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ムの青年  作者: 兎と鴉
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ムの青年 第1章 信頼

現代ファンタジー!

長いけど最後まで見て行ってくださいな!

小鳥が囀り、木々が揺らめき、音を立てている。

そんな自然の中に存在する遺跡の中に僕はいる。

僕はいつも1人でここに座っているが、今日は珍しくお客さんが来ている。

しかも僕の目の前で屈んでいる。


?「僕に何か用事があるの?」

?「えっととりあえず自己紹介しましょうか…私の名前は宴華竜冥…あなたのお名前は?」

?「レリチア・リベラティ」

竜冥「レリチア君ですね」

レリチア「それで…君は僕に何か用事でもあるの?」

竜冥「いえ…久しぶりに外の空気でも吸おうと思って外に出て少し散歩をしていたら、ここに着いただけで、あなたに用事はありません」

レリチア「そう…それじゃ」

竜冥「なんでここにいるのですか?」

レリチア「ここは僕の家だ」

竜冥「家出でもしたのですか?」

レリチア「違う、まず僕に家族はいない」

竜冥「お亡くなりになられたのですか?」

レリチア「違う、まずそもそもとして僕の親はこの世に存在しない」

竜冥「じゃあどうやって生まれてきたのですか…」

レリチア「僕は人間じゃない」

竜冥「人間じゃ…ない?」

レリチア「そう」

竜冥「……じゃあ何者ですか?」


僕は近くに落ちている尖った石を拾い、自分の腕に突き刺す。


竜冥「あ……」

レリチア「これでわかってもらえたかな?」


彼が驚いているのが見ただけでわかる。

当たり前だ。なぜなら、腕から血は流れずに傷が治ったのだから。


竜冥「確かに人間ではありませんね」


そう言って立ち上がる。


竜冥「1人暮らしなのですか?」

レリチア「あんまり驚かないんだね」

竜冥「えぇ…まぁ…それより質問に答えてください」

レリチア「そうだね、1人暮らしだ」

竜冥「じゃあ私のところに来ませんか?」

レリチア「君は何を考えているんだ?」

竜冥「おかしいですか?」

レリチア「初対面なのにいきなり、私のところに来ませんか?はおかしい」

竜冥「そうなのですね…ずっと研究に没頭していたから感覚が麻痺してるのかもしれません」

レリチア「まぁ…でも…やることもないから良いよ」

竜冥「それじゃついてきてください」


竜冥と名乗る男は後ろを向き、歩き出す。

それについて行く。


レリチア「ねぇ、一つだけ聞いて良い?」

竜冥「一つだけではなく、たくさん聞いても良いですよ」

レリチア「なんで僕を連れて行こうと思ったの?」

竜冥「単純に気になったのと罪滅ぼし…ですかね」


そう言うと少しだけ寂しげに上を見上げた。

遺跡から出たおかげで、竜冥と名乗る男の姿がはっきりと見える。

黒のステンカラーコート

黒のクロップド

白のシャツ

黒の革靴を身につけている。

瞳の色は黒色、髪の色は灰色、全体的に黒色の服を身に纏っている。


レリチア「深くは聞かない」

竜冥「ありがたいです」

レリチア「でもいつか教えてもらう」

竜冥「その間に私が死ななければ良いですよ」


〜移動中〜

あれから結構な時間が経過した。

その証拠に日がかなり傾いている。


レリチア「少しって言ってた割にはかなり長いね」

竜冥「ずっと研究していたから時間感覚が麻痺してるのかもしれませんね」


そんなこんなで視界から自然が消え、その代わりに辺りにはたくさんの建物が目の前には広がっていた。

そこから数十分歩いているうちにある一つの建物についた。


竜冥「ここが私の研究所です」

レリチア「意外と大きいね」


もしかしたら凄い人なのかもしれない。


竜冥「そうですか?」


本当に色々な感覚が麻痺してるのじゃないか?


レリチア「少なくとも周りの建物と比べたら凄く大きい」

竜冥「まぁ確かにそうですね」

レリチア「研究って言ってるけど何の研究してるの?」

竜冥「不死身になる方法ですかね」

レリチア「なんでそんなこと研究してるの?」

竜冥「罪滅ぼしですかね」


過去に何かあったのは明白だけど、聞く気にはなれない。


竜冥「それでは入りましょうか」

レリチア「うん」


建物の中には人はいない。竜冥は自分の羽織っていた服をハンガーにかけて、席に座る。


竜冥「とりあえずレリチア君…お風呂に入ってください」


今の僕は臭いのかな?いつも水浴びしてるから大丈夫だと思っていたがそうは行かないらしい。


レリチア「わかった」


〜入浴中〜

この建物なんでもあるな…そうして髪を拭きながら竜冥のところに行く。


竜冥「そこに座ってください」


僕は指定された席に座る。


レリチア「この建物には君以外いないの?」

竜冥「基本的には私1人ですね」


研究は1人でやっているのか。


竜冥「まぁこの研究所は私の物なので当たり前なのですが…」

レリチア「ずっと1人でここにいるの?」

竜冥「たまに私の組織の方々が来るぐらいで、その他は基本1人です」

レリチア「組織?」

竜冥「そうです。私はある組織のリーダーでしてね。他の人は私の組織の本拠地にいます」


つまりその組織の主というわけか。


レリチア「とてもでかい組織のところに来てしまった」

竜冥「ここで一つ頼み事なのですが…レリチア君も私の組織に加入しませんか?」


展開が早すぎやしないか?

まぁやることもないから良いけど…


レリチア「良いけど…君にとって僕はまだ出会って間もない輩だ。そんな奴を加入させて良いの?」

竜冥「別に良いですよ。私がリーダーなので」


なら良いが……


レリチア「ねぇ君の組織って何をしているところなの?」

竜冥「主に政府の手助けですかね。研究だったり救助だったり…他には…」

レリチア「もう大丈夫…」


とんでもなくでかいところに来てしまった…


竜冥「それとレリチア君、上着を羽織りましょうか」


なんで?と思ったが当たり前か…僕の今の格好は

黒のカーゴ、黒のシャツのみで裸足だ。


竜冥「とりあえず色々と用意しましょうか」


そう言うと立ち上がり、ステンカラーコートを羽織る。


レリチア「どこ行くの?」

竜冥「レリチア君の上着と靴を買います。ついてきてください」

レリチア「わかった」


僕も立ち上がり、竜冥について行く。


〜移動中〜

竜冥「その服ってどうやって入手したのですか?」

レリチア「遺跡の近くの川に流れついていたのを拾って身につけている」


前まで来ていた服は焚き火の材料にしたな…


竜冥「つきました」


なんて書いてあるのかわからない……

ずっと山の中にいたから、字とかそういうのが全くわからない…

まぁそんなことはどうでも良いか。


レリチア「まずは靴?」

竜冥「そうですね」


そう言って中に入って行く。僕もそれについて行く。

中はかなり綺麗だ…


竜冥「とりあえず足のサイズを測って…」


そう言って、店員さんを呼びサイズを測り、それに合う靴を探す。


竜冥「何か欲しい靴はありますか?」

レリチア「じゃあ…これ…」

竜冥「黒のブーツですか…良いですね…それでは後は靴下と上着とシャツとズボンですね」

レリチア「いくつかもう持ってるけど」

竜冥「その服拾い物なので汚いんですよ。それと、お風呂場に変えの服を置いといたはずなのですが……」

レリチア「あれ来て良かったんだ」

竜冥「まぁもう良いですけど…もう一回入ってもらいますからね…汚い服をまた着るから…」


こいつは僕の母親か?


〜移動中〜

今度は服屋に来た。


竜冥「とりあえず、シャツとズボンはオッケーですね」

レリチア「全く同じものがあるとは思わなかった」


黒のカーゴと黒のシャツ、ズボンの方は裾が白色になっている。


竜冥「あとは上着ですね…どれが良いですか?」

レリチア「これ」


ズボンと似ているデザインのものにした。


レリチア「黒のPコートですか…真っ黒ですね」


〜帰宅中〜

そして今はまた風呂に入り、買った服を着てみた。

下着とか靴下とかも買ったのでそれらを着用した。


竜冥「良いですね、似合ってますよ」

レリチア「ありがとう」

竜冥「これからよろしくお願いします」


そう言って握手を求めてきたので握り返す。


竜冥「……レリチア君…君は全く笑いませんね…というか顔を全く変えてない…」

レリチア「あるときからずっと無感情なんだよ」


〜一ヶ月後〜


竜冥「来月からレリチア君には学校に通ってもらいます」


そう言われたのは、竜冥と一緒に住み始めてから一ヶ月経った頃だった。

今の世の中についていくつかわかったことがあるが、今はそんなことより、学校というワードについて聞きたかった。


レリチア「学校って何?」

竜冥「え?」


そう、僕は学校というものを知らない…

当たり前だ…基本的にはあの遺跡で暮らしていたのだから…


レリチア「僕はずっと遺跡にいたんだから…そんなの知らない」

竜冥「……まぁとりあえず…学校というのは様々なことを学ぶところです」

レリチア「そうなんだ…それで僕は学校に行って何をするの?」

竜冥「色々と学んでもらいます」

レリチア「それだけ?」

竜冥「はい、一ヶ月レリチア君と一緒に過ごしていましたが…レリチア君には常識とかそういう類のものが全くありません…そういうことで学校に通ってもらいます」

レリチア「わかった」

竜冥「ついでに学校で愛想も学んできてください」

レリチア「愛想?」

竜冥「愛想というのは誰かに優しくしたりするとこです」


僕は優しくないらしい…


竜冥「私の組織の方々から少し苦情が届いてましてね…」

レリチア「どんなこと?」

竜冥「レリチア君は協調性がないだとかなんとか」


中々の言いようである。


竜冥「まぁそういうことで、色々と学んできてください…もう手配は出来てるので頑張ってください」



〜一ヶ月後〜4月〜

ということで、学生になってしまった。

今日は始業式というものらしい。

竜冥からはとりあえず静かにしていてと言われているので、できるだけ音を立てずに過ごそうと思う。

ちなみに今は学校の前にいる。

僕は歩みを続け、中に入って行く。

そこからはすんなりと移動していき、今は校長と呼ばれている人が喋っている。

春がどうのこうの、君たちの未来がどうのこうの…

適当に聞いているうちに始業式は終わった。


今は自分の教室に行き、担任の先生とやらの話を聞いている。どうやらまず自己紹介をするようだ。

ちなみに僕は5組だ。

ここの教室にいる一人ひとりにどうやら番号が振られている。1番から自己紹介するようだ。

適当に自己紹介を聞き流しているうちに自分の番がやってきた。


レリチア「レリチア・リベラティ……………です」


名前だけ言って座ったら、周りから凄く見られた。


先生「レリチア君…出来れば趣味とか好きなこととかも言って欲しいな」


趣味…………無いな…

僕はもう一度立ち上がる。


レリチア「趣味も好きなこともな…ありません」


僕は座る。すると次の人が自己紹介をする。

それも適当に聞き流しているうちに、学校は終わっていた。

もう帰っても良いのだが…少しだけ探索をすることにした。

今のうちに何がどこにあるのかということを把握しておこうと思う。竜冥も色々と把握することは大切と言っていたから、一応しておこうと思い、今行動している。


〜探索中〜


一通り見て回った…とりあえず…帰ろう…

そう思い、学校を出て、帰路に着く。


〜移動中〜


レリチア「……ただいま」

竜冥「意外と遅かったですね」

レリチア「そうかな?」

竜冥「始業式だけなので早く帰ってくると思っていましたよ」


僕は台所に行き、冷蔵庫を開け、パンと書かれた袋と、ジャムと書かれている瓶を取り出す。

最近になって文字が読めるようになった。

漢字は簡単なものしか読めないが、日常生活において、必要な文字は読めるようになった。

そして僕はパンを焼き、ジャムを塗り食べる。

朝ご飯を食べていなかったので、お腹が空いていた。

とても美味しい…基本的には魚をとって焚き火で焼いて食べていたから、こういう新しいものはとても新鮮で美味しく感じる。


竜冥「レリチア君、行ってもらいたい任務があるのですが…お願いできますか?」

レリチア「良いよ」


そして、僕はパンを食べながら任務内容を聞く。


〜夜〜

僕は任務を終わらせるため、その場所に来ていた。

といっても人目につかない廃墟だ。

ここの中に標的はいるらしい…

そして、今回の任務はその標的の"抹殺"だ。

そう、僕の所属している(名前は聞いたけど忘れた)組織、政府の手助けとは他にこういうこともしている。

物騒な世の中である。

そんなこんな考えているうちに、標的を見つけた。

暗くてよくわからないが、おそらく標的だろう。


標的「お前何者だ‼︎」

レリチア「………」


こういう質問は困る…なんて答えたら良いのかわからないから….

