10 先に進もう(前)
悪役令嬢や聖女が登場している話をたくさん読んで楽しくなり、自分でも書いてみたくなり挑戦しています。
旅に戻りますが、他の国の動向を気にしながらの旅となります。
ブックマーク、ありがとうございます!
とても励みになりました。
最後までお付き合いいただけたらうれしいです。
どうぞよろしくお願いします。
宿屋に戻り、帰っていたレイと合流し、それぞれの報告をしあった。
ドーワルト王国からスーリヤのギルド留めでレイに手紙が届いていた。
『アルタイル王国の王都ロマーヌにて、ドーワルト王国、ガルライア王国、アルタイル王国、ムーラン帝国4か国の和平会合が開かれることになった。
期日までにロマーヌに入りアルタイル王宮に登城するように』
期日は今から15日後だった。
ガイルによれば、ここから急げば7日間でロマーヌに着くことができるとのこと。
「エーテスにいるガルライア、アルタイルの王子達ももうスーリヤに向かっていることだろう。
さて、我々はどの様にロマーヌに向かうか……」
「ドーワルト王国はガルライア王国とアルタイル王国に人質というか王女をそれぞれ和平のために人質か結婚させようとしてたんだよね。
あれ、ムーラン帝国を外そうとしてたのか?
で、こうなったということはばれた? あれ……、もしかして……」
ガイルを見る。
ガイルが苦笑いしている。
「そうだよ。最初はアルタイルへ人質になりに行くというルティの話だけの情報だったが、ガルライアも絡んでいることがわかってムーランが介入したというわけだ。
その直後に私達もガルライアとドーワルトのもうひとつの婚約話が進んでいることをたまたま知ったがね」
レイが「騙したのか?」とガイルを睨む。
フェイトが明るく言った。
「でも良かっただろ。
これでルティがアルタイルの人質という話はいったん白紙だ。
レイだって、話を聞いた限りでは悪そうなウィリアムのところにルティを連れていく役目より、和平会合にルティを連れて行く方が気持ちも楽だろう?」
「……確かに。それはそうだが」
「それに俺は嘘は言っていないし、騙してもいない。
ルティとずっと一緒にいるって決めたから、ムーランに連れていきたいと思っている」
「ムーラン帝国に!」
レイが驚いている。
「じゃあ、レイはこのままルティが、ドーワルトでは砂漠の辺境に追いやられたまま、アルタイルに行けば人質で好きでもない男と結婚させられる方がいいと思うか?」
「でも、私はドーワルト王国の隊士だ!」
「レイ、和平会合の開かれるロマーヌまで一緒に来てくれないだろうか?
そこからはレイの好きなようにしてくれてかまわない」
私はレイにお願いした。
「……ルティもムーラン帝国に行きたいのか?」
「それはまだわからない。
和平ということになれば人質の話はきっとまた出てくると思うし。
その会合に行ってみないとわからないよ。
ただ、今日神殿で聖女候補のアンジェリカと会って話をして、もっといろいろな国のことを知りたいし、見てみたいとは思った」
「……わかった。和平会合に一緒に行って、私は何をするべきか、何をしたいのか、それから考えることにする」
レイが真剣な顔で答えてくれる。
「ありがとう、レイ。
ところで、気になっているんだけど、路銀ってどうなってる?
ドーワルトからは何もない?」
「……はい、この手紙しか届いていません……」
「ドーワルトってバカじゃねえの?
二つの国を越えて旅するのに『行け』『来い』って言うだけで何とかなると思ってるのか?」
「フェイト、レイに言ってもしょうがない。
レイ、ごめんね。こんな役目を押し付けられて、大変だったよね」
「……いえ、今回のことで私も学ぶことができました。ただ、国の命は絶対と思っていたので。
ルティと、そしてガイルとフェイトと一緒に旅をしたこと、自分にとっては良い経験だと思っています……。ただ、まだドーワルトを裏切るとかそういうことはできない……」
「まあ、後15日ある。自分がどうしたいか考えてくれ。
ルティ、路銀のことは気にしないでくれ、ここからはムーラン帝国が持つから」
ガイルがレイと私に言った。
「それじゃあ、かかった費用をあとで教えて下さい。お金が作れたら返します」
私はガイルに頭を下げた。
ガイルが「いやいや……」と言ってフェイトを見る。
フェイトがにやりと笑って言った。
「返せないくらい金かけてやるから覚悟しろ!」
「……返せないくらいの、借金?! ちょっと待て! ガイル、できるだけ質素な旅でいいからな!」
アイテムボックスの中のサンドワームで足りるかな……。
青くなった私を見てガイルがため息をついた。
「フェイト、ルティをいじめるな……」
読んで下さりありがとうございます。
次も頑張ります!




