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ファンタジーに未来兵器を  作者: インゼリ
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第十三話

一応、物語は2部構成で考えています。

多分、次回あたりで、1部のおおよその伏線は張り終わります(`・ω・´)

そのあと、今までちょっとだけしか出てない人物達も色々でてくるようになるかも。

ちょっとした騒動はあったが、なんとか買い物を終えた高志だったが、路銀は尽きかけていた。

他にも気になることは色々あったが、まずは何とかお金を工面することを考えた。

結局、この世界でもお金が必要なのだ。


(・・・ついつい勢いで色々買ってしまったけど、どうしたもんか。苦労して稼いだお金じゃないからサクサクつかってしまった・・・というのは言い訳か。まぁ、ギルドの依頼でもこなしつつ、いい儲け方を考えよう。)


と、いう訳で依頼を受けるべく冒険者ギルドに向かった。

時間は午後3時頃で、割と混雑している時間のようだった。

依頼掲示板を見ていると、一枚の依頼に目が留まった。

「引越しの手伝い募集」という内容で、どうやら王都から近くの村にある家に引っ越そうということらしい。その為の人手を募集しているらしい。

(・・・引越しの手伝いかぁ。この世界にも引越しってあるんだな。しかしまぁ、冒険者の仕事ではないような気もするけど、この世界じゃ力仕事は冒険者の仕事ってことかな?まぁ、力仕事+護衛の意味合いもあるのかもしれないけど。最初の依頼としては無難なところかな?とりあえず受けてみるか。)


早速、依頼受け付けのカウンターに行った。


「すみません、この依頼を受けたいのですが。」

そう言って依頼用紙を受付のお姉さんに見せた。


「はい、えーっと、引越しの手伝いですね。依頼を受けるのは初めてですか?」


「はい。」


「分かりました、では、簡単に説明しますね。依頼を受ける手続きをしたらカードをお渡しします。依頼が終わったら、そのカードに依頼主からサインをしてもらってください。そのカードには特殊な魔法が掛かっていて、依頼主以外がサインをしてもこちらで分かるようになっているので誤魔化そうとしてもダメですよ?」

といってウィンクするお姉さん。


「なるほど、それでも依頼主を脅してサインさせたりとかあるんじゃないですか?」


「依頼主さんが依頼するときにサインをいくつか決めて頂いています。そこで脅されてサインをする場合は、事前に決めたサインをしておきます。そして報酬を受け取りに来た際にサインを確認して、冒険者の方を拘束する等の対応を取らせて頂いています。また、高額な依頼料であった場合や、依頼主が希望した場合は、依頼主本人の同行が必要になりますので注意してください。」


「色々考えているんですね。」


「まぁ、それでも色々問題は起きたりしますけどね。安易な気持ちで誤魔化そうとするのは防ぐことができますから。」


「なるほど。」


「それでは、手続きをするので職業カードをお出し下さい。」

言われるまま職業カードを差し出す。


「では、少々お待ちください。」


しばらくすると、手続きが終わったらしく、カードを2枚渡された。

「では、依頼が終わりましたらこちらのカードに依頼主からサインを頂いてください。忘れると依頼が達成されたことにならないので、報酬も支払われませんので注意してください。あと職業カードもお返ししておきますね。たまに職業カードを返し忘れるときがあるので注意してくださいね。」

といってまたしてもウィンクするお姉さん。


「わ、分かりました。」

(・・・本気なのか、冗談なのかわからんけど、気をつけよう・・・。)


ついでに行き先の家の場所も教えて貰えた。

他に予定も無い為、早速その家に向かった。

その家は冒険者ギルドから歩いて15分ほどのところにあり、割といい作りの家で、大家族でも普通に住めそうな家だった。

玄関があったので近づいてみると、インターフォンは無かったが、代わりに呼び鈴がついていたので、呼び鈴を鳴らしてみた。


「なんじゃー?」


しらばらくすると、年の頃は50~60くらいだろうか、杖を持ったお爺さんが玄関のドアを開けてやってきた。


「冒険者ギルドで引越しの手伝いの依頼を受けにきました。タカシと申します。」


「おお、そうかそうか、それじゃあ、準備もあるし、今日はもう遅い。明日にでもお願いできるかね?」


「はい、大丈夫です。」


「それじゃあ、明日の早い時間からここにきてくれ。あと引越し先の家にいくまでの間に魔物に出くわすかもしれんから、装備も忘れずにな。なぁに日帰りで戻れる距離じゃから野宿の準備とかはいらんぞい。」


