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ファンタジーに未来兵器を  作者: インゼリ
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第四話


異世界生活二日目。


ヒーローの朝は早い。

そう、世界平和の為に朝食を作らなければならない!


と、まぁそんなこんなで、まずは朝食を作ることになった高志であった。

昨日はマニュアルとアイテムリストを眺めながら早く寝てしまったこともあり、寝坊することもなく夜明け頃に起きることができた。

そして早速、朝食を作る為に台所に向かう。



(・・・着替えないで寝たから、ちょっと汗臭そうだなぁ。まぁ、洗濯は後でやるとして、まずは、朝ご飯作らないとな)



そして、炊飯器と白米を召喚し、お米を研ごうと思ったところで、気づいた。

(・・・水道がない)


辺りを探すと、どうやら水瓶があるようだった。

恐らくは、ここに水を溜めておくのだろう。

飲み水用かどうか分からない為、水質検査装置を召喚し検査してみると、市販されているミネラルウォーター並みにきれいな水であることが分かった。


「あ、調理にはその水をお使いください。保存の魔法が掛けられているので、その水瓶の中の水は綺麗ですよ」

と、いつのまに来たのか、サリーが教えてくれた。


「なるほど、保存の魔法なんてあるんですね。ちなみにこの水はどこから?」


(・・・そういや、ヒーロー・テールで魔法のアイテムがあったなぁ。確か『魔具』って呼ばれてたはずだ。ゲームじゃ戦闘用の魔具ばっかりだったけど、ここじゃ、色々あるのかな?)



「村の近くに湧き水がでるところがあるので、そこから汲んできています。時間がないときや、洗濯に使う水は井戸から汲んでくるんですけど、それでも結構大変なんです。」


(・・・水道か。水道があれば、料理と洗濯も楽になるだろうし、是非欲しいな。とは言っても1日2日でどうにか出来るもんじゃないしなぁ。まぁ、そのうちなんとかしよう。)

と、取り敢えず問題を先送りにしたのであった。


水瓶にあった水を使い、炊飯器をセットした。

本来コンセントを使用するタイプの家電は充電式となっていたので、コンセントがないこの世界でも使えそうだった。

元々、色々な場所で使うことを想定していたのだろう。

常時使い続けることはできないが、使い終わったら登録アイテム空間にいれておけば、自動的に充電されるので、さほど不便ではないだろう。



「それはなにかの魔具ですか?」

と、どうやら炊飯器に興味を持たれたようだった。


「うーん、まぁ、そんなところかな。これで放っておいてもご飯が炊けるんですよ。炊き上がったら自動的に保温してくれるんです。」


「保存までやってくれるなんて、すごい便利ですね。でも、火も使わないでどうやって、ご飯が炊けるんですか?」


「うーんと、電気の力で釜の温度を上げて、それで炊いてる・・・んだと思います。私もそれほど詳しくはないので」

(・・・うぅ、ここで説明できないとは、ちょっとカッコ悪いな、オレ)


「そうなんですか~。こんな魔具は初めてみました。」

それでもサリーには十分な説明だったらしい。



(・・・さぁてと、おかずはどうするか。普段はどうしてるのかな?常温で日持ちしそうな野菜も多少あるだろうけど、他にも欲しい場合は畑から直なのか、保存の魔法が掛けられた食糧庫でもあってそこから持ってくるのかな?)


長い独り暮らしで、それなりに料理もしてきている高志は、多少腕に覚えがある。だから出来るだけ保存食は使いたくなかった。



「うーん、何か朝食に使えそうな食材はないでしょうか?」


「では、牛乳と卵を頂いてくるので、ちょっと待っていてください。あ、野菜はそこにあるものでしたら、自由にお使いください。」

と、小さめ壷がいくつかあり、それらを指してから、台所から出て行くサリーであった。


(・・・あぁ、折角、ちょっとした新婚生活ムードで一緒に朝食を作れそうな感じだったのに・・・。)

と、内心しょぼくれながらも、野菜を物色しはじめるのであった。



恐らくは、この壷にも魔法が掛けられているのだろう、なかなかに新鮮な野菜が入っていた。

そこにあった野菜は何種類かあったが、見たことがあるものと、ないもの、半々といったところだった。


(・・・取り敢えず、分かる野菜だけ使おう、知らないのは使わない方がいいだろう。調理の仕方が独特のものがあるかもしれないし)


