第三十三話
ようやく休みがとれたヽ(`Д´)ノ
10月に今試験中のプログラムがリリースされれば落ち着くはず(´・∀・`)
バグがなければだけども(´・ω・`)
ドラグレイス軍の《竜帝ドラグレイス》は大空に羽ばたくと、高志に向かっていく。
地上ではドラグレイス軍の兵士達が歓声を上げ、上空では残っている飛竜騎兵部隊が邪魔にならないように離れていく。
(・・・やっと動いたか。あとはコイツを圧倒すれば終わりだ。)
高志の当初の計画では、地上部隊の足止めはもちろん、ドラグレイス軍の切り札である《竜帝ドラグレイス》をも圧倒することで軍全体の戦意を殺ぐことだった。
「人間よ。少しは楽しめそうだな。」
《竜帝ドラグレイス》はどこか楽しそうに高志に言い放つ。
「おっと、しゃべれるのか。」
「フンッ、我を何だと思っておる!」
そう言った直後、口から紅蓮の炎を吐き出した。
だが、その炎は高志には通じない。
「なるほど、妙な力を持っておるようだな。」
だが、竜帝ドラグレイスは動揺することはなかった。
「無駄です、このまま軍を引いてください。無駄な争いは好まない。」
停戦を呼びかけるが、返ってきたのは更なる攻撃だった。
「ほざけっ!これなら防げまい!」
すると、竜帝ドラグレイスの全身が光だし、次の瞬間、レーザーのような咆哮が高志に向けられて発射された。
当然この攻撃もエネルギーフィールドで弾かれるだけだと高志は思っていたが、次の瞬間予想外のことが起こった。
「ぐっ!」
大したダメージではなかったが、吹き飛ばされたのだ。
(・・・なぜだ、一体何が起こったんだ。)
だが、驚いたのは高志だけではなかった。
「なんだと!我がインフェルノブラストを喰らっても生きておるだと!?」
竜帝ドラグレイスは驚嘆の声を上げる。
そして、それを見ていた地上のドラグレイス軍にも衝撃が走る。
絶対的だと思っていた竜帝ドラグレイスの攻撃が通じなかったのだ。
「お、おい、どうなってるんだ!」
「アレで倒せないなんて、どうやって倒せっていうんだ!」
高志はすぐに頭を切り替えて、エネルギーフィールドの故障を疑った。
だが、調べてみたがそのようなログは無かった。
そもそも何かしら致命的な故障等が発生すれば、すぐにメッセージが表示されるはずなのだ。エラーの検知機能か、メッセージを表示する機能が故障していれば話は別だが。
(・・・どうしてだ。あとで詳しく調べるとしても、今はこの場を何とか乗り切らないと。取り合えず、あのブレス攻撃は避けるようにしよう。)
「戦闘中に考え事か、随分と余裕だな!」
竜帝ドラグレイスはそう言いながら高志に向かって突撃し、巨大な爪から繰り出される連激を浴びせる。だが、その攻撃はエネルギーフィールドによって全て弾かれる。
(・・・計らずもエネルギーフィールド自体は機能していることは確認できた。ってことは、あのブレスが特別なだけだろう。)
「おのれ、生意気なっ!」
竜帝ドラグレイスは高志から距離をとると、再び全身が光に包まれる。
今度は大きく開けた口の中にエネルギーが集約されるのが見て取れる。
恐らく今度は全力攻撃なのだろう、攻撃を溜めているように見える。
(・・・さて、これをまともに喰らうと不味そうだ。)
高志はすぐに竜帝ドラグレイスの背後に瞬間移動した。すると、竜帝ドラグレイスは攻撃目標が突然消えたため、一瞬うろたえたが、すぐに背後の気配に気づき振り返えり、必殺のブレス攻撃を発射した。
それはすぐに命中したように見え、巨大な爆音が鳴り響き、眩しい光が発生したあとに煙が立ち込める。
あまりにも近距離だった為、竜帝ドラグレイス自身も若干ダメージを受けたようだった。
そして、光と煙が収まったあとには何も残っていなかった。
高志の姿がないことを確認すると、爆発で若干ダメージを受けた竜帝ドラグレイスはどことなくホッとしたように破棄捨てる。
