強襲
魔窟飛行船内部は混沌としていた。
アーガスノルンの特殊部隊と、ユリア率いるエルフ部隊が、互いに魔法と銃撃、体術を交えながら戦っている。
隊長は焦燥に駆られつつも、冷静に状況を整理していた。
「ヴァイス主任と連絡が取れない……何をしているんだ?
大気中のマナ量は以前として低密度だ。
極力、手持ちの装備でなんとかするしかない。
それなのに、奴らはなぜマナを大量に使える?
まさか、自ら生成できるのか……バカな……」
その思考を口に出す間もなく、エルフたちが魔導銃を構え、隊長に向かって疾走してくる。
反射的に撃ち返し、体術で迎え撃とうとするが、一撃ごとに跳ね返される感覚に苛まれる。
衝撃は強烈で、装甲やシールドはすぐに削られ、敵の速度と精密さに全く追いつけなかった。
その時、セリナが前方から現れた。
瞳孔が赤く光り、剣は魔力を帯び、極限まで研ぎ澄まされている。
「これで終わり」
その一言とともに、超高速の斬撃が放たれた。
隊員たちは一瞬の間に吹き飛ばされ、地面に叩きつけられる。
歓声も悲鳴もなく、ただ絶望が残るだけだった。
隊長は、全てを理解した。
自分の部隊はすべて倒され、もはや自分だけが残っている。
剣の光が迫り、逃げることも反撃することも不可能だ。
しかし、不思議なことに、その瞬間、胸の奥に静かな充足感が広がった。
「やっと、この地獄から解放されるのか……」
そう思うと同時に、隊長の意識は途絶えた。
残された空間には、セリナの瞳の赤と、剣が切り裂いた風の軌跡だけが残った。




