15 コロンバからカンタスへ(前)
悪役令嬢や聖女が登場している話をたくさん読んで楽しくなり、自分でも書いてみたくなり挑戦しています。
どんどん登場人物が増えてきてます。
名前を間違えないように頑張ります……。
最後までお付き合いいただけたらうれしいです。
どうぞよろしくお願いします。
焚火で温かいお茶と朝食を用意し、食べてから出発。
昼にはコロンバの街に到着し、無事に入ることができた。
宿屋に入り、ガイルは4人部屋を選んだ。
ガイルとレイはギルドに情報収集に行くというのでホーンラビットを出して渡す。
私はフェイトと街へ出て買い物してきていいと言われる。
これまで急いでいたので街をゆっくり歩くことがほとんどできなかったからとガイルが言ってくれた。
街に出るとそれぞれ行きたい店を相談した。
フェイトは武器屋に行き、剣の手入れをしてもらいたいそうだ。
私は魔法の勉強をしたいので本屋に行きたい。
まず武器屋に行き、手入れをしてもらっている間に本屋に行くことにした。
「ルティの剣は大丈夫なのか?」とフェイトに言われる。
「大丈夫。時々洗ってやればいいと言われてる」
それを聞いた武器屋のおじさんからぜひ見せて欲しいと言われたが、持ち歩いていないと断った。
街に入る前に外してアイテムボックスに入れておいて良かった。
ドーワルトの神器の太刀のうちの一振りのはずだから、見つかったら騒ぎになるかも。
剣を研いでもらっている間に、本屋へ。
中級魔法の本を見つけた。
アンチドートとかヒールより強い回復魔法や、麻痺の回復とか載っている。
値段を見るとやっぱりお高い。
1000ルランだった。
うーん手持ちでは全然足りない。
あきらめて書棚に戻す。
するとフェイトがその本を取り出してパラパラ見た。
「俺、これ買うわ。ルティにも貸してやる」
そしてカウンターで値切って、950ルランで買った。
「はい、先に読んでいいよ」と渡されたのでびっくりするが、フェイトの気持ちがわかったので、ありがたく受け取る。
「ありがとう、フェイト! わからないところがあったら聞くから教えてね」
「俺も、もう少し真面目に魔法勉強するよ……」とフェイトが言った。
武器屋に戻り、研ぎ終わった剣を受け取って、広場へ行くと揚げドーナツがおいしそうだったので買ってみる。
アツアツの揚げたてはおいしかった。
冷ましてはちみつをかけたものなどもあり、ガイル達へのお土産に多めに買った。
「ルティ、髪の色、それで大丈夫か?
黒いほうが良ければ、魔道具買い直してもいいぞ」
フェイトが私の髪を触りながら言った。
「この髪色、フェイトと同じで気に入ってるから、このままでいい。
ドーワルトになんか言われたら、のろいで金髪になったと言っておく」
笑いながら言うとフェイトも笑った。
宿に戻るとガイルとレイはもう戻っていて、もうひとりムーランの人がいた。
ガイルから情報を伝えに来てくれたエドと紹介される。
黒髪黒目ですごく落ち着いて見えるガイルと同じくらいの年齢の男の人だ。
この人の情報をみんなで聞くために4人部屋にしたんだそうだ。
エドの情報だとウィリアムとリーンハルト、そして私の姉のシュリーベルも一緒に王都ロマーヌに向かっていること。
そして途中でドーワルトの王太子ホアンが今まで封鎖されていた国境を越えて合流する予定のためかマイネからドーワルト寄りのマリへと移動しているそうだ。
なんとガルライアのスーリヤからはアンジェリカと第1王女のエイベルも同行しているという。
ロマーヌではアルタイルの第1王女エリザベスが参加することが決まったそうだ。
そしてムーランからは第1皇女アルテミスの参加も決まり、アルテミスはすでにカンタスへ向かっているとのこと。
なぜ急にこんな王族や皇族の参加者が増えたかというと、和平会合の前夜に夜会、つまりパーティーが開かれることになり、女性も参加することになったのだという。
「まあ、和平のための人質や国策での婚姻とはいえ、それぞれ情報や条件を確認するいい機会ですからね。
この時の顔合わせで組み合わせが替わる婚約もあるかもしれません」
エドがフェイトを見て言った。
「何で俺に……」とフェイトが言いかけて黙る。
「私はアルタイルの王宮に着いたらドーワルトの使節団に入るの?」
私が疑問を口にするとエドが答えてくれた。
「ドーワルトはルクレティア様をアルタイル王宮預けにする予定と聞いたので、ムーランですでに保護していると連絡を入れました。
ムーラン帝国使節団と一緒に過ごせるよう調整中です」
「そんなことできるんだ! アルタイルは何も言ってきてない?」
「さあ、アルタイルにはドーワルトがなんとかうまく説明するでしょう」
エドもドーワルトに冷たいなあ。
まあ、仕方ないけどね。
エドはこれから一足先にロマーヌに入り情報収集してくるとのこと。
私達は明日、カンタスに向けて出発しその日のうちに到着予定。
「もう野宿はないからな。安心してくれ」とガイルが言った。
「アンジェリカとまた会えるのはうれしいけれど、そんな夜会、気が重いな……」
私が言うとフェイトもうれしそうに同意する。
「な、そうだよな。出るのやめよう」
「そういうわけにはいかないよ。とりあえず、アルタイルまで着いた事は証明しないと。
レイはどうする?
ムーランの使節団と同行するにしても、一度ぐらいはドーワルトの使節団に……、兄と姉に挨拶に行かないといけないと思う。その日までにどうするか、考えておいてね」
「カンタスではダンスの練習もしないとですね」
ガイルが言うので私は聞き直す。
「ダ、ダンス? 何それ?」
「アルタイルの夜会なら、男女でダンスを踊るでしょう。
ルティもアルタイルやガルライアの王子から踊りを申し込まれる……」
「そんなん断れ」
フェイトが不機嫌そうにガイルの言葉を遮る。
「断れるの?」
「無理でしょうね。結婚や結婚間近の婚約者がいれば少し話は変わってきますが、まだお互いが未婚の場合、申し込まれたら1曲踊るのは礼儀です。
カンタスでアルテミス様がダンスを教えてくれますよ」
「……カンタスでのんびり釣りとかできるんじゃなかったっけ?」
「まあ、ダンスやマナー講習の合間に釣りでもしましょう」
なんか……、大変な事になってきた……。
読んで下さりありがとうございます。
次も頑張ります!




