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23.ユキムラとボアネルゲスの約束

読んで頂きありがとうございます。

この章から読まれた方は、是非【ユキア・サガ 航海① ネフシュタンの魔片 第一巻 第1章】から読んで頂けますと、幸甚です。

続きの方は★★★からとなります。


 太陽が新しい朝を迎えに行く為に、ゆっくりと沈んで行く。

 銀の匙のキラが滞留している客室のソッジョルノには、大きな3つの高窓から、その緋金の斜光が射しこんでいる。

 テンダ(カーテン)を揺らし、つつじの馨が柔らかな風に乗って踊っている。

 夕日に照らされたその一室は、朧で幻想的な風韻に満ちていた。

 円形闘技場で繰り広げられた、瞬きをすることも赦さない数々の激闘とは、全くかけ離れた刻が戦いでいた。

 ソッジョルノ(リビング)のほぼ中央にはクリスタッルム(クリスタル)卓子(テーブル)を挟んで2人掛けと、3人掛けのディヴァーノが向き合っている。

 3人掛けには奥側にリオ、間一人分開けてトバル。

 2人掛けには、奥側に私が腰かけていた。

 卓子上では、私が給仕したランブラ直伝のトゥルケットや、チョッコラート(チョコレート)ルムウベッタ(ラムレーズン)のビスコット等が、馥郁とした馨を漂わせている。

 夕映えに照らされた私は、「どうぞ」と勧めた。

 二人は私にそれぞれ礼を伝える。

 私を含め3人とも、ユキアの闘いの熱い興奮が冷めていないようだ。

 トゥルケットを口に運びながら、一戦一戦を思い出しているのだろう。

 ぼんやり遠くを見つめていた。

 暫くすると、私は忘れてはならないと面に書いた後に「一息入れてから」頭の中を整理して「大賢者ボアネルゲス様と話し合いをすることにしましょう」

「賛成でごわす」トバルは機嫌良さそうに同意する。「この珈琲は美味いでごわすな」

 トバルはチョッコラートとルムウベッタ・ビスコットを口の中に一つ一つ放り込む。

 目を閉じて味わい頬が緩んだ。

 その相好を観たリオもそれらを食べる。

「うん。これはどちらも美味しい!」リオは口許を綻ばせ「馨、味、食感、全てが美しく調和している」

 リオは菜食主義者で菓子やトルタ(ケーキ)が大好きだと知っていた私は、頬が少しぽっとするのを感じながら、

「珈琲は聖エレミエル号でお友達になった給仕長の女性の直伝で、ビスコットは私の手作りなの。

 昨日ユキア達の部屋の台所で、作ったばかりのビスコット。

 ユキア達も美味しいて言ってくれたけど、本人を目の前にして不味いとは言えないでしょ?

 だから、二人い美味しいって言ってもらえてうれしい」

 皓い歯を零す。

 私もルムウベッタのビスコットに手を伸ばした。

 折しも、その手の甲に、金の七芒星が二重の真円に囲まれて、

ーーリィィィィィィィーン

 という鈴の値が微かになる音に似たそれと共に浮かびあがる。

 内と外の真円の間には、神聖文字が並んでいた。

 それを読み取った私は「大賢者ボアネルゲス様だ!」驚きを隠さない。

 自分の左上方向に掌を広げ、空気の壁を押す仕草をする。

 丁度、私、リオ、トバル3人の眼が届く空中に薄くて透明で、クリスタッルムの様な材質の大画面がモザーイコ(モザイク)模様を描き出現した。

 画面の中心に大賢者ボアネルゲス。

 背景にはヴェートロコロラート(スタンドグラス)から射しこむ色彩豊かで、煌びやかな光芒に照らされた、Ω本部小聖堂の祭壇が見えている。

 然し、ボアネルゲス様はいつもの絹の長衣を着ているものの、頭巾(フード)はかぶっていない。

 一見して30代半ばといったところだろうか?

 その眼眸は少し目尻が下がり、穏やかで優しい光輝に満ちている。

 髪の毛も黒くて豊かだ。

 幼い頃の面影が確り残っている童顔。

 でも、それでいて凛冽さを感じさせるところは、さすがΩの創始者で(マスター)だと、私は心服している。

 だけど、大賢者ボアネルゲス様から私に直接が連絡を取ってきたのは珍しい。

 この4.000年間で今日を含め3回しかない。

 一体何事だろう……?

