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村からでて教えて貰った方角へ道なりに進んで行くが、道中ではたまに緑色のスライムがいるくらいで、他のモンスターには合わなかった。
遠くの方で鹿みたいな動物がいるのは見かけたけど、こっちに気がつくと離れていくだけで、危険はなさそう。
荷物をまとめてそのまま出てきたからお腹が空いてきたので、3時間ほど歩いた場所で休憩することにした。
「結構歩いたけど、ステータスのお陰か思ったよりも疲れないね。」
「そうだね。50キロも意外となんとかなりそうかも。」
荷物からお店で買ったフランスパンみたいなパンと干し肉を出して、切ってサンドイッチにする。
「道中でゲートを見つけられればベストだけど、見つけれなくても最悪次の村にはたどり着けそうだね。」
友希ちゃんがそう言って私が渡したサンドイッチを受けとりかぶりつく。
「露店のおばさんに聞いた感じだと、この辺では襲ってくるモンスターはホーンラビットとグラスボアがいるんだったけ?」
「ング?そうそう。でも、グラスボアはほとんど出ないって言うし夜にはどっちもうろつかないらしいから、気をつけるのはホーンラビットの方だね。」
友希ちゃんが頬張ったサンドイッチを呑み込んで、答えてくれる。
ラビット、うさぎさんかぁ。
出てきても倒せるかなあ。可愛いのはあまり攻撃したくないなあ。
そんな事を考えてると、友希ちゃんがジト目で見てくる。
「モンスターだからね。帰るまで身の安全第一でいかないと。」
「うぅ。分かってるよ~」
顔に出てたのか、完全に心読まれてる。
それからご飯を食べ終えて水筒から水を注いで、友希ちゃんにも渡す。
この水筒が今回買った中で唯一ファンタジーな代物で、この小さな水筒から何と10L程の水が出てくるのだ。
数日かけて移動するのに飲み水は必須だけど、その間の水を背負って移動するのは流石にキツイので、高かったけど泣く泣く購入。
しかも、10L使いきったらただの水筒になるらしく、使いきりなんだよね。まぁおうちに帰れたらもう要らないんだけど。
水を飲んだ友希ちゃんが、よっとと言って立ち上がる。
「まぁ、モンスターが出てきたら私がサクッとやっつけてあげるから、ほのかは心配しないで。」
そう言ってニコッと笑って、さー休憩終わり終わり~!と歩きだす。
私もコップに残った水を飲み干し、鞄に詰め直して友希ちゃんを追いかける。
それから二人で道なりに進む。
「こうしてると、なんか昔を思いだすね。」
友希ちゃんが私の前を後ろ向きである来ながら話しかける。
「昔?」
「そう、小学生の頃に通学路のショートカットを新規開拓だーとか言ってさ、畑や田んぼの畦道とか通ったりしてたじゃん。」
「あーやったよね。友希ちゃんどんどん先に進んで、着いてくの大変だったよ。他にも裏山のなかを探検したり。」
「そうそう。そう考えるとなんかワクワクしてこない?」
確かに、ちょっとワクワクしてる。
そうやって歩いていると、道の脇の草むらからなにかが動く音がする。
友希ちゃんが、ばっと音のする方に振り返り、村で買ったダガーを抜いて構える。
私もじっと音のした方を見て身構える。
またカサカサと音がして草むらからその原因が顔を除かせる。
頭に角を付けたうさぎだ。ただ大きさは中型犬程もある。
「か、可愛い~!」
思わず声が出てしまった。
駆け寄ってもふもふしたい気持ちで一歩前に出る。
うさぎもこっちに気付いたのか目が合う。
可愛いすぎる。
「ほのか、さがって!」
うさぎがこっちに向かって突進してくる。その角を向けて。
その間に友希ちゃんが身体を割り込ませる。
「ほのかは傷つけさせない!」
逆手に持ったダガーで角上から押さえるように受け止め、突進を止めようとするが、うさぎかが角を振り上げるようにダガーをはねのける。友希ちゃんが勢いに負けて尻餅を着く。
「友希ちゃん!」
とっさに私も前に出て、背負ってた鞄を振りかぶる。
うさぎは鞄を避けて後ろにさがる。
「ほのか、ありがとう。」
その隙に友希ちゃんも立ち上がる。
私も鞄を置き、村で買った剣を抜き構える。
角うさぎが再度突進してくる。
今度は友希ちゃんが避けざまにダガーで数度切りつけ、よろめいたところに私が剣を縦に振り下ろす。
