第三十話
大きい仕事がなんとかひと段落したと思ったら、新しい急ぎの仕事が2件入ってしまいました(´・ω・`)
しかし、夏休みはそのまま休むことにヽ(`Д´)ノ
というわけで、休み中に出来るだけ書きたいと思います(`・ω・´)
リースに置き去りにされた4人は、倒れた兵士達をそのままに、早々に帰る事にした。
恐らく、倒れている兵士達の後始末はリースの方で何かしてくれるのだろうということで、そこは気にしないことにした。
「それにしても、リースが王族かぁ。」
何気なく、高志が呟く。
「あんまりお姫様って感じじゃないかもしれないですね。気品は感じるけど、今はそれ以上に追い詰められている感じがします。」
と、サリー。
「きっと、急いで帰らないと美味しい夕飯が食べれないとかなのだ。」
「しかし、あのまま一人で帰らせてしまってよかったのだろうか。一応、これは王族暗殺だったんじゃないか?」
と、これはシェリア。
「確かに。でも、流石にちゃんと手を打ってるんじゃないかな?護衛だっているだろうし・・・。」
と、言ってから高志は疑問に思った。
信頼出来る護衛がいるなら洞窟が崩れた時点で助けにくるはずではないのか? そもそも自分達が雇われることもなかったのではないか?と。
そう考えてくると不安と焦りが生まる。
「ちょっと気になるから、リースの様子を見てくるよ。」
と、言って、駆け出そうと思った高志。
「あ、でも、リースさんの向かった場所はわかるの?」
と、サリーに言われて「しまった」という顔をする高志。
「まかせるのだ。リースちゃんの匂いを辿ればいいのだ。」
「さすが、みんくまー。安心の嗅覚だ。」
と、ミンクをシェリアが茶化す。
「急がないとまずいかもしれない。ミンクさん、それじゃあ、早速お願いします。」
ミンクは、シェリアの台詞に不満を示しつつも、高志からの頼みでしぶしぶと、リースの匂いを辿ることになった。
4人がリースの後を追っている頃、リースは自分の屋敷に戻っていた。
本来、屋敷には執事やメイドがいたはずだが、今はその姿がない。
リースは必死に屋敷の中を探してもその姿は見当たらなかった。
「くっ、まさか、ここまで手を回しているのか・・・。」
リースは更に焦る。
急ぎ着替えを済ませて、今度は城に向かうことにした。
「恐らく、裏切り者は城の誰かだ。だが、叔父上までがその手に落ちているとすれば・・・。しかし、さすがにそれはないだろうと思いたいが。」
リースは着替えながら今の状況を整理していた。
そして、いかにも王族が着るような服に着替えたあと、豪華な剣を腰に下げる。
その後、庭の馬小屋に向かった。
幸いにもそこには、馬が数頭残っており、そのうちの一頭に跨り、急ぎ城に向かうことにした。
リースが馬で屋敷を出ようとしたところで、追ってきていた高志達と鉢合わせした。
「あ、リース、ちょっと待ってくれ。」
高志が急ぎ声を掛ける
「む、タカシか。悪いが今は急いで城に向かわねばならぬ。」
高志に声を掛けられても、そのまま突き進もうとするリース。
「いや、ちょっと待ってくれ、今リース一人で城に向かうのは危険だ。」
「だが、これは王族である私が何とかすべき問題だ。君たちには関係のないことだ。」
「確かに、王族の問題なのかもしれない。だったらリースがその問題に立ち向かえばいい。俺達は仲間のリースが困っているからそれを助けるだけだ。」
リースはしばらく固まったあと、ため息をついて、こう答えた。
「分かった。それじゃあ、ついてきてくれ。まだ馬が残っているはずだ。」
その後、4人は城へは馬を飛ばして城に向かうことにした。
途中、街中の様子がおかしいことに気づいた。
妙に慌しいのだ。だが、今はその原因を聞いている時間も惜しいと、リースは無視するように城に向かった。
高志達も仕方なく、それについていく。
そして、30分程で城の入り口にたどり着いた。
城の正門から堂々と馬に乗ったまま入っると、リースが先頭にいるお陰か、城の警備兵達も、敬礼をして出迎える。
~~~~城のとある部屋~~~~
豪華な装飾品がある部屋で、数名の男が話し合いをしていた。
「どうやら、シーリンス姫が城に戻ってきたようです。」
「チッ、使えん連中だ。小娘一人も始末できんとは。」
太った中年の男がそう言って舌打ちする。
「どうやら、姫は護衛を雇ったようです。」
男達の中でも若い兵士と思われる男がそう報告する。
「アレスの老いぼれがいない今がチャンスなのだ、既に計画は動き出している。こちらもあまり時間がない。急いで始末しろ。」
「しかし、城の中ではさすがに目立ちすぎるのでは?」
「それに護衛をつれている。中途半端に襲撃し、返り討ちにでもあえば追求がこちらに向いた場合はやっかいだぞ。」