 私は身も心も引き締まる思いだった。

「やはり、リオとトバルと一緒だったね?」ボアネルゲス様は予測通りの結果に満足顔だ。「察するにこれから何か打ち合わせをしようとしていたのかな?

 もしそうなら邪魔をして申し訳ない」大賢者は低頭して話を先に進める。

「だが、急ぎキラに訊きたい事、調査依頼したいことができた。

 少し私が話をする時間を取って貰ってもいいかな?」

「勿論です」キラは即答。「ただ一つお願いがあります。此の後お時間を頂けないでしょうか?」

「うん。構わないよ」ボアネルゲス様は受諾した。

 笑顔の私、リオ、トバル。

「君達はモノマキアのモノマキアの第2回予選大会を観戦していただろう?

 私も闘技場北側の貴賓席で、フランシスコ7世法皇と神聖ロムルス皇国ジュスティー皇帝と、一緒に観戦していたんだよ。

 ラティウム都国法皇特別顧問という肩書で。

 仲良く3人である格闘士を応援してたのも分かった。

 そう。

 緋髪、緋隻眼のノグシゲ。サナダのことをね」

 私達は互いの面を見かわす。

「皇帝が言っていたのだが、あの緋隻眼の少年が、海賊クレブリナ海賊団からモンテ・ブカ親子を救い出したという噂があるそうだ。

 私は先月りから、キラが少年海賊に救われたこと、

 その見返りをを求められてないこと。

 キラの渡航情報が洩れていること。

 等の報告を受けている。

 キラ、彼が君を救ってくれた海賊なのかな?」ボアネルゲス様はまずそれを質す。

「ご賢察の通りです」キラの聲が弾む。

「そうか。では君に依頼したいことがある。

 ノブシゲ・サナダに関するあらゆる情報が欲しい。

 彼は我々にとって、強力な援軍となる可能性がある」

 私は、元々そうしたいという話を考えていたから大賢者の依頼に驚喜した。

 でも、どうしてボアネルゲス様は、ユキアが強力な援軍になるとお考えなのか?

 私はその疑問を隠さず、リオとトバル見たが、2人も疑問符が頭の上で揺れている。

 どうあれ、私にとってこの話は渡りに船。

「彼の本当なは、ユキア・ヴェルスといいます。

 元々の姓はサナダだそうです。

 極東の島国ヤマトから離れ、アトラス海上の島に建国した際、ティターン海沿岸諸国同様、神聖ロムルス皇国と母国語が併用されることになり、改姓したとのことでした。

 約5.000年前の話です」

 ボアネルゲス様は身を乗り出して訊く。「やく5.000年前? どうやら君は既にある程度彼の情報を掴んでいる様だな。

 全て押しrて欲しい」

「わかりました」と返事してから、キラは私はユキア達の話を嬉々として夢中で話す。

 国祖ユキムラ・ヴェルスが建国したパークスという国の歴史。

 彼等が絶滅していた筈の忍術を操る武人、忍者だという事実。

 クレブリナ海賊団に襲撃された時、私自身が見聞きした全て。

 何故ユキアが、神聖ロムルス皇国にやって来てモノマキアで闘っているのか、その故由。

 自分と同様ユキア達に救われたモンテ・ブカ親子達が、極秘で彼等の海賊船を建造していること。

「その船は、アララトの聖樹と船大工達が読んでいる建材で、建造されています。

 それが聖遺物なのは、ほぼ間違いありません。

 水気を完璧に弾き、神秘的な弾力性を備えつつ、確りとした強度もあります。

 先日ナーヌス族達の実験結果を聞いて、実物をユキアから譲ってもらい、トバルが調査してくれているところです。

 アララトの聖樹は、おそらくノアの箱舟本体の建材と、奇蹟的にそこから芽を出して成長した樹木だと推測しています」

 ボアネルゲス様の面輪には私の話を耳にしながらも、どこか他の何かを考察している概がある。

「大切なことを言い忘れていました」私は少し慌てて「ユキアは、海賊という海の義賊でありたいと宣言しています」

 突然、ボアネルゲス様は涙ぐんだ。

「5.000年もの間……」大賢者は聲を詰まらせ大粒の涙を拭おうともせず「彼とその子孫達は、この世界の平和を保つ為に、愚直なまでに闘い続けていたのかっ!