結局何を作ろうとかと考えたが、オイスターソースを使った野菜炒めにすることにした。

一瞬、カレーも考えたが、それは夜のお楽しみにしておくことにした。

ちょっと朝かから重いかなぁと思いつつも食材を切っていると、サリーが戻ってきた。


「ただいまー、牛乳と卵を分けてもらってきました。」


「おかえり。それじゃあ、それを使ってデザートのプリンでも作りますよ。」


「でざーとのぷりん?」


「あー、食後に食べるお菓子みたいなものです。」

(・・・うーん、一部通じない言葉があるなぁ。外来語は特にNGだろうなぁ。大きい街に行けば多少は違うんだろうか・・・)


「食後に、お菓子・・・ですか?なんだか貴族の夕飯みたいですね。タカシさんも、もしかして貴族とか・・・?」


「いやいや、私の国では普通でしたよ。みんながみんな、いつも食べるわけではないですが。」


「はぁ~。なんだか、タカシさんの国は色々と変わっていますね。・・・私がこの村をでたことがないからかもしれませんが。」

と、ちょっと寂しそうな表情を浮かべるサリーだったが、高志はあまり気にしなかった。


「うーん、まぁ、そうかもしれませんね。この辺りの国には無い文化が多いかもしれません。」


と、しゃべりながらも手を動かしている。

野菜炒めの野菜はあらかた切りおわり、プリンの調理に取り掛かる。

牛乳と、卵を泡だて器で混ぜ始める。

途中、砂糖を召喚して、適量いれた。

基本的にプリンだけならこの3つを混ぜて、焼くなり蒸すなりするだけで出来る。

後は好みでバニラエッセンスやらビーンズを入れると、よりそれらしくなる。


(・・・やはりここは、焼きプリンよりは、とろふわプリンだろう!)


鍋でお湯を沸かして、そのなかに陶器製のドンブリにプリンの元(牛乳・卵・砂糖をまぜたもの)を入れて、蓋をした。

これで10分程待って、冷やせば完成だ。

その間に野菜炒めの方を炒めることにした。



途中、サリーと雑談をしながら料理を進める。

なんとも幸せな時間が過ぎていった。


「もうじき、朝食ができますので、イザールさんにも声を掛けておいてください。」


「わかりました。では、父を呼んで来ますね。」





そして、朝食タイム。


「うまく出来たかどうかわかりませんが、どうぞ、お召し上がり下さい。」

(・・・果たして、こちらの世界の人に、地球の味が受け入れられるだろうか?)


「では、頂きますかな。」

と、イザークが早速、白米のご飯を口に入れる。


「これは!!! 確かにおいしい!」

「ほんと!しかも、すごく食べやすい!」

イザークも、サリーも絶賛のようだった。


次に、オイスターソースの野菜炒めに箸をつける。


「この野菜炒めも、素晴らしいですな。今まで食べたこと無いような味だ!」

「ほんとおいしい。一体どんな味付けなんですか?」


「えーと、私の国からもってきた調味料を使ってます。その調味料の作り方まではわからないですけど、海の貝を使ったものだったと思います。」

(・・・まぁ、日本発祥の調味料ではなかったかもしれないけど)

と、心で付け加えた。



大絶賛のうちに朝食もあらかた片付いた。


そこで、食糧空間(冷蔵庫)から、プリンを出して、スプーンで小皿にとりわけた。

「食後のおやつです。こちらもお試しください。」



みたこともない物体に若干抵抗を感じつつも、プリンを口に入れる二人。


「ほほぉ!これはなんとも、味もさることながら、このような食感、初めてですな。」

「口の中でとろけるようで、甘くておいしいです!こんなお菓子食べたこと無いです!」

特にサリーは、目を輝かせながら食べている。


「お口に合うようでなによりです。」

(・・・ふぅ、良かった、なんとか元の世界の料理も受け入れられるようだ)



そんなこんなで、朝食のひと時は過ぎていった。

本日最初のお仕事は無事完了のようだった。


(・・・さぁて、次はワイバーン退治といくか!)




