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覚醒

地上の魔窟飛行船前。空気は異様な静寂に包まれていた。ユリアは周囲に目を走らせ、違和感を覚えた。


──マナの気配が、完全に消えた。


「始めるわよ!」ユリアが叫ぶ。


その声と同時に、エルフ達は身体の奥底からマナを絞り出し、全身を駆け巡らせる。そのマナを剣に込め、刃先が赤く輝き、光の軌跡を描いた。


「今よ!」ユリアの掛け声で、一斉に剣が切り込む。

その瞬間、セレナも呟く。「お兄様、私に力を」

彼女の魔法の光が加わり、剣光はさらに増幅され、眩い光の壁となって魔窟飛行船を押し潰さんばかりに炸裂した。


その光景は、離れた本社管制室のモニターにも映っていた。


「……彼らでは無理だ。所詮、レベル7だ」

管制室長は冷静に呟く。だが誰もが、諦めの空気を共有していた。その刹那、モニターは突如、白く染まり、ステータス画面に激しいノイズが走った。


次の瞬間、ユリアのステータス表示が変化する。

「……バ、バカな。レベル10だと?」管制室長は目を疑う。


さらに、周囲のエルフ達のレベルも順次、最大のレベル10へと跳ね上がった。

本社管制室に突然、外部からの通信が割り込み、声が響く。


「本日付で、アーガスノルン社を辞めさせていただく、マックス。まあ、もういいか。とりあえず、彼らのステータス隠蔽は解除しておいたから、あとはよろしく!」


管制室長は肩を落とす。

「……そういうことか。あいつら、やりやがったな……俺たちには制御は困難だ」


その声が消えぬうちに、地上では光が収まり、煙と残骸の向こうに、圧倒的な静けさが訪れた。

視界に入るのは、跡形もなく消え去ったエレノア・レイベルンの残骸と、朝日を背に、堂々と佇むユリアたちエルフの姿だった。


彼女たちは静かに呼吸を整え、しかしその瞳は鋭く、確かな勝利の余韻と決意を映していた。

周囲の大地には、消え去った混沌の痕跡だけが残り、朝の光がその全てを洗い清めるかのように輝いていた。


──全ては終わった。だが、これからが本当の戦いの始まりだった。



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