お米
「僕の好きな食べ物はお米です」
元気のよい声が窓を抜けて空を突き抜ける。男の子は席を立って発表し始める。ここはある小学校。そして今日は参観日だ。
その男の子は振り返り、見渡す。すこしシュンとうなだれるも前を向き発表を続けた。
「その理由はお母さんとお母さんが大好きだからです。僕のお父さんは、いつも僕がご飯を食べるときに帰ってきます。だからお父さんが帰って来るときにご飯ができるようになっています。お母さんがお米をとぐ音が好きです。お父さんが炊飯器を開けて広がるご飯の匂いが好きです。僕はご飯で家族みんなが集まるので好きでした。僕が学校の話をするといつも褒めてくれました。優しくて大きくて温かいお母さんとお父さんが好きでした。でもずっと帰ってきません。おばあちゃんは天国に行ったと言いました。でも僕はいつか帰ってくると信じています。なので毎日、僕がご飯を炊いています。みんながまたあつまればいいなと思っています。これで発表を終わります」
男の子はきれいな礼をして着席した。天の国にすら届きそうな明るい声が教室に広がっていた。窓から入っていた風にはご飯の匂いを運んできている気がした。教室の後ろにはピカピカと輝くもので溢れていた。
見つけてくださりありがとうございました。サクッと読んでいただけたと思います。この小説を見つけて出さった読者様に最大の感謝を送りたいと思います。