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ファンタジーに未来兵器を  作者: インゼリ
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第十六話

高志は、新居の庭で精霊魔法取得を目指して悪戦苦闘していた。


方法はいたって単純であった。

魔方陣を(もち)いて精霊を実体化させ、契約してくれと頼むだけだ。

精霊との相性がよければ、アッサリと契約してくれることもあるらしいが、大抵は何かしらのやりとりがあり、満足すると契約してくれるらしい。


最初に風の精霊をシェリアに実体化させてもらい、始めてみたのだが、これがなかなかうまくいかなかった。

風の下位精霊は、見た目は手のひらに乗るようなサイズの小さい少女といった感じだ。色は半透明の緑色で、いかにも風の精霊といった感じだ。


「精霊さん、契約してください。」

と、高志が声を掛けるも、ふふふっと、軽く笑って返されるだけだった。


「どうすれば契約してくれるのでしょうか?」


「そうねぇ、アナタは私に何をくれるのかしら?」


「え、えーと・・・。」

(・・・むぅ、精霊とは言え、無償の奉仕はしてくれないのか。なんと世知辛い。精霊って何が好きなんだろう。お菓子でも上げたら懐いてくれないだろうか。ってか、精霊って何を食ってるんだろ?)


と、高志が考え込んでいると。


「どうやらアナタは私が望むものを持っていないようね。それにアナタからは金属の匂いがするわ。私とは合わないでしょね。それじゃあね。」

と、言い放って消えてしまった。


「あれ?おしまい?」

(・・・ま、まさか、精霊魔法の才能なしフラグかー!)


「どうやらそのようだね。君からは金属の匂いがするといっていたから、風の精霊とは相性が悪いようだ。その代わり、土と火の精霊とは相性がいいかもしれないよ。試してみるかい?」

と、シェリアは、さして気にしていないようだった。


「じゃあ、お願いします。ちなみに精霊には何をあげるといいんでしょうか?」


「さぁ、その精霊によるんじゃないかな。精霊の種類である程度特色は絞れるとは思うけど、個体差もあるから一概には言えないんじゃない?」


「なるほど、精霊にも個性があるってことですかね。じゃあ、次は土でお願いします。」


「それじゃあ、今度は自分で呼び出してみる?魔方陣に意識を集中して召喚したい精霊をイメージして、呼び出すんだ。コツとしては、魔方陣の上に精霊がいるって思って話しかける感じかな。」


「わかるような、わからないような。まぁ、取りあえずやってみます。」


(・・・まずは、魔方陣に意識を集中するんだよね。集中集中・・・。そして、召喚したい精霊だから、土の精霊をイメージして、魔方陣の上に話かけるようにっと。)


「いでよ、土の精霊!」

と、思わず声に出てしまうのであった。

すると、それに反応するように、魔方陣の中心から小人が現れた。


「オイラに何か用かい?」

と、土の精霊は割と親しげだった。


「私と契約して貰えないでしょうか?」

(・・・いきなりすぎかな?)


「うーん、タダじゃあイヤだなぁ、何か珍しい鉱石か金属をおくれよ。」


(・・・珍しい金属かぁ。金とか銀かな? さすがにお高い貴金属はないからなぁ。この世界では珍しいもので、簡単にあげれるものといったら、アルミニウムとか、ステンレスとかかな?)

そして高志は、アルミ缶(炭酸飲料入り)と、ステンレス製の万能包丁を召喚した。


「これでどうだろう?」

恐る恐る、そのアルミ缶と包丁を差し出す。


「なんだい、これは!? こんなもの見たこと無い!」

精霊も驚いていたが、いきなり何もないところから、得体の知れない物体(アルミ缶と包丁だが)が現れたので、見守っていたシェリアとミンクも驚いていた。

サリーはさほど驚いていない。元々そういった魔具を持っていると聞いていたし、高志がみたこともないようなものを持っているのは前々からあったので、大分慣れている。

シェリアとミンクは初めて見たので色々と聞きたそうにしていたが、今はそれを聞くべきタイミングではないだろうとあえて黙っていた。


「これをオイラにくれれば契約するよ!こんなふうに混じった金属は初めてみたよ!」

そう言って精霊が指差したのは、包丁のほうだった。アルミ缶のほうはお気に召さなかったらしい。


「わかりました、それでは契約を。」


「うんうん、何かあったらオイラを呼び出してくれよ。オイラの名前はアトス。アンタの名前は?」


「上杉高志です。タカシと呼んでください。」


「わかった!それじゃあ、タカシ、契約成立だ!」


そう言うと、土の精霊と、包丁は地面に描かれた魔法陣に吸い込まれるように消えていってしまった。


「これでいいんでしょうか?」

案外アッサリしていたので、本当に契約できたのかどうか不安だった高志はシェリアに問いかける。


「そのはずだよ。呼び出すときは教えて貰った名前を使うといい。こんな感じに。」

そう言って、シェリアは風の精霊を召喚した。

最初に高志が失敗したときの精霊と同じような容姿だった。

ただ、こちらの方がいくらかサイズが大きいようだった。これも個体差なのか、召喚主の実力の差なのかはわからなかったが、今は自分も試したくてしょうがないといった感じの高志は早速自分もと試すことにした。



「なるほど。それじゃあ早速。 いでよ、アトス!」

すると、今度はすぐ近くの地面から、先ほどの小人が現れた。


「なんだい?」


「おー、ちゃんと出てきてくれた。特に用はないんだけど、きてくれてありがとう。」

(・・・つ、ついに魔法が使えたぞー!いやっほー!)


