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王族の密議
王城の最上階。
「……やはり、限界が近い」
王女セレナは、手元の古文書を閉じた。
そこには、今や禁忌とされた単語が記されている。
Argus Norn — アーガスノルン
高度な文明であったとされる旧時代では、
世界最大の組織であり、民間企業と呼ばれる存在。
医療、エネルギー、通信、金融。
文明の基盤そのものだった存在。
そして今。
「人類、いやこの世界を統べるのが創世神ではなく、魔族、ですか。」
老いた宰相が苦く笑う。
「古文書にある、かの組織が我々を縛っているのです。
王宮魔術師達の観測からも人為的にこの世界に干渉する存在がいるのは明らかです。
我々、王族のマナ制御能力では、勝てません。」
セレナは窓の外を見た。
遠くで、都市警報が鳴った。
また一人、マナが尽きたのだろう。
セレナは確信していた。
この世界は、いずれ、必ず破綻する。