「だが、やるしかあるまい。今なら近衛騎士どもいない。息の掛かった者を出来るだけ配置しておこう。」
~~~~
城内でリースはすぐに馬を降りると、すぐに王の間へ向かって歩き出した。
高志達もそれに続いていく。
その際、リースは違和感を感じていた。
いつもはもっと城内の兵士が多かったはずだ、そして、兵士が少ない割に城内が騒がしい。
「しかし、リースがいるとはいえ、部外者の人間がこうもアッサリと城内に入れるものなのかな?」
歩きながら高志が疑問を口にする。
「痛いところをついてくれるな。どうも先ほどから城内が慌しいようだ。何かが起こっているのかもしれん。城内の兵士もいつもより少ないようだ。」
リースが答える。
「なんだか、初めて憧れのお城に入ったのに、緊張している暇もないですね。」
そう言いつつも若干緊張しているサリー。
お城での生活というものに憧れがあったらしい。
「お城なんて、ただのでっかい家なのだ。」
「まぁ、ミンちゃんにとっては、城そのものよりも、豪華な食事のほうが憧れの対象だよね。」
「そんなことな・・・いかもしれないのだ!」
と、シェリアの台詞も完全否定できないミンク。
「シェリアさんと、ミンクさんはあんまり緊張してないみたいですね。」
高志が尋ねるとシェリアが答えた。
「まぁ、随分前だけど、城には何度か入ったことがあるし。」
「さすが、伊達に長生し うわっ 危ないのだ!」
ミンクの台詞中にシェリアはこっそり足を引っ掛けようとしたのだが、ミンクは野生の勘でそれを避けた。
「おしいっ!」
と、シェリアが悔しがる素振りをみせる。
「二人は相変わらずだなぁ。」
高志とサリーはそんな二人に呆れ気味だ。
すると、突然リースが噴出した。
「まったく、君達は国の一大事かもしれないのに、随分と気楽だな。」
厳しいような台詞だが、リースは責めるような口調ではなく、やれやれといった感じで、追い詰められていたような雰囲気は若干和らいだようだった。
「リース。今はまだ何が起こってるかわからないし、そんなに気負わなくてもいいんじゃないかな?何か重要なことがあれば、君の叔父さんが何かしら手を打っているじゃないか?」
高志は諭すようにそう言った。
「確かにそうかもしれないが、最悪、その叔父上に何かがあったのかもしれない。」
結局、それ以上リースの張り詰めた空気を和らげることはできなかった。
(・・・うーん、リースは随分と追い詰められているな。一体何がそんなに不安なんだろうか。)
そんな話をしながら進んでいくと、王の間の入り口にたどり着く。
リースはそのまま中に進んでいった。
高志達もそのあとに続いて入っていこうとするが、さすがにここは警備が厳重なのか、入り口にいた兵士に止められた。
「これより先は許可無き者は入れるわけにはいかん。」
そう兵士の一人が言うと、リースがすぐに戻ってきて声を掛けた。
「構わぬ、この者達は信頼できる、そのまま通せ。」
リースがそう言い放つと、入り口に立ちふさがっていた兵士は不満そうに脇にそれた。
「ありがとう、リース。」
と、高志がいうと、リースが若干恥ずかしそうに答える。
「なに、仲間だからな。」
そして、5人は中に入ると、中央の奥に王座があり、そこに一人の男が腰掛けているのが目に入った。
「叔父上、大切な話があります。」
リースがいきなりそう言うと、王座の男、つまりトレノ国王がそれを諌める。
「シーリンス、何があったかは知らぬが、まずは落ち着け。それとここでは叔父上と呼ぶなといっておろう。」
「はっ。申し訳ありません、トレノ国王様。実はさきほど、命を狙われました。しかも王家の墓で襲われ、犯人の中には王国の兵士がおりました。」
「ふむ。言いたいことはわかる。だが、今はそれ以上に大変なことが起こっている。」
無情にもトレノ国王はリースの陳情を切り捨てる。
「ですが、これは明らかに内部に・・・。」
リースは悔しそうに言いかける。
「先ほど知らせが入った。隣国のドラグレイス帝国の軍がこちらに向かっている。既に国境の砦のいくつかは陥落している。」
「なっ!」
国王の台詞にリース達は驚愕する。
~~~~クラーク商会の一室~~~~
「馬鹿なっ!何を考えているのだ!」
クラークは叫ぶ。
「恐らくは、何か交換条件を出してきたのでしょう。砦は一戦も交えず、すぐに降伏したそうです。」
部下の一人が答える。
そして別の部下が更なる報告をする。
「既にドラグレイスの軍はこの王都に向かっているそうです。主力はあと数日でたどり着くとのこと。」
「くそっ。まさか、アレも向かってきているのか?」
「恐らくは・・・。」
「あんなものが来れば、シテン様亡きこの国では太刀打ちできん。いや、希望があるとすれば・・・。」
いよいよ一部の山場へ(`・ω・´)
盛り上がらなかったらすみません(´・ω・`)