32話~開戦~
恋愛短編書きました。今日の朝6時に投稿しました。『催眠術でヤっちゃった♪』というタイトルです。別にR18物じゃないですよ?
僕らは迷宮主のいる場所に向かう。まずはC級探索者2人と北垣さんたちD級3人の合計5人がその場所の基本的な状況を探る。
見た感じでも良い、何かしら対策を取った方がいいと思うもの。それか気をつけるべきあからさまな物があるかどうかなども見ておくべきだからだ。
ちなみに迷宮主がいる場所は迷宮によって変わる。エフィーは普通に扉を開けた先の隠し部屋にいた。大牙狼は休憩場所と勘違いした広場だった。今回も確実にいるかどうかは分からないが、ほぼ確実だろう。
「皆さん、集合してください」
そう考えていると、僕たち待機組の方に北垣さんたちが戻ってきた。そして主に藤森が、たまに他のメンバーが口を挟みながらも説明、推測を話していく。
一番熱心に聞いていたのは北垣さんだ。この前初めてリーダーをやったらしいが、こう言ったことはやっていなかった。学ぶものがあるんだろう。
ちなみに話を簡単にまとめると、場所はひらけており、視界を遮ったりするものは無し。魔石が辺り一面に埋め込まれており、藤森の《灯火》も必要ないらしい。
そして、一番奥に迷宮主が眠っていたそうだ。どの程度の睡眠の深さかは測れない。しかし超音波を発するバットバットが存在していることから、奴の耳はあまり良くないことが分かる。
「ではまず、私が先制で最大威力の魔法を放ちます」
そう言って藤森が眠っている迷宮主に向けて、溜めに溜めた、最高火力の巨大な《炎槍》を放った。《炎槍》は見事に眠っていた迷宮主の体に直撃した。
「では行きましょう!」
藤森の指示で僕らが進む。
ゴォォォオォッッッ!!!!!
「ぐっ!」
攻撃を受け眠りを妨げられた迷宮主の叫び声が洞窟内に響く。まるでバットバットの超音波だ。それと叫び声と言ったが、正確には発声はしていない。
これはただ口からすごい息を吐いているだけだ。それが衝撃波となって僕らに降りかかる。それでも僕は進み、迷宮主の全長を視界に捉える。
迷宮主のモンスターの名は大刺毒蜘蛛。体部分は約3メートル。足を広げると10メートルを超える大きな紫色の蜘蛛だ。
体表部分が動物の毛のように微細な触覚で覆われており、また口から鋭い針のような物を飛ばしてくる。
名前の通り毒があるので、素手で攻撃したり針の攻撃を受ければまずい。
毒は身体能力の低下、視界低下、認識力低下などなど様々な効果を持っている。一つ一つの影響は小さいが、非常に危険だ。絶対に避けないと……。
「自分先に行きます」
一足先に飛び出したスピード系の人がそう言い残し、大刺毒蜘蛛に攻撃を加えるために向かう。
速い、圧倒的に。それも等級が上のC級の藤森よりも。やはり何かに特化していると言うのは良いな。
スピード系の人はその速度を生かし、自分を踏みつけようとしてくる脚を軽く避けて、体の裏部分をジャンプしながら短剣で何度も攻撃を繰り返す。
「はぁっ!」
北垣さんが次に早く飛び出し、大刺毒蜘蛛の体に向けて剣を振りかぶる。
「北垣さん! 横です!」
僕が告げると同時に、蜘蛛の脚の内一本が凄まじい速度で動き、振り払うように北垣さんに放たれた。
「ぐっ!」
北垣さんは蜘蛛へと攻撃をやめ、頭の上に大きく振りかぶった剣を迫り来る脚へ切り替える。互いの攻撃がぶつかり合った刹那、北垣さんが力負けして壁に吹き飛んだ。
「北垣さん!」
「ぐ、ふっ……」
北垣さんは壁に叩きつけられ、その勢いでへこみを作っていた。さらに別の脚での踏み潰すような追撃が加えられる直前、なんとかC級タンク系探索者の人が間に合いその追撃を防ぐことに成功する。
「《炎槍》!」
注意を結果的に北垣さんが引きつけたおかげか、ふたたび先程ほどの威力ではないが《炎槍》が直撃した。
その隙を見逃さず、初芝さんが北垣さんの治療を始める。その間パワー系、タンク系の人たちも他の脚に攻撃をしていた。
さて、僕も行くか。
このペースだと一章終わるの年始に持ち越しです。ちなみに書き溜めは一章も終わってない。別の意味で終わってますね。




