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92話~VSエルフたち~

「まさかここ、特級迷宮か!? 全員、最大級の警戒をしろ! 馬渕(まぶち)さんは初芝さんの守護! 俺と綾辻さんを主軸とします!」



 大地さんは女性エルフを見た途端、慌てて一斉に指示を出す。モンスターならタンク系探索者の人を前に出すのがセオリーだが、人型のエルフなら話は別だ。


 諸星組合では対モンスター戦以外なんて想定していない。いずれはしただろうが、結成から日の浅さが仇となったな。



「っ! どこに行った!」



 大地さんが指示を出した一瞬の隙に、女性エルフはどこかへと消えていた。その間にB級タンク系探索者……馬渕(まぶち)さんが琴香さんを守るように盾を構える。


 琴香さん、氷花さん、大地さん、柏崎さん……魔法系や回復系などを守るように、俺たち他の6人が円状の陣を展開する。即席だが、これがもっとも安全と言えるな。


 ちなみに馬渕さんと俺の位置は正反対。琴香さんをもしもの時に守ることが難しいが、今は仕方がない。それよりもこの陣形、普通の人が見れば明らかに俺を穴としている。


 左右隣には北垣さんと牧野さん。等級が低い、もしくは近接戦闘の得意ではない人をあえて集めることで、狙いをそこに集中させるのが大地さんの狙いか?



「ふっ!」



 先ほどとは違う場所から再び牧野さんに向けて矢が放たれる。同じように矢を弾き、すかさず放たれたもう一本の矢を手で掴み取る。さっきもそうだったから警戒していて正解だったな。



「ごふっ……」


岸辺(きしべ)!」



 そう考えていると、後ろでドサリと倒れる音に叫び声が重なる。振り返ると、柏崎さんの取り巻きの1人だったC級探索者の1人……岸辺(きしべ)さんが倒れていた。腹に刺さった矢の矢尻が背中から見えている。


 B級タンク系探索者……馬渕(まぶち)さんが大声を出しながら岸辺(きしべ)さんの元に駆け寄ろうとする。



「ダメだ!」



 咄嗟に声を出して制止させようとする。あれは頭や心臓じゃなくてわざと腹あたりを狙い、助けに来た仲間も狙う方法だ。


 基本的にモンスターを相手にする探索者には効果抜群。エルフのやつ……いや奴ら、戦い方を分かってやがるな!



「《氷雪月花(ひょうせつげっか)》!」



 俺の声を聞き、下がっていたはずの氷花さんが動きだした。いや、あれは聞く前から予測して動いていたな。さすがは師匠に教えてもらっただけはある。


 タンクである馬渕さんの頭を的確に狙った一撃だった。それを蕾の形をした氷が花開き、盾となって馬渕さんを守ることになった。氷の花の盾か、カッケェ!



「《岩石槍(がんせきそう)》!」



 すかさず大地さんが片手で投げれる手頃なサイズの石槍を何十個も生成し、矢を放ったエルフのいた方向に放つが、既にその場を去っており空振りに終わる。


 だが、ポニーテールではなかった。その姿を見て俺は確信した。エルフの数、最低でも2人以上かよ!


 最初に露骨に姿を見せて1人と誤認させておいて、左右から攻撃を仕掛ける。これで何人いるのか把握も難しくなった。


 だが、向こうの方にいたエルフはA級2人に任せよう。俺は誰も殺されずに、守ることに専念。向こうが片付くのを待つ!


 そう考えながら、次に放たれる矢を後ろに飛んで避ける。地面に突き刺さった方向と角度からある程度の位置把握をし、その方向に俺は走って向かう。



「牧野さん、援護お願いします!」


「任せて!」



 攻撃して来た青年エルフはすぐにその場を離脱しようとするが、牧野さんの放った矢を避けるために辛い時間ロスをする。最上のおっさんが牧野さんの警護に入っているので一安心だ。


 それと今俺が追っている青年エルフは最初に見た女性エルフでも、大地さんたちが攻撃を仕掛けたエルフでも無い。つまりこのエルフで、最低でも3人のエルフがいることになるな。早く片付けねば……!



「はぁ!」



 俺は青年エルフが牧野さんの矢を避けて出来た隙を逃さず、木を垂直歩行して距離を詰め、クルリと回転して勢いをつけた状態から短剣で斬りかかる。



『ぐっ!』



 青年エルフがそんな声を漏らしながら咄嗟にその一撃を回避するが、攻撃は空振りながらも俺はその着地した瞬間に木を足場にして蹴り、下へと降りていくエルフの1人に追撃する。



「あぶなっ!?」



 だが、青年エルフの1人を追って地面へと戻っている最中に横から放たれた矢を危なげに回避して、無事地面に着地する。


 一足先に地面に着いた青年エルフが着地した瞬間を狙って矢を放ってきたが、もちろん想定内だ。着地する瞬間を狙われるのは当然。


 その一瞬の硬直を狙われないために、即座にもう一度上へと跳躍して逃げる。避けた矢は先ほどまでの攻防で使っていた大樹に突き刺さった。



『しまっーー』


「とった!」



 仕留めるつもりで狙っていた一撃を避けられて動揺した青年エルフの1人に俺は斬りかかる。



『やらせないわよ!』



 だがその一撃を急に目の前に現れた女性エルフが、俺が仕留めようとした青年エルフの首根っこを掴み回避させる。ポニーテールが特徴的なその女性エルフは、一番最初に牧野さんを攻撃したエルフでもあった。



『た、助かったよヘレス』


『情けないわねアムラスは。あの人間、強いわよ。2人がかりで行くわ!』



 ヘレスという名の女性エルフ、俺が仕留め損なったアムラスという名の青年エルフが臨戦体制を取る。こちらも短剣を構えて迎え撃つ準備をした。



『行くわよ!』



 ヘレスという女性エルフの掛け声で、戦闘が再開された。

言い忘れてましたが、3章は今までで一番長くなる予定!

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