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レイベルン家・地下魔導儀式場(会談終了直後)

魔導陣の光が、

ゆっくりと消えていく。


通信の残滓が空間に溶け、

地下儀式場には、

再び静寂が戻った。


エレノア・レイベルンは、

軽くこめかみに手を当てる。


「……?」


ほんの一瞬。

軽い頭痛。


だが、

それは不快というより——

何かが“書き換わる前兆”のようだった。


次の瞬間。


——キィン。


金属音にも似た、

無機質な音が、

脳内に直接響いた。


「こちら、

 アーガスノルン・コーポレーション

 ノルンシステム

 広域実験場自動管理プログラムです」


エレノアの瞳が、

わずかに見開かれる。


声は感情を持たない。

だが、

圧倒的な“管理者側の視点”を感じさせた。


「識別コード A5941

 個体名、エレノア・レイベルンに対し」


「本社特別条項 第三条

 特例措置の適用を許可」


「実験場管理個体として、

 レベル変更を実行します」


頭の奥が、

熱を持つ。


視界の端に、

今まで存在しなかった

半透明の情報層が浮かび上がる。


「あなたの各種パラメータは、

 情報表示魔法

 **《ステータス》**により表示可能です」


「また、

 使用可能魔法の一覧、

 起動方法の設定変更については」


「**レベル5管理者権限魔法

 《コマンドエディタ》**により、

 表示および設定が可能になります」


エレノアは、

無意識に呟く。


「……見える……?」


文字でも、幻覚でもない。

理解そのものが、

直接流れ込んでくる感覚。


「なお、

 レベル5以上の魔法の一部は、

 体内マナの消費では贖えません」


「そのため、

 広域実験場内に存在するマナの

 自動消費を許可する仕様となります」


「ただし、

 それにも限界があります」


「慎重な運用を、

 心がけてください」


一瞬、

街全体が“資源”として

把握できる錯覚が走る。


「実験場内の

 マナ総量についても、

 《ステータス》画面より確認可能です」


「以上で、

 アナウンスを終了します」


——音が、

すっと消えた。


静寂。


エレノアは、

数秒間、

何も言わず立ち尽くしていた。


やがて、

小さく息を吐く。


「……随分と、

 やかましいわね」


だが、

その唇は——

確かに、

笑っていた。


「でも……」


彼女は、

ゆっくりと目を細める。


「これで私は、

 他の人間とは

 一線を画する存在になったわ」


貴族でもない。

王族でもない。


——管理者。


選ばれる側ではなく、

数値を操作する側。


エレノア・レイベルンは、

初めて理解した。


マナとは、

力ではない。


権限だ。

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