そのとき、標的は僕を殺そうと走ってきた。

右手にはナイフを持っている。

僕は相手の攻撃を後ろに下がり、回避をする。

見た感じ、単なる強盗だ。

後ろの方を見ると、標的の盗んだものであろうものがあることがわかる。

特段強くもなさそうなので、すぐに終わらせることにした。

僕は地面を蹴り、標的に素手で立ち向かう。

標的の右手の手首を掴む、すると標的は左手で殴ってくる。

だけど、その拳を片方の手で掴み、そのまま、右足を上げ、標的の顔を下からおもいっきり蹴り上げる。

すると、標的は撃沈する。これで一件落着…

最初の頃は相手にどう立ち向かえば良いのか全く分からず、棒立ちだったが、今となってはこれだ。

成長したことがすごくわかる。

まぁそんなことはどうでも良いか…

僕は標的を引きずりながら、その場を後にする。

標的を組織の人に預けて、僕はその場を後にする。

後から気づいたのだが…

盗んだものを回収するのを忘れていた……

それについて、組織の人に怒られた。

幸いにも現場に盗まれたものは残っていたので、回収はできたそうだ。


〜朝〜

竜冥「任務お疲れ様でした」


などと言いながら私はそこにいるレリチア君に話しかけるのと同時に鼻に美味しそうな匂いが漂ってきた。

机を見ると、料理が置いてあった。

なんて久しぶりに見る光景なのだろうか……

そんなことよりも…


竜冥「レリチア君…これは…」

レリチア「ダメだったかな?」

竜冥「ダメではありませんが…レリチア君…料理できたのですね」

レリチア「当たり前だ…何年一人暮らしだと思っているんだ…竜冥の分もあるよ」


机を見ると確かにもう1人分の料理がそこにはある。

私は席につき、合掌をしてから、食べ始める。


竜冥「いただきます…………美味しい」


驚いた……意外と美味しい……


レリチア「そう…良かった…久しぶりに作るから…少し心配だったけど、美味しいなら良かったよ」


〜食事中〜

レリチア「ごちそうさまでした」


そう言ってレリチア君は食器を片付けて、どこかへと消える。

歯磨きでもしているのだろう。

そのうちレリチア君は、戻ってきて、自分の部屋へと向かう。

数分後戻ってくる。バックを持っているところを見ると、学校に行くことがわかる。

あの学校の凄いところは、指定の制服がないところだ。

自分で好きにカスタムできる。

といっても、その提案をしたのは私なのだけど……

そして、レリチア君の制服は買ってあげた服と全く同じものだ。


レリチア「それじゃ…行ってきます」

竜冥「いってらっしゃい」


そういうと、ドアを開けて、学校に行った。

ドアが閉まるのと同時に、台所を見る。

なんと悲惨な現状なのだろうか……

色々とやりっぱなしである。

まぁ作ってくれたお礼で片付けては上げます。

次からは片付けるように言っておこう。

そしては、私は朝食を食べ終え、片付けに取り掛かる。


学校に通い始めてから1ヶ月が経過した。

学校というのにも大分慣れてきた。

そんな僕は今学校の自分のクラスで本を読んでいた。

いくつか読めない文字があるから、ノートに書いて後で調べることにしている。

本当は辞典などを持っていたら良いのだが、生憎とそんなものを持ってはきていない。

そして僕は字を書けるようになっだ。

まぁめちゃくちゃ読みにくいけど……竜冥曰く一応認識はできるらしい……

まぁそんなことはどうでも良いか…

などと考えているうちに学校が始まった。


現在昼休みと呼ばれている時間帯。

周りの人々はお弁当を食べ始めている。

僕はお弁当を持ってきてないのでどうしようかと考えている。

まぁ良いか…別に食べなくてもエネルギーは確保できるからね。

そして僕は教室を出て、外に出る。

そこで僕は上着を脱ぎ、近くに置く。

そして、僕は腕を大きく広げ、そして、外の空気を吸収する。

そのとき、僕の身体のいくつかの場所が開き、空気を取り込む。

数秒後、空気を吸い終わり、開いた場所を閉じる。

これについてはいつか説明しよう。

そして、僕は教室に戻ろうと階段を登ろうとしたとき前から誰かがやってきた。

顔は大量に積まれているプリントみたいなものでよく見えない。

僕は通り過ぎようと思ったが、竜冥との会話を思い出し、通り過ぎるのをやめた。


レリチア「あの…手伝いましょうか?」

?「……え…私?」

レリチア「いや…あなた以外いないでしょう…」

?「そ……そうだよね………大丈夫ですよ」


どう見たって明らかに大丈夫じゃないので手伝うことにした。

僕はプリントの半分を勝手に持ち上げて、抱える。


?「え……ありがとう……ございます」


そして、僕は彼女の顔を見た。

とにかく白い。

肌も髪も瞳も全部真っ白…

真っ白過ぎて、血管が少し見えるぐらいには真っ白だ…


レリチア「これ、どこに運べば良いのですか?」


竜冥から相手と話すときの姿勢を教わっているから、その通りに話す。

相手の目を見て、背筋を伸ばし、はっきりと喋る。


?「…職員室です……」


だけど、相手は頑なに目を見ようとしない…目を背けている。

そんなことは良いとして…職員室ってどこだっけ…

昨日見て回ったはずなんだけど……

まぁ忘れてしまったのなら仕方がない…


レリチア「わかっ…わかりました…」


そして、歩き出す。僕はどこにあるかわからないので、彼女の少しだけ後ろを歩く。

到着したのか、プリントを置く。

それに合わせて僕もプリントを置く。


?「えっと…ありがとうございます」

レリチア「感謝は一回で良いよ」

?「はい…それでは…」


そう言って去って行った。


〜放課後〜

放課後、僕は図書室に来ていた。

司書さん以外誰もいないのか、それとも死角になっている部分にいて見えないだけなのか、人気が全くない。

とりあえず僕は奥に行き、席に座った。

端っこの方を見ていると誰かいた。

死角に誰かいたらしい。

すると、その人も顔を上げ、こちらを見てきた。

よく見たら、今日見た真っ白の人だ。

その人はこちらを見ると驚いた顔をした。

なんで驚いているのか気になり、声をかけることにした。


レリチア「なんで驚いているの?」

?「…え……いや…放課後の図書室に私以外の誰かがいるのを見るの初めてだから…」


僕も初めて図書室に来たからなんとも言えない。


レリチア「そうなんだ」

?「ねぇ…なんで私に話しかけようと思ったの?」

レリチア「驚いた顔をしてたから」

?「いや、さっきの話のことじゃなくてね、昼休みの話」

レリチア「困っているように見えたから」


すると彼女の顔が驚いた顔になる。


?「…え?…」


そんなに驚くことなのだろうか…


?「えっと…あなた私を見ても怖がらないの?」


怖い?どちらかというと可愛いように見える。

少なくとも、竜冥の組織にいる誰よりも可愛い。


レリチア「怖いというより可愛い…かな」

?「え!…あ…あり…がとう……」


するとその人は立って荷物を持って僕の隣に座った。


レリチア「どうしたの?」

?「いや…少しお話したいなと思って…」

レリチア「そう」


そういえば、図書室は常に静かにしておけと言われた覚えがある。組織の人たちから…

まぁあの司書さんもやる気がなさそうだし、多少は大丈夫だとは思うが一応静かにしておこう。


?「えっと…私の名前は姫川麒彗…あなたの名前はなんて言うのかな?」

レリチア「レリチア・リベラティ」

麒彗「え?…もしかしてハーフ?」

レリチア「ハーフって何?」


ハーフという言葉は初めて聞いた。


麒彗「ハーフっていうのはいくつかの国の血が混じった人のこと」

レリチア「そうなんだ…ハーフかどうかはわからない」

麒彗「そうなんだ…」


一瞬の沈黙が流れる。

麒彗の顔は微笑んでいる。


麒彗「ねぇ…君のことはなんて呼んだら良いのかな?」

レリチア「呼び方なんてなんでも良いよ」

麒彗「じゃあレリチア君ね」


竜冥と全く同じ呼び方…別に良いけど…


レリチア「じゃあ君のことはなんて呼んだら良いのかな?」


一応聞いてみた。


麒彗「なんでも良いよ」

レリチア「じゃあ姫川さん」

麒彗「……そんなにフランクじゃなくて良いよ」


フランクとはなんなのだろうか…質問しよう。

いや待て…組織の人に質問し過ぎて、自分で考えてと言われたことがあった…自分で考えるか…

そういえば…この前ある店に行ったとき、フランクフルトという商品を見つけたな…

そのあと買い出しに行ったとき、フランクフルトの小さいのを見つけたけど…

あれはフランクフルトっていう名前じゃなかった…

長いとフランクがつく…

つまり、そんなにフランクじゃなくて良いというのはそんなに長くなくて良い。つまり短くすれば良い。


レリチア「じゃあ姫さん」


そのとき麒彗は嬉しそうな顔をする。


麒彗「良いね!それ凄く良い!」


良かったあっていたようだ…

姫さんは席につき、本を読んでいた。


麒彗「ねぇレリチア君」

レリチア「どうしたの?」


いつのまにか敬語が外れていた。


麒彗「どうしてノートに文字を書いているの?」

レリチア「読めない漢字があるから」

麒彗「見ても良い?」

レリチア「良いよ」


姫さんは僕のノートを見始める。

読めたら良いのだが…


麒彗「なんというかよく使う漢字が多いような気がするけど…」

レリチア「僕は3ヶ月前まで森のなかで暮らしていたんだ、だから、文字が読めない」

麒彗「え!」


とても感情豊かな人だ…僕とは大違い。

そこからは質問されて答えての繰り返しだった。


今は学校を出て、帰路についていた。

隣には姫さんがいる。

彼女の顔はとても悲しそうだった。

とりあえず触れないでおいた。


麒彗「それじゃ私こっちだから。バイバイ」


バイバイは聞いたことがある。

この前組織の人がドラマを見ている時に聞いた。

確かあの時はお互いに離れるときに使われていたので多分そういう意味なのだろう。


レリチア「バイバイ」


そうして帰路に着く。


〜姫さん視点〜

今は家に帰っている途中。

そして、今日のことを思い返していた…

生まれて初めてだった、こんなに人と話したのは……

あだ名をつけてもらったことがとても嬉しかった。

私はアルビノと呼ばれている体質を持っている。

それのせいか、周りからは距離を置かれ、気味悪がられた。

でも彼は違った。関わってくれた。

感情が全く顔に出ないことが少し悲しかったけど…

また…関われたら良いな…



僕は今、目標を追いかけている。


目標「いつまでついてきやがる!」

レリチア「君を捕まえるまで」


今回の依頼は奴を捕まえること。

なんでかは聞かない、興味もない。

必要なのは依頼をクリアしたことによる報酬だけ。

それにしても足が速い。

僕は森のなかで長い間生きていただけあって、身体能力は凄く良いが奴には中々追いつかない。

どうしたことかと悩んでいるとどこからか声が聞こえた。

組織の人の声だ。


組織の人「必要なのはそいつを生きたまま捕獲することだ!殺しさえしなければ良い!」


なるほど。

確かにそうだと思い、僕は落ちている石を拾い、目標に向けて投擲する。


目標「いっ!何しやがるこの野郎!」


その刹那、奴の動きが一瞬鈍る。

その隙を狙い、一瞬で距離を詰める。


目標「な!」


そして僕は奴に蹴りを叩き込む。

目標は吹っ飛ばされ、壁に衝突する。


組織の人「大丈夫か?殺してないか?」

レリチア「わからない…」


そうして、依頼は終わった。

ちなみに目標は生きていた。


〜次の日〜学校〜レリチア視点〜

麒彗「あ…レリチア君!」


僕は放課後図書室に来ていた。

あの日以来毎日のように図書室に来て姫さんに会っている。

というよりほぼ毎日姫さんが図書室にいる。


麒彗「毎日来るね」

レリチア「君が毎日図書室にいるだけ」


僕は別に彼女に会いに来ている訳ではない。


麒彗「確かにそうかもね」


姫さんはいつも机にノートや教科書を出して勉強している。


麒彗「ねぇ、レリチア君はどの生徒なの?」

レリチア「なんの話?」

麒彗「知らないの‼︎」

レリチア「何を?」


驚いた顔をしている理由がわからない。

生徒?僕はこの学校の生徒だけど…


麒彗「知らないんだ…じゃあ教えてあげる」


興味はないが一応聞いておく。


麒彗「この学校はね、2つの教育が行われているの。1つは進学するための専門的な内容の教育。もう1つは就職を目的とした教育。わかった?」

レリチア「わかった」


そうだったのか…僕はどっちなのだろう?