剣がうさぎの身体に深く傷をつけ、淡い光になって消える。
「ふ~、突然飛び掛かって来たときは焦ったけど、冷静に対処すると結構遅くてホーンラビットも何とかなるな。」
「いや、私には少し速かったけど、友希ちゃんが脚とか切ってくれたからうまく当てれたよ!」
「ほのかは筋力高いからね。当たれば一発だよな。」
よしよし~と頭を撫でてくれる。
ホーンラビットのドロップはうさぎの角が一本と葉に包まれた小包、中はうさぎ肉?が1つ。
うさぎ肉、これって食べれるってことかな。
迷宮の不思議機能で肉は精肉されて、しかもなんかの葉に包まれてる。
「これ、拾っていった方がいい、よね?」
「あたしに聞く?まあ、とりあえず拾っていこうか。でも、次の村に着くまでに腐らないかな?それとも、食べてみる?」
ん~、うさぎ肉か。確か鶏肉みたいな味がするんだっけ。
ん~、ん~。うん。「後で考えよう。」
「ほのか、面倒になると後回しにするよな。」
うっ。そうだけど。
その後もスライムとホーンラビットが何匹出てくる。
スライムは友希ちゃん一人で、ホーンラビットは二人で協力して倒す。
日が暮れてきたので、道の脇に岩があって少し広い休めそうな場所でターフを張り夜に備える。
日が暮れるちょっと前から、薪を拾いながら進んできたけどあまり木が生えてなくて、長めの太い草が枯れて木の枝みたいになったものがほとんどだから、焚き火もすぐ燃え尽きちゃうかも。
それでも、一応明かり代わりに火をつける。
「なんか、キャンプみたいで少しワクワクするね。」
「ここがモンスターのはびこる迷宮の中じゃ無ければね。」
「ちぇ。友希ちゃんだってさっきワクワクするって言ってたじゃ~ん。」
頬を膨らまして抗議すると、膨らましたほっぺを人差し指でつつかれる。
「そう言えば、晩御飯どうする?うさぎ肉沢山あるけど、焼いてみる?」
「う~ん。明日か明後日には次の村に着く予定だけど、日持ちのする干し肉は節約して、うさぎ肉焼いてみようか。」
早速肉を枝に刺して、うさぎ肉を焼いてみる。
「バーベキューみたいだね。こう、ぐるぐる回すやつとか欲しくなるよな。」
友希ちゃんがぐるぐる廻すジェスチャーしながら言う。
上手に焼けましたーとか言ってるし。
焼けた肉を、昼にも食べたパンに挟んで食べる。
パンも火を通しているから、熱々で美味しい。
「うさぎ肉、なかなか美味しいね。鶏肉みたいで。」
「な!意外と美味しいな!これ好きかも!」
友希ちゃんテンション爆上がりだ。
ご飯も食べ終わり、未だ眠るには早いのでおしゃべりして時間を潰す。
「そう言えばさ、ほのかのスキルってどうやって発動するの?」
「え?どうなんだろ?安眠は寝てると発動するのかな?自分でオンオフとか出きるのかちょっと分からないや。」
「へ~、所謂パッシブってやつかな?そんなのもあるんだね。」
「友希ちゃんはワイヤーアクションってやつだよね、それは?」
「あー、これね。」
そう言ってかざした手からワイヤーが射出される。
「これは魔力消費で手からワイヤーが出せるの。で、なんと射出した先に、空間でも何でも取り付けることが出きる!100メートルまでなら伸ばすのも巻き取るのも自在で多少弾性もあるからバンジーにも使えるかも!」
「すごいね!スパイダーマンごっことかできるよ!」
へっへーん!と胸を張る友希ちゃん。
「でもね、これには落とし穴があってだね。耐久性が魔力×20キロしか無いんだよ。私の魔力3しかないから耐久性60キロなんだよね。」
「友希ちゃん、初期値の魔力低かったもんね私も低いけど。」
「だから、そっとぶら下がる分には大丈夫だけど、勢いよく体重かけたり動きを付けたりしたら切れちゃうの。まぁ、余分にMPを込めれば耐久性上げられるらしいけど。でも、それでもたぶん2回の使用が限界かなー。」
あまりギリギリの耐久性にして、いざと言う時にワイヤーが切れても困るしね。肩をすくめて言う。
「でも、便利なことには代わり無いよね。足止めとかトラップとかには使えるかも?」
「確かに。明日は使ってみようかな。」
そんな事を喋ってるとだんだん薪が燃え尽きてきて、明かりも薄くなってくる。
「まだ早いけど、日が消えそうだしそろそろ寝よっか。」
そう言って友希ちゃんはターフの方に向かう。
私は火の始末をしてから一度周りを見渡してターフに向かおうとした。けどなんかさっき違和感が?
