第十九話
すみません、遅れました(´・ω・`)
ダンジョンを進んでいく高志達。
途中、魔物との遭遇も何度かあったが、さほど苦戦もせずに撃退できていた。
何度かの戦闘で高志の剣技も多少マシになってきており、なんとか半人前程度にはなっていた。
ダンジョンに入ってから数時間が経ち、そろそろ昼食にしようとしていた。
「途中で食糧が手に入らなかったのが痛いのだ。」
ミンクは不機嫌そうだった。
「でも、みんな無事でよかったです。」
サリーにとっては初めてのダンジョンで緊張の連続だった。
魔物との戦闘もまだまだ慣れておらず、昼食でやっと一息つけるといった感じだった。
「携帯食糧だけだと、やっぱり味気ないですね。それになんと言うか、なかなかお金になりそうなものはないもんですね。」
高志としても、思ったよりも拍子抜けといった感じだ。
もっと宝箱や、鉱石やらが簡単に手に入るような希望を持っていたのだが、現実はゲームのようにはいかなかった。
「まぁ、そんなに簡単に稼げるようなら苦労はしないさ。それにまだまだ浅い部分だからね。本番はこれからだよ。そろそろ中盤だから、魔物も強いのがでてくるかもしれないし、運が良ければ魔昌石くらいは見つかるはず。」
と、シェリアが答える。
四人は簡単に昼食を終えて、更に奥に進むことにした。
しばらく進むと前方から灯りが見えてきた。
松明の明りというよりも、こちらと同じく、光の精霊のような灯りだ。
「どうやら別のパーティのようだ。」
とシェリアが言うと、相手の冒険者が声を掛けてきた。
「よう、アンタらはこれから奥にいくのかい?」
声を掛けてきたのは、いかにも冒険者といった感じの40代後半といった感じのオジサンだった。
相手のパーティは、6人パーティだった。
他にも魔法使いや、神官、盗賊といった風貌の冒険者もいる。
「ええ、これから最深部目指していく予定です。」
高志はそう答えた。
「ほぉ、四人で最深部までいくとはなかなかやるな。オレらは昨日、最深部で小物だがドラゴンを一匹倒したが、もう残っているのは大物だけみたいだったぜ。まぁ、命あっての物種だ無理せず頑張んな!」
どうやら戦利品であるドラゴンの牙や鱗を持っているようだった。
「情報ありがとうございます。無理そうならすぐに逃げるので大丈夫です。」
高志は冷静にそう答えつつも、ワクワクしていた。
やっぱりドラゴンとなると、ゲーマーとしては心踊るものがあるのだ。
そのパーティと簡単に雑談しつつ休憩したあと、再度奥に進む四人。
高志は心なしかソワソワした感じだった。
(・・・ついにドラゴンか。大物ってことはデカいのかなぁ。やっぱりワイバーンよりはデカいんだろうなぁ。でも、本当に四人で倒せるのかな? さすがに『変身』すれば楽勝だとは思うけど。)
その後も何度かの戦闘があったが、なんとか無事に最深部と言われるところまで到達できた。
「さて、そろそろ夜だ。一旦ここで休もう。ここから先は大物が出る可能性もあるから、しっかり休んでおこう。」
シェリアがそう提案する。
「ダンジョンの中で一晩明かすってのは、ちょっと怖い気もするけど、大丈夫なんでしょうか?」
「まぁ、通常は交代で見張りを立てて、交互に寝るのが普通だね。でも、見張りは精霊に任せれば大丈夫だよ。」
そう言って、シェリアは土の精霊を召喚した。
高志も同じように土の精霊「アトス」を召喚した。
「アトス、悪いが寝ている間に見張りを頼む。何かあったらすぐに起こしてくれ。」
と高志が頼むとアトスは元気よく答えた。
「あいよっ。オイラに任せといて!」
と、言うと辺りの様子を伺うジェスチャーをしはじめる。
シェリアの召喚した土の精霊は、アトスとは違い土の上位精霊らしく、身長3メートルほどの岩の巨人だった。
ここが広い場所でなければ、その巨体が仇となっていただろうが、幸いにもここは広い場所であった為、十分な戦力となってくれそうだった。
無論、広いということはそれだけ大きい魔物と遭遇する可能性もあるということだが。