麒彗「それでレリチア君はどっち?」

レリチア「知らない…」

麒彗「そうなんだ…ちなみに私は一つ目」

レリチア「ちょっと待ってね」


僕は昨日竜冥からもらった携帯電話を取り出す。


麒彗「え⁉︎なんで持ってるの⁉︎」


そんなに驚くことだろうか?

それはともかく僕は竜冥に電話する。


レリチア「竜冥」

竜冥「正直使うと思ってなかったので驚きました。なんでしょうか?」

レリチア「この学校って2つの教育があるらしいけど僕はどっち?」

竜冥「突然何かと思えば…まぁ興味を持ってくれたのは良いことですね。ちなみに就職を目的とした教育です」

レリチア「ありがとう」


そう言って僕は連絡を切り、ポケットにしまう。


麒彗「初めて見た…携帯電話…」

レリチア「そうなんだ」

麒彗「確か正式名称はガラパゴス携帯…」

レリチア「そんなことより僕は2つ目の教育だって」

麒彗「てことはクラスのある場所全然違うね」

レリチア「クラスの場所ってあそこだけじゃないの?」

麒彗「違うよ…この学校は3つに分かれててね。職員室があるところを中心に左右に分かれているの。校門を正面として右側に私のクラスがあるところ、左がレリチア君のクラスがあるところ。」

レリチア「そうなふうになっているんだ…」

麒彗「それじゃそろそろ帰ろうかな…えっとい…一緒に帰らない?」

レリチア「良いよ」

麒彗「ありがとう」


麒彗「そういえばレリチア君、私の方はそうなんだけど、もうそろそろテストだよね、勉強してる?というかテストってあるの?」

レリチア「一応ある」

麒彗「そっか…頑張ってね」

レリチア「うん」

麒彗「それじゃ私はこっちだから、バイバイ」

レリチア「バイバイ」


〜テスト返却日〜

あれからテストがあり、テストの結果が返ってきた。

正直よくわからない…これがなんだというのか…周りの人たちは頭を抱えている者もいれば、喜んでいる者もいる…

なぜなのだろうか?とりあえず姫さんに聞いてみよう。

そう考え、僕は結果をバックにしまった。


〜放課後〜

レリチア「こんにちは姫さん」

麒彗「レリチア君…テストどうだった?」

レリチア「よくわからないから見てほしい」


そう言ってバックからテストを取り出し、姫さんに見せる。


麒彗「どれどれ…全部平均点以下だね…でも赤点は取ってないね」


そうなのか…竜冥にも見せてみよう。


レリチア「姫さんは?」

麒彗「はい…」

レリチア「正直よくわからない…良いのか悪いのか」


100って言う数字がいくつかある…凄いのかな?


レリチア「見せてくれてありがとう…それじゃ僕は帰るよ」

麒彗「そっか…バイバイ」


〜家〜

竜冥「ふふ…ははは!凄いですね!まさか赤点一つもっていないとは驚きました。一つはとっているかと思っていましたよ」

レリチア「正直よくわからないからなんとも言えない」


僕は竜冥のそんな話を料理を作りながら聞いていた。

後で片付けをしやすいように水につけておく。

出来上がった料理を2人で食べていると竜冥が口を開く。


竜冥「そう言えばもうそろそろ夏休みですね」

レリチア「夏休み?」

竜冥「簡単に言えば、長期休暇ですかね」

レリチア「じゃあその間は組織の依頼をいくつかこなしていこうかな」

竜冥「その前に課題を終わらせましょうね」


課題ねぇ…


竜冥「そう言えばレリチア君…友達はできましたか?」

レリチア「友達は…わからない」


友達の定義がわからない…


竜冥「いつも一緒にいる人とかは?」

レリチア「いつも一緒…」


そのとき、脳裏に純白の少女がよぎった…

友達かどうかはわからないから今度聞いてみよう。

そのあとはいつものように過ごした。


〜学校〜

今先生が明日からの夏休みについての説明をしている。

生活習慣を壊さないようにとか…

そんなこんな聞いているうちに終わっていた。

そして僕は放課後…図書室に来ていた。

見渡すが彼女はどこにもない…

今日は来ていないらしい…

まぁとりあえず僕も早く帰ろう。

今日は竜冥から届いた依頼がいくつかある。

そう思い、踵を返したところでふと気づく。


レリチア「あれ…僕…姫さんに会うために図書室に来てる」



〜夏休み上旬〜

夏休みが始まって特に変わったことはあまりない。

気づいていないだけかもしれないが…

そんなことはどうでも良い。

とりあえず今は課題に集中しよう。

竜冥曰く「課題は早いうちに終わらせるのが良い」らしいから。

まぁそんな竜冥は今、組織の人たちに言い寄られているが…


組織の人「休みをください‼︎」

竜冥「あらかた予想はできていますが一応理由を聞きます」

組織の人「学生は今休みなんですよ!ほら!」


そう言い、僕の方に指を刺してくる。


竜冥「レリチア君は学生ですがあなたは大人で仕事でしょう?なら文句を言わずにやってください…私だって研究で忙しいのですから…」

組織の人「そう言う割にはここ最近楽しそうじゃないですか…それにその研究はリーダーが好きでやっているんですよね!」

竜冥「ここの組織に属することしかできない自分の学歴の低さを呪ってください」

組織の人「なんであの時の私もっと頑張らなかったの!私のバカ!」

組織の人の付き添い「もうそろそろ戻らないと仕事に間に合いませんよ!ほら戻りましょう」


そう言われて、付き添いの人に引きずられながら帰っていった。


竜冥「それにしても暑いですね。クーラーを付けていないのは私なのですが…」

レリチア「竜冥、この服ありがとう。わざわざ生地の薄い素材を使って、買った服を再現してくれて…」

竜冥「良いですよ別に…好きでやったことですから。それでどこまで進みましたか?」

レリチア「まだまだ終わらないよ」

竜冥「そうですか…多分これからさっきの人達みたいな人がたくさん来ると思うので今のうちに図書館などに行って課題をした方がいいと思いますよ。うるさすぎて気が散ると思うので…それと夜にレリチア君の身体について調べたいことがあるので8時ぐらいに研究室に来てください」

レリチア「わかった」


僕はそう言って.荷物をバックに入れ図書館へと向かった。


〜移動中〜

暑い…森にいたときは川が近くにあったからある程度涼しかったが、街はこんなにも暑いのか…

まぁ図書館に着いたし、入るか…そう言って僕は中に入っていった。

まぁ予想はできていたが…中は涼しい。

クーラーと言ったか。

それが稼働しているからとても涼しい。

僕はどこに座ろうかと悩んでいると見知った顔を見つけた。

その人もこちらに気付いた。


麒彗「レリチア君!」

レリチア「こんにちは姫さん」

麒彗「どうしたの?」

レリチア「図書館で勉強した方が集中できるよって言われたから…」

麒彗「そうなんだ」

レリチア「姫さんは?」

麒彗「私は出来るだけ家に居たくないから…」

レリチア「そうなんだ…理由は聞かない…でもいつか教えてもらうから」

麒彗「わかった…ねぇ一緒に課題しない?内容は違うだろうけど…ずっと1人は淋しいから」

レリチア「良いよ」


そうだ…あのとき聞けなかったし今聞いておこう。


レリチア「ねぇ姫さん」

麒彗「どうしたの?」

レリチア「姫さんと僕は友達?」


姫さんは数秒間黙ってから頬を赤くしながら、小さく呟いた。


麒彗「…と…ともだち…だと…良いな…レリチア君は…どう思ってる?」


と…言われましても…


レリチア「友達っていうのはよくわからないけど…姫さんが友達だと思うなら…友達」

麒彗「じゃ…じゃあ!友達!」


その日から毎日のように図書館に行った。

その度に姫さんが居て、一緒に課題をしていた。


〜夏休み中旬〜

僕たちは今家に帰宅しているところだ。


麒彗「もう真っ暗だね…」

レリチア「そうだね…」


まぁそのおかげで課題はかなり終わったけど…


レリチア「姫さんは大丈夫?親御さん心配しない?」

麒彗「大丈夫だよ…多分…」


そのとき空から音が聞こえた。

空を見上げると、巨大な花が浮かんでいた。


麒彗「花火だ」

レリチア「花火?初めて見た。」

麒彗「レリチア君は本当に何も知らないんだね」


とっても綺麗であることはわかる。


麒彗「綺麗…」


そして数分間に及ぶ花火を2人で眺めていた。

姫さんは羨ましそうにその花火を見ていた。

姫さんはたまにこんな顔をする。

なんでかはわからない…聞かない方がいいような気がしていつも聞けない。聞いた方が良いのかもわからない。

でも今は聞かない方が良いような気がしたから、僕はそのことについて考えるのをやめ、空を見上げた。

見ているうちにいつのまにか終わっていた。


麒彗「それじゃ…帰ろっか」


そう微笑んで見せる姫さんに同意する。


レリチア「わかった」


そうして帰路についた。


〜夏休み下旬〜

僕は課題が完全に終わったため、暇になり、朝早くから適当に外を散歩していた。

そんなとき見覚えのある人を見つけた。


レリチア「姫さん」

麒彗「え!…レリチア君!こんな朝早くにどうしたの?」


今は8時だから早いかと言われたらそうではないだろう。

まぁそんなことはどうでも良いけど…

僕はいつも昼食を食べたあとに図書館に行くけど姫さんはこの時間帯からいるのか…いつもごはんどうしているんだろうか?


レリチア「姫さん…毎日昼食摂ってる?」

麒彗「いつもお菓子だけで済ましてる」


流石に良くない…

竜冥が言っていた…人は食べないと力が出ないと…だから何か食べさせたい…どうしたら…


麒彗「そういえば昨日雨が降ったからか地面が濡れてるね」


言われて気付いたが確かに湿ってる。

それにそこら辺に水溜りがある。

そのとき、後ろからトラックが来た。

そして、そのトラックが通り過ぎた瞬間、水飛沫が飛んできた。

主に姫さんの方に…

その結果姫さんがびしょ濡れになってしまった。

そのままトラックは通り過ぎてしまった。


麒彗「とりあえず一回帰るね」

レリチア「姫さん。ここからだと僕の家の方が近いからそっちに行こう。」

麒彗「え?」


そして僕は姫さんの手を引いて、家に戻っていった。


〜移動中〜

レリチア「ただいま」

竜冥「おかえりレリチア君…ずいぶん早かったですねってその子は?というかびしょ濡れじゃないですか…ちょっと待ていてください」


そう言って早歩きで行ってしまった。


麒彗「ここがレリチア君の家…」

竜冥「とりあえずこれをどうぞ」

麒彗「ありがとうございます…」


竜冥は姫さんにタオルを渡した。


竜冥「お話は後でしましょう。レリチア君、お風呂を沸かしては頂けませんか?」

レリチア「わかった」


僕は奥へと進みお風呂の準備をする。


組織の人「どうしたんですかリーダー……って…その子びしょ濡れじゃないですか!」

竜冥「だから今レリチア君にお風呂を沸かしてもらっています。私も色々と準備するのでその子をお願いします。」

組織の人「わかりました」


〜姫さん視点〜

何がなんだかわからないまま、お風呂に私は今入っている。

初めてだ、人の家に来て、お風呂に入ったのは…

私の服は今洗濯機に掛けている。

というか掛けてくれた…どうしてそこまでするのだろうか?


