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レイベルン家・エレノア自室
――すべてを把握した微笑み
静寂。
エレノア・レイベルンは、
一人、
玉座のような椅子に
腰掛けていた。
その視界の端に、
淡く半透明な
**情報表示魔法**が
浮かぶ。
そこへ——
〈新規報告を受信しました〉
システム音。
彼女は、
指一本動かさず、
内容を把握する。
王族。
観測。
警戒。
そして——
間者派遣。
「……ふふ」
思わず、
微笑が零れた。
「想定通りね」
エレノアは、
軽く頬杖をつく。
「王族が
“説明不能”と口にした時点で、
もう後戻りはできない」
「人間の魔法だと
思っている限り、
あなたたちは
永遠に理解できない」
彼女は、
静かに告げた。
そして、
目を細める。
「間者を送る、ですって?」
「ええ、どうぞ」
「既に、
こちらからは
丸見えだけれど」
エレノア・レイベルンは、
ゆっくりと立ち上がった。
「さあ……」
「次は、
どこまで踏み込むつもりかしら。
“王族”さん?」
彼女の微笑みは、
もはや
貴族のそれではなかった。
——世界を管理する側の、
それだった。