「フン、所詮は人間なんぞ、この程度だ。」
「いやいや、人間も捨てたもんじゃないでしょ?」
その声は竜帝ドラグレイスの頭上から聞こえた。
「な、なんだとっ!」
高志は攻撃を喰らう直前に爆薬がつまった囮を召喚し、瞬間移動で逃げたのだ。
「さて、これで勝ち目がないことが分かって頂けたかと思いますが如何でしょうか?」
嫌味にならないように、極力冷静に言ったつもりだったが、それがかえって怒りに油を注ぐ結果となってしまった。
「き、貴様ァ!」
竜帝ドラグレイスはすぐに高志に向けて攻撃を開始した。無駄だとは分かっているが怒りで我を忘れているのか、やめようとはしなかった。
(・・・やれやれ、仕方ない。少し痛い目にあってもらうか。)
高志はすぐに距離を取り、小型ミサイルランチャーを撃つ。
ミサイルは竜帝ドラグレイスに命中し、爆音をあげるが、それで死ぬことも地上に落ちることもなかった。むしろそれにより、更に怒りが増したのか、竜帝ドラグレイスは吼えながら襲ってきた。
しかし、見た目ではかなりのダメージを負っており、いたるところから血か出ている。
高志は迫り来る竜帝ドラグレイスをかわしながら、プラズマブレードで翼を引き裂いた。
竜帝ドラグレイスは翼の機能をほとんど失い、地上に向けて落ちていき、凄まじい衝撃と土煙があたりを覆いつくす。
土煙が収まったあとには、息も絶え絶えな状態の竜帝ドラグレイスがいた。
「いい加減に諦めて欲しいのですが。」
高志は竜帝ドラグレイスの真上から見下ろしながらそう言い放った。
「ぐっ、お、おのれ・・・。」
竜帝ドラグレイスは憎しみを込めて高志を見上げる。
そして、そんな状態から再び全身を光らせ、インフェルノブラストを発射しようとする。
(・・・諦めが悪いな。仕方がない。)
高志は竜帝ドラグレイスの頭上高くから、一発の爆弾を発射した。
かつてクラスター爆弾と呼ばれたそれは、一発の爆弾の中に小型の爆弾を多数内臓したものだった。だが、今発射された爆弾の中には、大量の杭が仕込まれている。爆風により、その杭は標的とその周辺にばら撒かれ標的に刺さる。そしてばら撒かれいたるところに刺さった杭は2段階で再び一箇所に集められる。
一度目は電磁誘導により、クラスター爆弾本体へと戻され、それでも戻らない場合は瞬間移動による移動で戻される。
杭が抜かれる瞬間に強烈な痛みを与えることもさることながら、杭も刺さったままであればある程度防げる出血も、杭が抜かれることによって深刻な出血を引き起こす。
しかして、クラスター爆弾は竜帝ドラグレイスの真上で爆発し、数千本の杭がばら撒かれた。そのうち数百本が突き刺さる。
そして杭が抜かれたあと、竜帝ドラグレイスは意識を手放すことになる。
それを遠くから見ていたドラグレイス軍は、竜帝ドラグレイスが負けたことを知ると動揺が走った。
「なんてことだ、竜帝ドラグレイスがたった一人の人間に負けるなんて・・・。」
「もう無理だ、撤退すべきだ!」
「あんなのがいるなんて聞いていない。攻めるべきじゃなかったんだ。」
既に兵士達の戦意は挫かれていた。
(・・・あとは兵士達が引き上げてくれればいいんだけど。)
だが、高志の思惑と違い、軍は撤退しなかった。
「何を逃げ腰になっておる!竜帝ドラグレイスを倒した奴を倒したとなれば名声も報酬も思いのままだぞ!」
残念ながら軍の将軍はこれで諦めるほど賢い人間ではなかった。
兵士達は動揺しつつも再び進行しようと整列しつつある。
泥水で覆われた壕は、攻城兵器を利用して橋をつくって渡ろうとしていた。
(・・・中々思い通りにはいかないな。仕方ない。)
高志は、すぐにドラグレイス軍が作ろうとしていた橋を破壊していった。
そのとき、豪華な飾りを纏った、いかにも将軍といった感じの敵兵が目に入った。
