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ファンタジーに未来兵器を  作者: インゼリ
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第九話



メスレク神殿に行くため、まずは案内所らしき所でメスレク神殿の場所を聞きくことにした。


高志が場所を聞こうとしたところ、既に別の人が同様の質問をしていた。


「メスレク神殿にいきたいのだが、どのように行けばよいのだろうか?」

まだ年の頃は13~15歳くらいだろうか、着けている鎧等から若い騎士といった感じの格好だった。顔はまだまだ幼いが、どことなく気品があり美形だった。おそらくはどこかの貴族の子供だろうと思わせる雰囲気だった。


「それでしたら、本神殿を出ましてから、右手にある大きな宿に向かいまして、そこを左に曲がります。そこから正面やや右側に見える神殿がメスレク神殿でございます。」


「ありがとう。」

そう言って、神殿の出入り口に向かおうとした。



(・・・お、ラッキー、聞く手間が省けた。一緒についていくかな。)

「よろしければ、ご一緒してもよろしいでしょうか? 私もメスレク神殿にいきたいので。」

と、高志は声を掛けたところで割り込まれた。


「あ、あの、ボクもご一緒していいでしょうか?」

見ると、年は15~18くらいだろうか?高志よりちょっと若いような感じの見た目で、気の弱い少年といった感じだった。


「ああ、構わない。ここで会ったのも何かの縁だ、一緒にいこう。私も街中を歩くのは不慣れでな、一人では少し心細かったところだ。」


と、3人でメスレク神殿を目指すことになった。


「ボ、ボクは、チミドといいます。ボクの村では16歳になったら、職につくことになっているんです。でもまだ何の職につくか決めてなくて・・・。メスレク神殿では相談にも乗ってくれるらしいので、そこで相談して決めようと思ってます。」

どことなく、オドオドした感じのチミドだった。


(・・・そういや、この世界の成人年齢は16とかなのかなぁ)


「私は・・・リースという、一応貴族だが、あまり気にしないでくれ。見聞を広める為、冒険者になるつもりだ。職は騎士になろうと思っている。」



「私はタカシと申します。一応、旅芸人などをしていますが、今までは本格的に職についていたわけではないので、今日はメスレク神殿でちゃんと職につこうかと思っています。まだ職は決めていないので、どんな職業があるのかを聞いてから決めようと思ってます。」

内心、『俺』か『私』で迷ったが、なんとなくリースの雰囲気で『私』にした高志であった。


チミドのほうは元々オドオドしていたが、貴族ということを聞いて更に拍車が掛かったようだった。

そんな微妙な空気の中、3人はなんとかメルセク神殿に着いた。


神殿というよりは、どこかの会社の建物といったようなイメージがあった。

こちらの神殿も王立大神殿に負けないくらい広い建物となっていた。

案内図を見ると、2F建ての建物になっており、1Fは受付や相談窓口などがあるようだ。2Fには転職向けの窓口や、礼拝堂があるらしい。



「さて、私は騎士になると決めているので、ここで失礼する。縁があればまた会うこともあるだろう。」

そう言ってリースは受付の方に向かっていった。


「タカシさん、どうしましょう? もしよければ相談窓口があるので、一緒にいきませんか?」


「ええ、そうですね。」


こうして高志とチミドは職業相談受付窓口に向かっていった。

割と盛況なようで、窓口付近には人だかりができていた。

相談窓口は全部で5つあり、並んでいるのはどれも3~5人程だった。

並んではいないが、雑談している者や、いろいろなパンフレットのようなものを見ている人が多かった。



「あ、タカシ!」

サリーがこちらに気がついて声を掛けてきた。


「サリー、どうだった?職はもう決めた?」


「ええ、私は魔法使いになりました。」


「あ、あの、タカシさん、こちらの方は・・・?」

チミドがいつも以上にモジモジしながら尋ねる。


「タカシと一緒に旅をしているサリーと申します。」

と言って頭を下げるサリー。


「こちらは、チミドさん。さっき、王立大神殿で知り合ったんだ。」


「チミドです。よ、よろしくお願いします。」


「こちらこそ、よろしくお願いします。」


「さて、サリーはどうする?もう職に就けたなら、先に宿にもどってる?」


「そうですね。それじゃあ、ちょっと買い物をしてから宿に戻ります。せっかく王都にきたので、色々見てまわりたいので。」


そしてサリーは出口に向かっていった。

チミドは若干残念そうだった。


そのあと高志とチミドは列にならんで、適当に雑談をしている間に、いよいよ高志の番がきた。


ドアを開けて入ると、若いお姉さんがいた。

「は~い、次の方、そちらにお座りくださ~い。」

どうにも間の抜けた感じの声だった。


「はい、よろしくお願いします。」

そう言って若干緊張気味に座る高志。

(・・・なんとなく就職活動を思い出すなぁ。)


「では~、お名前と、何か希望されている職業があればおっしゃってくださ~い。」


「タカシと申します。出来れば、魔法が使える戦士のような職業に就きたいと思っています。」

これは密かに考えていた構想だ。

大抵のゲームでは、男に人気No.1の職業といえば戦士だが、せっかく魔法がある世界にきたのだ、魔法も使いたい。となると両方を実現するには魔法戦士となるが、果たしてこの世界でそのような職業があるかどうかが疑問だった。


