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21 ガルライアの思い(後)

悪役令嬢や聖女が登場している話をたくさん読んで楽しくなり、自分でも書いてみたくなり挑戦しています。

国と国との話し合いだと、ルティはほぼ聞き役ですね。

もう少しこんな感じが続きます。早く暴れさせたいです。

最後までお付き合いいただけたらうれしいです。

どうぞよろしくお願いします。



「おい、落ち着け!」

 フェイトがお姉様を止めにかかる。


 それで止まるようなお姉様ではない。


「落ち着いていられるか!」


「あの、リーンハルト様は国内の貴族間のバランスを保つためにとても苦労しているのです。

 ムーラン帝国やアルタイル王国のような王の力が強い国もありますが、ガルライアの現状を察してください!」


 アンジェリカがお姉さまに向かって言うと、お姉様は意外そうな顔をして、リーンハルト王子を見た。


「こんなに理解してくれてる者がそばにいて理不尽な思いをしているのに、どうしてリーンハルト王子はそれに甘えているのだ。アンジェリカと話し合ったことはあるのか?

 それと第1王女のエイベル王女がいるはずだが、彼女はどこに?」


「エイベルはこのままだと他国へ人質に行かされるのではと部屋から出なくなってしまいました。

 明日の夜会も参加を嫌がっています」


 リーンハルト王子が苦しそうに答え、それを見てアンジェリカが声を上げる。

「代わりに私が参加します。もし人質が必要なことになれば、私が!」


 ガイルがため息をついて言った。

「ここで現状と不確かな未来を話していても仕方がありません。

 打開策をいくつか考えましょう。

 まず、アルタイルとは交流があり、もうすでに側室になっている聖女候補がいるので、仮に求められたとしても、それで話をつけるべきです。

 次にドーワルトとはもともと交流があるのですから、無理に人質を送ることもないでしょう。

 ムーランも特にガルライアに対して人質を求めることはしません。

 ムーランとしてはガルライアの王権の弱さと治安について……思うところはありますが、人質を取るような話ではありませんし。

 リーンハルト王子の考え方ですが、他国に頼り一気に他国の力で改革を進めることはやめましょう。足元をすくわれますよ。

 アルタイルとの関係でそれはよくわかったでしょう。

 ムーランとしては聖女神殿の改革をまずお手伝いできればと思います」


 アルテミスお姉様が後を続ける。

「今のアルタイルとガルライアの関係が近すぎる。政治も宗教もだ。

 そのため、ムーランの神官と聖女がガルライアの聖女審査の手伝いをしよう。

 神官どもにはムーランの女神神殿、わが国では教会というが、教会と交流し、やり方を教え合うとでも言っておけばいい。

 私達は公開で審査し、一番力の強い者を選ぶ。ガルライアの貴族とのしがらみもない私達ならそれができる。どうだ?」


「まず正当な聖女を選んで神殿を立て直せれば、時間はかかるかもしれないが王の力も強くなるだろう。

 嘆いてばかりでなく、そこから始めたらいいと俺も思う」

 フェイトもリーンハルト王子にそう言った。


「リーンハルト様、私、やりたいです。ガルライア王国の聖女になってあなたをお支えしたいです」

 アンジェリカが落ち着いた声で言った。


 ずっと自分に何ができるか考えていたんだろうな。

 

「アンジェリカ、ありがとう。

 しかし、ムーラン帝国はなぜそこまでこのガルライアを……?」

 リーンハルト王子はまだ信じられないようだ。


 ガイルが苦笑する。


「我々が信じられませんか?

 我々も守護女神を信仰していますよ。大本山のあるガルライアの信仰を守りたいというだけでは信じてもらえませんか?

 そこに国は関係ありません。

 ほら、ルティとアンジェリカ様を見て下さい。

 ルティはドーワルト王女ですが今はムーラン帝国に迎え入れられ、そしてガルライアのアンジェリカ様と友人になっています。

 我々はいい友人になれると思いますが……」


「友人……」

 リーンハルト王子が呟く。


「国を背負うということがよくわかっているからこそ、決断できない。その気持ちもわかる」

 フェイトがリーンハルト王子に考えながらゆっくりと話しかける。

「大きな決断と思わず、まず一歩進んでみたらどうだ。何か違うものが見えてくるかもしれない。

 俺達は隣国ではない。地理的にアルタイル王国を挟んでの関係だ。

 逆にその利点を利用してやれと思ってくれてもかまわない」


「……わかりました。

 ではまず、ムーラン帝国の教会と我が国の神殿との交流をよろしくお願いします。

 そして、私とアンジェリカと……友人になってもらいたい。よろしくお願いします」


「友人になるのにお願いしますは言わなくていい。私のことはアルテミスと呼んでくれ。

 私達もリーンハルト、アンジェリカと呼ばせてもらう」


 細かいことを話し合うことにしたリーンハルト、ガイル、フェイトを部屋に残し、私達女性3人は庭へ出た。


「アンジェリカはリーンハルトのことが好きなんだな」

 お姉様がいきなり言うので、アンジェリカがびっくりし、赤くなりながら「いえ、その、お支えできればとだけ思っています」と答える。


「自分の気持ちには蓋をしないことだ。思い込みも良くない。ひどくなるとそれは呪いのように自分や周囲を苦しめることになる」

 アルテミスお姉様が優しく言った。


 私はドキッとした。自分のことを言われているのかと思ったから。


 アンジェリカは回復魔法ヒールをお姉様に見てもらい、いくつか気を付けることなどアドバイスをもらった。


「ルティ、私、ルティとスーリヤで会ってから、いろいろ気持ちが変わったの。良いほうに良いほうに。

 友人になれて良かった。これからもお互いに力になれるようになりたい」


 アンジェリカが私の手を握って言った。


「私も、アンジェリカと会えて、うれしかった。お互いに頑張ろうね!」

読んで下さりありがとうございます。

次も頑張ります!

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