?「タオルここに置いておくからね」

麒彗「ありがとうございます」

レリチア「タオルよりも今は着替えの方が大事でしょ」

?「あっ確かに…君の服を貸してあげたらどうかな?」

レリチア「僕の服?」

麒彗「あ…あの…そこまでしなくても…良いんですけど…」

?「駄目!絶対に!濡れてる人を放って置けるわけがないでしょ!」

レリチア「僕の服を貸すのは良いけど…女性の下着は持ってない」

?「じゃあ私が買ってくる」

レリチア「え?あ…行っちゃった…」


〜数分後〜

私はお風呂から出て、今はリビングにいる。


?「どう?サイズとかは」

麒彗「大丈夫ですけど…その…私お金手持ちがなくて」

?「あ…良いのよ!私が勝手にやったことだから!」

麒彗「えっとありがとうございます。それとレリチア君…貸してくれてありがとう」

レリチア「気にしなくて良いよ」


レリチア君は今台所で何かしている。

多分何か作っているのだろう。


?「それじゃリーダー、私仕事に戻りますね」

竜冥「わかりました…それであなたのお名前は?」

麒彗「姫川麒彗です」

竜冥「姫川さんね…ちなみに私の名前は宴華竜冥と申します」

麒彗「あの…どうしてここまでしてくれたんですか?」

竜冥「姫川さんがレリチア君と関わっていたからですかね」

麒彗「それだけで…」

竜冥「レリチア君のことどこまで知っていますか?」

麒彗「色々と教えてくれました」


そして私は知っていることを全て話した。


竜冥「中々ですね…いや〜でも嬉しいですね…レリチア君もしっかり誰かと関わっているんですね」

麒彗「あの宴華さん」

竜冥「竜冥で良いですよ」

麒彗「竜冥さん…私が怖くないのですか?」

竜冥「怖いですか…正直もう何も思いませんね…レリチア君を見たあとだと…」

麒麟「…………」

竜冥「アルビノってやっぱり…あれなんですか…そのあんまり言わない方が良いと思うんですけど…」

麒彗「大丈夫ですよ…初めてでした…可愛いって言われたのは…会ってきた全ての人が私を見て恐れました…でもレリチア君は私を見て可愛いって言ってくれたんです…」

竜冥「そうですか」

麒彗「無感情なのか顔が変わらないから何を考えているのかわからないけど…嬉しいんです…誰かとああやって関われたのが…」

竜冥「レリチア君はあなたの体質のことを知っているんですか?」

麒彗「はい」

竜冥「じゃあレリチア君の身体について教えてあげましょう!」

麒彗「レリチア君の身体についてですか?」

竜冥「はい…この前調べてみてわかったんですが…どうやらレリチア君には性別がないみたいなんですよ」

麒彗「え⁉︎」

竜冥「それとレリチア君の瞳が赤いのは色素が欠落しているからです。それとレリチア君には血は流れていません」

麒彗「え⁉︎それじゃ…どうやって生きているんですか⁉︎」

竜冥「レリチア君の身体には血液の代わりに気体が流れています。しかもその気体はこの世界ではまだ発見されていない気体なのです。今の所はこれくらいですかね」


そのときレリチア君が美味しそうな匂いがするものを運んできた。


竜冥「レリチア君それは?」

レリチア「姫さんのために作った。姫さんご飯しっかり食べれてないでしょ?ちょうどお昼時だし食べたら?不味かったらごめんね」

麒彗「ありがとうレリチア君…いただきます」


私は合掌して食べ始める。

驚いたすごく美味しい。


麒彗「美味しい…」

レリチア「それはよかった」

竜冥「そういえばレリチア君明後日から学校ですよね?」

レリチア「そうだね」

竜冥「楽しんでくださいね」

レリチア「姫さん…おかわりいる?」

麒彗「え!…あ…その…欲しい…です…」


少し照れている…なぜなのだろうか?


〜食事中〜


麒彗「ごちそうさまでした」

レリチア「お粗末様です」


レリチア君はそう言って食器を片付けて今洗っている。


麒彗「私も手伝うよ」

レリチア「姫さんは座ってて僕がやるから」

竜冥「なんだかお腹が減ってきますね」

レリチア「ごめん竜冥…姫さんの料理に結構食材使ったから食材がない」

麒彗「え!あ…ごめんなさい…」

レリチア「良いよ別に…僕が勝手にやったことだから」

竜冥「良い食べっぷりでしたよ」

麒彗「少し恥ずかしいです…」

レリチア「洗濯が終わったみたいだから干してくるね」


そう言って去ってしまった。

竜冥さんと2人っきりになる。


麒彗「レリチア君は凄いですね」

竜冥「まぁそうですね…レリチア君がこの家に来る前なんて物が乱雑にばら撒かれていましたから」

麒彗「あの竜冥さん…勉強して良いですか?」

竜冥「良いですよ」


私はノートとペンを出し、勉強に取り掛かる。


竜冥「勉強熱心なんですね」

麒彗「ありがとうございます…親からはいつも勉強しろって言われて…私が幼いときなんかはいつも勉強して、良い大学に行って、良いところに就職しろって言われて…満点を取らなかったらその日のご飯は抜きで…だからもっと勉強を頑張らないと…」

竜冥「それって…まさか…姫川さんあなたの親御さんは…」

レリチア「どうする竜冥…なんか食べたいものある今から買いに行って作るけど…」

竜冥「良いですよ…私はお腹減っていないので…そんなことよりも姫川さん」

麒彗「大丈夫です…竜冥さん…心配しないでください」

竜冥「なら…良いのですが…強がりはいけませんよ…レリチア君にいつでも相談してくださいね…私も力になりますよ」

麒彗「ありがとうございます」

レリチア「どうしたの?竜冥?」

竜冥「レリチア君…姫川さんは…」

麒彗「大丈夫です…竜冥さん…レリチア君は私の恩人です…迷惑はかけません…だからあまり気にしないでください」

竜冥「………」

レリチア「?」


〜夕方〜

麒彗「それではありがとうございました」

レリチア「送っていくよ…近くまで…」

麒彗「大丈夫だよレリチア君気にしないで…」

レリチア「そう…じゃあ気おつけて」

麒彗「バイバイ」

レリチア「バイバイ」


あれから二学期が始まった。

姫さんは相変わらず図書室で勉強をしている。

あのとき重い空気の中何か話していたがなんだったのだろうか?

まぁ姫さんは普通だから多分大丈夫だよね?



夏休みが終わり、いつもの学校生活を送っていたそんなある日のこと…今現在…僕は外にいる。

なぜ外にいるのかって?

それは簡単今日は体育大会だからだ。

この前姫さんに体育大会って何?という質問をしたら身体能力の1番を決める大会だと言っていた。

しかもこの大会…2つの校舎が合同で行うらしい。

そして、2つの校舎で別れたら明らかに身体能力に差が出るため…2つの校舎の1、2、3年の1組が一緒のチームのような感じで5つのチームに分かれている。

まぁそんなことはどうでも良いか…

ちなみにもう始まっている。

僕が参加する競技は徒競走だ。

まぁもうそろそろ順番が来るんだけどね…


実況「第3走者準備してください」


そして僕は白線に立つ。

ルールは知っている…というか教えてもらった…姫さんに…

僕は体力測定の日…依頼のため学校にはいなかったから、初めてここを走る。


実況「位置について!…よーい!…ドン‼︎………え?」

どうしたのだろうか?

実況「1位5組!2位1組!3位2組!4位4組!5位3組!5組圧倒的速さです!4組と10メートルくらいの差をつけてゴールしました!」


そんなに速いだろうか?

そして、ぼ〜としているうちに僕の参加する競技は終わっていた。


僕はテントの中に入ると見知った顔の人が話しかけていた。


麒彗「レリチア君ちょっとこっち来て」


僕は姫さんについていった。

みんな次の競技に夢中でこちらには気づいていなかった。

少し、離れたところの日陰で姫さんは立ち止まった。


レリチア「姫さんも5組だったんだね」

麒彗「え?…あ…そうだね」

レリチア「それで…どうしたの?」

麒彗「凄いね…レリチア君…圧倒的だったよ」


それを話すだけならわざわざここに来る必要はないのだけど…まぁそんなことはどうでも良いか…


レリチア「そうなのかな…」

麒彗「リレーじゃなくて良かったの?参加する競技?」

レリチア「別に僕はなんでも良かったから」

麒彗「そっか…」

レリチア「姫さんはなんの競技に参加するの?」

麒彗「私はもうしたよ…徒競走…3位だったけどね」


ぼ〜としていて気付かなかった…


レリチア「そうなんだ…」

麒彗「そうだレリチア君…レリチア君は午後の社交ダンス誰と踊るの?」


ダンス?あ…確か…なんかこの前踊った…

一通り踊れるようにしているから大丈夫だけど…

あっそういえばそのことについて紙を貰ってた。

確か、女子には誰と踊るのかは聞かされていなくて、当日に男子にプリントが配られてそこに書かれている人を誘いに行くというものらしい。

僕はポケットからプリントを取り出し、中を見る。

そこにはこう書かれてあった。

……「姫川麒彗」と……読み方はこれはひめかわ…なんて読むんだ?


麒彗「どうしたの?」

レリチア「ちょっと読み方がわからない…」

麒彗「見せて…」


そうして顔を覗かせてくる姫さんはプリントを見た瞬間、嬉しそうな顔をした。


麒彗「これ私」

レリチア「え…そうなのか…姫さんの名前の漢字ってこれなんだ…てことは僕は姫さんと踊るのか…」

麒麟「そうだね…よろしく」

レリチア「うんよろしく」

麒彗「あ!…そういえば竜冥さんって来てるの?」

レリチア「来てないよ…というか呼ぶ必要ないでしょ」

麒彗「そんなことはないと思うけど…一応言ったの?」

レリチア「いや…言ってない」

麒彗「そうなんだ」

レリチア「姫さんの親は来てるの?」

麒彗「来てないよ…まず今日のことを教えてない」

レリチア「そうなんだ…」


理由については聞かない方が良いような気がした。


〜体育大会午後の部後半戦〜

実況「さぁ体育大会午後の部後半戦が始まりました!ご飯も食べて元気もついたことでしょう!後半戦最初の競技はなんとお待ちかね!社交ダンスだ〜!」

生徒「うぉ〜〜‼︎‼︎」

実況「そして、なんと朗報です!1番上手に踊った生徒の組には景品を差し上げます!」

生徒「うぉー!」

実況「準備はもうできているので早速始めちゃいますよ!イッツミュージックタイム‼︎」


その掛け声と同時に陽気な音楽が流れ始めた。


麒彗「レリチア君上手だね」

レリチア「踊るのに集中しないと失敗しするよ」

麒彗「うん…」


〜姫さん視点〜

正直驚いていた…まさかレリチア君がここまで綺麗に踊れるとは思ってはいなかった…

私も集中しないと!

そうあとちょっとで終わるところだった…

曲も終盤でもうすぐ終わるというところで………私が何かに躓いた。

何に躓いたかはわからないただ…誰かの足のようなものに当たった気がした…

そして、周りを見てみたらその原因がわかった…

彼らだ…佐々木…白石!


