地獄を終わらせる力
真っ白な空間…
風も感じず、何もない
無の空間…
死んだのか…
アズを守るって決めたのに、結局何もできなかった。
ただ叫ぶだけ。
「クソッ…俺、兄貴失格だな……アズ…」
「そんなこと言わないで、兄さん」
「アズ!?おま、何でここに!」
本来死んだ機械の魂は個別で動く
「多分だけど、ここは死後の世界なんじゃないかな」
だから死後の世界があったとして、会うことはない
そう教本には記されてたはず…
でも…
「やっぱ、俺ら死んだのか…」
守れてないことへの確信
こんな確信、したくなかったな…
「うん…だけど、一個提案があるんだ」
「提案?」
「僕と兄さんのコアを融合させるんだ
そしたら、コアを修復できないかなって」
コアの修復自体は教本で見た気がする
でも『融合』は聞いたことが無かった
「んー…そんな話聞いたことないしなぁ…」
「ま、まぁ僕たちが初めての戦闘機械だもんね…」
そうだ、俺たちが初めて戦闘用に造られた機械だ
前例がないのは当然
「ん、やってみるか」
「え、いいの?」
「うん、やろう
興味が湧いてきた」
これは嘘でも、本音でもない
興味は確かに湧いた
前例がないなら自分らで作ればいい
しかも既に死んだ身
守れなかった悔いを残して
ただ腐っていくだけなら、やれる事をやって死ぬ
単純にそう考えただけだった
「じゃあやるよ、兄さん」
「うん、頼んだ」
「今度は一緒に戦おうね」
「もちろん。」
「……吸収!」
プツッ――――
ここからは完全に意識がなくなった
というより、焼き切れた感じだった。
そして、俺の中にアズが入ってくるような感覚もあった。
―――――――
「そいつらを処分しろ
言う事を聞かぬ犬など捨てろ。」
「はっ!」
「よし、運ぶぞ」
――ファァァァァァ…――
「なんだ…?」
――
当時ラビ戦闘員が残した記録「戦闘計画書 復元版」より
双子機の機能停止を確認後、国王指示により処分が決定
実行しようとしたところ、双子機に異常発生。
2機共コアが白く発光
すぐに機体全体にまで発光。
――
「おい!こいつら死んでるんだよな!!?」
「はい!!機能停止、再起動不可の状態です!!!」
――
すると2機の体は融解、半固形物質化とし
互いに動き、混ざっていく。
――
「混ざってる…?」
「おい!!!どういうことだ!!」
「分かりません!
監視モニターでは死亡判定です!!」
――
最終的には2つが1つになり
完全な1人としての形を取り始めた。
――
「こいつら…混ざって1機になりやがった!!」
ピーッ
「新たな戦闘兵機…?3機目…??」
「撃て!!!撃てぇぇ!!!」
――
1機として判断し、国王から射撃命令
全兵双子の片割れに行った集中砲火を同様に実行
しかし、弾丸が体に当たると溶け出していた。
――
「国王!!!弾丸が効きません!!!!」
「構わん!!撃ち続けろ!!!」
「「お前らを……」」
――
2度目の集中砲火の準備中、白く発光する機体から
双子の声が両方、ハッキリと聞こえた。
――
「「お前ら人間を……根絶やしにするっ!!!」」
――
その発 後、機体 銃 を
国王 殺 我
我 失敗
ここからの復元は不可能と判断。
カチッ
「はっ!!!!」
アストラエルが目を覚ますと、自分を中心に数キロ
燃え尽きた荒野が広がっていた
「……ここは?」
2041年 9月1日 22時42分
ラビ 消滅都市化
又、アストラエル 復活
戦闘兵機の記憶格納装置
5話 ご覧いただきありがとうございます
また次回もご愛読、よろしくお願いいたします