第十話
遅れ気味の投稿で申し訳ないです(´・ω・`)
ついついゲームの誘惑に負けて(ノ∀`)
無事職業に就き、高志が宿に戻ってみると、まだサリーは帰ってきていないようだった。
(・・・そういや、帰りに買い物に寄ってくるって言ってたっけ。まぁ、せっかく大きな街に来たわけだし、この世界のことを知るためにも、ブラついてみるかなぁ。どーせなら色々換金しておいたほうが便利そうだし。)
高志は手ごろな鞄を召喚した。
その中に売り物となるであろうワイバーンの爪と牙を入れておいた。
割と数が多い為、ポケットの中から出すフリをした場合に怪しまれそうだったからだ。
それに、何かを買ったりした場合も、取り合えずは鞄に入れた方がいいだろうと思ったからだ。買うアイテムがポケットに入るサイズとは限らない。いきなり買ったアイテムが消えたら、見ている側はやはり不審に思うだろう。
こうして高志は街をブラつくことにした。
(・・・まずは色々な換金場所と、あとは冒険者ギルドの場所くらいは把握しておきたいな。)
取り合えず、マッピング機能を使い、街中をブラつきながら辺りのお店の情報等を記録していた。
(・・・割と色々な店があるもんだなぁ。一番多いのは食糧品や飲食店関係か。あとは武器屋とかもチラホラあるな。魔具を売ってるところってのは中々なさそうだ。)
なんとなく活気の無い街中ではあったが、大きい街だけあって、それでもかなりの賑わいを見せていた。まぁ、こちらの世界にきてからの比較対象がイニシオ村だけなのだから、そう感じるのも無理はないが。
そうこうしているうちにわりと大きい建物が目に入った。
大きい杖のマークの看板があり、出入りしている人間を見ると魔法関係の建物ではないかと推測できた。
(・・・もしかして、魔術師ギルドとかそんなのかなぁ。ちょっと入ってみるか。)
恐る恐る入ってみると、中にはインテリ系のいかにも魔術師ですといった感じの人達が目に入る。
やはりここは魔術師ギルドのようで、依頼を書いた紙が所狭しとあちらこちらに貼られていた。他にも、魔具の売買や、魔法関連で使うアイテムらしきものの売買が行われているようだ。
(・・・ワイバーンの爪と牙ってここで売れるか聞いてみるかな)
買取コーナーとおぼしき場所にいき、受付員に聞いてみた。
「すみません、こちらで買取とかってされていますでしょうか?」
すると、ショートヘアの元気の良さそうな受付のお姉さんが答えてくれた。
「はい、基本的に魔法に関するアイテムであれば買い取らせて頂いていますよ。今日は何の取引をご希望でしょうか?」
「えーっと、ワイバーンの爪と牙なんですけど、買い取って貰えますでしょうか?」
「珍しいものをお持ちですねー。では、見せて頂けますでしょうか? 商品の状態によって多少値段が変わりますので、買取価格は見せて頂いてから提示させていただきます。」
「わかりました。」
そして鞄の中からワイバーンの爪と牙を5個ずつ取り出した。
「では査定しますので、しばらくお待ちください。」
そう言うと、お姉さんは何やら呪文を唱えだした。恐らくは鑑定の魔法だろう。
その後、本を取り出し、ぶつぶつと呟いて何かをメモしていた。
(・・・鑑定の魔法使っても結構掛かるんだなぁ。まぁ、ちょっと欠けてたり、コゲてるのもあるから、多少は安く買い叩かれるかな。)
2~3分した後、
「お待たせしました。こちらワイバーンの爪が5個、牙が5個で合わせて銀貨6枚で買い取らせて頂きます。ちょっと状態が悪いものがあるのでこの価格となります。」
「分かりました。それでお願いいたします。あ、あと、どんなものを買い取って頂けるのか一覧のようなものはないでしょうか?」
「はい、ございますよ。こちらの本に記載されております。一冊銅貨5枚となっております。」
と、ニコニコ顔で返された。
(・・・うへぇ、そんなのまでお金とるのか。って、この世界じゃ印刷技術なんてないだろうし、本は貴重なのかもしれないなぁ。)
「え、えーと、ちょっとお借りするこはできるでしょうか?」
「はい、では、あちらに共有の買取一覧の本がございますので、そちらでご確認ください。」
心なしか、お姉さんの元気がなくなった。
「あ、ありがとうございます。」
代金を受け取った後、高志は買取一覧の本を見に行った。
本は既にボロボロになっていたが、なんとか読める状態ではあった。
一応、映像記録モードで記録し、魔術師ギルドを後にした。
そのあとまたブラブラしていると、何やら揉め事が起きているところに遭遇した。
「てめぇ!なにしやがる!」
「ふんっ、貴様らが先に手をだしたのだ、文句を言われる筋合いはない。」
遠くからみると、いかにも盗賊か山賊といった感じのガラの悪い男達に、リースが因縁をつけられているようだった。
そして、リースのそばにはサリーがいた。
「このガキ! 痛い目にあわないとわからねーらしいな」