私はアルビノという体質を持ち生まれた…

そのせいなのか私を怖がって近づく人はいなかった…

でもそれだけなら良かった…

あろうことか私を邪魔者のように扱い始めた。

肌が白いただそれだけで私をいじめる者もで始めた…

それが彼らだ…


私は転ぶことを覚悟して目を閉じた…

だけど…私は転んでいなかった…

恐る恐る目を開けるとレリチア君が抱えてくれていた。

そして、また踊り出した。


〜レリチア視点〜

危なかった…急に姫さんが転びそうになったから…

咄嗟に身体が反応して、抱えることが出来たから良かった…

姫さんは大丈夫なのだろうか?

もしかして疲れている?

そんなことを考えているうちにダンスは終わった。


麒彗「あの…ご…ごめん…なさ…」

レリチア「大丈夫姫さん?」

麒彗「…え?…」

レリチア「もしかして疲れた?」

麒彗「いや…大丈夫だけど…ごめん何かに躓いて…」

レリチア「良かったよ、転ばなくて…」

麒彗「ありがとう」

実況「皆さんダンスは楽しかったですか‼︎」

生徒「うぉ〜!」

実況「良いですね‼︎それではお待ちかね!ダンスを最も上手く踊っていた組み合わせは〜!」


空気が限りなく静かになった。


実況「3年部は…3組…木村&山崎ペア!拍手!」

3年生徒「うぉ〜!」(ぱちぱち)

実況「2年部は…5組…星野&如月ペア!拍手!」

2年生徒「ひゅ〜!ひゅ〜!」(ぱちぱち)

実況「1年部は…5組…白石&佐々木ペア!拍手!」

1年生徒「うぉ〜!」(ぱちぱち)

実況「おっとここで!新たな情報です!なんと先生方が学年関係なく1番上手にダンスをした人を決めているらしいです!さぁ一体誰がこのダンスの優秀賞を受賞するのか!それは……1年部……2組‼︎……七瀬&橘ペアです!おめでとう!拍手!」

生徒「うお〜!」(ぱちぱち)


〜帰り道〜

あれから長いような短いような体育大会が終了した。

僕は今、姫さんと帰路についている。


レリチア「姫さん…楽しかった?」

麒彗「うん!…楽しかったよ!」

レリチア「そう…」

麒彗「あの…ごめんね…こけちゃって…」

レリチア「良いよ…もう終わったことだし…気にしないで…」

麒彗「じゃあ私こっちだから…バイバイ」

レリチア「バイバイ」


〜佐々木視点〜

佐々木「なぁ白石…今日の姫川見たか?」

白石「えぇもちろん…あの隣の男…一体誰かしら?」

相沢「今度問いただしてみようぜ!」

佐々木「ああ…そのままちょっと遊んでやるか!」

白石「とっても楽しみだわ!」

一同「あははは」



〜10月中旬のある日の夜〜

竜冥「レリチア君…少し良いですか?」

レリチア「どうしたの竜冥?」

竜冥「レリチア君…明日からちょっと海外の方に行ってもらいたいのですが…良いですか?」

レリチア「良いよ…でも行って何するの?」

竜冥「まぁ何というか依頼ですかね…簡単に言うなら護衛です」

レリチア「誰を護衛するの?」

竜冥「大統領です」

レリチア「そんな重要な任務…なんで僕なんかに…」

竜冥「私たちの組織は海外とも関係がありましてね…レリチア君の実力を測りたいと海外の人は思ったらしいです」

レリチア「そうなんだ…期間は?」

竜冥「それなんですが…何と…4ヶ月です」

レリチア「……長くない?」

竜冥「そうなんです…だから会うのは…11…12…1…2…2月ですね」

レリチア「そっか…」

竜冥「少しの間…寂しくなりますね…」

レリチア「もう少し早く言って欲しかったよ…」

竜冥「申し訳ございません…」

レリチア「良いよ…明日からか…」


次の日僕は海外へと向かった。


〜姫さん視点〜

朝、私は目を覚ました。

今日も1日が始まった…嫌なことしか思いつかないが…唯一の楽しみはレリチア君に会うこと。

私の心はレリチア君のおかげで保たれていた。

私はリビングに行き、周りを見渡す。

親はもう仕事に行っているのか、姿は見えない。

それを確認して私は安堵する。

親がいないことがとても嬉しかった。

そして、私は用意されてある朝食を食べ始める。

レリチア君の料理を食べてから、親の料理はあまり美味しくないように感じた。

私は朝食を食べ終わり、学校に行く準備を始める。

今日もレリチア君に会える。

ただそれだけで心がいくらか楽になる。

そして私は学校へと向かった。


〜移動中〜


私は学校の校門の前に立つやいなや小さくため息をついた。

それでも私は歩みを止めることなく前に進んでいく。

教室には私以外には4、5人ぐらいいる。

その人達は私と目が合うなり、すぐに目を逸らした。

私はそれを気にすることなく席についた。

そして数分後かなりの人が集まった時、その人達は私に関わってきた。


白石「ねぇ姫川ちゃ〜ん♪」

麒彗「なんでしょうか…」


私から想像以上に弱々しい声が出た。


白石「この前の体育大会一緒に踊っていた子は誰?」


この人…多分わざと聞いている。

本来なら偶然組んだだけの人…


麒彗「知りません…」

白石「偶然組んだだけの人が助けてくれるかしら?」


やっぱり…この人はわざと私に聞いている。


麒彗「優しいかった…だけです」

白石「ふ〜ん…そう」


今日は控えめだ…何か良いことでもあったのだろう…


〜昼休み〜

私はお弁当を食べようと思い、お弁当を取り出す。

正直、期待してなかった…

そして、私は開けた。

そこには目を逸らしたくなる光景が広がっていた。

元々のお弁当の中身は捨てられているのだろう。

その代わりに、虫の死骸が入っていた…

もう正直、驚かなくなっていた。

周りを見ると笑っていたり、ひそひそと何かを話している人達がいた。

私は教室から出て、外に出て、花壇の近くに中身を捨てた。

私は教室に戻り、お弁当を片付けて、図書室に向かった。


〜放課後〜

私は図書室に来ていた。

私は数十分ぐらい待っていたが、レリチア君は来なかった…

なんで?もしかして、佐々木と白石、相沢に何かされた?

私はかなり心配になり、学校から出て、レリチア君の家へと向かった。

いつもなら、この時間帯はまだ、学校にいる時間帯であるため、いつも帰るときよりも明るい。

数分後…私はレリチア君の家に着いたため、チャイムを鳴らす。

数秒後、竜冥さんが出てきた。


竜冥「ああ…姫川さん…どうしたのですか?」

麒彗「あの…レリチア君は…いますか?」

竜冥「レリチア…あ!…そうでしたね…ごめんなさい伝え忘れていました。ほら上がってください、少しお話をしましょう」

麒彗「はい…」


そして、私は家に上がり、席に着く。

数秒後、竜冥さんが飲み物を用意してくれた。

紅茶だ…


竜冥「それでレリチア君のことなんですが…」


どうしたのだろうか?やはり彼らに⁉︎

それだけはやめてほしい…だってレリチア君は大切な友達だから…私のことに巻き込みたくはない…


竜冥「レリチア君は今少し遠い場所に行ってましてね…帰ってくるのが2月の中旬になるらしいんですよ…」

麒彗「え?…あ…そうなんですか…」


心の中で安堵していた。


麒彗「いつからなんですか?」

竜冥「今日からです…」

麒彗「いつ決まったんですか?」

竜冥「昨日です…」

麒彗「だから伝えられなかったんですね…」


良かった…本当に良かった…レリチア君が彼らに何かされたわけではなくて…

でも…次会えるのは2月か…

そう思うとなぜか凄く寂しい…


麒彗「ありがとうございました。それでは私は帰ります」


そう言って私は飲み物を全部飲み干し、席から立つ。


竜冥「そうですか…くれぐれも気をつけて」


私はその言葉を背に、家へと帰った。


私は家のドアを開ける。


麒彗「ただいま」

麒彗の母「おかえり」


私は荷物を部屋に置き、リビングに戻る。

もうご飯が用意されているので合掌をして食べ始める。


麒彗の母「そういえば麒彗…この前体育大会だったんだって?」

麒彗「うん」

麒彗の母「もちろん図書室で勉強していたわよね?」


少しだけ圧を感じながら、私は言葉を発する。


麒麟「ちゃんとしてたよ」

麒彗の母「もちろんよね」


その会話以降、会話をすることはなかった。


〜その頃レリチア視点〜

軍人「Follow me!」


相変わらず何を行っているのかわからないが、とりあえず着いていこう。

僕は海外に着くなり、いきなり任務をやらされていた。


レリチア「どこに行ってもやることは一緒だね」


〜姫さん視点〜

その日からなぜか生きてる心地がしなかった…

毎日同じように過ごして、まるで灰色の絵の具だけで彩っているようなそんな毎日だった…

文化祭の日も図書室で勉強していた。

少しだけ見て回ろうと思い、歩いてみても周りの視線ばかり気になり、何も楽しくはなかった…

休みの日も冬休みのときも、なぜか生きている心地がしなかった…

そんな日が年末、新学期と続き、とうとう2月になった。

やっぱり…レリチア君…私には…あの人が…いないと…


〜レリチア視点〜

僕は久しぶりに見る風景に対して、何か思うわけではなく、スタスタと家へと帰っていく。

予定より早く帰ることが出来たのは少し予想外だったけど…

まぁ良いでしょう。

そして、僕は辿り着くとその扉を開ける。


レリチア「ただいま」


そのとき、竜冥が奥から凄い勢いで走ってきた。


竜冥「レリチア君!」

レリチア「?…ただいま」

竜冥「あぁおかえりなさい。」


僕は飲み物を用意し、竜冥と談笑する。


竜冥「意外と早かったですね」

レリチア「まぁ早めに終わらせてくれたから」

竜冥「それでどんなことを教わってきたんですか?」

レリチア「戦闘から挨拶まで色々と…1番は歌かな…お前音痴だから特訓してやるって言われた」

竜冥「それじゃちょっと歌ってみてください」

レリチア「も〜も◯ろさんもも◯ろさんお腰につけた〜」

竜冥「海外なのに童話なんですね…」


〜次の日〜放課後〜

僕は放課後図書室に来ていた。

久しぶりに学校に来たけど、周りの人たちは僕から距離を置いている気がする…

まぁ別にどうでも良いけど…

そして、僕は図書室に入り、奥に進んでその人に声をかける。


レリチア「姫さん久しぶり」


その人はゆっくりとこちらを向き、目を見開く。


レリチア「ごめんね何も言わずに4ヶ月どこかに行ってt」


その瞬間姫さんが抱きついてきた。


レリチア「どうしたの?」

麒彗「レリチア君がいなくなってからね…凄く退屈だった…毎日が灰色の世界みたいで、生きた心地がしなかった…離れないでなんて言わない…でも、何も言わずにいなくならないで…」

レリチア「ごめんね…これからは竜冥に早めに伝えろって言っとくから」


〜姫さん視点〜

あの日からは楽しかった、またいつものように図書室で会話をして、一緒に帰って、毎日が凄く楽しかった…

あの日、レリチア君を抱きしめたとき、心が温まった気がした…そのあとはなんだか恥ずかしくて、顔を背けてしまったが…あのあとは楽しく談笑していた。

そして、私は願った…

こんな日がいつまでも続きますように…と



〜姫さん視点〜

あれから月日が経ち私たちは2年生になった。

と言ってもこれと言って変わったことは何一つとしてない。

毎日放課後の図書室で会話をして、一緒に帰る。

休みの日は図書館で出会う。

レリチア君はなんで図書館に来るのかは知らないけど、私は居てくれるだけで嬉しかった。

そんなある日のこと…


麒彗「レリチア君!」

レリチア「どうしたの?」

麒彗「ちょっと…良いかな?」


私は顔が熱くなるのを我慢して、会話をする。

これからすることを思うと凄く顔が熱くなる…


麒彗「手を出して」

レリチア「はい」


そして、私はレリチア君の手に私の手を絡める。

私はこれまで、誰かと手を繋いだこともないから、これで合ってるのか知らないけどとりあえずやってみた。


レリチア「どうしたの?」

麒彗「この前ね…図書館に行っていたら、竜冥さんと出会ってね」


〜回想〜

竜冥「姫川さん…こんにちは」

麒彗「竜冥さんどうしたのですか?」

竜冥「いえ…見つけたので声を掛けただけです」

麒彗「そうですか…」

竜冥「そうだ…姫川さん…一つだけやってみてほしいことがあるのです」

麒彗「どんなことですか?」

竜冥「それはですね…」

〜回想終了〜


麒彗「てことがあったの」

レリチア「竜冥はこれをやって欲しかったのか」

麒彗「レリチア君は…その…いや…かな?」

レリチア「僕は別に…」

麒彗「そっか…良かった…」

レリチア「………」

麒彗「………」

レリチア「……?」

麒彗「ごめん!…離すね!」


顔がすごく熱い。


レリチア「それじゃ帰ろうか」

麒彗「そうだね」


〜レリチア視点〜

どうしたのだろうか?

