第44話:最終決戦:愛の抑止力
_____________________
1. 竜人の暴走とテイム能力の臨界
戦場に残るは、制御不能に暴走する最終兵器「竜人」のみ。ミストの武力中核が壊滅したことで、竜人は純粋な破壊衝動の塊となり、セーフハウスの庭園を無差別に蹂躙していた。
悠真は、暴走する竜人を見据え、自らのテイム能力を最大限に集中させた。
「あとは、こいつだけだ。行くぞ、みんな」
悠真の身体から溢れ出す支配力の奔流は、以前のような狂気的な暴走ではなく、理性を伴った、静かなる力へと進化していた。彼は、マヤの悲劇的な愛を通して、優しさを理知的に制御する方法を学んだのだ。
ルナの遠く離れた司令室からの理知的な愛の声が、悠真のインカムに静かに響いた。
「志藤様! 最終局面です! クロエの最終解析データを受け取り、竜人のテイムを完了させなさい! 私たちの愛の全てをあなたに捧げます!」
クロエは、司令室のメインモニターに竜人の弱点を表示させながら、最大限の援護を送る。
「志藤様! データは示しています! 竜人の制御点は首元の継ぎ目! テイムの成功率は50.7%! この狂気に終止符を打ちます!」
悠真は、一言の返答もせず、全てのデータを静かに受け入れた。そして、テイム能力の行使を開始する。
_____________________
2. メイの決死の復帰と七人の愛の鎖
悠真は、クロエから送信されたデータに従い、支配力を竜人の首元の継ぎ目に集中させる。しかし、竜人の抵抗は強烈で、テイムの成功率は50.7%から上昇しない。
「くっ……支配力が弾かれる! 何かが足りない!」
その時、戦場に予期せぬ、そして待望の光が出現した。
療養室で眠るはずだったメイが、血に濡れたパジャマ姿のまま、傷だらけの体で庭園に降り立ったのだ。彼女のサイボーグボディはまだ、修復の途中だった。
「悠真せんぱい……! 独占は、メイの使命です!」
メイは、超高速体術の駆動系を強引に再起動させる。
「Code: Hyper Impulse(超衝動開始)!――トランスフォーム!!」
その瞬間、血に濡れたパジャマ姿のメイの身体が、虹色の光に包まれた。ナノレベルの粒子となって分解されるパジャマの残滓を背に、漆黒のフリルと純白のラインを持つ戦闘用メイド服が、彼女の小柄な体躯を瞬時に覆い尽くした。ツインテールが風になびき、両手には二丁SMGが自動で装備される。
メイは、愛の独占欲がその限界を突き破ったまま、制御不能の竜人に向かって、最後の力を振り絞り、二丁SMGを連射する。
「ツンデレ・デストロイヤー! 悠真せんぱいを独占するのは、メイの特権です!」
メイの復帰と決死の攻撃が、竜人の意識を一瞬だけこちらに引きつけた。
「メイ! お前……無茶をするな!」
「悠真せんぱい! 今、無理をせず、いつすればいいのですか!? 今こそ、メイの見せ場なんですよ!!」
不完全な状態での換装。メイの身体から激しく火花が飛び散る。
悠真の心に響くのは、メイの命がけの愛。七人のメイドの愛が、悠真の支配力を最終の臨界点へと押し上げる。
ルナが、インカム越しに涙を滲ませながら叫んだ。
「悠真さん! 今よ! 私たち七人の愛の絆を竜人に刻みなさい!」(ルナ
「そうよ、悠真くん、私たちの愛を受け取って!!」(アリス)
「ふふふ、悠真さんは愛されていますから!!」(ソフィア)
「ふん! 私は、ソフィア姉さまといつも共にある! さぁ、遠慮なく使ってくれ!」(アベル)
「し、仕方ないわね、志藤様に私の力を預けるわ」(クロエ)
「し、志藤様に私のすべてをお渡しします……きゅん」(ララ)