朝食の後片付けも終わり、ワイバーン退治にでかけようとしたところ、高志はイザークに声を掛けられた。


「ワイバーンを退治にいかれるのですかな?」


「ええ、まぁ、なんだかそういうことになってしまいまして・・・。」


「気をつけてください、ワイバーンは下位とはいえ、ドラゴンの一種ですからな。王都のほうでも毎年何人かが被害にあってるようです。以前はこの付近には全く居なかったんですが、どうしてか、この村の近くにも出るようになってしまいました。村を代表して私からもワイバーン退治をお願いします。」

といって、頭をさげるイザーク。


「わかりました、上手くいくかわかりませんが、やってみます。」





まずは、武器の調整をするために、人気の無い森の方に向かった。

使えそうな武器をいくつかチョイスし、『調整』をした。


そこで気づいたが、大型の武器は変身状態でないと使えないものが多かった。

飛行ユニットのように、元々変身状態で使用されることが前提になっているものや、単純に重すぎて生身の状態では扱えないものがあった。

変身すれば、特殊装甲の下にある人口筋肉のサポートで通常の数倍の力が出せる為、大型武器も楽々と使いこなせる。



「よし、あらかた調整も終わったし、さっそく探しにいくか」


まずは、生体レーダーの対象を大型動物に設定して検索する。

そして、その中で空中にいるものを絞り込んでいくことにした。

(・・・群れで行動する習性があれば、まとめてできるんだろうけど、この前一匹だけいたのを考えると、その可能性は低そうだなぁ。まずは、一匹見つけて、こっそり跡をつけてみるか)


取り敢えず、飛行ユニットを使って空中へ、さらに空中でステルスモードに切り替えた。

一応、迷彩機能をONにしておいたが、あまり効果はなさそうだ。

よーく見れば何かいるのがバレるであろうということと、獣の中には臭いを頼りに行動するものがいるからだ。


早速、レーダーに1体ヒットした。

高志は、ワイバーンよりも高く上昇し、見つからないようにあとをつけることにした。

ちょうどそのワイバーンも朝食を終えたあとのようで、巣に戻っていくところであった。


大きな崖があり、そこにいくつかの洞窟があった。

そのなかの一つの洞窟にワイバーンは向かっていった。



(・・・ん?あの崖の洞穴が巣かな?)


生体レーダーで確認してみると、何箇所かの洞窟からワイバーンらしき反応があった。

全部で10体くらいだろうか。


(・・・さぁて、どうするかなぁ。なんかいきなり殺しちゃうのは可哀想な気がするけど、やるしかないよなぁ)

せめて相手から襲ってきてくれれば、罪悪感も薄れるのになぁと思いつつも、覚悟を決めた。

放っておけば、いずれ人間を襲いに来ることもあるのだ。

サリーが襲われるところを想像して、やる気を出した。


(・・・おのれ、トカゲもどきどもめ!)

根は単純であった。


一応、冷静になって、ワイバーン退治の証拠を残す為、映像記録モードをONにする。

あとでホログラム再生で、見せればフェンリルも納得するだろうという判断だった。




武器の中から小型のロケットランチャーを選び召喚する。

狙いは崖そのものだ。

念のため、近くに人がいないかどうか生体レーダーでチェックする。


「よし、大丈夫そうだな。さらばトカゲもどき!」


引き金を引くと、シュッと音がし、ミサイルが発射される。


ミサイルが崖に命中し、物凄い轟音を立てる。

崖は崩れ、山の半分が崩れ落ちたようだった。



(・・・うわちゃー、やりすぎたか。)



とりあえず、近くに降りて辺りを探してみる。

生体レーダーを確認してワイバーンが生き残っていないことを確かめた。


(・・・そういや、ゲームだとワイバーンの牙とか爪は高く売れたような気がするな。掘り返して取っておこうかな)



こうして地道に掘り返して3体分の死体から、レーザーナイフで牙と爪を切り取った。


「さすがにこんなもんでいいだろう。掘り返す作業は結構キツいし・・・。」


一息ついたところに、巣に戻ってきたワイバーンがいた。正確には巣があった場所に戻ってきた、だが。



そのときは迷彩機能をOFFにしていたこともあり、いきなり襲われた。

今度は死体をできるだけ残しておこうと、超高電圧スタンガンで返り討ちにした。

少しコゲてしまったが、気にしない事にした。


「一応、死体も一匹分くらいは持って帰るか・・・。でも、デカすぎるからフリー空間にもしまえないな。うーん、解体すればいいんだろうけど、そこまで切るとグロいよなぁ。」