 だが、世界に平和は訪れていない。

 ユキアの父、パークスの現国主がっそれを諦めたことを、誰が責められようか……」

 私は耳を疑った。

 5.000年もの間、彼とその子孫は……ってボアネルゲス様は言葉にされていた。

 彼って誰のことだろう。ボアネルゲス様は、ユキア達忍者の何かを既にご存知なのかもしれない。

「それに較べて、この5.000年間私がしてきたことは、ただ主の再臨を待ち望み、聖遺物や幻玉の調査と入手保護、魔遺物の入手と破壊、封印しただけだ。

 その数も僅か。

 彼等のように、自らの血と涙で、世界平和に尽力してきた訳じゃない……」

 リオが静かに、然し力強く断言する。

「天の配剤と申します。

 神を愛し慕うものには、それぞれの役割という賜物を、お授けして下さっているのではないでしょうか?

 我々の長い年月が無駄であったと、誰かに責められることは絶対にありません!」

「おいどんも同じ考えでごわす!」トバルは誰にという訳ではなく訊く。「もし、おいどん達がやって来たことをやってなかったとしたら、誰がこの重要な任務をやっていたでごわすか? 誰もおらんでごわす!」私は大賢者の涙に動揺したが、決然たる意志を口にする。

「私達の任務も常に危険と隣り合わせです。

 ですが、だからといって逃げ出すことは出来ません。

 この覚悟は、ユキア達に劣っていると言えるでしょうか?」

ボアネルゲス様は、子供みたいに袖でごしごし涙を拭い、聲を震わせる。

「リオ、トバル、ありがとう。

 そしてキラ、君の言う通りだね。

 私は素晴らしい仲間に恵まれて幸福者だ」

 眸をを閉じて十字架をきるボアネルゲス様。

 私達はボアネルゲス様の黙祷する姿を見守った。

 数分後ボアネルゲス様が目蓋を開くと、私は待ってましたとばかりに話を切り出す。

「ボアネルゲス様は、何故ユキアの情報を求めておられたのですか?

 それから、ユキア達が私達にとって強力な援軍になると、どうしてい考えになったのでしょうか?

 実は、私達がお話ししたかったことこそ、ユキア達と手を組みたいということです」

「私は、パークスの国祖を知っているんだ。」ユキムラ・サナダを知るボアネルゲス様は5.000年前の記憶を語り始めた。

「ユキムラ・サナダ、元の名はノブシゲ・サナダという緋髪、緋眼の外つ国人が一族郎党を率いて、この神聖ロムルス皇国に訪れていた時のことだ。

『世界の影となりこの心魂に義勇の旗を立て、世界平和に挺身する国を建国したい』と幸村は決心していた。

 ボアネルゲス様は」の風致は、悲喜交々と複雑に見える。

「5.000年もの間、影から世界平和に貢献してくれたことを思うと、本当に頭が下がる思いだ。

 然し、現国主が戦乱の尽きない世界を見限り、自国の為だけに動き出すことになれば、彼等はこの世界の台風の目となるだろう。

 君達も知っている通り、忍者は千幻万妖の忍術を操る無敵無双の武人だからね。

 だが、もしそんなな中、あくまでも義勇の道に拘って、海の義賊として海賊になることを選択したユキアの道を、私は是非応援する!