口々に伝わってくる七人のメイドの愛の独占欲が、青白い光の鎖となり、暴走する竜人の全身に巻き付いた。
_____________________
3. 支配力の最終進化と竜人のテイム(愛の臨界点)
悠真のテイム能力と、竜人の抵抗の力が激しくぶつかり合う。
庭園全体が青と黒の光に包まれ、空気がねじ切れるような共鳴音が響き渡る。
悠真は、理性を伴った支配力を最大に解放する。
「俺は、みんなの優しさと愛を信じる! 俺の支配は、狂気ではなく、優しさだ!」
悠真の優しさの奔流が、竜人の制御不能な魂に語りかける。竜人の制御点に集中した青白い光が、竜人の黒い装甲を内側から貫通しようと試みる。
竜人は、苦痛に満ちた咆哮を上げ、激しく身もだえていたが、やがて、静かに、その動きを止めた。
竜人の全身から、青白い光が溢れ出し、悠真の支配力に服従を示唆する。
そして、ゆっくりと悠真の前にひざまずいた。
悠真は、賭けに勝ったのだ。竜人のテイムに成功したのだ。
竜人の制御を失ったジーナは、残された片腕で地面を叩きつけ、狂気の絶叫を上げた。
「バカな! 愛の感情に、私の結界が負けただと……! ありえない!」
ジーナは、悠真の優しさという非合理な力に敗北し、血を吐きながら瓦礫に沈んだ。彼女は瀕死の重傷を負い、拘束を受け入れる。
悠真の支配力は、竜人をテイムし、世界の命運を握る、真のヒーローとして完全に覚醒した。
ルナは、司令室で涙を流しながら、勝利を確信した。
「志藤様……私たちの愛は、狂気に打ち勝ったわ」
_____________________
4. 戦闘の終焉と愛の証明(ララの感情の進化)
竜人のテイムとジーナの拘束により、最終決戦は終焉を迎えた。
悠真は、力なく倒れ込んだメイに駆け寄る。
「メイ! バカ! 無茶をするな!」
メイは、全身からオイルと火花を散らしながらも、ツンデレな笑顔を浮かべた。
「う、うるさいな……悠真せんぱい。言ったでしょう……独占は、メイの特権です。あなたの隣は、誰にも渡さない……」
悠真は、涙を流しながら、メイの小さな体を優しく抱きしめた。
その直後、情熱的なメイドであるアリスが、メイに駆け寄る。彼女の顔は涙と歓喜で濡れていた。
「メイちゃん……! バカ! もう……! 独占は、それでも、私はゆずらないんだからね!」
メイは、かすれた声で反論した。
「アリスせんぱい、ケチですぅ」
「うっさいわね……、ばか」
アリスは、泣きながら苦笑いを浮かべ、メイの隣に座り込んだ。
その直後、理知的なメイドであるララが、冷静な表情を崩壊させ、メイに駆け寄った。
ララは、メイの血に濡れたパジャマと駆動系の損傷を見て、論理的な判断を超えた、感情的な怒りを爆発させた。
「メイ!! あなたは……バカですか! 治癒の効率性を考慮すれば、療養に専念すべきなのに、なぜ……!」
ララは、涙を流しながら、論理的な言葉では表現できない怒りと悲しみをメイにぶつけた。
「あなたの行為は非効率の極致です! わたくしの理知的な愛のサポートを無駄にしないで!」
メイは、ララが泣いている姿に驚き、かすれた声で笑った。
「ララ……あんたも泣くんだ……ふふ」
ララの涙は、彼女の理知的な愛が仲間への情愛へと進化した証明だった。
ルナ、アリス、ソフィア、クロエ、ララ、アベル、そしてメイとの七人の愛の絆が、ミストの狂気に打ち勝ち、悠真を真のヒーローへと導いたのだ。
愛の抑止力の最終証明は、ここに完了した。
ぜひご感想をお寄せください。
また評価とブックマークもしていただけると嬉しいです!!




