第二十二話
ああ、書いてるとどうしてもわき道にそれてしまう(ノ∀`)
今回はリアルでお出かけ前なので、ほとんど見直し出来てません(´・ω・`)
帰ってきたら修正入るかもです。
シェリアは悩んでいた。
そう、高志から魔具の作成を依頼されたのだが、なかなかうまく作れなかった。
「むぅ。やはり、無理か。」
高志が依頼したのは、バターを作成するために使う魔具で、壷を自動的に動かすアイテムだった。
確かにそのような魔具は簡単に作ることができた。
だが、起動後数分で魔昌石の魔力が尽きてしまい、ほとんど機能しなかった。
「やはり、魔力で直接物体を動かすのは厳しいようだ。専門職なら何かうまくやる方法を知っているかもしれないが。多分、普通の魔具というよりは、ゴーレムを作る様な感じなのかもしれない。生憎と魔具を作る専門職の知り合いはいないので、分からないが。」
シェリアはすまなそうに言った。
「そうですか・・・。早速挫折か。」
(・・・困ったなぁ。動力は絶対に欲しいんだけど、ノウハウがないんじゃどうしようもないな。)
「簡単に諦めちゃだめなのだ。何とかして考えるのだ!」
なぜかミンクは必死だ。
「ミンちゃんは、美味しいパンが食べたいだけじゃないか。」
と、シェリアが突っ込みを入れる。
「うー。そうなのだ!良いこと考えたのだ!直接動かすのが駄目なら、水を出す魔具を作るのだ。その水で水車を回せばいいのだ!」
得意げに言い切るミンク。
「いや、そんな大量に水を作り出す方が魔力を消費しちゃうよ。」
やれやれといった感じのシェリア。
「いや、それ良いアイディアかもしれない!」
高志がミンクのアイディアに食いついた。
「ただし、生み出すのは水じゃなくて風です。そして風車を作るんです。あ、風なら魔具がなくても、風の精霊に頼めば出来るんじゃないですか?」
「ふむ・・・。魔具でやってみたほうがいいかもしれない。風の精霊なら風を起こすことくらいは造作も無いが、風の精霊ってのはいかんせん気まぐれだからなぁ。長時間同じことをやらせておくと、スネる可能性が高い。」
「なるほど。じゃあ、風を起こす魔具で試してみましょう。」
(・・・風力発電みたいな感じに出来るといいなぁ。本当に自然の風でも出来るだろうし、精霊や、魔具でも風を制御できるなら、地球の風力発電の欠点である安定性を補えるな。)
「で、どうやって風を動力に変えるのかな?」
「要は、濃縮型風車です。実際にある大きい風車を小型化した感じにします。ただ、それだけだと効率が悪いと思うので、例えば、筒の中に小型の風車を複数入れてやってみようかと。」
「ふむ、じゃあ、その筒やら小型の風車はどうするか?ちょっとした武器なら作れるが、さすがに風車などは専門外だ。」
「流石にそれは専門職の方に作ってもらうしかないかもしれません。」
(・・・さすがにその辺りは専門家じゃないと駄目だろうな。)
「分かった。ちょっと心当たりがあるから、相談してみるよ。」
シェリアはどうやらアテがあるようだった。
そして、魔具についての打ち合わせのようなものは、そこで終了となった。
数週間後、苦心の末、魔法式の風車動力装置が完成するのだが、それはまた別の機会に。
続いて、パンの販売について4人は話し合った。
まずは完全手作りで作ったパンを早速売り出してみようということになった。
次の日の朝から4人でパンを作り始めた。
材料の購入に若干時間が掛かったことと、バター作りで時間が掛かったことで第一弾が完成したのは昼前になってしまっていた。
「うーん、パンの材料はしかたないとして、サンドウィッチを包む葉っぱの出費が意外と痛いな。まぁ、必要経費ってところか。」
そう、いくらサンドウィッチとはいえ、売り物をそのまま手渡しするのは抵抗があった。そこで、葉っぱで包むことにしたのだ。これはこの世界では割と一般的な手法だったので買うにはさほど苦労はしなかった。
「ヒツヨウケイヒ?」
ミンク達が首を傾げる。
「ああ、商品を売るにあたって、商品以外でどうしても必要になっちゃうものって感じだよ。」
(・・・まぁ、包装は包装費だったような気もするけど。)
「なるほどなのだ。」
バター作りが大変だったが、そこはミンクの体力と腕力でなんとかした。
今回は高志とサリーで売りにいくことにし、ミンクとシェリアは厨房に残って第二弾を作成することになった。こちらは夕飯向けに販売する予定なので、仕込みだけやっておき、夕方にパンを焼く予定だ。これは、出来るだけ作りたてを売りたいためだ。