姫さんはさっきから顔が赤くなっている。

熱でもあるのではないだろうか?


麒彗「私の顔見てどうしたの?レリチア君」

レリチア「さっきから顔が赤いから熱でもあるんじゃないかなって….大丈夫?」

麒彗「大丈夫だから!それより私こっちだから…バイバイ」


そう言って、姫さんは帰って行った。

それを見て、僕は後ろを向く。

さっきから誰かがついてきている。

しかも複数人…ざっと3人と言ったところか…

僕は自分の家に帰ると見せかけて、電柱の後ろに隠れる。

するとその3人は現れた。


?「どうする?」

?「もちろんやることは決まっているわよね」

?「いつやる?」

?「そうね…修学旅行」

?「おお良いね」

レリチア「こんばんは」

?「え…こんばんは」

レリチア「さっきからつけてきて、何か用事があるのかな?」


そのとき1人の男が肩を組んできた。


?「いや〜俺たち姫川さんの友達でな〜」

レリチア「姫さんのねぇ…」

?「ほう?」

レリチア「君たちの名前は?僕はレリチア・リベラティ」

?「私は白石琴葉」

?「俺は佐々木京介」

?「俺は相沢浩太」

白石「それじゃ私たちはこの辺でじゃあね…レリチア君」

レリチア「待って…まだ君たちは僕の質問に答えてない」

佐々木「いや姫川さんが知らない人と歩いてたからさ〜ね?」


それだけで追うというのは納得がいかない


レリチア「それだけ?」

相沢「そうだけど…何か?」

レリチア「君たちはたったそれだけの理由で尾行してたの?」

佐々木「尾行だなんて…まるで僕たちが悪者みたいじゃないか…あまり調子乗ってると痛い目見るぞ」

白石「ちょっとやめなよ…可哀想でしょ」


笑いながら言っている。


佐々木「それもそうだなじゃあな」


そう言って笑いながら帰って行った。


〜姫さん視点〜

あれから数ヶ月が経過して、2学期の中間が終わろうとしていた。

夏休みは1年生のときのように、レリチア君と毎日図書館で課題を進めながら談笑していた。

あれから一つだけ驚いたことがあった。

それは最近いじめを受けることがなくなった。

いきなりなくなると逆に不安になる。

まぁそんなことはいいとして…

明日から修学旅行だ…残念ながら私は行けないけどね…

親が許してはくれなかった。


麒彗「はぁ…」


私はため息を吐き、レリチア君になんて説明しようか考えていた。

現在は放課後…私はレリチア君を待っているがなかなか来ない…

また…何も言わずにいなくなってしまったのだろうか…


〜レリチア視点〜

僕は今、任務を終わらせるため、あるところに来ていた。

車でもう5時間山道を1時間は走っている。

竜冥「ごめんなさいね…レリチア君明日から修学旅行なのに…」

レリチア「良いよ別に…竜冥には世話になっているし…」

竜冥「なら…良いのですが…今回はしっかり、姫川さんには行ったのですか?」

レリチア「言ってないよ…それに、任務をするって聞いたのは家に入るときだったから」


そう言って僕は携帯電話を見せる。


竜冥「お昼時に連絡したんですけどね…」

レリチア「それはごめん」

組織の人「レリチア君は明日から修学旅行名のですか?」


運転手の人が話しかけてきた。


竜冥「そうですけど」

組織の人「それじゃレリチア君は帰った方が良いのですが…」

竜冥「どうしてですか?」

組織の人「もしかしたらこの任務…明日まで掛かるかもしれないのです」

竜冥「何故ですか?今回の任務はある館の調査なはずです。あの館の大きさ的にはそんなに時間は掛からないはずです」

組織の人「それがそうではないのです」

竜冥「まさか…地下があるというのですか?」

組織の人「そのまさかです…結構深くてですね」

竜冥「レリチア君…引き返しましょう」

レリチア「いや…いい」

竜冥「何故ですか?」

レリチア「もうここまで来たんだ…それにそれだけでかいってことは竜冥にも危険が伴うかもしれない」

竜冥「はぁ全くありがとうございます」


そんなこんなで館に着いた。

入って地下に進んでいると組織の人たちが敵と戦っている。

僕もそれに応戦する。


〜数分後〜

レリチア「ふぅ…」


結構数が多い、お陰で服が返り血で濡れている。

でもまだ敵はやってくる。

組織の人は何人か負傷したが命に別状はない。

そのとき、突撃部隊の人が話しかけてきた。


組織の人「ありがたい、前線に出てくれて…あの状態だったら私たちは負けていたよ」


窓の方を見てみると、まぁ朝だ。

これはもう間に合わない…


竜冥「レリチア君は部隊の人の治療と帰還に専念してください」

組織の人「残りは私たちが片付けます」

レリチア「わかった」


僕はそう言って館から出た。


〜次の日〜

僕以外の生徒は修学旅行に行っているため、学校内はとても静かだ。

竜冥から送りましょうか?と言われたが、流石にそこまで迷惑はかけられない。

ということで、僕は学校の図書室に来ていた。

先生曰く、この5日間は修学旅行のため休みではではないから授業はないけど来いとのこと。

とりあえずここで勉強か読書でもしようと思い、立ち寄った。

奥に進み、死角になっているところを見ると姫さんがいた。


麒彗「レリチア君!どうして学校にいるの?修学旅行は?」

レリチア「昨日忙しくて間に合わなかった」

麒彗「昨日何してたの?」

レリチア「内緒、それより姫さんもなんで学校に?」

麒彗「親が行かしてくれなかった」

レリチア「そっか」

麒彗「でも嬉しい…レリチア君がいるから」


その後の5日間は図書室で姫さんとお話ししながら、勉強だったり読書だったりを楽しんでいた。


〜その頃〜修学旅行先〜

佐々木「レリチアと姫川さんは?」

先生「あいつらは休みだ」

白石「な〜んだつまんないの」

相沢「準備が台無しだ」



〜レリチア視点〜

僕は明日から始まる、冬休みについて先生から話を聞いていた。

去年は海外の方に飛ばされてしまったから、経験は出来なかったから、とりあえず経験しておきたい。

そういうことで、適当に話を聞き流しているうちに、学校は終わっていた。

放課後、僕は図書室に来ていた。


麒彗「レリチア君!」

レリチア「姫さん、どうしたの?」

麒彗「明日から冬休みだね」

レリチア「そうだね」

麒彗「レリチア君は何か予定とかってある?」

レリチア「今のところはない」

麒彗「そっか…ありがとう…それじゃ私は帰るね」

レリチア「うん…バイバイ」


一緒に帰ろうかと思ったけどやめといた…

なんだか今は関わってほしくなさそうだったから。


〜姫さん視点〜

今日は気分が凄く落ち込んでいた。

何故なら修学旅行が終わったあと、またいじめを受けていた。

そして、今日過去最高に酷かった。


〜回想〜

麒彗「もう…やめてください…私の…何が悪いんですか…」


私は泣きそうになりながらも言葉を放つ。

周りは誰も助けてくれない。

先生は相手にもしてもらえない。


白石「悪いことね…あなたがこの世に生まれたことかしら」

佐々木「あははw」

相沢「おいwそんなw笑ってwやんなってwあははw」

白石「そうね…あなたの反応が良すぎるのが悪いのよね…そうだ!今度はレリチア君で遊ぼうかしら!」


どこからレリチア君と私の関係を!

でもそれだけはやめてほしい…彼を巻き込まないでほしい。


麒彗「私はどうなっても良い…だけどレリチア君だけはやめてください…お願いします」


私はそう言って土下座をした。


白石「あらあら…じゃあこれからも良い反応してちょうだい」


〜回想終了〜


本当はしたくなかった…だけどレリチア君を巻き込みたくない。

その気持ちだけは本当だった。


〜次の日〜レリチア視点〜

本格的に冬休みが始まったがやることは一緒で課題を必死に進めること、とりあえず早く終わらせたい。


竜冥「またですか…」

組織の人「なんとかお願い出来ないでしょうか⁉︎」

竜冥「言いましたよね…昨日も…」

組織の人「それでも欲しいものは欲しいのです」

レリチア「どうしたの?竜冥?」

竜冥「休みを要求してくるんです」

組織の人「何が悪いんですか!」

竜冥「欲することは悪いことではありませんがその決定権は私にはないのです。私たちの組織は政府のもとについている組織、政府が必要としたら動かなければなりません。だから休みを求めるのなら政府に言ってください」

組織の人「はい…」

竜冥「あぁそれと私も今からそちらに向かいますので伝えといてください」

組織の人「はい」


しょぼんとしながら帰って行った。


竜冥「いや〜寒いですね…暖房つけてないのは私ですけど」

レリチア「今日は何か任務とかある?」

竜冥「この前の館に行ったときので結構負傷者が出たので危険な任務は控えさせてもらっていますので大丈夫ですよ」

レリチア「じゃあ簡単な任務でも良いや」

竜冥「簡単なと言ってもレリチア君に適任なものはありませんよ…猫を探したり、悩みを相談したり、探偵がする仕事みたいなのが大半です…」

レリチア「そっか」

竜冥「それよりレリチア君は早くその課題を終わらせてください」

レリチア「わかった」


そのときこの家のチャイムが鳴った。

ピーンポーン


竜冥「誰でしょうか?」

レリチア「僕が出るよ」


僕は玄関に行き、扉を開ける。


レリチア「何のようですか……って…姫さん?どうしたの?」


何と来たのは姫さんだった。


麒彗「おはようレリチア君」

レリチア「おはよう」


そのとき奥から竜冥も出てきた。


竜冥「どうしたのですか?レリチア君って姫川さん!どうしたのですか?」

麒彗「えっと…その…ですね…」


モジモジとしていてどこかよそよそしい…


レリチア「…?」

麒彗「レリチア君と一緒に勉強したいなって思って…だからその…図書館…行かない?」

レリチア「わかった…良いよ」

竜冥「それならここで勉強しても良いですよ」

麒彗「それは…竜冥さんに迷惑に…」

竜冥「大丈夫ですよ…それに私はこれから出掛けますし…」

麒彗「ありがとうございます」

竜冥「良いですよ…それでは…」


そう言って行ってしまった。

僕たちはリビングに行き、席に着く。

そして、姫さんのために何か飲み物を用意していると、後ろから誰かが抱きついてきた。


レリチア「どうしたの?」

麒彗「別に…」


どうしたのだろうか?

