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距離
読んでくれてありがとうございます。
この章で描きたかったのは、特別な出来事ではなく、
ただ同じ時間を共有する中で感じる微かな距離の変化です。
互いの名前も理由も分からないまま、
それでも存在を感じられる瞬間――
そんな空気を、少しでも伝えられていれば嬉しいです。
夕方、改札の外のベンチで再び顔を合わせる二人。
主人公は昨日のことを覚えているが、彼女は淡々としている。
短い返事と、途切れる沈黙が繰り返されるだけで、互いの事情は何も分からない。
それでも、同じ時間を共有しているうちに、少しだけ距離が縮まった気がした。
ベンチの端で向き合うわけでもなく、話題が弾むわけでもない。
名前も理由も知らないまま、存在を確認するだけの関係。
改札を出ていく人々の流れに合わせて、二人だけが静かに残る。
小さな体の動き、足の位置、傘の角度――
些細なことが、心の距離を少しずつ測る指標になった。
今日も、何も変わらない場所で、ただ同じ時間を過ごす。
それだけなのに、確かに何かが動き始めているように感じられた。
読んでくれてありがとうございます。
この章は、特別な出来事があったわけじゃなくて、
ただ同じ場所にいた時間の記録です。
名前も理由もわからなくても、
隣にいるだけで、なんとなく安心できる――
そんな空気を書きたかった章です。