「分かりました、それではまた明日来ます。」


「んむ、よろしく頼む。」


そのあと高志は早々に宿に戻った。

宿に戻ると既にサリーも帰っていた、宿の人と雑談していた。


「あ、タカシ、お帰りなさい。」

高志に気づき、サリーが出迎える。


「ただいま、サリー。」

(・・・ああ、いいね、こんな笑顔で迎えられたらどんな疲れも一発で癒される。)


「装備新調したんですか?凄く似合ってます。どこかの国の騎士様みたい。」

と言って、笑顔で褒めちぎるサリー。


「ありがとう。」

照れて顔を赤らめる高志であった。



その後、二人は早めの夕食を一緒にとることになった。

夕食の主食はご飯ではなく、パンだった。


「夕食にパンってのも珍しいなぁ。」

高志が呟いた。


「そうですか?私のうちではあまり気にしたことはないですけど。」


「それに何というか、パサパサしてて食べにくいというか、スープと一緒じゃないととてもじゃないけど食べれない。」

と、小声で囁いた。


「でも、パンってそういうものじゃないですか?」


「え?そうなの?パンだけで食べたりしない?」


「普通はパンとスープ類を一緒に食べるものだと思いますけど・・・。」


「なるほど。」

(・・・今度はパンを作ってみるかなぁ)


「そういえば、帰りが遅かったですけど、ギルドの方で何か依頼を受けてきたんですか?」


「うん、ちょっと引越しの手伝いをすることになって、明日またいくことになった。」


「お引越しですか・・・。タカシさん、私もついていっていいでしょうか?」


「え?でも、力仕事がほとんどだと思うよ?」


「食器が割れないようにしたりするのが必要でしょう?そういったお手伝いなら私も出来ますし、今後私も依頼を受けれるようにしたいと思って。家から持ってきたお金だけじゃこの先ずっとは無理ですし。」

サリーも今後のことを色々と考えているらしかった。


「なるほど、それじゃあ、一緒にいきましょうか。」


「はい、お願いします。」


そのあとも軽く雑談した後、高志は外に出て、果物を買いに行った。

丁度店じまいの間際で安く買うことができた。

そのあと自室に戻り、パン作りに備えて準備をする。

(・・・さて、まずはパン酵母からだけど、アレを使うか)


そして高志はパン酵母を作る為のアイテムを取り出す。

それは、元の世界で一大ブームを起こしたシリーズのひとつだった。

『わたしんちはパン屋さん』と書かれた紙の箱。

この『わたしんちは』シリーズは、高志のいた世界では大ブームを起こした商品だった。本来であれば素人が作るのは難しいとされているものを手軽に作れるようにするための商品だ。

中には、蕎麦や、醤油といった食べ物はもちろん、和紙、ペットボトルといった日用品まで作るものもある。

また、色々と自分の好きなようにカスタマイズして作れることや、材料が自分で選べること、家族で一緒に作れることもあり、大ヒットした。

幸い、天才がこのシリーズをいくつか入れておいてくれたお陰でこの世界でも、色々と作ることができそうだった。


早速、パン酵母(こうぼ)メーカーに買ってきた葡萄(ぶどう)を入れる。そのあとミネラルウォーターを入れて(ふた)をした。

このパン酵母メーカーに果物と水を入れるだけで酵母が出来上がるのだ。

雑菌が発生しにくいように温度等を調整したり、万が一発生しても検知・除菌、又は失敗したことを知らせるメッセージが表示されるようになっている。

出来上がり時間の表示をみると1週間程必要なようだった。

(・・・うーん、そんなにすぐにはできないか。まぁ、1週間後のお楽しみにしておこう。)


