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85話~2度目の契約上書き~

毎日更新3日目おらぁ!

 琴香さんとのデートを終えた次の日、俺とエフィーは部屋着でズズーっとうどんを(すす)りながらテレビを見ていた。ちゃんとした飯を作れと文句を言いたくなるかもしれないが、やはりデートにはお金がかかるのだ。


 あとエフィーにモンスターから取れた魔法石も上げないといけないから、換金分のお金も入らない。だから単価の安いうどんはメリットしかないのだ。あ、エフィーがギャーギャーうるさいから、トッピングでワカメうどんにはしたぞ。



『次のニュースです! 先日世間を騒がせた諸星組合ですが、なんと合格した探索者の1人が再発現が起こったとの情報が入って来ました』



 司会者の女性が大きめのボードを出しながらそんな話題をあげ始めた。お、琴香さんのことだ。確か情報規制をしてるおかげで、本名も性別も出してないって聞いてるな。



『再発現!? それはまた珍しいですね。諸星組合と言うのも話題性があります。おそらく発表のタイミングを見計らっていたのでは……?』


『しかもなんと、D級からA級への大出世らしいですよ。これで諸星組合はA級探索者を3人獲得したことになりますね』


『A級!? それはまたすごいですね。S級探索者がいないので、三大大型組合に比べるとまだまだですが、数年後には皆が言うように、再び四大大型組合と呼ばれるかもしれませんね』


『はい。その場合は、呼ぶ前に真と付くことも十分にあり得るでしょう。そして前の四大大型組合は旧ですかね?』



 そんなコメンテーターたちの会話を聞き流しつつ、俺はうどんを食べ終わる。さてさて、俺の方もエフィーが食べ終わってから用事をすませるか。



「む、主人よ。どうかしたのか?」



 エフィーがチュルチュルと大層美味しそうに食べているのを見ていたら、キョトンとした顔で尋ねてくる。



「ん? いや、気にせず食べろよ」


「そんなに見つめられると照れるのじゃが? ふっ、もしや今頃、我の魅力に気づいたのかの? 主人の目も節穴じゃな! しか〜し、ようやく気づいた事に免じて許してあげんでもーー、主人、調子に乗ったのは謝るからうどん返して欲しいのじゃ〜!」



 なんか最近自分でも影が薄くなっているのでは? と呟いていたエフィーがいつも通り調子に乗り出したので、サッとうどんの入ったお椀を流し場にまで持っていこうとすると、涙目で足に縋り付いて来た。



「あー、主人のうどんはおいしーのー」


「そんなに取られたい?」


「嫌なのじゃ! チュルチュル〜!」



 すげー棒読みで誉めて来たのでお椀に手を伸ばすと、エフィーが猫みたいにお椀を胸に抱えてうどんを啜り始める。


 その後うっかり喉に詰まらせかけたエフィーの背中を叩いたりと色々あったが、無事に食事を終えることができた。……無事に終える食事って一体……?



「さて、それで主人よ。何が目的じゃ?」


「目的って……なんかヤバそうな雰囲気出してるけど、普通に契約についてだぞ?」


「ほう? 契約の上書きじゃな?」



 エフィーがフフンとドヤ顔で言い当ててくる。おっと、エフィーにしては珍しく正解だ。なんか悪いことの前兆か?



「よく分かったねエフィー。偉い偉い」


「はぅっ……ま、まぁ特別に頭を撫でることを許してやらんこともないがの! もう少し時間をかけることも許してやらんでもないぞ?」



 頭を撫でてやると、変に遠回しな言い方でもっと撫でろと要求して来やがった! 俺は両手を使って撫でてやる事にした。うりゃりゃりゃ〜!






「ふぅ、世は大変満足じゃ〜」



 とエフィーみたいなことを言いながら、ひと汗かいたような動きをする。ちなみにエフィーは床に倒れてピクピクしていた。ふっ、やり過ぎたか……? エフィーが復活するのを待っている間、俺は皿洗いなどを済ませる。



「ふ、ふふふ、ふはははは、危うく昇天しかけたぞ。危ないところじゃった」



 それからしばらくすると笑って誤魔化しながら立ち上がるエフィーの姿を俺は発見する。よし、そろそろ本題について入れそうだ。



「さてエフィー、契約の上書きについて話そうか」


「ふはははーー、っとそうじゃな! さて……契約の上書きは8割で成功するじゃろう」



 お、8割!? 予想してたよりも高いな。



「ふむ、やはり強敵との戦いが刺激となったと我は予想しておるぞ」



 つまり、氷花さんや烈火さんのおかげというわけか!



「なら、早速始めようよ」


「10割では無いから、確実に成功するとは限らんぞ? それでもやるのじゃな?」


「うん……」



 確実では無いとはいえ……8割なら大丈夫だろう!



「主人よ、もしや琴香の奴がA級認定されたことで焦っておるのかの?」


「…………」



 エフィーが普段からは想像もつかない鋭い眼差しで見つめてくる。……ず、図星だった。琴香さんが遥か遠くに行ってしまったような、そんな感覚があったんだ。



「はぁ……理由はともあれ、契約の上書きについてはまぁ良いじゃろう。さて、やるとするかの」



 仕方のないやつじゃ、と俺を手のかかる子供を見るような目で見てくるエフィーに不満を覚えつつも、俺はいつも通りに契約の上書きを開始する。


 そして……俺は2回目の契約の上書きを成功させた。

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