいきたいです。まだ職業の祝福は受けていないので・・・。」
と、どうやらサリーもまだ職業の祝福を受けていないようだった。
「では、一緒に受けましょう。っと、そろそろ出発したほうがよさそうでしょうか? 色々と説明して頂きありがとうございます。」
「いえいえ、詳細は馬車の中で、ミーシャにでも聞くと良いでしょう。」
こうして、一行は王都グリゴールに向けて出発するのであった。
王都に向かう最中、高志は、馬車の中で主だった神の祝福効果を教えてもらった。
大体は以下の9種類のいずれかを選ぶことが多いのだという。
【生命を司るヴィエッタ】
強力な回復魔法が使える。神官職に人気が高い。
【戦を司るグエラ】
身体強化/精神力強化の加護を受けられる。傭兵や冒険者に人気が高い。
【知識を司るヴィルグ】
知力や、魔力向上の加護を受けられる。魔法使い系の職業に人気が高い。
【愛情・博愛を司るフィーリア】
回復魔法や、精神に関する魔法が使える。女性に人気が高い。
【自由を司るリベラリー】
特殊なものが多い。(足が速くなる、五感が鋭くなる等)
【繁栄・商売を司るコメース】
知識に関する魔法が多い。鑑定魔法等が使える為、商人に人気が高い。
【正義・秩序を司るアドレット】
守備力アップの魔法や、結界魔法が多い。騎士等に人気が高い。
【自然・豊穣を司るボルラック】
植物に対する魔法等が多い。(害虫よけの魔法等)農夫等に人気が高い。
【生産・創造を司るウラテマク】
視覚強化や、器用さ向上の魔法が多い。鍛冶屋や、薬師等に人気が高い。
ちなみに、ミンクは戦を司るグエラを信仰しているので、戦士としての恩恵と、元々獣人は力強いこともあり、かなりの馬鹿力が出せるらしい。
職業についでも聞いてみたが、職業の中には希少職業や、特定の条件を満たすことで転職ができる上級職と呼ばれるものがあるため、全てを把握するのは困難なのだという。
また、信仰する神と職業の組み合わせで特殊な加護を受けられる場合があり、信仰する神と職業は慎重に決めた方がよいとのことだった。
一応、職業と信仰する神は変更することが出来るらしいのだが、色々と制限等があり、お勧めできないとのこと。
(・・・個人的には、信仰は戦を司るグエラあたりがいいと思うんだけど、相性の問題もあるらしいから、結局は神殿にいって決めるしかないかぁ。職業は加護を受けれる神様が決まってから考えよう。)
こうして一行が王都グリゴールに到着するのは2日後のことだった。
ちょっと説明回っぽくなってしまいました(ノ∀`)