こうしてその日は終わった。

翌日、サリーと一緒に朝食をとった後、二人でお爺さんの家に向かった。


「おお、待っとったぞ。早速よろしく頼む。む、そちらのお嬢さんは昨日はおらんかったが・・・。」


「サリーと申します。タカシと一緒に今回お手伝いさせて頂こうと思いまして。」


「おお、そいつは助かる。よろしく頼むよ。」


こうして引越し作業が始まった。

基本的には、お爺さんが運ぶものを指示して、サリーが梱包、高志が馬車へ持っていくといった形だ。


「ワシも腰さえ痛めてなければ、この程度一人で出来たんじゃがなぁ。」

と、お爺さんはボヤきつつもキビキビと指示を出したり、サリーの梱包を手伝う。


「はぁはぁ、け、結構キツいな・・・。」

高志は既にヘロヘロだった。


「なんじゃ、若いのにだらしないのぉ。しかたない、少し休憩にするか。タカシよ、職業とレベルはどんなもんじゃ?」


「えっと、英雄のLv3です・・・。」


「え、もうLv3になったんですか?まだ2日しか経ってないですよね?」

サリーが驚いたように声をあげた。


「うん、なんかちょっと色々と揉め事があったり、魔獣が街中にいて倒したりしてたらいつの間にか上がってた。」


「ふむ、英雄か。いまどき珍しいのぉ。それにしても色々活躍したようじゃのぉ。」

お爺さんが感心したように答える。


「ええ、でも、割と大きい騒動だったからもうちょっとLv上がるかなぁなんて、ちょっと期待してたんですけどね。」


「英雄は活躍しても、ほとんどLvが上がらない場合があるからのぉ。」


「え?そうなんですか?」

驚いたように高志は答える。


「んむ。実はワシも昔は英雄だったのでなぁ。英雄については詳しいぞい。まぁ、今はもうただの老いぼれじゃがな。」

と言って、寂しそうに笑う。


「英雄についてほとんど何も知らないんですが、活躍してもLvがほとんど上がらない場合ってどんなときなんですか?」


「ふむ。そうじゃのぉ。ワシが知っているのは2つじゃが、一つはどさくさに紛れて悪事を働いた場合じゃ。もう一つは、守れるはずだった者を守らなかった場合じゃ。これは味方は当然として、敵にも該当するのじゃ。」


「ええっ!敵であってもですか?」

(・・・うへぇ、どんなマゾゲーだそりゃあ。)


「そうじゃ。ただし、あくまでも守れるはずだった者じゃ。死ぬまで抵抗してくるような輩には該当せんし、守ろうとして守れなかった場合も該当せん。他にも大きな戦であった場合などで敵を気遣う余裕がなければ、これには当てはまらん。」


「なるほど。」


「それにのぉ、タカシよ、敵さえも救うのが真の英雄というものじゃ。」


「そういうものですかね・・・。」


「まぁ、お前さんにもわかるときがくる。敵が悪人とは限らんからの。それに本当の悪人なんぞ、そうそうおらん。若いうちはわからんだろうがな。さて、休憩はここまでじゃ、急いで続きをやるぞい!」