商品ラインナップは、たまごサンドと、フルーツジャムサンド、そしてBLTサンドといったようにサンドウィッチを主軸にした。
これは売り場を露天通りに定めて、歩き食いがしやすいようにする為だ。
最初はアレス邸の前で売ろうかと思っていたのだが、住宅街であり、人通りはさほど多くないという理由で却下になった。
また、このサンドウィッチの売れ行きが良いようであれば、家庭用の食パンや、フランスパンなども売りに出すつもりだが、今はそこまで余力がなかった。
特にバターの作成に人手が必要不可欠な今の状況では大量生産が出来ない。
高志とサリーは早速、サンドウィッチを売り出してみたが、なかなかお客がこなかった。
パンに何かを挟んだものは割と他にも売られていた為、「美味しいパンですよ」と宣伝しても真新しさがなかったのだ。
(・・・むぅ、いくらおいしいパンだって言っても、他の露天もそう言ってるわけで、宣伝文句としては効果なさそうだな。仕方ない、まずは試食してもらうか。)
「サリー、ちょっとだけサンドウィッチを小さく切り分けておいてもらえるかな?」
「わかりました。」
サリーはそう言うと、手持ちのナイフでいくつかのサンドウィッチを切り分ける。
そして高志は、いっそう大きな声を張り上げた。
「新感覚のパンです。お一人様一切れ、無料で試食できます。是非お試しくださーい。」
無料という言葉が効果あったのか、数名が興味を持ってくれ、その中の一人、いかにも屈強な兵士といった感じの男が早速一つ試食することになった。
「ほぉ、随分自信があるじゃないか、どれ、一つもらおうか。」
「はい、どうぞ。」
売り子のサリーが試食用に切り分けたサンドウィッチを手渡す。
そして、その男が試食用サンドウィッチを食べる。
「うお、うまい! なんだこれは!本当にパンなのか!?」
と叫ぶ。
それを見た他の通行人も興味を示したようで、俺も俺もと、次々と試食用のサンドウィッチに群がっていく。
その状況から一気に商品用のサンドウィッチも売れていき、あっという間に売り切れになった。
こうして初回の露天は瞬く間に完売となった。
その後、数日は順調に売り上げを伸ばしていったが、1週間もすると、安定したはいいが利益が伸び悩んでいた。
「もうちょっと軌道に乗ったら、人を雇って任せておきたいね。」
(・・・ずっとパン屋をしていくわけにもいかないしな。)
「そうだね、そうなったら、店を借りてやるのもいいね。」
というシェリアの提案にミンクが答える。
「シェリちゃは、商売も詳しいのだ。伊達に年「ミンちゃん?」」
という高齢・・・もとい恒例行事があったが、それはおいておくことにしよう。
「その為にはもうちょっと売れるようにしたいですね。パンだけでこれ以上の売り上げは厳しいかな。となると別の商品を出すしかないか。」
と言って、笑みを浮かべる高志。
「何かアテがあるんですか?」
とサリーが聞くと。
「昔の偉い人が言ってた言葉があるんですよ。パンが売れないのなら、ケーキを売ればいいじゃない。とね!」
色々違うがそんなことは意に介さず、早速ケーキ作りを始めることにした高志であった。
(・・・ケーキのスポンジはパンとほぼ同じ材料でいけるからいいとして、あとは生クリームが問題か。また力作業が必要だし、脂肪分と旨みの多い牛乳が必要だなぁ。ケーキが流行るかどうかは、生クリームにかかっていると言っても過言じゃないだろう。)
こうして高志は、ケーキに使う牛乳を選ぶべく、露天を巡ることになった。
「もっと濃厚な牛乳ってないでしょうか?」
高志は牛乳を売っている店主に聞く。
「そうだなぁ、あんまり濃厚なのはうちでは取り扱ってないな。牧場の方に直接聞きにいったほうがいいんじゃないか?」
と言う回答が返ってきた。
そこで、高志は牧場を何箇所か教えて貰い、聞きまわっていくことにした。
パンのほうは、ミンクが作り、サリーが売ることにした。ただし、人手が少ないので多少量は減っていた。
その間にシェリアが借り店舗選びに出かけて、高志は牧場を訪ねていた。
そしてそれは3箇所目の牧場を訪ねたときだった。
「すみませーん、ここの牧場主さんはいませんか?」
高志は牧場にいた老人に声を掛けた。
「ワシがここの牧場主じゃよ。何かようかね、若いの。」
「失礼しました、実は濃厚な牛乳が欲しくて捜し歩いているのですが、ここにはないでしょうか?」
「ふむ、まぁ、無いことはないがのぉ。」
「本当ですか! 是非売ってください。」
(・・・これでケーキが作れる!)
