88話～仲良し3人組～
GW最終日にも投稿おらっ！
「ねぇ、ちょっと良いかしら？」
「なんですか？」
俺は突然話しかけてきた声の持ち主にそんな返答をする。振り返ると、同じ選抜メンバーに選ばれたC級探索者の女性だった。後ろにはB級タンク系探索者とC級探索者の2人もいた。
「あなた確か、篠崎空……だったわね？」
「そうですよ？ なにか？」
軽くウェーブが掛かったような髪型をした170を超える長身の女性。スラリと伸びた足がスタイルの良さを際立たせている……そんな人が俺に話しかけてきた。
なんだ？ 確かまだ挨拶しか交わしてないメンバーばかりだ。とりあえず話しかけて、俺たちともっと交友関係を持って仲良くしようって感じ……でもなさそうだ。
「あなたもこの2人のように、私の仲間にならないかしら？」
「……は？」
何言ってんだこの人？ 仲間……？ いや、同じ選抜メンバーに選ばれているんだから、もう既に仲間なんじゃ無いのか？
「そっちの頭の悪そうな女や無愛想な女よりも、私の方が女性としての魅力に溢れてるでしょう？」
「……はっ？」
何を言っているんだ……？ 俺たちの近くにいる女性は2人。なら頭の悪そうなは琴香さんで、無愛想は氷花さんだよな？
「おい、おめぇ何の話してんだ？」
「最上さん、あなたには話しかけてないわ。黙っていてくださるかしら？」
「柏崎さん、あなたが女性として魅力的なのは同意するけど、さすがに初芝さんと綾辻さんのことを悪く言うのは良く無いと思うよ？」
「牧野さん、あなたにも話しかけてないわ。私と篠崎さんの会話に入ってくるのはやめてくださる？」
最上のおっさんと牧野さんが反応するが、柏崎さんだっけ？ ……はまともに取り合おうとしない。
「2人とも、どうやら俺との会話を望んでいるようなので少し待っていてください」
話が進まないので、仕方がなく俺が2人を制して前に出る。
「それで柏崎さん……でしたね？ 仲間にならないかとは、どう言う意味ですか？」
「決まっているわ。そっちの5人よりも私たちと会話を、食事を、つまりは私生活を共にするの」
「俺にこっちのグループを切って、そちらの仲良しグループに入りましょう……って事ですか？」
「えぇ、そうよ」
ふざけてるのか？ 派閥争いみたいな感じか？ 俺を狙ったのは、F級で一番右往左往しそうな存在、それでいて他の琴香さんたち5人メンバーとある程度の交友関係を持っているからだよな？
ならなんでこんな他の選抜メンバーに恨まれるようなことをする？ ……恨まれるのではなく、恨ませるのが目的か？誰がその相手だ？ いや、よく考えれば簡単だな……。とにかく返答するか。
「当然お断りです。仲間を侮辱した人たちと会話などしたくもありません」
これは俺の本心だ。不当に琴香さんや氷花さんの悪口を言うような人とは付き合いたく無い。選抜メンバーだから仕方がないが、それは仕事上だけのお付き合いにしておくつもりだ。
「なんですって？ ……はっ、所詮はバカなF級ね。綾辻さんたちに取り入るだけのごますりをするぐらいなら、私たちの派閥に入って対等な関係を築いた方が良いでしょう？ 悔しく無いのかしら？」
はは、やっぱりそうか。彼女は氷花さんが嫌いなのか。氷花さんのことを悪く言い、ごますりの俺を引き抜く事で復讐しようとしているんだろう。
理由はそうだな……柏崎さんの派閥には確か、氷花さんに倒されたと言っていたB級タンク系探索者の姿も見える。もう1人は知らないが、試験で負けた腹いせか？
まて。タンク系の人はその通りだとしても、柏崎さんが琴香さんまで喧嘩を売る理由が分からない……。いや、琴香さんと氷花さんに共通する点……それは共にA級であることと、女性である事。
おそらく前者が理由だな。柏崎さんの事情は知らないが、彼女は高等級である2人を敵視している。ならとりあえず、共通する点二つで攻めるか。
「何を勘違いしているか知りませんが、俺を含めた6人は大切な友達です。対等もなにも、不平等なことなど何一つありませんが？ 氷花さんが自分よりも若く、かつ等級もA級だからと言って嫉妬するのは醜く見えます。やめた方が賢明ですよ？」
俺は彼女の主張を否定し、次にニコニコと笑みを浮かべて彼女の間違いを優しく正すように告げる。完全に煽っているが、2人を侮辱しておいてこんな程度で済ませてやってるんだ。感謝して欲しい。
「〜〜〜っ！！！ F級のくせに何様のつもーー」
「氷花〜〜！兄貴が来たぞー！」
歯をぎりぎりとさせて高圧的な態度で怒鳴ろうとした柏崎さんだったが、1人の来訪者によってその言葉は遮られた。……うん、烈火さんナイス！
GW期間中は毎日更新をすると言ったな？あれは嘘だ。キリが悪いから2章終わるまで投稿するぜ！