まぁそんなことは良いとして、飲み物が完成した。


レリチア「姫さんミルクティーができたよ」

麒彗「ありがとう」


そう言って、席につき、ミルクティーを飲みながら課題を進める。

姫さんは僕の前の席に座る。

冬休みの課題はあまり多くないため、やろうと思えば1日で終わらせることができるぐらいの量だ。


麒彗「レリチア君はあとどれくらいで課題終わりそう?」

レリチア「僕はあと、4時間ぐらいあれば終わるかな…姫さんは?」

麒彗「私は…」


姫さんの方を見るとあんまりないような気がする。


レリチア「少ないね」

麒彗「休みが始まる前に貰ったから、その間に結構終わらせたの」

レリチア「そう」


そこから、夕方になるまでお互いあまり話さずに課題に集中していた。

途中から姫さんは終わったのか、勉強を始めた。

5時になる頃、僕はやっと全部終わった。

僕は伸びる。


レリチア「ふぅ…」

麒彗「終わった?」

レリチア「うん…終わった」

麒彗「それじゃ私帰るね」

レリチア「送るよ」

麒彗「今日は大丈夫…でも、明日はお願いしょうかな?」

レリチア「明日も来る?」

麒彗「うん…じゃあね」

レリチア「バイバイ」


〜次の日〜

竜冥「レリチア君…昨日はどうでした?」

レリチア「まぁずっと課題しているだけだったよ」

竜冥「そうですか…」

レリチア「お陰で終わったから良いけどね…それと…今日も来るって言ってた…今日は図書館にでも行くよ」

竜冥「その必要はありませんよ」

レリチア「でも流石に2日連続だし、それにやりたいことあるんじゃないの?」

竜冥「大丈夫です…幸か不幸か今日も手伝って欲しい系の依頼が届いてます」

レリチア「たまには休んだら?」

竜冥「組織の人が働いているのに、働かないわけには行きませんよ」

レリチア「そう」

竜冥「それでは…行ってきます」

レリチア「晩御飯…何が良い?」

竜冥「麻婆豆腐」

レリチア「は〜い」


竜冥を見送るため、玄関にいる。

竜冥が扉を開けると姫さんがいた。


麒彗「こんにちは」

竜冥「こんにちは…それでは私が留守の間、家のことお願いします」

レリチア「あぁわかった」


そう言って行ってしまった。

僕は姫さんを家にあげ、飲み物を用意する。


レリチア「はいどうぞ」

麒彗「ありがとう」

レリチア「それで何かようかな?」

麒彗「その…何というか…一緒にいたいみたいな…私もよくわからないんだよね…家にいたくないのもあるけど…」

レリチア「…ねぇ…どうして家にいたくないの?」

麒彗「聞いてくれるの?」

レリチア「教えて欲しい」


姫さんはわかったと言って話し始めた。

姫さんの語ったことはとても悲しいことのように感じた。

ついでに、姫さんの身に今何が起きているのかや周りの環境について色々と語ってくれた。

彼女の顔が悲しさを物語っていた。

でも僕にはどうすることもできない。

僕にとって今…1番やるべきことは何なのだろうか?

いや…多分ない…もしあるとするのならば話を聞いてあげること。


レリチア「そっか……僕はどうしたら良い?」

麒彗「レリチア君は自分のことを守って欲しい」

レリチア「自分を?」

麒彗「もし…学校で…私がいじめられている現場を見たら、立ち去って欲しい。それと、もし彼らに関わられたら、彼らが私にしたことと同じことをして欲しい」

レリチア「それで僕の身は守られるの?でも…姫さんは」

麒彗「私のことは大丈夫」

レリチア「彼らは友達じゃなかったのか…」

麒彗「どういうこと?」


そして、僕は佐々木と白石と相沢のことについて話した。


麒彗「ごめん…私のせいで…」

レリチア「どうして君が悪いの?君は何も悪くはない」

麒彗「私がレリチア君と関わったから…」

レリチア「最初に関わったのは僕からだ…だから気に病むことはない」

麒彗「…ありがとう」



〜レリチア視点〜

姫さんの話を一通り聞いたときには夕方になっていたため、姫さんを家に送ることにした。


麒彗「ごめんね…わざわざ送ってもらっちゃって」

レリチア「大丈夫だよ」


2人でゆっくり歩いていると、綺麗なものが目に入った。


レリチア「これは」

麒彗「イルミネーション…綺麗…」


イルミネーションっていうのか…とても綺麗…

そのとき、姫さんがもっと近くで見ようとそれに近づいていく。

そこで僕はイルミネーションを背に純白の女の子がこちらを向いて、微笑みかけている景色が目に入った。

白のオープンカラー

水色のサーキュラー

黒のシャツ

白と水色のスニーカーを身につけている。

何故か…初めて彼女の全体像を把握した気がした。


麒彗「レリチア君!ありがとう…私と関わってくれて!一緒にいてくれて!」

レリチア「そんなこと…今更言わなくて良いよ」

麒彗「そんなことないよ…気持ちを伝えることは大切だから」

レリチア「そう」


そして、僕たち2人は帰路についた。


〜ある日の任務〜

僕は今、任務を終わらせたため、今は負傷者の手当をしていた。


組織の人「レリチア君…手当上手くなったね」

レリチア「そう…ありがとう」

組織の人「そういえば…レリチア君の誕生日っていつだっけ?」

レリチア「誕生日って何?」

組織の人「知らないの⁈じゃあ教えてあげる」


僕は耳を傾けて、聞いた。


レリチア「へぇそうなんだ祝うんだ生まれた日を」

組織の人「そうなの…ちなみにリーダーの誕生日は1月20日だよ」

レリチア「僕の誕生日はわからない…いつ生まれたのかな?」

組織の人「そうなんだ…まぁリーダーでも祝ってあげて」

レリチア「わかった」


〜とある日〜

レリチア「姫さん」

麒彗「うん?どうしたの?」

レリチア「姫さんの誕生日はいつ?」

麒彗「7月3日だけど…」

レリチア「ありがとう」

麒彗「?」


そうして、冬休みが明け、新学期が始まった1月20日のこと。


竜冥「ただいま…いや〜今日も疲れましたって…何ですか?これ?」

レリチア「竜冥…お誕生日おめでとう」

竜冥「え?」

レリチア「今日は1月20日だよね?」

竜冥「そうですけど…教えましたっけ?」

レリチア「組織の人が教えてくれた」

竜冥「ふふ…ありがとうございます」

レリチア「それと…誕生日プレゼント」

竜冥「ありがとうございます…え?」

レリチア「いらなかった?」

竜冥「本当にありがとうございます…まさかこんな高価なもの貰えるとは思っていませんでした」

レリチア「気に入った?」

竜冥「えぇ…それでこれは一体どこにつけるんですか?」

レリチア「ベルト」

竜冥「どうですか?」

レリチア「僕には何とも…」

竜冥「しかも私の誕生日の誕生石のガーネットとは凝っていますね」

レリチア「そりゃね」

竜冥「一生大切にします」

レリチア「ありがとう」


喜んでもらえたようで何よりだ。


竜冥「お礼として、少しだけ面白いものを見せてあげます」


僕は竜冥についていった。

そこは竜冥がいつも使っている研究室だった。

そこには金属の塊があった。


レリチア「竜冥…これは…」

竜冥「私の新しい身体です。覚えていますか?私とレリチア君が初めて出会ったときのこと」


僕は懐かしむことはなくスッと答えた。


レリチア「覚えてるよ…不老不死のために研究しているってこともね」

竜冥「それがこれです。私の脳とこの機会を繋げることにより、私はサイボーグとなります」

レリチア「凄いね」

竜冥「私が辿り着いた結論がこれです。不死ではありませんが不老だけでも叶うのでいいでしょう。」

レリチア「ありがとう…見せてくれて」


そう言って僕はリビングに戻っていった。


〜学校〜

レリチア「こんにちは姫さん」

麒彗「レリチア君!」

レリチア「久しぶりだね」

麒彗「ごめんね、会えなくて…ここ最近…忙しくてね…親がね…」

レリチア「僕といるときぐらい…親のことは忘れたら?」

麒彗「わかった」

レリチア「もう3年生か今年で卒業だね」

麒彗「そうだね…ねぇレリチア君…ずっと気になってたんだけどさ…」

レリチア「何?」

麒彗「どうしてレリチア君って笑わないの?」

レリチア「え?」

麒彗「レリチア君はずっと表情を変えずに過ごしているよね…だから…さ…私…だけ…なのかなって…私だけが…楽しんでるだけで…レリチア君は楽しくないのかなって…ごめんね…私…面倒くさいよね」

レリチア「さぁ…わからない…無表情なのはずっと昔から…かな…」

麒彗「もしかしてだけど…人とか殺してないよね?」

レリチア「……どうしてそう思ったの?」

麒彗「この前…小説で読んだんだけどね…無表情の人って人を殺しているうちに人の心がなくなった…みたいなことが書かれてあったから」


一概には否定できない…でも僕は人を殺す前からこうなので一応否定することにした、


レリチア「殺してなんかないよ…それに殺してたら僕はここにはいない」

麒彗「確かにそうかもね…でも良かった…私ね…人を殺したり、傷つけたりする人が嫌いなの」


彼女の境遇からしたら当然のことなのだろう。


レリチア「逆に姫さんの好きなものって何?」

麒彗「音楽かな…音楽は聴いてるだけで心が落ち着く気がするから…好き」

レリチア「そう」


〜7月3日〜

今日この日まで姫さんに渡す誕生日プレゼントについて考えていたが何も思いつかなかった…

だから結局、竜冥と同じようなものを渡すことにした。


レリチア「姫さん」

麒彗「?どうしたの?」

レリチア「久しぶり…今日はいてくれて助かったよ」

麒彗「私に何かよう?」

レリチア「お誕生日おめでとう」

麒彗「え⁈ありがとう…生まれて初めてだよ…誕生日を祝ってもらったのは…」

レリチア「それと…はい」


そして僕はプレゼントを渡した。

小さな箱の中にそれは入っている。


麒彗「開けてみるね…これは‼︎」

レリチア「ルビーのブローチ…気に入ってくれたかな?」

麒彗「こんな高価なもの貰えないよ」

レリチア「良いんだよ…僕が好きでしたことだから…」

麒彗「ありがとう…一生大切にするね」


そう言って姫さんは抱きついてきた。

この前、組織の人が見てた映画を勝手に見ていたら、この状態と同じ場面を見たから、このときの対処法はもう知っている。

僕は姫さんの背中に手を回し、優しく包み込む。


麒彗「え!レリチア君…その…これは…凄く…恥ずかしい…だけど…嬉しい」


その状態を2、3分続き、一旦お互いに離れる、


麒彗「レリチア君…ありがとう…本当に嬉しい…私の親はこういうことしてくれなかったから…レリチア君の誕生日はいつ?私も何かしてあげる」

レリチア「残念だけど…僕は自分の誕生日を忘れてしまったからわからない」

麒彗「そうなんだ…」


〜姫さん視点〜

10月上旬の頃、私は勉強しようと図書館に行った、その帰りのこと。


麒彗「あ…竜冥さん」

竜冥「姫川さん…どうしたのですか?」

麒彗「いや…偶然見つけたので…」

竜冥「…そうですか…そのブローチ似合ってますよ」

麒彗「ありがとうございます…レリチア君から誕生日プレゼントととして貰ったんです。こんな私にこんな高価なものをくれたことに感謝してます」

竜冥「実は私もレリチア君からプレゼントを貰いましてね、とても気に入っています。そこで提案なのですが…レリチア君のために何かプレゼントを用意しませんか?」

麒彗「良いんですか⁈」

竜冥「えぇもちろん」

麒彗「レリチア君に何かあげたいって思ってたんですけど…お金がないので用意できなかったのでありがたいです」

竜冥「それでは行きましょうか」


そして私たちはレリチア君に渡すプレゼントを決めて、解散した。

渡す日は文化祭!