「まぁまぁ、そう慌てなさんな。この牧場はワシの家族でやっておる。と言っても残っているのはワシと婆さんだけじゃがな。じゃからあまり量は期待せんでくれ。」
「なるほど、分かりました。では、可能な限りで構いませんので、売ってください。」
(・・・むぅ、まいったなここでも人手不足か。さすがに乳絞りの機械化とか絶対無理だしなぁ。)
取りあえずその日は、少量の牛乳を買い、帰る事にした。
そして、帰宅後は早速その牛乳を使って生クリームを作ることにした。
ちなみに牛乳をひたすらかき混ぜて生クリームにするのはミンクの役割だった。
「それじゃあ、試食してみよう。」
そういって、4人は生クリームを食べてみる。
「うまい!」
「おいしいのだ!」
「おいしいです。」
「これは、おいしいな。」
それぞれがその美味しさに驚いた。
そう、今回は高志自身も驚いたのだ。
(・・・なんだこれは、地球で市販されているケーキのものよりずっと美味しい。これは確実に売れる!)
そう、この牛乳で作った生クリームは高志でも感動を覚えるほど美味しかったのだ。
こうして商品ラインナップにケーキが追加されることになった。
しかし、一つ問題が発生した。
なぜか予想よりも売り上げがあまり上がらなかったのだ。
その日、昼の販売が終わり、夜の分の作成作業中に高志は帳簿をつけていた。
「おかしいな。確かに全部売切れになるんだけど、利益がいまいちだな。確かにケーキを売り出してから、かなり利益は上がったけど、うーん・・・。前に見積もったときはもっといってた気がするんだけどなぁ。何が原因なんだろう。」
計算しながら、高志が呟いた。
「でもまぁ、これなら何とか店も借りれそうだし、人を雇えばもっと量産して利益もでるんじゃないかな?」
そうシェリアが言ってくる。
借りる店舗については、既にシェリアが交渉していた。
厨房付きで、店内で飲食も出来るほどのサイズだった。
「そうですねぇ。」
と、高志が答えたときに、偶然目に入ってしまった。その原因が。
少し話はそれるが、ケーキを商品に加えてからというものの、4人の役割分担はほとんど固定されていた。
高志はスポンジの作成、サリーはジャム等のサンドウィッチの具の作成、シェリアが買い出しと包装関連、ミンクがバターと生クリームの作成といった具合だ。
そして、見てしまった。
ミンクが生クリームを作りながら、かなりの量をつまみ食いしているところを。
「ミンクさん!」
高志が叫ぶと、ミンクはビクっとなった。
「な、なんなのだ?突然びっくりするのだ!」
「なんなのだ?じゃないです。今、つまみ食いしてましたよね?」
と、冷たい視線をミンクに送った。
「ち、ちがうのだ、つまみ食いなんてしてないのだ。」
慌てて答えるミンク。
「じゃあ、口の周りについてる生クリームは何ですか?」
と、問い詰めた。
「こ、これは、その・・・ヒツヨウケーキなのだ!」
”ヒツヨウケーキ”じゃなくて”ヒツヨウケーヒ”です、という突っ込みはなかったが、以降、ミンクは生クリーム担当から外れることになるのであった。
確かに”必要ケーキ”でもそれほど間違いではなかったのかもしれないが。
次回は人手不足がいよいよ解消されます(`・ω・´)
そしてヒーローが活躍するときが!ヽ(`Д´)ノ
たぶん(´・∀・`)