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三十一話:光の女

 □■□



「迎撃、迎撃ですよーヴァルキュリア!! あっ、私のいる座標より南西に約5キロメートルにある塔を破壊してください! あれ通信塔的な役割を果たしていて、残しておけばすぐに他区画から増援が来てしまいますよ! あと区画端にいる分隊は、区画間の関所を見つけ次第そこにいる魔人を優先撃破! まずはこの区画を孤立させてしまうことが先決です☆」

「うっぎゃーーーー!?」


 ヨルムの飛ばす伝令が聞こえる中、本当に球状空間ごとヴァルキュリアに真下へ向けてぶん投げられ、ミルラが絶叫する。


 下では敵襲に気付いた無数の魔人達から放たれる魔法。上ではそれを迎撃するヴァルキュリアの魔法。

 落下する彼らの周囲では幾つもの魔法衝突が起こり、軽い地獄がそこにはあった。


「死、死、死……っ!?」

「ご安心を! 魔人達からの魔法は、ほぼ全てヴァルキュリアが迎撃してくれます! ……あっでも、これ絶対迎撃間に合わないなって魔法が自分に飛んできていたら、死にたくなければ自分で何とかしてください。この空間、魔法は普通に通してしまうので☆」

「いーやー!!」

「ミルラ、大丈夫。私が守ってあげるからね」

「あっ、ミルラちゃんだけシラさんが近くにいてずるいの! じゃあサシャは、このお兄さんに守ってもらうの!」

「おい、くっつくなガキ……」

「!? そ、それはダメ……! やっぱり私がアルマを守る……!」

「いーやー! 死ぬー!!」


 落下中だというのに、空間内ではそんな呑気な会話が繰り広げられる。

 

「さあさあ、着地ですよ! 敵地ど真ん中です、すぐに攻撃態勢に入って下さいね!」


 ヨルムの掛け声の直後、空間が舗装された広い道路へと衝突し、シャボン玉のように破裂。あんな高さからの落下だったというのに、信乃達は確かに無事無傷で着地出来た。他の冒険家達もあちこちで帝国の地に降り立ち、分隊の残りのメンバーもすぐ近くに着地する。