 ユキムラ・ヴェルスとの約束を果たす為に」

 ボアネルゲス様は断固として誓う。

 それは、Ωとして、ユキア達と手を組むと宣言したのと同義だ。

 私、リオ、トバルの思惑と一致する。

 私達の面容は安堵と喜色が芽生えていた。

 それでも敢えて私は訊く。

「では、ユキア達と手を組む話を勧めてもよろしいでしょうか?」

「勿論だ」ボアネルゲス様は思慮深く話を続ける。

「私達ができる応援をしよう。

 然し、彼等にΩの存在を知らせるのは、まだ時期尚早だろう。

 そもそも、彼等と手を組むこと自体、Ω内でも私達だけの極秘事項としておいたほうが良いと思う。

 キラの渡航情報が、どこかからこれまで何度も洩れていることを熟慮した上で、その方が賢明だろう」

「わかりました」私はボアネルゲス様の判断に素直に従う。「私とリオ、トバルはトレジャーハンターとして活動している仲間だということのします。

 仲間が他にいることは、訊かれればいると答えておきます。

 この先で、Ωの誰の力を必要とすることが起こるかわかりませんから」

「それでいい。

 キラ、君の思考回路は素晴らしい。

 安心して任務を預けられるよ」

 トバルが甚く感心したように「モノマキアでユキアの実力を確認できたのは、僥倖だったでごわす。

 どの闘いも一度たりとも表情を変えることなく 涼しい貌でごわした。

 驚いたでごわすが、おそらく数多の修羅場をくぐり抜けてきたからでごわそう。

 ユキアの術が観れなかったことと、、直接敢えていないことが残念でごわす」

「クレブリナ海賊団との闘いの時も、眼を閉じ梨乃を忘れてしまったくらい、あっという間に海賊4人を斃したから本当に吃驚させられた。

 トバルもリオも、ユキア達の術を観る機会はきっと来る。

 直接会える日もね」

 私のトバルへの答えに、ボアネルゲス様は羨ましそうな願望を隠していない。

 それに気づいた私は、その襟懐を推察した。

 5.000年の前の友人と風貌が似ているその子孫に会ってみたいという思い。

 私がボアネルゲス様だったら、やっぱりそう思うだろう。

 大賢者ボアネルゲス様は真顔の喉る。

「闘技場の格闘士達に勝ち抜ける実力がなければ、聖遺物・魔遺物・幻玉の争奪戦に生き残って、それを手にするのは厳しい話だ。

 トバルが言うように、モノマキアの第1回予選大会、第2回予選大会で彼の闘いを観戦できたことは、丁度よい判断材料になった」

 大賢者は少し思案して笑顔を見せる。

「彼の人格が垣間見れたのも更に良かった。

 敗者に同情することは非礼だが、敬意を示すことは大切なことだ。

 彼はそれをよく理解している。

 義を重んじる素晴らしい稟質を持つ、頼もしい武人だ。

「その通りだと私達も思っています」りおは物静かに言葉を紡ぐ。「ところで、彼等と組んで遂行する任務は、今現在追っているネフシュタンの魔片の奪取で進めていくのか、或いは他の任務にするのかを、決定するべきではないかな?」

 リオの言う通りだと私も考えた。

 ボアネルゲス様の赦しを得たからには、一刻も早くユキア達と手を組む話を持ち掛けたい。

 その為に、具体的な任務を決めておかなければ!

 でも、狙う聖遺物、魔遺物、幻玉も現時点で一つや二つじゃないから、迷うところ……。

 ただ私個人としては、魔遺物の入手、破壊、封印を最優先するべきだと思っているけど。

 迷い顔の私に大賢者ボアネルゲス様が、現在Ωとしてその実存が確実視されているが入手できていない聖遺物、魔遺物、幻玉を列挙していく。

「聖遺物

 ・イエスの聖衣

 ・聖貌布

 ・ペトロの剣ーー後代の聖剣エクスカリバーと目されている。

 ・エリヤの外套

 ・エリシャの弓

 ・パウロの外套ーーエリヤの外套と同一ではないかという説も根強い。

 魔遺物

 ・フラグラムーーイエスを鞭撃った極悪という名の鞭。

 ・イスカリオテのユダの短剣。

 ・ネフシュタンの魔片

 ・ギデオンのエフョド

 ・アビメレクの斧

 ・イエフの弓

 幻玉

 ・白金真珠(プラティリータ)

 ・桃金剛石(ピンクダイアモンド)

 ・黒金剛石(ブラックダイアモンド)

 ・緋紅玉(プーニクルス)