その後、シェリアの召喚した土の精霊に横穴を掘らせてそこに四人は隠れるように眠ることにした。
さすがに土の精霊だけあって、掘るのは得意のようだった。
眠る際に、 高志は念のために生体レーダーを10メートル以内に近づくものがあればアラームを鳴らすように設定した。
結果的にはアラームが鳴ることはなかったが、安心して眠ることが出来たので良しとした。
朝になり、四人は朝食をとってから出発することにした。
最深部についてからは、小物に遭遇することはほとんど無くなった。
代わりに大物に遭遇するかとも思ったが、未だに大物と呼べるような魔物はでてきていない。
「そろそろ、大物がでてくるはずなのだ。」
ミンクは警戒というよりは、期待しているようだった。
「しっ、どうやらお出ましのようだ。」
シェリアが最初に気づいたようだ。
ドスン!ズルズル。といった感じの音が遠くから聞こえてきた。
「むぅ。アースドラゴンなのだ。」
「アースドラゴン?」
サリーが尋ねる。
「食べれないし、鱗も売れない。おいしくないドラゴンなのだ!」
ミンクは残念そうにそう言った。
「まぁ、でも、牙はそれなりに売れるし、運がよければ宝石を溜め込んでいる場合がある。回避するなら横穴から別ルートで進むって選択肢もあるよ。」
と、シェリアが補足してくれる。
「折角ですから、やりましょう。サリーは出来るだけ離れていて。」
高志はもうワクワクが止まらないといった感じで既にやる気モードだった。
早速、ドラゴンの全貌を見ようと、小型照明弾を前方のアースドラゴンに向けて発射した。
すると、照明弾に照らし出されたアースドラゴンが吼えた。
アースドラゴンは茶色い土の鱗に覆われたトカゲのようなドラゴンだった。
四肢を地面についた状態でも、高さは5メートル近くあり、頭から尻尾の先までは20メートル以上はあるであろう大物だった。
「アースドラゴンは、炎を吐いたりしないが、再生力と攻撃力はドラゴンの中でも群を抜いてる。絶対に直撃だけは受けないように。」
と、シェリアが警告する。
高志とミンクはそれぞれの武器を持って、アースドラゴンに向かって走りだした。
シェリアはすぐさま、ミンクに補助魔法を掛ける。
アースドラゴンは二人に噛み付こうとするが、ミンクはこれを難なくかわしていく。
高志は何度か噛み付かれるが、それでもエネルギーフィールドに守られているため無傷だった。
流石にこのときまでには、高志のエネルギーフィールドの存在にシェリア達も気づいており、特に心配することはなかった。その為、シェリアの支援魔法は主にミンクに掛けられている。
ミンクが何度か攻撃をアースドラゴンに当てるが、なかなか有効打にはなっていないようで、アースドラゴンは構わず暴れている。
高志のほうも何とか攻撃していたが、ほとんど鱗に阻まれており、こちらも決め手に欠けていた。
そうこうしているうちに高志はなんとかしようと、わざと噛まれるようにドラゴンの目の前に立った。
そしてドラゴンが噛み付こうとした瞬間にその口の中に剣をつきたてることに成功した。
剣はドラゴンの口の中に刺さったままで、高志は思わず剣を手放してしまった。
そして、ドラゴンはそのまま苦痛にもがき暴れだした。
凄まじい音と、土煙が舞うが、シェリアが風の精霊を使い土煙をすぐさま吹き飛ばした。
そして、そのチャンスを見逃すまいとミンクが剣を振りかぶってドラゴンの眉間に剣を叩き付けた。
これが決定打となり、ドラゴンは痙攣しながら倒れ伏した。
念のために止めを刺してから、アースドラゴンの牙を回収した。
その後、アースドラゴンの棲家と思しき場所を見つけ、そこに少ないながらも宝石が溜め込まれていたのを見つけた。
「わぁ、綺麗ですね。」
やはり宝石は女性にはその魔力を発揮するようで、サリーとシェリアは宝石に釘付けだった。
唯一、ミンクだけは「綺麗だけど食べれないのだ。」と残念そうにしていたが。
ダンジョン編はまだもうちょっと続きます(´・∀・`)