「は~い。ありますよ~。では、タカシさんの能力を測定しますので体の力を抜いて楽にしてくださいね~。」

そして何やら呪文を唱えた出した。

すると、なんとなく何かが纏わりつくような感触があった。


(・・・これはまさしく、何か調べられてるって感じだなぁ)


しばらくすると、お姉さんが声を掛けてきた。


「う~ん、残念ながら、タカシさんはそういった職業には就けないようです~。」


「え、ええっ!どうしてですかっ?」


「タカシさんには魔力が全くありませ~ん。なので魔法は使えないと思いますよ~。」


「そ、そんな・・・。」

(・・・うわー、これはショックでかいな。密かに魔法が使えるのを楽しみにしてたのに・・・。)


「魔力が全くない人も極稀にいるので、そういった方は戦士とかになる人が多いですよ~。タカシさんは、体力が平均より大分高いようですから、そういった職に就くことをお勧めします~。」


「そ、そうですか・・・。戦士以外にはどのようなものがお勧めでしょうか?」

(・・・あとは信仰する神様の加護次第で決めるしかないかなぁ)


「では、メスレク様がお勧めするタカシさんの職業をお調べしますね~。」

そう言って、一枚の紙を取り出し、呪文を唱えだした。


「はい、これがお勧めの職業で~す。」

お姉さんが差し出した紙にはこう書かれていた。


『英雄』


(・・・英雄って職業なのか・・・?)


「あ~、珍しいですね~、英雄なんて滅多にお勧めされないんですよ~。」


「なんとなく凄そうですけど、そんなに珍しいんですか?」


「はい~。英雄はLvアップの仕方が難しいんです~。基本的には困っている人を助けたりしないと上がらないです~。」


「モンスターを退治したりとかでは上がらないんですか?」


「無理で~す。だからなかなかLvが上がらないんですけど~、その分加護は強力です~。一応、冒険者ギルドでは人助けの依頼も少しはあるので、それをこなせばLvもあがるはずです~。」


「な、なるほど・・・。」

(・・・ハイリスク・ハイリターンってやつかぁ。まぁ、神様がそれにしろっていうくらいだから、きっと向いてるんだろうなぁ。英雄=ヒーローだし、元々ヒーローになろうとしてこの世界にくることになっちゃった訳だしなぁ。いっちょ英雄になってみるか。)


「じゃあ、英雄にしたいと思います。」


「はい~。では、受付の方におねがいします~。」


「分かりました。ありがとうございました。それでは失礼します。」



高志は、職業相談室?から出て、受付に向かった。

そこで名前となりたい職業を告げると、しばらくして、金属のカードを渡された。

おそらく、これが職業カードなのだろう。

名前と、職業が刻まれていた。


「では、カードを持って、そちらの7番の入り口に入ってください。」


そういわれて、7番と書いてあるドアをくぐると、神父のような人がいた。


「では、ちょっとカードを見せて頂けますか?」


そしてカードを見せる高志。


「英雄ですか。珍しい職業を選びましたね。困難な道かもしれませんが、頑張ってください。」


「Lv上げが大変らしいですね。でも、その分加護も強力みたいですし。」


「そうですね。それでは、カードを額にかざして私の言うことを復唱してください。私は英雄となることを宣言します。メスレク様、どうか私の進む道に加護をお与えください。」


「私は英雄となることを宣言します。メスレク様、どうか私の進む道に加護をお与えください。」

(・・・ちょっと恥ずかしいなコレは。)

すると、頭の中に声が聞こえた。


 ---タカシよ、汝の進む道に加護あれ---


「あ、何か聞こえました。」


「それは恐らくメスレク様です。これでアナタは英雄という職業に就くことを認められたのです。職業カードを御覧なさい。」


高志が職業カードみると、英雄Lv1と記載されていた。

Lvが追記されたようだった。


「Lvが追加されてます。」


「アナタのLvが上がれば、自動的にカードの記述も更新されます。最初のうちは簡単にLvが上がるかもしれませんが、段々と難しくなるはずです。

そのせいでLvが更新されないのをカードのせいにする輩がいますが、カードはそうそう壊れるものではありません。

まぁ、それほどLvが上がるにつれて、上がりにくくなるのです。」


「なるほど。分かりました。ありがとうございました。」


「頑張ってくださいね。」



部屋を出ると、外にはチミドが待っていて、声を掛けてきた。


「や、やあ、どうだった?」


「うん、何とか職に就けたよ。」


「そうか、おめでとう。ボクは、錬金術師になったよ。」


「おめでとう。錬金術師ですか、なかなか面白そうな職業ですね。」


「うん、村に帰る前に、色々と道具とか参考書を買って帰らないといけないけどね。じゃあ、ボクは色々買い物してから、宿にもどるよ。今日は一緒に来てくれてありがとう。」


「こちらこそ、一人じゃ心細かったのはこちらも同じですし、また何か機会があればご一緒しましょう。」


「うん、それじゃあね。」


こうしてチミドとも分かれ、高志は宿に向かうことにした。


(・・・英雄かぁ。人助けっていってもそう簡単にできるもんじゃないよなぁ。明日にでも冒険者ギルドにいってみるかなぁ)




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