「変な人間だなぁ。それじゃ(かえ)るよ。」

といって消えていく土の精霊。



「よし、次は上位精霊を呼び出してみよう。」

と、軽い興奮状態にある高志は早くも上位精霊との契約を狙っていた。


「上位精霊はそれなりの場所にいかないと難しいと思うよ。」


「土ならここに一杯あるわけだし、なんとか出来ないかな?」


「うーん、試したことないから分からないけど。まぁ、やってみれば?」


「じゃあ、やってみる。」


(・・・まずは、魔方陣に意識を集中するんだよね。集中集中・・・。そして、召喚したい精霊をイメージだから、土の精霊か、上位精霊なら、土ってよりは、大地の精霊って感じのほうがいいな。 取りあえずそんな感じで、そして話しかける感じで。)


「いでよ!大地の精霊!」

結果、何も召喚されなかった。


「やっぱ、上位精霊はここじゃ無理かー。」


「まぁそうだろうね、流石に土の上位精霊を召喚するとなるとそれなりに土の精霊力が強いところじゃないと無理だね。」

と、シェリアに言われる。


(・・・ということは、ここで呼び出せる上位精霊もいるってことかな?精霊力ってのが何なのかが分からないけど、要はその特性が強い場所ってことだろう。例えばこのエネルギーフィルードなんて、相当のエネルギーが消費されているはず。その大元は電力だ。ファンタジー風にいうなら雷の精霊ならいけるんじゃないだろうか?)


再び、高志は意識を集中し、召喚を試みた。

(・・・電気の精霊か、それとも雷の精霊か、もっと科学的にいけば電子の精霊か? よし、それでいこう。いでよ!電子の精霊!)


すると、魔方陣の辺りにバリバリっと雷のような光が走ったあと、白く発光したかと思うと、一人の少女が現れた。

その少女は身長は140cmほどだろうか。銀色の長い髪に、白い肌。目の色は金色だった。そして僅かにではあるが白く光っている。


(・・・おおっうまくいった?上位精霊なのかどうかはわからないけど、いかにも電子の精霊って感じがするな。)


「私を呼んだのはアナタ?」

少女は高志に話しかけてきた。


「そうです。私と契約をして頂きたいと思い、呼び出させて頂きました。私と契約して頂けないでしょうか?」


「分かりました。アナタが私のマスターですね。私の名はラピス。」


「私の名前は上杉高志です。タカシと呼んでください。」

(・・・今度はアッサリOKだったな。相性がいいってやつなのかな?)


「了解しました。マスタータカシ。それでは何かありましたらお呼び下さい。」

と言うと、消えていくラピス。



ひと段落したところで、シェリアが話しかけてきた。

「おめでとう、恐らく今のは上位精霊だ。私も見たことがないから、何の精霊なのかはよく分からないが。」


「今のが上位精霊?なんか、土の下位精霊よりアッサリ契約できた気がするけど。」

拍子抜けといったところだろう。


「恐らく、相性が良かったのだろう。我々エルフは具現化した精霊を見れば大体の精霊力を感じることが出来るが、恐ろしい程の精霊力を秘めているようだった。それにしても上位精霊とあれほどアッサリ契約を結べるとはなぁ。」


「黒魔法が使えない分、こっちで補完って感じですかね。」

黒魔法の際の劣等感が拭えたようだ。


「そういえば、土の精霊と契約するときに何か手品のようなことをしていたようだったが・・・あれは一体なんだい?」

「あー!アタシも、それ気になってた!」

シェリアに合わせて、ミンクも質問してきた。


「あー、あれは、なんというか、物をしまっておける魔具があって、それで取り出したんですよ。」


「なるほど、そんな魔具があるのか。」

「いいなぁ、アタシも欲しいー!」

シェリアは感心していたが、ミンクは欲しい欲しいオーラが出ていた。


「魔具はあげられないですが、コレならどうぞ。」

と言って、アルミ缶(中身入り)召喚し、3人に配る。


「これは?」

3人とも、何か分からないといった顔だ。


「まぁ、見ててください、ここをこうやって・・・。」

プシュッと音を立てて缶の口があいた。

そしてそのまま口をつけて飲んだ。


「プハッー、と、まぁ飲み物です。」


そして恐る恐る3人も高志にならって口をつける。


「ん!?ビールみたいにシュワシュワするけど、甘くておいしいね!」

と、ミンクには好評だった。


「ちょっと口の中が痛いかも・・・。でもおいしいですね。」

サリーにはいまいち不評だったようだ。


「む、お酒ではないのか、ビールに果汁を絞って入れた感じか?」

シェリアは飲み物の解析をしているようだった。


三者三様の反応だったが、取りあえずは良しとした。

その後、火の精霊も試してみたがうまくいかなかった。

余談だが、代わりにサリーが試したところ、そちらはアッサリと契約できてしまった。


何はともあれ高志はついに魔法を手に入れたのだった。



ようやく魔法ゲットです(´・∀・`)

特殊魔法については、もうちょっと先になるかもしれない(ノ∀`)

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