とても楽しみだ♪



〜レリチア視点〜

今日は何やら文化祭という行事らしい。

姫さんに聞いたらレリチア君は2回とも休んでいたと言っていた。


レリチア「姫さん」

麒彗「どうしたの?」

レリチア「何か行きたいところある?」

麒彗「ないよ…それに…私が行ったら周りの人の視線が気になって落ち着かない」

レリチア「そっか…そういえば…今年卒業だけど…姫さんはこれからどうするの?」

麒彗「私は大学に行くよ」

レリチア「だから最近もっと勉強頑張っているんだね」

麒彗「うん…」

レリチア「あ…ちょっと待っててね」


僕はそう言って食堂に向かった。


〜姫さん視点〜

プレゼント…いつ渡そうかな?

私はとりあえずそのことを考えていた。

まぁ帰りにでも渡そう。

そう思い、バックの中にしまった。

そしてレリチア君が戻ってきた。

手には食べ物を持っている。


麒彗「レリチア君…それは?」

レリチア「一緒に食べよう?」

麒彗「うん」


私はそれらを生徒たちの劇だったりを見ながら食べていた。


レリチア「美味しいね」

麒彗「うん…美味しい」


卒業…か…レリチア君は多分就職するだろうから…これから会えないかも…そう思うと何だか凄く悲しい…

いや…今この話はやめよう。

今はレリチア君と楽しもう。

そして、私たちは2人で文化祭を楽しんだ。


〜帰路〜

麒彗「レリチア君…楽しかった?」

レリチア「楽しかったよ」

麒彗「私も」


数秒間の沈黙が流れる。

それを破ったのは私だった。


麒彗「レリチア君」

レリチア「どうしたの?」


初めてこういうものを渡すからどんなふうに渡したら良いかわからないけど…多分大丈夫!


麒彗「レリチア君…私といてくれてありがとう…これはその…お礼…受け取って欲しいな」


レリチア君はそれを開けて中身を見る。

中からは四角いものが出てきた。


レリチア「これは?」

麒彗「それはブラックバードフライ…カメラだよ」

レリチア「ありがとう」

麒彗「本当はアクセサリーとか渡したかったんだけどね…レリチア君に合いそうなのはなかったから」

レリチア「大切にするね」

麒彗「ありがとう」


〜3学期〜レリチア視点〜

姫さんはこれから受験だからあまり邪魔はしたくない。

けど…竜冥曰く彼女のメンタルケアもしてあげてのことだったのでしてみる。

一体どのようなことをしたら良いのかわからないけど…何とかなるよね。


レリチア「姫さん?」

麒彗「あ…レリチア君…」


姫さんは泣いていた。

どうしたのだろうか?


レリチア「どうしたの?姫さん?」

麒彗「これ…」


手元にあったのはテストだった。

順位は3位とかなり高めだ…これがどうしたのだろうか?


麒彗「今回のテスト…100点が一個もない……」

レリチア「今回は難しかったのかな?」

麒彗「レリチア君…私…家に帰りたくないよ…もう…これ以上…叩かれたくない…殴られたくない…辛い思いをしたくない…私を…」


そう言って姫さんは抱きついてきた。

それは…僕はどうしたら良いのだろうか…


レリチア「…僕は何をしたら良いのかな?」

麒彗「ごめんね….レリチア君は心配しないで…」

レリチア「でも…」

麒彗「大丈夫だから」


そう言って、立ち上がった。


麒彗「帰ろうか」


〜次の日〜

昼休みに学校で姫さんを見つけた。

そのとき驚いた。


レリチア「姫さん」

麒彗「レリチア君…」


姫さんは怪我をしていた。

頬のところを……

僕は姫さんの手を握り、保健室に向かった。


麒彗「え!レリチア君!」


レリチア「姫さんちょっと動かないでね」


そう言って僕は保健室の先生から勝手に借りた、救急ボックスで手当てをしていた。


麒彗「ありがとう」

レリチア「そんなことより…どうしたの?この怪我?」

麒彗「親が…」

レリチア「そっか…」

麒彗「私が悪いんだよ…全部…」


それは違う気がしたが今の姫さんにはどんな言葉も届かない気がした。

僕は優しく姫さんを包み込んだ。

組織の人も言っていた。ハグをすると心が落ち着いて暖かくなるって…


麒彗「ありがとう…レリチア君」

レリチア「怪我したらしっかり処置を施してね」

麒彗「わかった」

レリチア「そういえば…姫さんの受験はいつ?」

麒彗「来週だけど…」

レリチア「一日中?」

麒彗「うん」

レリチア「お弁当作ってあげる」

麒彗「え!良いの?」

レリチア「もちろん」



〜来週〜姫さん視点〜

私は今受験会場にいる。

今日は受験日これまでの努力が無駄にならないよう存分に発揮するとき。

レリチア君のおかげなのかは知らないけど気分が良い。


監視官「初め‼︎」


私はペンを取り、書き出した。


私は今、家に帰っていた。

と言っても電車でだけど…レリチア君にこのお弁当箱を返して、お礼言わないと…

そんなことを考えながら電車に揺られていると声が聞こえた。


レリチア「姫さん?」

麒彗「え…どうしてここにいるの?」

レリチア「ちょっとだけお手伝いでね…今帰っている途中」

麒彗「あ…レリチア君…お弁当美味しかったよ」

レリチア「それは良かった」

麒彗「お弁当箱は私が洗って返そうか?」

レリチア「いや…いいよ」

麒彗「ありがとう」


多分私の親のことを考えてくれたのだろう。

感情がないからたまに怖いけど…誰かのことをしっかり考えてくれる人…レリチア君の良いところ…


今は電車から降りて家に帰っている途中…

今の時間帯は17時…両親はまだ帰ってきていない…

てことでレリチア君を家まで送ることにした。

その間はあまり会話はない…でもそれが心地良かった。


レリチア「姫さん」

麒彗「何?」

レリチア「姫さんは曲がらなくて良いの?」

麒彗「レリチア君を家まで送るよ」

レリチア「そしたら…僕が姫さんを家まで送るよ」

麒彗「ふふ…ありがとう」


そんなこんなでレリチア君の家につき、レリチア君がお弁当だったりを片付けている間、私はレリチア君が作ってくれたミルクティーを飲んでいた。

レリチア君が片付け終わると私の前の席に座る。


レリチア「美味しい?」

麒彗「うん…嬉しいなそのカメラ持っててくれて」

レリチア「姫さんも一回撮ってあげる」


レリチア君はこちらにカメラを向けるとトリガーを引きカシャと言う音がした。


麒彗「ごめんね…今日ブローチつけていきたかったんだけど…学校がダメだって…」

レリチア「仕方ないよそれは…」

麒彗「来週…卒業式だね…」

レリチア「そうだね…」

麒彗「一緒に帰らない?」

レリチア「うん…もちろん」


そう言って姫さんは微笑んだ。



〜レリチア視点〜

僕は今学校にいる。

いつもだったら、すぐに教室に行くが、今日は図書室に来ていた。

そこには、いつものように姫さんがいた。


麒彗「おはよう…レリチア君」

レリチア「おはよう」

麒彗「どうしたの?珍しいね」

レリチア「今日は卒業式だからね…もしかしたら姫さんがここにいるかなと思ったんだよ」

麒彗「私に会いに来てくれたんだ…ありがとう」


まぁこれは竜冥の受け入りだけど…

竜冥曰く卒業式は物思いにふけっているらしい…

だから自然と思い出の場所にいると言っていた。


レリチア「そういえば…大学受かった?」

麒彗「それがね〜」


そう言い、バックの中を漁る。


麒彗「じゃん!合格したんだよ〜凄いでしょ」(えっへん)


そう言って自信満々に腕を組む。


レリチア「おめでとう」

麒彗「ねぇレリチア君…今日一緒に帰らない?」

レリチア「良いよ」


その後は卒業式が始まる前まで、図書室で談笑していた。


〜姫さん視点〜

私は今…卒業式を終えて、教室に戻り、先生の話を聞いていた。

先生は泣いている…私からしたら泣く要素はない。

こんないじめられるクラス…二度とごめんだ。

そうしているうちに最後の先生の話を聞き終え、自由時間だ。

先生はもうどこか行ってしまった。

そこで私は荷物を持ち、帰ろうと教室を出ようとしたとき…

目の前に相沢が見えた。

手にはバケツを持っている。

気づいたときには遅かった。

バシャーンと言う音と共に、私はびしょ濡れになった。

最悪だ…残念なことに…私をただで帰らせる気はないらしい。

そして、私は荷物を取られる。


白石「姫川ちゃん…何で帰ろうとしているのかな?」

麒彗「あぁ……」


隣を見ると私のバックの中を勝手に開けて、何かしている。


佐々木「おお!これ!」

白石「どうしたの?あらあらおめでたいわね!合格だなんて!」

麒彗「返して…」

白石「口ごたえする気?」


そのとき、目の前で合格通知の紙を破られた。


麒彗「あぁ…」

白石「残念でした!まぁ良いじゃない?そうよ…ねぇ?」


私は口籠る。

それを見て、クラスの大半が笑っていた。

私は奥にある、レンズに気がつかなかった。


〜レリチア視点〜

僕は今…図書室で待っていた。

でもなかなか来ない…

いつもならすぐにくるはずなのだが…


レリチア「………そうだ」


僕は迎えに行くことにした。

善は急げということで、僕は歩き出す。

この3年間で様々なことを学んだ。

その結果…文字はまだ読みにくいかもしれないが、しっかり読めるようになり、使うことができるようになった。

そして、多分愛嬌?も身についている気がする。


レリチア(確か姫さんのクラスは3-5だったから…ここだね)


そして、僕は中を覗いた。

そこには、濡れている姫さんを笑っている光景が目に映った。

そのとき、姫さんと目が合った。


佐々木「おお?…おお!レリチア君じゃないか!」


そして、僕は肩を組まれ、中に入らされる。


白石「それじゃ愛しい愛しいレリチア君が一体どうするのか見ましょうか?」


姫さんが何かを言おうとするが、白石に睨まれ、押し黙った。

相沢が水の入った、バケツを持ってきた。

そして、僕は動き出した。


〜姫さん視点〜

あぁ…ああああああああ!

レリチア君を巻き込んでしまった…

ただそれだけが…嫌だった…


バシャン


どうしようかと思い詰めていると、身体全体に冷たい水の感触が当たった。

顔を上げると、レリチア君がこちらにバケツを向けて、水を私にかけた。


佐々木「あ…はははw」


そのときクラスで笑いが巻き起こった。

その間に、レリチア君は退散していった。

その後も最後のいじめは行われた。


〜レリチア視点〜

僕は今正門で姫さんを待っていた。

多分これで良いはず…姫さんも言っていた…だから…多分大丈夫なはず…なのに…


なぜ僕はあのときの姫さんの顔が鮮明に残っているのだろう…


あのときの姫さんの顔はまるで失望したような…絶望したような…顔だった。

僕はゆっくりと歩き出した…

どこに行くわけでもなく…ただ歩き出した。

後ろを見ると、姫さんのクラスにいた人たちが帰っていた。

僕はそれを気にすることなく、前へと進んでいった。

そして、僕が歩き初めて、数分後…目の前に何か落ちてきた。

それは僕の目の前で落ち、赤い液体を出している。

そして、その顔は真っ白だった。


レリチア「あぁ…」


僕は間違ったのだ…選択を…間違えてしまったのだ…

僕は膝をつき、屈む。

彼女は表面は強がり、裏面では助けを求めていたのだ…僕はそれに気づけなかった…

そこで、僕はもう動かなくなった彼女の手の中に何かあるのを見つけた。

ルビーのブローチだ……

僕はそれをハンカチで包み込み、ポケットにしまった。

そのとき、先生たちが駆けつけてきた。


〜数分後〜


辺りを見回すと、警察官や救急車がいた。

僕は今、警察官に事情聴取をされていた。

そのとき、奥から見知った顔が現れた。


レリチア「竜冥…….」

竜冥「レリチア君…」

レリチア「竜冥……僕は…間違った…選択を…彼女を…助けて…あげられなかった」

竜冥「……」


僕は壊してしまった…僕が壊してしまった。

これまで積み上げてきた…

積み重なってきた…


彼女からの信頼を…………



BAT end


続きはpixivにあるけど!

いつかはこれで作ろうと思っているよ!

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