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51話~だからどっちの立場だよぉぉぉ!?!?!?~

 とりあえず琴香さんと翔馬には部屋に入ってもらった。翔馬はいつも通りたくさんの食材を持ってきていて助かった。


 ひとまず預かり冷蔵庫にしまって、改めて俺は正座をさせられた。



「ねぇ空、俺が何で怒ってるか分かってる?」


「……エフィーがいるのに女の人を連れ込んだから?」


「正解」



 なんか翔馬が姑みたいになってるんだけど!? あ、エフィーは未だぐーすかと寝てるよ。



「あの〜、空君の事情も聞いてあげませんか? 何なら私が説明をしますので」


「……そうだね。僕は翔馬。気軽に翔馬って呼んでくれ。空とは中学校からの付き合いだ」



 琴香さんからの助太刀で翔馬も落ち着きを取り戻したらしい。自己紹介から入る感じだ。



「分かりました翔馬さん。あ、私は初芝琴香です。初芝と呼んでください!」


「了解、初芝さん。それで……空とはどう言った関係かな?」



 ねぇ翔馬、お前って俺の親なの? 彼女なの? 妹なの? なんでそんなに詳しく知りたがるんだよ……。



「同じ探索者同士です。昨日はその、色々あって帰れなくなりまして……泊めてもらいました」



 琴香さん、モジモジしながら言うのはやめて欲しいです! ほら、翔馬も「こいつ何やらかした?」みたいな目を向けてくるからさ!



「まぁ、その色々は聞かないよ。でも琴香さん、空には何もされてないよね?」


「してないよ!? 少しぐらい俺のこと信頼しても良いじゃん!」



 全く翔馬も酷いなぁ!



「えぇ……全くもって何もされませんでした……」



 琴香さん、何も残念そうに言わなくても……。



「空、お前琴香さんがこんなにも想ってるのになんで手を出さなかった!」


「お前どっちの立場なのっ!?」



 もう翔馬が何をしたいのかわけわからん!



「あ、でも起きたら空君と一緒の布団に入ってました」


「お前ぇぇぇぇぇっっっ!!!」



 だからどっちの立場だよぉぉぉ!?!?!?



***



「うまいのじゃ! やはりハンバーグこそ至高なのじゃ!」



 まぁ、その後色々あって仲直り? することはできた。そのあとにエフィーが起きてきたので、翔馬と久しぶりに話をしながら俺は昼食を作ることとなった。


 朝食? 時間をミスってやらかしたので、俺が美味しく頂きました。というわけで昼ごはんは俺だけ少なめ!



「空君、昨日もそうですけど本当に美味しいですよ! 私なんかよりよっぽど上手です!」


「ありがとう琴香さん」



 琴香さんもエフィーみたいに俺の料理を褒めてくれる。そう言われると嬉しいなぁ。……料理が好きだった水葉が目覚めた時に、いつでも教えられるようにって思って覚えた技術だし……。



「空、こんなに人数がいると狭く感じるね」


「狭いとかいうな! こんな人数集まる方が異常なんだよ!」



 まぁ、翔馬からしたら狭いというセリフも不思議ではない。こいつの親、引くほど金持ちだし……。



「そこでだ空、お前に一つ提案があるんだ」


「提案?」



 ここで急に話が変わった。何をやらせるかなんだ……?



「あぁ……お前、俺と手を組まないか?」


「どう言うことだ?」



 手を組む? ……つまり友達としてではなく、ビジネス的な感じか……?



「詳しく話をするよ。そうだ、琴香さんもついでだけど一緒にどうかな?」


「あ、ではよろしくお願いします!」



 翔馬は琴香さんも誘った。つまり、探索者関係だろう。



「実はね、うちで今度、探索者を専属で雇いたいって話が上がったんだ。そこで、2人にもその権利をあげようと思うんだ」



 なるほど、今まで有能な探索者たちは、有名な組合に所属するのが一般的だった。それを翔馬の親が経営する企業が、自分たちでやるのはどうだ? と考えたわけだな。


 資金に任せて高等級探索者を集め、迷宮を買い漁り、自分たちで攻略する。そうすれば利益は企業と雇われた探索者のみに入る。


 確か普通の組合には義務があったり、組合にも寄付をしなければならないと聞く。その辺りを免除したりすれば、人も集まるかもしれない。



「でも翔馬さん、私たちは教会に所属していますが、どうするつもりなんです?」


「あ、それに関してまだ心配しなくても良いよ。権利をあげるとは言ったけど、それはうちに所属する権利を賭けた権利なんだ」



 うん、なるほど理解したぞ。



「つまり、これから試験的なのを受けて合格すれば、無事俺たちは翔馬の企業所属の探索者になれるって訳だな」


「そう言うこと。だから組合所属とかについては受かってからってこと」


 と翔馬が補足説明をする。まぁ、翔馬にしても本気で俺らが受かるとは考えてないだろう。ただ機会があったからチャンスを与えようとしただけだろうし。記念受験みたいなもんか……。


 う〜ん、悩ましいな……。組合には恩がある。でも最近俺の実力も前よりは上がっている。これ以上E級、F級迷宮では実力も上がりにくい。


 だが登録上、F級探索者は上記の迷宮しか基本的に勧められない。大本さんの対応がおかしいだけで、D級迷宮を推薦されるとか普通おかしいんだぞ。


 だから実力を上げるなら、より高等級の迷宮に行けるかもしれない翔馬の所に行くのが確実だ。


 それに水葉のこともある。あと……強くなれと、あの夢で言われたことも引っかかる。……ふぅ、決まったな……。



「翔馬、俺はその試験とかやら受けるぞ」



俺は翔馬にそう告げた。

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