男達は抜刀した。
周囲の群衆からは、悲鳴や、衛兵を呼んで来い等の声が飛び交う。
いかにリースが強かったとしても、今日、騎士になったばかりの新米が、これだけの数のガラの悪い男達と戦って勝てるとは思えない。
(・・・まずいな。手助けするか。このまま助けてもいいかもしれないけど、さすがに何の武器もなしには厳しいな。仕方ない、ここは一つ・・・。)
高志は一目につかない場所に素早く移動した。
一方その頃、リースは、男達と剣を構えていた。
元々リースには剣技が得意だったらしく、最初の2~3人相手には善戦していた。
だが、多勢に無勢、しかもまだまだ実践経験が乏しいのだろう、次第に男達にいいように遊ばれるようになった。
「なんだ、小僧、威勢がいいのは最初だけかぁ~?」
「くっ!」
「ほらほら、背中がお留守ですよー?」
小ばかにしたような言い草で、後ろから蹴りを入れる男。
「ぐはっ!」
リースは背中に蹴りを受けて転がる。
「き、貴様、後ろからとは卑怯な!」
「も、もうやめてください!」
サリーがリースと男達の間に入り、必死に懇願する。
「ああ、いいぜ、その代わり、お嬢さんが俺達と遊んでくれよ。」
そうして男は、卑しい視線をサリーに向けた。
「君は離れていたまえ。ここは私がなんとかする!」
リースは気丈に振舞う。
「で、でも・・・。」
男達は卑下た笑いをしながら二人を取り囲む。
「私は、こんなところで負ける訳にはいかないのだ。」
思い詰めた顔でリースは小さく呟いた。
その時だった。
「待てい! 愚かな悪党共!」
空から大声が聞こえた。
「な、なんだ!」
「どこにいやがる!」
すると空から鎧が落ちてきた。否、変身し飛行ユニットを装備した高志が降りてきた。
「な、なんだコイツ、空から降りてきたぞ!」
「て、てめーなにもんだ!」
男達は、突然空から降ってきた鎧姿の男に警戒を向ける。
「ふっ、悪党に名乗る名などない! 大人しく引き下がればよし、さもなくば痛い目にあって貰うぞ!」
「ふざけんな!野郎共、やっちまえ!」
男達のリーダーらしき人物が掛け声をかけると、男達は一斉に高志に斬りかかった。
ガシッ
当然全て、エネルギーフィールドで弾かれる。だが傍から見れば鎧にはじかれたように見える。
「ちっ、なんて硬い鎧だ!」
男達が悪態をつく。
そして高志はプラズマブレードを召喚する。
「なっ、ひ、光の剣だとっ!」
男達に更なる動揺が走る。
その動揺を見逃さずに、高志はプラズマブレードで、近くの男の剣をプラズマブレードで一刀両断した。
「ひっ、ひぃ」
あっさりと剣を切るという離れ業(武器の性能のおかげだが)をやってのけられ、男達は戦意喪失している。
「お、覚えてやがれ!」
リーダーらしき男が叫ぶと、男達は逃げ出した。
遠巻きに見ていた群衆からは喜びと驚きの声があがった。
「あ、ありがとうございます。」
サリーが高志に礼をいってきた。やはり、高志だということに気がついていない。それもそのはず、高志は変身後にボイスチェンジャーを使って喋っていたのだ。
最初のうちはボーっとしていたリースだったが、気を取り直して礼を言った。
「すまない。助かった、礼を言う。」
「なぁに、なんてことはない。当然の事をしたまでだ。」
「あの、せめてお名前を。」
サリーが名前を聞いてきた。
「ただの通りすがりのヒーローだ。縁があればまた会おう、さらばだ!」
そう言うと、高志は空高くに飛び上がり、そのまま飛んで消えていった。
群衆のざわめきはまだまだ収まらない。中には「天使様じゃ~。」と言って空を崇める老婆や、「カッコイイー!」と興奮冷めやらぬ子供達もいる。
「あ、あの、先ほどはありがとうございました。」
サリーはリースに礼を言った。
「いや、結局、私は何もできなかった。私に礼は不要だ。」
「いえ、あなたがいなかったら、今頃どうなっていたか・・・。」
どうやら、元々はサリーが男達に絡まれていたところを、リースが助けに入ったようだ。
「いや、本当に私は何も出来なかったのだ、すまないな。私もこれで失礼する。」
そう言うとリースは返事を待たずに踵を返し、去っていった。
「あ・・・、ありがとうございました。」
サリーは、去っていくリースの背中にお礼を言った。
こうして、サリーは宿屋に帰えると、高志が先に宿に戻っていた。
「おかえりサリー。買い物は楽しかった?」
「ただいま。さっき凄いことがあったの!」
こうして、高志はサリーの口から自分の活躍劇を聞くことになった。
(・・・うーん、やっぱり、ヒーローは正体は隠しておくべきなのかなぁ。まぁ、正体隠しておけば、多少兵器を使っても平気だよね。)
実はあの時、高志の職業カードには変化があった。そう、「英雄 Lv2」とLvが上がっていたのだった。
久々に未来兵器の出番が!(`・ω・´)
これからヒーロー伝説が始まる!のかもしれない(´・∀・`)