もう一度周りをみる。
すると、道から離れた奥の方に、岩影に隠れてうっすら青い光が見える。
「友希ちゃん友希ちゃん、あれなんか光ってない?」
「ん~?どれ?」
一度ターフに入ってた友希ちゃんが出てきて指差す方向をみる。
「ん、確かに青色に光ってるね」
「あれって、入ってきたゲートのアーチの光に似てない?」
「確かに。」
そう、昨日迷宮に入るきっかけになったアーチも青い光を放っていた。
「行ってみる?」
「いや、明日の朝にしよう。夜だと暗くて周りが見えないし何かあると危ないから。」
もしかしたら帰れるかも、と言う気持ちが逸って今確かめに行きたいけど、友希ちゃんの言う事も最もだ。
後ろ髪を引かれる思いだけど、今日はそのまま寝ることにした。
でも、気になって、こんな状況だし寝付けないよ。
と思ってたら朝でした。
ぐっすり安眠してたみたい。
「おはよ、ほのか」
「おはよ~、友希ちゃん」
どうやら友希ちゃんはまた私より早く起きてたみたい。
「朝ごはん、食べる?」
そう言ってパンとリンゴを出してくれる。
「うん。食べる。」
ご飯を食べてると目もシャッキリしてきた。
「ご飯食べて準備できたら、昨日の光のとこに行ってみよっか。一応何があるか分からないから、用心して。」
「うん。」
それから出発の準備をして、リュックを背負い、道から外れ昨日の光のとこに向かって進む。
奥に行くと結構丈の長い草が生えていて、視界が悪い。
スライムくらいなら気付かなくても踏み潰して倒せるけど、ホーンラビット出てきたら面倒なことになる。
一応、体力も頑強もあって素早い友希ちゃんが前を進んでくれてるけど、私は体力も頑強も少ないから不意討ちが怖いんだよね~。
昨日見た岩の近くまで来た、昨日は暗かったし遠目だったのでよく見えてなかったけど、岩じゃなかった。
「なんか壊れた遺跡の一部みたいな感じだね。」
前を歩く友希ちゃんに話しかける。
「そうみたいだね、帰還用のゲートあっても良さそうな雰囲気…」
言いかけて友希ちゃんが立ち止まり黙る。
「どうし…」
「しっ」
何があったんだろう。
人差し指で黙るようにジェスチャーして友希ちゃんがしゃがんだので、私も慌ててしゃがむ。
「足音が聴こえる。動物みたい。」
私も耳をすます。確かに何か歩く音が聴こえる。
「見てくる。」
そう言って友希ちゃんがゆっくり遺跡の方に近づく。
遺跡の端まで行き、此方からは死角になってる向こう側を覗いてる。
暫く様子をうかがって友希ちゃんが帰ってくる。
「奥の方にゲートがあった。けど、そこまでの経路に猪みたいなモンスターが3体いる。たぶんあれがグラスボアだ。」
ゲート。そこにはいれば家に帰れるかもしれないけど。
「どうする?」
「とりあえず、猪を倒せないかあたしが様子みてみるよ。あたしは敏捷高いから。それに体力も頑強もほのかより高いしね。」
「じゃあ、私はどうすれば良いかな?」
「ほのかは隠れてて。」
確かに友希ちゃんの方が私より速いし、運動神経も良い。ステータスとかなくても、全然私より強いけど。
でも、最初の村の露店のおばさんもグラスボアはこの辺じゃ危険なモンスターだって言ってたし。
「そんな心配そうな顔しない。」
友希ちゃんが私のほっぺをムニムニ引っ張る。
「うう。」
それから、ほっぺから手を離して私の頭に手をのせる。
「ダメそうならちゃんと逃げるし、大丈夫だよ。」
「無理しないでね。」
「大丈夫だって。じゃあ行ってくるね」
――友希サイド――
ほのかをこの塔にまきこんだのはあたしだからね。できるだけ早く家に帰さないと。
ちょっと後先考えなさすぎたかな。
帰ったらお母さんや美琴さん(ほのかのお母さん)に怒られるな。今回は流石にタケちゃんもかばってくれないかも。
さて、猪は3体だけど一体はゲートの周辺にいて、もう2体少し離れてた場所、そこまでの道を塞ぐ感じでいる。
できるなら1体だけ相手にしたいけど。