「無数の空飛ぶ鉄の巨人から……更に無数の人間が落ちてきただと!?」

「くそ……撃て!」


 すぐ前方に、半人半魔の怪物達――魔人が三体。一斉に魔器の銃口から風、火、水の強力な魔法を放つ。


「本当に早速ね! いくわよ! 『プロテクション・ロックシールド』!」


〝メテオ・フレイムレーザー

 魔法攻撃力:110

 威力階級エクスプロージョン:×8

 魔法威力:880〟


〝プロテクション・ロックシールド

 魔法攻撃力:65

 威力階級エクスプロージョン:×8

 シールド補正:×2

 魔法威力:1040〟


 カリンが魔器の盾に岩を纏わせ、相手の火魔法を防ぐ。「シールド系」の防御性能ならば、属性相性のない一般魔人の魔法相手でも不足はない。


「いきますよぉシンジさん! ふぅん! 『エクスプロージョン・バースト』!!」

「了解さハマジのおっさん! 『トルネード・ウインドスラッシュ』!!」


〝ダイダル・アクアバースト

 魔法攻撃力100

 威力階級エクスプロージョン:×8

 魔法威力:800〟


〝エクスプロージョン・バースト

 魔法攻撃力:70

 威力階級エクスプロージョン:×8

 無属性補正:×0.8

 ジャイアント補正:×1.2

 魔法威力:538〟


〝トルネード・ウインドスラッシュ

 魔法攻撃力:65

 威力階級エクスプロージョン:×8

 魔法威力:520〟


 次に男冒険家二人の魔法が相手の水魔法と相殺。


「……し、死ぬかと思ったです。いくですよキース! ニノ! 『ライジング・ボルトバースト』!!」

「了解だ、ミルラ。『メテオ・フレイムバースト』!!」

「う、うん! 『トルネード・ウインドレーザー』!!」


〝トルネード・ウインドバースト

 魔法攻撃力:120

 威力階級エクスプロージョン:×8

 魔法威力:960〟


〝ライジング・ボルトバースト

 魔法攻撃力:40

 威力階級エクスプロージョン:×8

 二丁持ち補正:×1.2

 魔法威力:384〟


〝メテオ・フレイムバースト

 魔法攻撃力:41

 威力階級エクスプロ―ジョン:×8

 属性相性有利:×2

 魔法威力:656〟


〝トルネード・ウインドレーザー

 魔法攻撃力:42

 威力階級エクスプロージョン:×8

 魔法威力:336〟


 そして「デスザンボス」の少年少女達が、綺麗な連携で残りの風魔法を迎撃。しかも貫通し、少しだけその術者にダメージまで与えることが出来た。


「!? くそ……人間風情が、我らの魔法を防ぐとは……!」

「構わん! 次の魔法を……」


 魔人達がまた魔器を構えようとしたが――


『こちら、ガヤ軍曹! 足止めありがとうございます! ヴァルキュリア・タイプ<スルーズ>0743、出ます! 「ハイエクスプロージョン・スラッシュ」!!』

「「「ぎゃああああああああ!?」」」


〝ハイエクスプロージョン・スラッシュ

 魔法攻撃力(三人分):155

 威力階級ハイエクスプロージョン:×16

 無属性補正:×0.8

 ヴァルキュリア補正:×1.2

 魔法威力:2380.8〟


 そのその隙に空から迫ってきていたこの分隊のヴァルキュリア一機が右手に魔法の刃を出現させ、魔人三体を一瞬で切り伏せてしまった。


「魔人三体が、あっさり……す、すごい……です……!」


 分隊メンバー達が驚くのも束の間。


「くそ、侵入者共が! 攻めるのは我ら帝国の領分だというのに! 生きて帰られると思うなよ!」


 近くの工場の影から更に五体の魔人が出現。今度は信乃、シラ、そしてヨルムに向けて火、風、土、雷、水の五属性魔法を放ってきた。


「シラ!」

「相手の魔法が散らばっている……流石に『スフィア』でも全部は無理。しかも位置的に防げそうなのは精々火、雷、水のやつ。ごめん、計算も咄嗟にはよく分かんないから相性有利の含まれる雷の盾を使うね……限定顕現――カドルの書。『プロテクション・ボルトスフィア』!」


〝ダイダル・アクアバースト

 魔法攻撃力:110

 威力階級エクスプロージョン:×8

 魔法威力:880〟


〝メテオ・フレイムバースト

 魔法攻撃力:120

 威力階級エクスプロージョン:×8

 魔法威力:960〟


〝ライジング・ボルトレーザー

 魔法攻撃力:120

 威力階級エクスプロージョン:×8

 魔法威力:960〟


〝プロテクション・ボルトスフィア

 魔法攻撃力300

 威力階級エクスプロージョン:×8

 スフィア補正:×1.5

 属性相性有利:×4/3

 魔法威力:4800〟


 シラが防御範囲の広い雷の半球盾を自身の周囲に出現させ、前方に迫っていた魔法三つを防ぐ。しかし、残りの二つはその脇を通り抜けてしまった。


「ちっ……『エクスプロージョン・バースト』!」


〝トルネード・ウインドレーザー

 魔法攻撃力:100

 威力階級エクスプロージョン:×8

 魔法威力:800〟


〝エクスプロージョン・バースト

 魔法攻撃力:160

 威力階級エクスプロージョン:×8

 無属性補正:×0.8

 魔法威力:1024〟

 

 その内の一つを、信乃が迎撃。

 だが、残りの一つがヨルムに迫っていた。


「しま……っ、皆さん! 早くヨルムさんを!!」

「……っ!」

「……ふふ、ご安心を」


 ハマジが焦った声を上げ、信乃も駆けだそうとしたが、ヨルムはそれを笑顔で制止。

 迫る魔法にガンドの銃口を向け――唱えた。


「では、参ります☆ 『ホーリー・ライトニングバースト』」


「「「な……っ!?」」」


 聞いたことのない詠唱に、分隊メンバーどころか信乃やシラも驚く。


〝グランド・ロックバースト

 魔法攻撃力:105

 威力階級エクスプロージョン:×8

 魔法威力840〟


〝ホーリー・ライトニングバースト

 魔法攻撃力:115

 威力階級エクスプロージョン:×8

 光属性補正:×1.2

 魔法威力:1104〟


 銃口に展開された魔法陣から、眩く光る魔弾が射出。

 相手の魔法とぶつかった瞬間に、その輝きは一際強くなった。


「「「ぐわあああああああっ!?」」」


 一瞬瞑ってしまった目を信乃が開けると、逆に魔人達の方が吹き飛ばされて宙を舞っている。


〝白閃:552〟


「……!? 相手の魔法とぶつかった上でのこの閃光……まさか、『白閃』!? じゃあ、あの魔法属性は……!」

「だから言ったではありませんか。私、結構強いと。でも、いやですよアルマさん。ちゃんと守ってって言ったじゃないですかー。シラさんだけにべったりはダメですよ。……まあ、今回は許してあげます」

『こちらイイズ伍長! お疲れ様ですヨルム中将! ヴァルキュリア・タイプ<ゲイルスコグル>1388、魔人共を処理します! 「ハイエクスプロージョン・マルクバースト」!!』


〝ハイエクスプロージョン・マルクバースト

 魔法攻撃力(三人分):149

 威力階級ハイエクスプロージョン:×16

 無属性補正:×0.8

 ヴァルキュリア補正:×1.2

 魔法威力:2288.7〟


 そのままヴァルキュリアに撃ち抜かれていく魔人達にはもう目もくれず、ヨルムはにっこりと信乃に微笑みかけていた。


「なにせ私、とっても優しくておおらかな()の女ですから☆」

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