魂の存在。
22時42分
アストラエル復活と共にラビ保有の
双子機専用受信デバイスに一通の連絡が入る。
その内容は
【アズリナエルの機体情報をアストラエルへ上書き
又、アズリナエルの自己性格は削除する】
というものだった。
そしてそれは、受信デバイスと連携している
アストラエルにも情報が回っていた
「そんな、アズ……俺に…」
「俺に何を託そうってんだよ!!!!
弟のお前すら守れない俺に!!!!!!」
「何を!!!何を期待してんだよ!!!!」
ポタッ――
「……?
これ…なに」
――フォン――
「なんだ、ここ…」
突然、異様な空間へと移された
なにもなく、ただ白い景色が広がる世界
風も音もない『無の世界』
「汝よ。」
「誰だッ!!」
後ろから気配もなく声が聞こえ、その方に振り向くと
そこには自分に瓜二つな見た目と声をした何かがいた
「お前は……なんだ…?」
「我は『神』なるぞ。
汝よ、その態度を改めよ。」
「……」
「どうした。」
この時のアストラエルは、真面目と言えるような
感情を持っていなかった
自分の目の前に現れる、自国以外の人間はもれなく殲滅対象
その教えが感情を失くさせていた
「突然現れて、俺は神だ、崇めろだって…?
そんなこと言われてはいはいやりますって言う奴はな、まともに信仰してねぇよ」
「ほぉ…中々に図々しいやつやの。
面白い、貴様は『神の力』が欲しいか?」
「そんなもの要らん。」
「嘘をつくでない。」
「嘘じゃない。」
「でなければこの空間にはやってこない。」
「なんだと?」
そうすると『神』は淡々とこの場所のことについて語り始めた
「この空間は『神への挑戦』を行うための準備室のようなもの。
ここへ来る者は必ず、自ら『神の力』が欲しいと願った者のみ。
我からこの空間へ連れてくることは出来ぬ
意味は分かるな?」
「俺は一度もそんなものを願ってない、神の力なんて曖昧な…!!」
「貴様、魂が2個あるな。」
「?!」
魂が2個…?
何を言ってんだこいつ…
俺は一人だぞ…‥‥?
「なるほど……
片割れの魂が、貴様が『神の力』を得るように強く願ったのだな。」
「片割れだと…何のことだ」
「肉親が貴様の体の中に居るんだろう?」
こいつ、何で分かった
もしかして片割れの魂って、アズの魂の事なのか?
でも、アズは自己性格を削除してる…性格と魂は深い所で繋がってるんじゃ…
「そうだな……恐らく、弟にあたる者だな。
その者が願ったんだろう。
でなければここへは来れん。」
「アズ…!」
「だがどうしたものかの。
我が力を与えられるのは願った本人のみ
その者が死んでいるとなると……」
「だったら、早くここから帰してくれ」
「ここに来たからには、神ノ裁を行う必要がある
そしてそれには《代償》を作る必要がある。」
「代償……これ以上俺から何を奪うつもりだ。」
「貴様の自己性格を奪う。」
「なんだと。」
「とは言っても、これでは貴様が死ぬ。
我が他者を殺めるのは反逆になってしまう
そこで提案だ。」
「提案?」
どうせまたろくでもない提案をするんだろう
「我の『一部』を授けよう。」
「は?」
「そうすれば、元の願いである神の力も得ることが出来る
代わりに我の性格が移ることになるがな。」
「………それしか帰れる方法はないのか…?」
「無いな。」
アズ…お前が俺に何かやれって、やってほしいって言ったことは
遂に1つも無かった
でも、死んでから俺にやってほしい事が出来たんだな。
「分かった。」
「ふむ…では審判を始める。」
アズ、お前が俺に『神の力』を持つように願ったのなら
今後俺に必要な能力ってことなんだよな。
お前の願いなら叶える。
やってやる。
神だろうとなんだろうと、その力を完全に手にしてやる。
「神ノ裁:他者ニ授ケル希望」
戦闘兵機の記憶格納装置
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