「ひぃいいい。」


その後、なんとか馬車への荷造りが終わったのは昼を過ぎた頃だった。


「よし、それじゃあ、昼食にするとしようかの。昼はワシが奢ってやろう。ついてこい。」


「ありがとごうざいます。」

サリーは元気に答えるが。


「はぁはぁ、あり・・がとうごじぇます。」

高志はヘロヘロだったため、噛んだ。


お爺さんについて二人は歩いていくと、一軒の定食屋についた。

「ここが安くて旨い定食屋じゃ。しばらく王都にいるなら覚えておくといいぞい。」

そう言うと、お爺さんは中に入っていった、二人もあとから入っていく。

中は割と混んでいて、客層はいかにも冒険者といった客がほとんどだった。


「いらっしゃーい! あら、アレス爺さん久しぶり!生きてたかい?」

と、奥のほうから女主人が声を掛けてきた。


「ふんっ、まだまだくたばりはせんわっ!それより、昼の定食3人分じゃ。」


「はいよっ!」


3人は空いているテーブル席について、適当に雑談をしながら定食が運ばれてくるのを待った。

しばらくすると、定食が運ばれてきた。


「はい、お待たせ、当店ご自慢のお昼の定食だよ。」


大きい皿に混ぜご飯と、サラダ、肉料理が盛られている。

どれも凄くおいしそうだった。


「どうじゃ、凄いじゃろ、ここの女将は口は悪いが料理の腕は確かじゃ。食うてみい。」


「ふんっ、一言余計だよっ!」

と言って、アレス爺さんの頭をはたく。


「「い、頂きます。」」

そう言ってから二人は定食を食べ始めた。


「うまいっ!」

「おいしいっ!」

高志とサリーは揃って声を上げる。


「ふふふっ、ありがとよ、そっちの爺さんはボケて味が分からなくなっちまったのかい?」


「ふんっ、口の減らないババアじゃ。まぁ、それも今日までじゃ。実は今日で引っ越すことになってのぉ。」


「あら、じゃあ、今日はこれから引越しかい?」


「んむ。このお二人に手伝って貰ってのぉ。まぁ、そんなわけじゃから、ここにはもうそうそう来ることもないじゃろうて、とりあえずお別れじゃ。」

軽口を叩きながらも二人の仲のよさは伝わっており、ここにきてしんみりとなっていた。


「そうかい、寂しくなるねぇ。それじゃあ、今日は御代はいいよ!今度きた時、払っておくれ。」


「そうか、それじゃあ、お言葉に甘えておくかのぉ。」


「まぁ、アレス爺さんが生きてるうちにこれるといいけどね、あっはっはっはっ。」


「ババアには負けんわいっ」


最後は二人とも笑って別れられるようだった。

高志とサリーもホッとして食事を続けた。


その後、3人はアレス爺さんの家に戻り、馬車で引越し先に移動することになった。


「さぁ、出発するぞい。」

アレス爺さんと、高志は御者台に、サリーは荷台の方に乗った。

その後途中までは順調だったが、途中、ゴブリンが数匹、道を(さえぎ)るように立ちはだかっているのが見えた。


「ふむ、ゴブリンか。」

御者台に座っていたアレス爺さんが馬車を止めて呟く。


「どうしましょうか、私が追い払ってきましょうか?」

と、早速新装備の出番かと思い、張り切る高志であった。


「いや、それには及ばん、見ておれ。」

そう言うと、アレス爺さんは呪文を唱えた。


「焼き払えっ!」

呪文の最後にそう叫ぶと、杖の辺りから勢い良く直径1メートルほどの火炎の玉5つが射出された。

避ける暇もなく、ゴブリンたちは燃え尽きた。


「少々やりすぎたかのぉ。」


「す、凄いです!」

いつの間にか荷台の方から顔を出していたサリーが驚いていた。


「アレス爺さん、英雄ってもしかして魔法職だったりするんですか?」

高志は恐る恐る聞いてみる。

(・・・うぅ、もしも魔法職なら、装備揃え直しか?)


「いや、そうとは限らん。英雄の加護は確かに強力じゃ、その中でも一番特殊なのは、能力を鍛えた場合に成長が著しいということじゃ。つまり接近戦職にもなれるし、魔法職にもなれる。当然、両方鍛えれば、両方出来るわけじゃ。」


「ほとんど万能ってことじゃないですか。まぁ、その分Lvが上がりにくいのか・・・。」


「そうじゃ。まぁ、家に着くまでに色々と英雄について教えてやるかのぉ。」


「是非、お願いします!」


英雄についての講義を聞きながら、高志は馬車の扱いも教わっていた。

そのため、引越し先の家につくのが大分遅くなってしまった。


「もう、じきに日も落ちるじゃろう。今日は泊まっていくとええ。」

と、アレス爺さんのはからいで、高志とサリーは泊まっていくことにした。


その日の夜、高志は色々とアレス爺さんと話すことになった。

英雄についてや、アレス爺さんが引っ越すに至る理由についてだ。



「まぁ、そんな訳で、あの家にいるとどうしてもあやつの事を思い出してしまってのぉ。」


「奥さんの事を本当に愛していたんですね。」


「そうじゃのぉ。じゃが、いつまでも悲嘆してばかりはおれんし、一人で暮らすにはあの家は大きすぎるのじゃ。ワシももう年じゃしのぉ。息子達が生きておれば、あの家でもよかったんじゃが。」


「息子さん達は?」


「死んでもうた。ワシが守り切れずにな。それが切欠(きっかけ)でワシは冒険者を辞めたのじゃ。真の英雄にはなれんかったのじゃよ。タカシよ、お主はワシのようにはなるなよ。」

と、悲しそうに呟いた。

その後も二人は夜遅くまで語り明かした。



この話はもうちょっとだけ続くんじゃよ(´ω`)


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