プロローグ
初めて小説を書くので、至らぬ点が多々あるかと思います。
徐々にうまくなっていく・・・と、いいなぁ。
科学万能な未来世界、人類は宇宙に進出し、様々環境の元くらすことができるくらいの技術があった。
また遺伝子操作により、寿命も飛躍的に延び、ほとんど老化しない体も手に入れていた。
そんな世の中でも、突出した一人の天才がいた。
この物語の主人公ではないが。
この天才は、様々な発明を生み出した。
いかなる衝撃をも防ぐエネルギーフィールド、様々な敵に対抗出来る多種多様の武器。
これらは発表され、一部の機能は一般家庭にまで普及している。
これだけでも十分凄いが、今、天才は更なる発明品を完成させた。
それは、空間を制御する機能だ。
異なる空間を制御することにより、大量の武器、食料、燃料、資材を自在に出し入れすることができる。
更に、このアイテムの主機能を別空間に置くことで、サイズを極限まで小さくすることができた。
中継機器としてナノマシンを使用し、脳から直接制御することが可能になった。
また空間を転移することで瞬間移動すら可能になる。
天才は軍の秘密兵器開発部に所属しており、浮いた存在であった為、独自に開発を進めていた。幸い、今までの発明の評価もあり、予算は潤沢に割り当てられ、自由に資材を注ぎ込むことができた。
そして無事に発明品が完成したのだ。
ただ、天才は完成を上司に知らせずに、テストすることにした。
もともと、自分だけで使うつもりで開発したのだ。
とは言え、いきなり自分で試すのは少々危険すぎた。そこで、ネットの掲示板にとある書き込みをしたのだ。
「ヒーローになりたい人募集」
当然、誰も真面目に相手しない。
そう、この物語の主人公以外には・・・。
ごく平凡といって差し支えない普通のサラリーマン、上杉高志(30)。
30歳とはいっても、老化防止の措置を18歳の時に行い、見た目は18歳の頃のままだ。
普通とちょっと違うところは、自分の事を、常に論理的でクールな男と思っていることだろうか。
IT系企業に勤める、敏腕システム・エンジニア(自称)であった。
その日も夜遅くまで一人で残業していた。
仕事として頼まれると、断ることが出来ない性分で、そのせいで他人の仕事を抱え込むことが多かった。
「あ~、俺にばっかり仕事押し付けられてる気がするなぁ。」
自分の境遇に不満を漏らしつつ、仕事を切り上げることにした。
なんとかその日のうちに自宅まで辿り着いた。
そして、日課となっているバーチャルゲームRPG『ヒーロー・テールⅥ』を始める。
高志がプレイしているのは、Ⅵとつくように有名なシリーズ物のゲームだ。
このゲームは王道的なRPGだったが、非常によく作りこまれており、多くの人が親近感を覚える不思議なゲームであった。
初代(ヒーロー・テール1)の発売当初は、作成者の一人が超能力を使えるということで、とても話題になり、爆発的に売れた。
「あー、この世界に移住したい・・・。」
と、まぁ、現実逃避をしていた。
途中、ゲームのクエストに行き詰まり、ネットで情報を収集することにした。
ネットワークで「ヒーロー」で検索を掛けると、候補がいくつか表示され、その中に「ヒーロー募集」が目に入った。
疲労もピークにあり、いつもなら無視するような内容であったが、ついつい、高志はその募集に応募してしまった。
メールを送ったところ、2日後に小包が届いた。
中に入っていたのはブレスレットであった。
「なんだこりゃ、ブレスレット一つで何が出来るってんだ。まぁ折角くれたんだ、駄目もとで試してみるか」
と、早速つけてみる。
ズキッっと手首に痛みが走った。
ブレスレットから針のようなものが突き出し、腕に刺さったようだった。
すると腕輪から、音声が聞こえてきた。
『装着者を確認、DNAを識別、登録しました。体内ナノマシンを調整中・・・』
しばらくすると、今度は視界にメッセージが表示された。
『体内ナノマシン調整完了。システム起動完了。』
「おおっ、なんだこれ?」
おそらくは、ナノマシンを通じて脳に直接文字を表示しているのだろうと推測した。
高志はまずは説明書を探したが、どこにもなかった。
「うーん、使い方はどうするんだろう」
すると視界に様々なメニューがでてくる。
その中のマニュアルがあり、「マニュアルみたい」と思っただけでマニュアルの詳細が表示されたのだ。
「なるほど、意識するだけで選ぶことができるのか。」
概要をざっと読んでみると、どうやら様々な機能がついていることがわかった。
中でも目を引いたのが、変身機能と、テレポート機能だ。
「よし、早速変身してみるか!」
なんとなくポーズをとる高志。
「変身!」
叫ぶ必要はないのだが、そこはそれ、男である。
すると、全身が光に包まれ、黒い金属のフルフェイスと鎧をまとった。
一見するとロボット兵器のような概観になり、鏡をみた高志はちょっとした興奮状態になった。
(・・・一体どんな仕組みになっているのかは分からないが、これは最新テクノロジーなんてレベルじゃないことは確かだな)
とは言っても、「じゃあ、危ないから、返品しよう」とは微塵も思わない高志。
次にテレポートを使うことにした。
転送先は3メートル先にしてみた。
(・・・流石にテレポートはちょっと怖いな)
しかし、好奇心には勝てずに実行してしまう。
一瞬視界がグラっと揺れたかと思うと、確かに3メートル程移動したようだった。
「スゲー!テレポートなんて実在したのか!」
テンションが否応なしに高まる。
今度はもっと遠くにいってみようと思い、近所のマンションの屋上へテレポートしてみる。
やはり普通にテレポートできた。
そうなると段々欲がでてきてしまう。
マニュアルをみると、宇宙空間でも、深海や、太陽の中であっても、エネルギーフィールドにより活動可能なようだ。
まずは、様子見で、海の浅い部分にテレポート、そして深海、宇宙へテレポートしてみた。
(・・・さすがに太陽は、やめといたほうがいいよな)
活動可能な時間が視界の隅に表示されているが、膨大な数字なので当分は大丈夫だろうと推測していた。
実際には、エネルギーフィールドで薄い膜を作り、有害な光線等はシャットアウトし、酸素は別空間から徐々に転送し、エネルギーフィールド内に展開している為、別空間にある酸素の分だけ宇宙でも活動出来るのだ。
専用の別空間には、天才が事前に仕込んでおいた数々のアイテム等と一緒に空気も当然大量に入っている。
その後、冥王星までテレポートした直後、視界が真っ暗闇に閉ざされた。
げ、なんだこりゃ、まさかいきなり故障か!?と、思ったが危機感を感じ、とっさに安全な場所にテレポートとしようとしたが、相変わらず暗いままだ。
視界にはエラーの文字が大量に表示されている。
(・・・あ、やばい、いきなり死ぬのかよ。どーせ死ぬなら、ヒーロー・テールの世界に生まれ変わりたいな・・・)
そして意識を失った。
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数時間後、天才は自分の発明品がこの世界から消えたことを検知していた。
いかに宇宙であろうと太陽の中であろうと活動可能なのだ、検知出来ないということは、故障したか、異空間に取り残されているか、それとももっと想定外のことが起こったか。
「いずれにしても、テレポート機能が一番怪しいな。」
こうして天才は、消えた自分の発明品と、犠牲になったかもしれない使用者を探索するために新たな発明品を作ることを決めた。
それが完成するのは当分先の話だが。