すぐに上空からその敵兵の下へ舞い降りると、辺りの兵士達が高志を取り囲んだ。
「あなたが、この軍の将軍ですか?」
すると、その敵兵が応えた。
「いかにも、俺様がこの軍を率いておる、アルジェン様よ。」
「悪いんだけど、このまま撤退してくれないかな?このまま続けても、そちらに勝ち目はないと思うよ。」
「ほざけっ!何をボサっとしておる、こやつを討ち取れ!」
アルジェンが部下達をけしかけると、高志を取り囲んでいた兵士達が一斉に襲い掛かってきた。だが、高志はそのままあえて全てを受け、無駄だということを分からせた。
兵士達も戸惑い、攻撃をやめてしまうと、アルジェンが更に叫んだ。
「何をやっとるか、不甲斐ない!」
そしてアルジェン自らが剣を抜き、高志に斬りかかるが、これも無意味に終わる。
「いい加減に力の差を認めてください。大人しく撤退しないのであれば、こちらにも考えがあります。」
「ぐっ、おのれぇ・・・。」
悔しそうに歯軋りするアルジェンだったが、突然奇妙なことを言うと態度を豹変させた。
「はっ、いや、しかし・・・。わかりました。」
(・・・ん?何か妙だな、頭がおかしくなったのか、いや、だれかと話している?テレパシーみたいな魔法でもあるのか、そういった魔具でもあるのかな?)
「フンッ、今回は引いてやる、だが、次は必ず貴様をしとめる!全軍撤退だ!」
アルジェンが忌々しそうに叫ぶと、軍は撤退の準備を始めた。
(・・・やっと終わりか。そういや、あのドラゴンはどうするのかな?放っておいて大丈夫なんだろうか。まぁ、死にはしないだろうし、放置しておくか。暴れるようなら、退治するしかないけど。)
高志の戦いぶりと、ドラグレイス軍撤退の動きは、リース達防衛側の兵士からも観測されていた。
特に高志の圧倒的な戦闘力は防衛側の兵士や傭兵にとっては心強かった。
だが、一部の人間には、その圧倒的な戦力が故に警戒されることになった。
そして、国外への圧倒的な戦力を有したことと、それを他国に示したことで、有識者達は今後は国内での醜い争いが激化されるであろうと予測した。
そんな中、リースは黒い鎧の英雄と話がしてみたいと思っていた。
「あの者に何とか会うことはできないだろうか?」
そう呟いた。
「そういえば、タカシはどこにいったんだ?」
肝心なときにいなくなった高志に気づいたシェリア。
「もしかして、あの黒い鎧を着た人を呼びにいっていたとか・・・?」
何気なく、サリーが口にした。
「そういえば、何となくあやしいのだ。なんだか動きが似てるような気がするのだ。」
とミンクが気づいたように言う。
「まさか、あの黒い鎧の正体がタカシだというのか?流石にそれはないだろう。」
リースも口では否定しつつも、まさかなと内心では思っていた。
タイミングが良すぎるし、確かに高志と、あの黒い鎧の人物が同時にいるところをみたことがなかった。もっとも、それほど見る機会もなかったので、ただの偶然だと思うことにした。
しばらくすると、噂の高志が戻ってきた。
「ただいまー。」
すると、全員の視線が高志に向けられた。
(・・・あれ?何かやらかしたかな?)
「まさか、あの黒い鎧の正体は、タカシなのか?」
リースが恐る恐る聞く。
「え、えーと、あの人は、知り合いでルシフェルって人です。」
とっさに誤魔化そうとしたため、思わず適当に答えてしまった。
(・・・あああ、俺の馬鹿、アホ!何だよルシフェルって。ガキの妄想じゃあるまいし、痛すぎるだろう。ああ、クソッ。やっぱ今のなしって・・・無理だよなぁ。)
こうして、変身後の名前は『ルシフェル』に決まってしまった。
その後も根掘り葉掘り質問されることになるのだが、自分の発言の痛さを後悔しつつ、適当に答えてしまう高志であった。
作者も痛さに後悔してます(ノ∀`)