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58話~試験説明、組み合わせ~

「空君、大丈夫でしたか?」


「はい、特に何も問題はないです」



 俺の事を心配そうに見つめながら琴香さんが尋ねてくる。もちろん安心させるよう、何事もないように返した。


 彼女は先ほど俺が男に絡まれた際も、すぐに立ち上がり味方をしようとしてくれた。だが、それは俺が止めた。


 理由は危険かつ琴香さんには関係のない事だから。彼女が不必要な恨みを買うような真似は避けたかった。北垣さんはすぐに気づき、琴香さんを宥めていた。



「それよりも、さっきの綾辻氷花(あやつじひょうか)さんの方が重要です」


「あぁ、たしかにそうです! A級ですよ! やばいですね!」



 琴香さんが思い出したかのように声を上げる。A級……S級ほどではないが珍しい等級だ。多分日本に50名もいないだろう。


 50人もいるのかと思うかもしれないが、B級がおよそ300人。C級500人。D級は800人。E級が1000人。そしてF級は……100名ほど。ここまでくると弱すぎてあんまりいないんだよな。


 ちなみにこの人数はあくまで俺の主観だけどかなり正確だとは思う。あとあくまで探索者の人数であって、組合所属の大本さんや、普通に仕事をして働いている発現者の分は含んでないから悪しからず……。


 話がずれたが、A級の中では彼女はまだ新人。戦闘経験は浅いだろう。だが、彼女の兄はS級探索者だ。何かしら経験を積んでいる可能性もある……うん、とりあえず逃げるが勝ちだな。



「試験で戦うことになったら確実に負ける。篠崎君はどうだい?」


「十中八九、負けるでしょうね」


「100%や確実って言わないあたり、何か勝算はあるのかい?」


「いえ、彼女は魔法系なので、魔法を避けられればと思いまして」


「魔法系の天敵はスピード系だからね。篠崎君の速さなら或いは……」



 俺の安直な考えも、命を救ってもらったと感じている北垣さんは冷静に思案しはじめた。やめて、恥ずかしいから……。



「あ、向こうに人が移動してます。そろそろ時間ですし、私たちも行きましょう!」



 琴香さんの一言で、俺たちは探索者たちを誘導している人に従い進んでいく。そして大きくひらけた場所に並ばされた。


 前には学校の運動場でよく見る台とマイクが設置してある。そしてひとしきり案内が終わったところで、一人の男性が壇上に登る。今回の試験を主催する翔馬の父親だ。



「さて、顔ぐらいは知っていると言う人も多いだろうが、まずは自己紹介から。今回我が社の探索者試験を主催した、諸星成彦(もろぼしなりひこ)だ」



 と言った挨拶から話は始まった。ちなみに翔馬の本名は諸星翔馬(もろぼししょうま)諸星社(もろぼししゃ)を経営する社長の次男坊にあたる。



「まず、試験に応募してくれた探索者は約1200人。そのうちの300人に選ばれた事を誇りに思って欲しい」



 うわっ、そんな倍率高いなら俺絶対普通に申し込んでたら外れてたな。良かった良かった!



「次に、今回の試験の内容について説明をする。今回の試験はこの山を一つ使い、サバイバルみたいなもので行う。そこで、君たちには3人一組でのチームを組んでもらい、他のチームを倒してもらう。チーム分けは等級、アタッカー、サポーターの割合を公正に考えた結果だ」



 なるほど。これで回復系、強化系などの実戦での実力も測れるわけだ。



「試験時間は10時間とする。途中でチームが全滅すれば、その時点で敗北とする」



 お? 二人がダウンしても一人生き残ってれば可能性はあると……。ダウン判定は降参などと降伏の意思を見せること。意思疎通ができない時などだ。



「そして次に言うことが試験で最も重要な項目だ。今回はA級探索者〜F級探索者まで、幅広い等級の者が参加をしている。等級に応じて決まったポイントが個人には当てられている。その者を倒せば、倒した人の等級の分、ポイントがチームに与えられる。例えばC級探索者を倒した場合、100撃破ptが与えられる」



 なるほど。ちなみにA級は1000撃破pt。B級は500撃破pt。D級は50撃破pt。E級は10撃破pt。F級は……1撃破ptらしい。


 これ、F級のptが少なすぎる気もするが重要だぞ。同じようなptだった場合、どちらかがF級を倒して1pt勝ってる……みたいなギリギリの熱い展開が起こるかもしれない。


 待て、F級ってもしかして俺だけの可能性が……。まぁ良いや!



「A級回復系探索者を呼んであるので、怪我については心配しないで欲しい。ただ、実力差を考えて戦うように。万が一にも殺してしまうなどはやめてほしいからね」



 ちょちょ、なんか成彦(なりひこ)さんの発言が怖いんだけど……。



「それと補足をしよう。残りチームが二つになった場合、または見つからない場合は我々が使っている審査用のドローンで互いの半径100メートル圏内にまで誘導するようにしてあるので、ご安心を」



 不完全燃焼にはならないと。……いや、俺からしたらどうでも良いか。



「さて、質問はないでしょうか? ……無いようですね。それでは1時間後に試験は開始です。チームは今からこちらのモニターで発表させてもらいます」


「……え?」

「あ、あれ……?」

「……む?」



 そして発表されたチームのメンバーを見て、俺は……俺たち3人は驚いた。なんせ俺、琴香さん、北垣さんの3人がチームとして登録されていたのだから……。

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