と、仕方が無いので、そのまま抱えて飛んで帰ることにした。

一応、みつからないように迷彩機能と、生体レーダーを駆使しておいた。

もしも、地上から人が見れば、ぐったりしたワイバーンが羽ばたきもせず空を飛ぶ異様な光景がみれたであろう。




幸い、昨日の畑には誰もいなかったようで、近くにワイバーンの死体を置いて、変身モードを解除した。


(・・・さて、あとはあのフェンリルが来るのを待つだけか。そういや、待ち合わせの時間決めてなかったな。)


しばらくワイバーンの死体と二人(?)っきりで過ごす事になりそうだったが、狩人のダンが通りがかった。


「うお!タカシ、お前、本当にワイバーン倒したのか?」


「ええ、まぁ、重いので死体は1体だけしか持って帰れませんでしたが・・・。」


「は・・・? 1体だけって、何体倒してきたんだよ!普通は一人じゃ、一体倒すだけでも至難の技だぞ!」

ダンは信じられないという顔だ。


「じゅ・・・10体くらいかな?」


「一体どんな魔法を使えばそんなことが出来るんだ・・・。」

ほとんど呆れ顔になっていた。


「それより、ダンさん。ワイバーンの死体で役に立つところとか、売れるものはないでしょうかね?」


「・・・あ、ああ。そうだな。牙と爪はそれなりの値段で売れる。鱗はイマイチだ。ちゃんとしたドラゴンの鱗なら高く売れるんだがなぁ。ああ、あと一応食えるらしいぞ。」


「やっぱり牙と爪は売れるのかぁ。肉ってあとでさばいてもらうことってできますかね?3人前くらいあれば、あとは報酬ってことで好きにして構わないので・・・。」

やっぱりこれだけの大物を解体するのは素人にキツそうだ。色々意味で。


「わかった。じゃあ、あとでオレがなんとかしておこう。」


「一応、フェンリルが納得してからがいいので、あとでいいですか?」


「わかった、オレのほうでも、準備がいるからな。さばきおわったら、村長の家にもっていけばいいか?」


「はい、お願いします。」


そして、ダンは道具と人を集めに去っていった。





「さて、肝心なヤツはなかなか来ないな・・・」


「もう来てるぞ」

のそっと後ろから声を掛けられた。



「うわっ。いつの間に・・・。」


「なんとなく、あの人間がいたから出てきにくかったのだ。」


「意外と小心者なんだな。」

といって笑う。


「う、うるさいっ。それより成果を聞かせろ!」


「まぁまぁ、そんなんで怒るなよ。成果はバッチリOKだったぞ。」


「ばったりおーけー?訳の分からないことを言って誤魔化そうとするな!」


「ああ、悪い悪い、一応、ワイバーンの方はほとんど倒したと思うぞ。あとそれと『ばったり』じゃなくて『バッチリ』な。」


「ふんっ、そのわりに一匹しか死体がないじゃないか。他のはどうした?」


「じゃあ、そのときの映像を見せてやろう。」

そういってホログラムで、ワイバーンの巣を壊滅させたときの映像を映し出した。



「!!!!!」


「な?ほとんど倒してるだろ?巣にいなかったのもいるだろうけど、巣がなければ他にいくんじゃないか?」


「・・・」


「ん?どうした?」



「い、いや・・・お、お前、なかなかやるな・・・」

フェンリルは明らかに動揺していた。


「まぁ、これで約束通り、村の畑には手を出すなよ? また手をだしてくるようなら」

と言って、ちょっと凄んでみた高志。


「わ、わかってる!あ、安心するがいい、人間よ。今後はこの村の畑には手をださないように言っておく。」

動揺しながらも偉そうに言うフェンリルであった。


「そうか、それじゃ、これでひと段落だな。お前も元気でな。」


「フ、フン、人間、名を聞いておこう。」


「上杉高志だ、まぁ、タカシって呼んでくれ。」


「ウエスギ・・・どこかで聞いたような。まぁいい、タカシそれでは縁があればまた会おう。」


そういって、去っていくフェンリル。




(・・・あ、あいつの名前聞くの忘れてたな。まぁ、そうそう会うこともないだろうし、いっか。)

こうして、なんとか依頼を終えた高志は、村長の家に帰っていくのであった。



今回はちょっとチート性能が披露されてきた感じです(´・∀・`)

料理に文字数使いすぎだろか(´・ω・`)

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