とりあえずそのへんの小石を手に取って右奥に投げてみる。
ガツンと音をたてて遺跡の壁に当たり、猪の一体がそっちを見て耳をひくひくさせる。
けど、移動はしてくれないのな。気は引けるけど一瞬って感じか。
「よし」
壊れた遺跡のまだ残っている高台に登る。
ここからさらに上に跳び、ほぼ真上の死角から攻撃すれば死角となるはず。
呼吸を整え、手前にいる2体のうち一方に狙いを定めてジャンプする。
そしてうえに向けて魔力を込めた「ワイヤーアクション」を出し、巻き取る要領でさらに高く上がる。
そこから、自由落下で猪に向かい、ダガーで頭から切りつける。
着地後動きを止めず、半回転し勢いをつけながら前足を切りつける。
「硬っ!」
結構力も込めて切りつけたが、猪の硬い毛皮のせいか、軽く切り傷がついた程度だ。
すぐ後ろに下がり、今度はもう一匹の方へ駆け出す。さすがにもう一匹もこっちを把握して、攻撃を仕掛けようと頭を下げて構える。向こうもこちらに突進し、あたまを突き上げるように攻撃してくるが、それに合わせて跳び回転を加えて目にダガーを突き刺す。
さすがに目は固くなく、固めを潰すことに成功した。
そのまま奥のもう一匹に視線を向けるが、こっちに来る様子はない。ゲート前の猪は近づかなければ襲ってこないのか?
これで二匹の動きを制限する事に成功したはず。
ただ、最初の一体の前足のダメージが心もと無いが。本当は最初の一撃で首もとを切るか、足の腱を切れれば良かったんだけど、仕方ない。
思った通り、今のあたしのレベルでも敏捷の高さでなんとか立ち回れる。筋力が無いからダメージは期待できないけど。
ダガーを構え、二匹の出方を見る。
目を潰された方の猪が、雄叫びを上げ突っ込んでくる。
「結構速いな!」
さらに後ろにもう一匹いる状況で正面切って迎え撃つにはちょっと怖いから、あたしも反転して後ろの遺跡に向かって走る。
後ろから追いかけてくるのが足音で分かるから、壁ギリギリで追い付かれるかどうかと言う速度で駆け、速度を落とさず壁に向かって跳び、駆け上がって宙返りする。
案の定片目が潰れた猪は壁に激突する。
もう一方の猪が上体を起こすと前肢を地面に叩きつける。するとそこから地中を何かが進んだいるみたいに掘り返された土が着地地点に迫ってくる。
「ヤバッ!」
とっさに最初に出したまま上空に繋がれていた左手のワイヤーを引っ張る。
ワイヤーは引っ張った拍子に切れてしまったが、着地点はずらせた。着地地点横1メート、最初に着地する予定だった付近の地面から牙が生えるように土が突き上がり、身体を掠める。
「いっつ!」
ヤバすぎでしょ。避けなければ串刺しだよ。
何これ、猪のスキルか魔法?
後ろからも瓦礫を飛ばす音が。
振り返るとさっきの片目になった猪が出てきたら音だ。
自滅ダメージが結構は入ったかなと思ったけど、全然元気だ。
「うひゃ~、見た目どおりタフだね」
戦えそうだけど、あたしじゃ倒せないかも。
仕方無いので、再度ワイヤーを出しジャンプの補助をして、最初の場所まで待避する。
ほんとこのスキル便利。だけど、MPが殆ど無いのでワイヤーは打ち止めだ。
猪達はこちらの様子を暫く窺った後、もとの場所まで戻っていった。
ステータスを確認すると、HPは一割程削られてる。見た目傷は付いてないんだけど、掠っただけでこのダメージか。まともに入るとどれくらい持っていかれるんだろ。
「一定距離からは離れないのかな?縄張りに入ってきた場合だけ攻撃するとか?
う~ん。どうするかな。アタシじゃ攻撃あまり通らなそうだし。一か八かほのか抱えてゲートに飛び込む?」
でも、モンスターがゲートを通れないとは限らないし。
諦めて安全に次の村目指した方が良いかな、これは。
「う~ん。」
「お困りかね?友希ちゃん。」
「え?」
いきなり後ろから声をかけられて、振り向くとほのかが登ってきていた。
「私に良いアイデアがあるよ」
ふっふ~ん。と、腕を組んで自身ありげにほのかが告げた。




