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九十二話:巨怪獣討伐

「「ゴオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!」」


 タラスクとウロボロスは雄叫びを上げ、開いた大口からそれぞれ巨岩、巨炎をこちらに向けて射出した。


〝カタストロフ・ロックバースト

 魔法攻撃力:280

 威力階級カタストロフ:×32

 魔法威力:8960〟


〝巨大毒炎

 魔法攻撃力:275

 威力階級カタストロフ:×32

 魔法威力:8800〟


 着弾して地上の冒険家達に被害が及ぶ前に、すぐに信乃とシラは跳び上がる。


 まだこの時点では光属性への「転換」魔法は使わない。

 信乃の「聖域」は元から光魔法であるために効果はないし、シラの五属性魔法を光魔法へ変換することで、元々取ることの出来た属性相性有利補正まで消してしまうことを防ぐためだ(実は転換後に強化された属性相性無しの光魔法でも魔法威力に大きな差はないのだが、神杖の魔法を使わなくていいならそれに越したことは無い)。


 信乃は巨岩へ、シラは巨炎へ向けて接近し、それぞれの魔法を唱えた。


「神杖よ、勇者の名の元に神秘をここに具現し、我らが障害をこの聖域より払え――『ディヴァイン・サンクチュアリ』!!」

「限定顕現――オケアノスアミュレット。『プロテクション・アクアシールド』!!」


〝ディヴァイン・サンクチュアリ

 魔法攻撃力:160

 威力階級ディヴァイン:×128

 光属性補正:×1.2

 スフィア補正:×1.5

 魔法威力:36864〟


〝プロテクション・アクアシールド

 魔法攻撃力:300

 威力階級エクスプロージョン:×8

 シールド補正:×2

 属性相性有利:×2

 魔法威力:9600〟


 両者とも、防御に成功。そのままそれぞれが狙いを定めた超大型魔物の懐へと飛び込んでいく。

 このタイミングでようやく、信乃は自身とシラを対象とした転換魔法を唱えた。


「神杖よ。勇者の名の元に神秘をここに具現し、巡礼し祈り捧げる我らに、聖なる光の加護を与えたまえ――『ディヴァイン・ジャンヌダルク』!!」


 そうしている間にも、相手の方が動く。


 ウロボロスは尻尾を、タラスクは前足を振り上げ、それぞれシラと信乃へと迫る。

 魔法を唱えていないまでも、その巨体が体重を乗せた圧倒的な質量は超大型魔人にすらもない脅威となる。人間の小さな身体など一瞬でぺしゃんこになるだろう。


 それでも、素早さは「ユグノ・ブースト」によって強化されているこちらの方が上だった。


「……っ!」


 シラは、風圧だけで真っ二つにしてきそうなウロボロスの巨大な尻尾の叩きつけを難なくかわす。そのまますぐに進路方向を変えてその尻尾まで接近すると、赤い刃を振りかぶって魔法を唱えた。


「限定顕現――ティルフィング! 『シャドウ・ダークネススピナー』!!」


〝光転換:シャドウ・ダークネススピナー

 魔法攻撃力:450

 威力階級エクスプロージョン:×8

 光闇混合補正:×1.5

 魔法威力:5400〟


「グエエエエエエエエエエエエエエッ!?」


 元の世界で信乃が良く知る大部分のRPGとは違い、この世界でただ相手本体にダメージを与えるのならば、魔法属性の相性は関係ない。ただ純粋な魔法威力数値がそのまま相手に与えるダメージに直結するため、ここは素直に光変換で数値を跳ね上げたシラの闇属性魔法が有効だ。


 この強化されたシラの回転斬撃魔法が炸裂。だがその場に留まることなく、シラは回転を維持したまま尻尾から頭へとどんどん駆け上がる。

 

 切り刻む、切り刻む、切り刻む。それを大蛇が振り払う術もない。


「……っ、はあああああああああああああああああああああああああああああああああああっ!!」

「ギ……ギ、ギ……ギ……」


 そうしてシラが一瞬で頭まで駆け上がり切った時には、もうウロボロスはただの巨大な無数の肉塊と化していたのだった。


 勿論、信乃の方だって負けてはいない。

 彼もまた、大亀の踏みつけをかわす。その衝撃で瓦礫も飛んできたが、それすらもかわす。


「グウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウッ!!」


 まんまと無傷で信乃に避けられて激怒したタラスクは、また口を開けて巨岩射出魔法を放とうとする。


 だがその直前に、信乃がタイミングを見計らって投げ入れていた三つのタイムボンバーがその大口へと入り込んでしまった。


 更に加えて、驚いて慌てて閉じようとしたタラスクの口目掛けて、信乃はガンドでも魔法を射出する。

 勿論、例の「正四面体」を描くためだ。


「大亀の魔物・タラスク。勿論特徴は知っている。甲羅だけではなく突き出た頭と手足すらも硬い外皮に覆われて、防御魔法なんて使わなくても相手の魔法なんぞほとんど通らないらしいな。ならばアニメ漫画好き(オタク)としては、やることは一つに決まっているってもんだ。……その外皮の無い脆い身体の内側から、無理矢理爆発させてやればいいってな! 四魔法同時発動――『エクスプロージョン・バースト』!!」

 

〝光変換:エクスプロージョン・バースト(×4)

 魔法攻撃力:310

 威力階級エクスプロージョン:×8

 光属性補正:×1.2

 魔法威力:2976

 魔法同時直撃:×4

 合計魔法威力:11904〟


「ビュウウウウウウウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥッ!!!?」


 タイムボンバーも駆使した同時魔法発動により、瞬発的にとんでもない魔法威力を叩き出す。

 そんなものを脆い口の中で炸裂させられたタラスクは無事では済まず、その首だけが木っ端微塵に吹き飛んでしまう。

 当然ながらそれも生物であり、頭が無ければ生命機構は維持できない。


 そうして頑丈な甲羅と手足は残しつつも、首から先が無くなってしまったタラスクも、ピクリとも動かなくなってしまうのだった。


「――超大型魔物二体、討伐完了だ」

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