 等々色々ととあるのだが、何れから手を付けるべきか、私も迷うところだ」

 更にこれら以外にも、聖遺物、魔遺物、幻玉と呼ばれるもので、発見されてないものは多種多彩に存在していた。

 リオが沈痛な面持ちで「私は、異端のソフィア教の中でも過激さが知られているシェーム派が強奪したアビメレクの斧が一番気になって仕方ない。

 何の目的でアビメレクの斧を狙ったのか不明だから、どうも気にかかっている」

 トバルは「やっぱり主の聖衣でごわす。シェーム派や海帝みたいな輩が動いてるでごわすから、その手に渡る前に入手したいところでごわす」

 ボアネルゲス様は沈思黙考している私に、

「キラ、君の考えも訊きたい。遠慮なく君の思うところを述べて欲しい」

 と促された。

「私は、魔遺物を放置したくない。

 その効果や能力が人に益するとは思えないし、悪用されることが怖いから」

 私はまず自分の基本的な考えを言って、

「でも、聖遺物は勿論のこと、幻玉についても疎かにはできない」

 と結論は出ず。

「素の通りだ」リオは理解を示した上で「トバルが言ったように聖遺物が異端者達の手に渡り、万が一にも破壊されたら一大事だ。

 魔遺物も、ギデオンのエフョドとイエフの弓はこの近海で最強の海賊、海帝の手の内にある。

 さすがにユキア達と組んでも、そう簡単にはいかなだろう。

 ネフシュタンの魔片はウルティオー海賊団の手にある200人を超える海賊団だ。

 ユキア達3人では厳しい仕事になると思う。

 他の聖遺物や、魔遺物、幻玉についてはその存在の跡はあれど、未だ詳細は不明だ」「ネフシュタンの魔片については、もう少し情報が欲し」私は慎重に話した。

「何か気になることでも?」リオが首を傾げ「その存在を疑えば他の聖遺物、魔遺物、幻玉も、夢物語になってしまう」

「存在を疑ってはいない。聖書に書いてあるんだから。

 ただ、情報の多くが神聖ロムルス皇国海軍からの者ばかりで、正直なところ違和感がぬぐえない……」

 ウルティオー海賊団は、神聖ロムルス皇国海軍の海軍賊だ。

 が、神聖ロムルス皇国はネフシュタンの魔片をウルティオー海賊団に持たせたまま放置している。

 それでいてネフシュタンの魔片の情報源が神聖ロムルス皇国海軍なのが、私は腑に落ちない。

 私が考えすぎているのだろうか?

 でも、聖遺物、魔遺物、幻玉は、所持した者に様々な効果・能力を与える秘宝。

 だから、世界中の国家、海賊、山賊、トレジャー・ハンターが血眼になって探索している。

 ★★★その全てが、軽く億を超える金額で、そうした状況を神聖ロムルス皇国は熟知している。

 にも拘らず、何故ネフシュタンの魔片をウルティオー海賊団から買収するなりして入手しないのか?

 私にはその理由が見当もつかない。

 メシア教カットリチェシモを国教とし、その総本山ラティウム都国を守護する神聖ロムルス皇国らしくないと、私は思う。

 この国の海君・陸軍は、聖遺物、魔遺物、幻玉を入手すべく常に動いているというのに。

 どうしてネフシュタンの魔片情報を洩らし、買収せずに放置してるのだろうか?

 情報が、海帝を筆頭にした海賊や、他国の海軍賊に渡れば、ウルティオー海賊団間違いなく標的(ターゲット)になる筈。

 この私の逆徒に大賢者様、リオ、トバルも同様の考えに至っているようだ。

 ボアネルゲス様」が呟く。

「神聖ロムルス皇国が情報漏洩の源となっている故由とは……?」

「まさかとは思うんだけど」私は考量したことを整理して「神聖ロムルス皇国とウルティオー海賊団」との商談で、金銭の折り合いがつかずまだ交渉中かもしれない。

 或いは、ウルティオー海賊団がそもそもネフシュタンの魔片を手放す気がないのかも?

 何れにせよ、神聖ロムルス皇国はこのまま放置しておけばそれを入手出来ない」

 キラは引き続き持論を展開していく。

「神聖ロムルス皇国は、味方の海軍賊からネフシュタンの魔片を強奪するのは、さすがに無理な話。 

でも……他の何者かが奪ったそれを神聖ロムルス皇国が奪い返せば、それをウルティオー海賊団に返す義理はない……」

 私の持論に他の3人も納得してくれているようだった。

「もしくは、標的となったことを認識したウルティオー海賊団にが、危険回避の為神聖ロムルス皇国へ売却する可能性もある」

 と私は締め括った。

「キラ冴えてるね」ボアネルゲス様は感心した口調で、「君の推論は殆ど完璧だと思う。

 で、君自身は彼等との最初の任務として、何を選択したいのかな?」

 私の選択は一択だった。

「先ほどお話しさせて頂いた通り、引っかかっているところもありますが、ネフシュタンの魔片です。

 ユキア達に何を依頼するとしても、まず船が必要となりますが、彼等の船は建造中ですから、仮に私の船で動くとしても、このレムスから遠く離れることは難色を示すと考えられます。

