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72話~S級探索者 綾辻烈火~

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今後とも両サイト共々よろしくお願いします。

 重たい……空気が重たいよ〜。なんか俺のことチラチラ遠目から見てくる人多いよ〜。



「空君! やっぱり試験に合格した人たちですし、みんな強そうですねっ!」


「……琴香さんはお気楽そうで良いですね〜」


「えぇっ!? どど、どういうことですかっ?」



 全くもう。こちとら変な空気を作った超本人だぞ? それだけでも胃が痛いのに、大本さんにも対応しないといけないし……。


 あとエフィーと翔馬はまた元の場所に戻っちゃった。おのれ、俺がこんなにも悩んでいると言うのに、何が「我は暇だからお菓子でも食べてくるのじゃ〜!」だ! 俺も食べたい!


 北垣さんは電話するのにここを出てっちゃったし、綾辻さんと最上のおっさんも……試験に落ちた仲間だった人たちの見送りに行っちゃったから、今知り合いって琴香さんだけじゃん……ん? あれ? これって、2人……きり……?



「空君。そういえばなんで綾辻さんはあんなに空君に興味を持ってたんですか? 答えてくれますよねっ?」



 琴香さんが急にそんなことを尋ねてくる。でもその笑顔が怖い!



「多分、試験で戦った時の戦法を知りたかったとか言ってましたから、それだと思いますよ?」


「でもでも、それって最上さんに聞けば良くないですか? なんで空君なんです?」



 理由を話したら追撃された。でも確かに俺である必要性は無い……。



「試験中に約束したから……なんじゃないですかね? 一応話すって言ったのは俺なんで……」


「むぅ……そうですかそうですよね。それよりも……私たち、久しぶりに2人っきりですよ?」



 何故か琴香さんの機嫌が悪くなったように見えたが気のせいだろう。あと2人きりと言っているが、ちゃんと周りにも人はいるよ。知り合いがって意味。



「そう、ですね……」


「「…………」」



 か、会話が続かない……!? くそっ、何かして間を持たせないと!



「そ、そう言えば琴香さんは試験でどうだったんですか? 綾辻さんと戦うために別れてからどうなったのか知らないので……」


「そう、ですね……。まず北垣さんがやられて……私も普通にやられちゃいました。あはは〜」



 琴香さんが笑いながら申し訳なさそうに頭に手を添える。まぁ、綾辻さん相手なら無理もないか。



「それは、違う……!」


「うぉっ!? あ、綾辻さん、戻ってきてたんだ。それより違うって何が……?」



 いきなり後ろから現れた綾辻さんに驚きつつも、彼女の発言の意味について俺は尋ねる。



「……強かった。空もだけど、琴香も……同じか、それ以上に……。やられたとか、一言で済ませるレベルじゃ、なかった……!」



 おぉっ? 琴香さんと戦って強かったってこと? 確かに琴香さん、癒しの精霊として生き返ってるから身体能力も上がってるのか。そういや俺、琴香さんがどれくらい実力があがったのか知らないな……。



「あ、ありがとうございます……?」



 琴香さんはとりあえずお礼を告げていたが、何を言われたのか正しく理解はしていないだろう。



「つまり綾辻さんは、琴香さんとの戦いを一言で済ませるような戦いではなく、激戦だった……って言いたいの?」


「(コクリ)」



 俺が尋ねると、綾辻さんは深く頷く。



「……強いんだから、ちゃんと誇る。肩書きだけに、囚われずに……。そうじゃないと……っ」



 綾辻さんが琴香さんに迫りながら、強い圧を持って告げる。だが途中で何か思ったのか、口を閉ざした……。



「えっと、分かりました……。それと話は変わりますが、なんでそんなに空君と距離が近いんですか?」

 


 琴香さんは綾辻さんの静かな、しかし大きな圧のような勢いに負けたのか肯定する。だが、琴香さんもただ言われた通りにするわけではない。そんな問いによる反撃を試みる……ん? どう言う事だ?



「距離……?」



 綾辻さんがキョトンと首を傾げるが、俺はそれを気にせずすぐに綾辻さんとの距離を測る。……うん、肩が触れるかどうかの瀬戸際と言っても過言ではないな。



「確かに綾辻さんと近かったね。少し離れるよ」


「待って……まだ、あの話、聞いてない……」



 琴香さんに不機嫌になられても困るので離れようとするが、そう言って綾辻さんに止められる。あの話……?



「……あ、そうだったね! 試験の時についてだよね?」


「(コクン)」


「あれはーー」



 俺は綾辻さんと約束していた、試験の時に取った作戦を教えると言う約束を思い出し説明し始める。



「ーーだよ。簡単でしょ?」


「ん……予想通り……。でも、とっさにできたのは、すごいと思う……」


「ありがとう。あとそれは最上のおっさんにも伝えたら良いとおもーー」


「嫌……」


「……了解」



 綾辻さん、最上のおっさんのことが嫌いなんだ……。



「あ、それなら俺からも聞きたいことがあったんだ」


「なぁに……?」



 俺の言葉に意表をつかれたような顔をしつつも、綾辻さんは問いかけ返してくる。



「綾辻さんは魔法系だよね? なのに俺を圧倒できるあの動き……どうやって身につけたの?」



 魔法系であの動き……どう考えてもおかしい。あれなら熟練のスピード系B級探索者なら言われても信じるぞ。さすがにA級は身体能力的に無理があるが……。


 あと動きについてもそうだ。正確には、戦い方の技術についてもあの人に…………うん、似てる気がする。面影があると言うかなんと言うか……そんな印象が見えた。



「…………あの戦い方は、ーー」


『さて、集まってもらいながらお待たせしてすまなかったね』



 綾辻さんが意を決したような表情で口を開こうした瞬間、諸星社長がマイクで話し始めた。それと同じぐらいに最上のおっさん、北垣さんも再び合流する。



『本日は急遽、特別ゲストを呼んである。おそらくここにいる皆が名前も顔も知っているだろう人物だ。それでは登場していただこう……蒼龍組合のマスターにして、S級探索者でもある綾辻烈火(あやつじれっか)さんだ』



 諸星社長のそんな言葉が会場に響いた。

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