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9 神殿の聖女候補(後)

悪役令嬢や聖女が登場している話をたくさん読んで楽しくなり、自分でも書いてみたくなり挑戦しています。

今まで書いた話より旅の日程が長いことと、できるだけ思いついたエピソードを入れるようにしてるので、なんだか長くなっていて……。

先に作った地図だと、次の街でやっと半分くらいです。

アルタイルの王都の近くの街(通り道から外れた)で情報収集&少しのんびりする時間も作る予定なので、今回の話は全体の三分の一あたりな感じだと思います。


頭の中では最後の4国の集まりの時に誰がどう動いてどうルティとどう関わるかということをけっこう細かく考え始めています。


最後までお付き合いいただけたらうれしいです。

どうぞよろしくお願いします。

 庭のベンチに座って、今、聞いた話を考える。


 聖女が不在なのに、聖女候補がたくさんいる現状。

 ちゃんと魔法の修行をしてんのかな?

 神官は修練と言っていたっけ。


 その時、声をかけられた。


「先ほどは失礼しました」

 

 振り向くとアンジェリカが戻って来ていた。


「あなたのお兄様を早く奥へお連れするように命じられていたので……」

「私と話をするために戻って来てくれたのですか?!」


 アンジェリカは頷いた。

「女神様を信仰してくださる女性と話すことも大切な仕事だと私は思うのです……。

 あなたからは女神様への思いを感じたので……」


「ありがとうございます。私もお話ししたいです!」


 ふたりでベンチに座る。

 アンジェリカの明るいグレイの瞳が明るく差し込む光にきらきらと輝いている。

 そういえば女神様の瞳も黒でもなく青でもなく紫でもなくという不思議な淡い色彩のキラキラした瞳だったことを思い出した。


「聖女候補様の魔法の修練についてお聞きしたいです!

 実際にどのような修練を積まれているのですか?」


 アンジェリカは困ったような表情をしたが、ひとつ頷くと思い切ったように話し始めた。


「聖女候補は女神の加護を持つ者と言われていますが……聖女候補の中には加護を持たない者もいるのが現状です。……そのような方ほど実は身分が高いことが多くて……。

 そのため、加護持ちの者が身分の高い候補者よりも高度な魔法を使えるようになることを神官や神殿長は恐れているようで、私達はほとんど魔法の修練を受けることができていません」

「でも、治療の日がありますよね?」

「はい、その時は加護持ちの聖女候補が身分の高い候補と組んで治療に当たりますが……。

 加護持ちと言っても特に修練もしていない回復魔法です。

 ……わかりますよね。

 女神神殿はムーラン帝国にもあると聞いています。そこではこのようなことにならないよう、女性のあなたに、気をつけていただきたいのです」


 アンジェリカは本当の加護持ちの聖女候補なんだな。


 私はアンジェリカの手を取ると言った。

「言いにくいことを教えて下さってありがとう。

 魔法の修練ですが、自分ですることもできます。あなたの得意な魔法は?」


 アンジェリカは不思議そうな顔をして「回復魔法を少し……」と答えた。


「ヒールですね。

 どのように……というか、まずやってみます」


 私はそのまま握っていたアンジェリカの手を通して、ヒールをかけた。


 周囲の空気がほわっと温かくなる。

 アンジェリカが目を見張る。


 私はアンジェリカの身体の隅々にまでヒールが行きわたる様に集中する。


 少しお腹のあたりが硬い感じがする。


「お腹が痛むことがありますか?」

「……はい、時々食事が摂れないぐら痛むこともあります」


 そうか、ストレスとやらで胃が……というやつだな、きっと。


 お腹のあたりを意識してヒールを巡らせると柔らかくなってきたところで、私は集中をやめた。


「どうでしょう? だいぶ楽になったと思います」

「これは一体?」

「私のヒールのやり方です。

 私は相手の身体を整えるように全身に巡らせ、その人自身の回復力を上げるよう意識してます。

 アンジェリカ様はどんなことを意識しますか?」

「私は傷が消えるように、元に戻る様にと……」

「そうか……。でも、全身にかけると温かくて気持ちいいでしょ」

「はい、身体も気持ちも軽くなりました……。私にもできるかしら?」

「できるできる! 私にかけてみて!」

 

 アンジェリカが真剣な表情で私の手を見つめ、握り直すと目を閉じる。


 アンジェリカのヒールが私に流れてくる。

 やはり弱い。


「少し手伝いますね」

 私は自分の中にアンジェリカのヒールを引き込み、私のヒールを彼女に流す。

 うん、いい感じだ。彼女の中の加護の力が引き出されて喜んでいる気がする。


「うまく巡っている感じがしますが、どうですか?」

「はい、温かい力を全身に感じます。これがヒール……」


「いろいろなやり方があると思うんだけど、これは私のやり方。

 傷などの時はアンジェリカ様のようにそこだけ集中するのもありだと思う。

 魔法は自分でイメージして形や力を変えることができるから。


 それにね、人を助けるために魔法を使えば使うほど、加護の力は強くなって髪の色も青くなるよ」


「あなたは……?」

「はい?」

「あなたは誰ですか?」

 

 えーと……。ここまでやってしまってから、何も考えていなかったことに気が付く。


「ごめんなさい。これは内緒でお願いします。

 私、魔法が使えます。育った国は違うけれど、あなたに同じ力を感じたので何かお手伝いできればと……」


「ありがとうございます。なんだか、希望が出てきました!」


 そこへ、フェイトとガイルが疲れた様子で戻ってきた。


「酷い目に合った……。あれ、あんた?」

 フェイトがアンジェリカと私を見て驚く。


「お兄様! アンジェリカ様とお話ししてました! とても有意義な時間でした! 

 アンジェリカ様、私の名前はルティです。またお会いできる時が来るのを楽しみにしています!」



『王女様は同じ加護の力を持つ人と初めて会うことができました』



 帰りの馬車の中でフェイトが怒っている。

「神殿の奥に連れていかれて、ガルライアの貴族のお嬢様達とお茶を飲まされたんだよ。

 こっちを値踏みするようないやーな探り方されて!!

 ルティのところに帰りたくても案内してきたアンジェリカはいないし!!」


「でも、よくわかったよ。聖女候補なのに、聖女になるための修練や修行を積ませてもらえない大変な事になってたんだね。

 アンジェリカ様と加護持ちの仲間がこの後も頑張れるといいんだけど……」


 フェイトがつまらなそうな顔で言った。


「俺のことは気にならなかったの?」

「うん?」

「俺が奥に連れていかれて、何してるか気にならなかったのか?」


「うん、ガイルが一緒だし、大丈夫と思っていたから!  

 でも、そのおかげで嫁ぎ先探し目的の候補の話を聞けたり、アンジェリカとゆっくり話をすることができたから……、フェイトとガイル、お疲れ様でした!!」


 なんで、フェイト怒ってるの?


 ガイルを見るとやれやれという顔をしている。


 うん? 何か私忘れてる?

読んで下さりありがとうございます。

次も頑張ります!

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