 ユキア達は国抜けしている立場。

 一日も早く、自分達が自由に航海できる船を必要としているからです。

 ネフシュタンの魔片なら、神聖ロムルス皇国内で動くことになります。

 私達の依頼を引き受けやすいんじゃないかなと思います」 

 ★★★大賢者は「彼等のことは君が一番理解している。

 結論は最初から決まっていたようなもんだね。

 彼等には、まずネフシュタンの魔片の奪取を依頼しよう」

 私は自分の選択を尊重してくれたボアネルゲス様はに感謝して会釈した。

 リオが心配そうに「然し、ウルティオー海賊団は200人を超える海賊だ。

 彼等3人で大丈夫だろうか?」

「私も一緒に行く」私はそれが当然だと思っている。「ユキア達は3人だけだけど、聖獣を召喚できる。

 それから、多分もう一人同行することになるから大丈夫。

 心配しないで」

「聖獣を召喚できるでごわすか!? で、もう1人って誰で沿わすか?」

 私は、自信ありと胸を張って「今はまだ内緒。

 で決まったら、、トバルもリオもボアネルゲス様もきっと喜んでくれる!」

 でも、一方で私はやはり何か引っ掛かる感覚が拭えない。

 聖エレミエル号に乗る前から今日まで、丸で導かれるようにウルティオー海賊団の情報を得ている。

 極めつけは、、冒険者・傭兵ギルド、聖ミカエルのレムス本部で、初めて出会ったギルド支援者であり、貴族の海軍将校のらしき男の話だ。

「私は、このギルドの支援者の一人だ。

 あなたがウルティオー海賊団の行方を追っているとここのギルド長、アルドー・フォントから耳にしたが、間違いありませんか?」

 と尋ねられたので認めると、

「彼等は今、テュッレーニア海のアヴィス群島の一つ、アシオー島を拠点にしてまだ暫くの間は滞留しているだろう」

 情報提供してくれたのだ。

 整た顔立ちではある。

 でも、細めの三白眼。

 薄くて血色の悪い口唇から、人の持つ温もりを感じ取ることは難しい。

 何を考えているのか読み取りがたい、少々不気味な男という表現がぴったりだろう。

 情報提供の見返りも求めず、お酒の一杯も酌み交わすことなく、男は姿を消した。

 私は、何故か騒めく胸中に、その男の貌が浮かぶのだが、原因がわからない。

 他に気になることもあったので、胸騒ぎを私は一旦脇に置いた、

 私は、それをボアネルゲス様にズバリ訊く。

「パークスの国祖ユキムラ・ヴェルスとボアネルゲス様にとの約束って、何だったのですか?

 何だか気になります。

 私にお手伝いできることがあれば、是非お申し付けください」 

「ありがとう」大賢者はにっこり。「ユキムラは『私が建国する国は世界平和が訪れるまで、完全鎖国政策をする由。然れど、この世界に秘話が訪れた時それは解除されましょう。さらばその折には、我が国にメシア教カットリチェシモの聖堂を建設するよう、子々孫々に申し送ります故、我が国に司祭を派遣して頂きたい』と言っていた。

 私は勿論だと即答した。

 他にも彼との約束は彼との約束はある。

 だから、何れ私もユキアに会わなければならあない。彼は、幸村の後継者だからだ」

 私は素晴らしい話だと感動した。

 ボアネルゲス様とユキムラ公の間には、きっと熱い友情があったんだろうな。

 ボアネルゲス様は物語の先にの頁を捲る。

「私が最後に、洗礼、堅信、初聖体の秘蹟を授けたのは、キラ、君だ。

 その前に同様の秘蹟を授けたのがユキムラなんだよ。

 彼は珍しいことに守護聖人を、旧約聖書の聖人から選んだ。

 彼の霊名は義人エリヤだ」

 私はこの時点でユキアが、洗礼・堅信・初聖体の秘蹟を授けられ、守護聖人をエリヤと選択していたことを私は知らない。

 けれども私は、ユキムラ公の儀の志が、間違いなくユキアに受け継がれていると、強く実感していた。

 ふと気づけば、高窓から見える景色が一変している。

 紫紺の美しい天鵞絨を広げれば、丁度それと同様に」見えるであろう天空に、皓月が冴え、星々はあらゆる宝石をばら蒔いたが如く、多色多彩な煌めきを降り注いでいる。

 私は、今程、明日が来るのを待ち遠しいと思ったことは暫くなかったと、喜びのうちに気付いていた。

 夜風に戦ぐテンダがふわりと揺れる。

 するとオロアルマダ階段のつつじ馨しい馨が、優しく私の鼻先を掠めていく。

 私は微笑んだ。

 明日は直ぐに、ユキア達と盟約を結ばなければ!

読んで頂きありがとうございます。

駄作ですが、批評も含め、ご感想を頂けると喜びます!

評価✩✩✩✩✩やブクマをして頂けると更に喜びます!

長い物語ですが、様々な要素で楽しんで頂けるよう努力してます。

これからの物語も是非読んで頂けますように・・・。 m(_ _)m

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