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29話~戦闘開始~

 ゲートを潜り抜けた先は、ゴツゴツとした本格的な洞窟の中だった。ゲート自体が淡く発光しているので大丈夫だが、奥に進めば何も見えないだろう。



「ふむ、私が灯りをつけます。《灯火(ともしび)》」



 藤森がそう唱えると、空中にフワフワと浮かぶ火の玉が現れる。等間隔で浮かぶ火の玉が、僕たちを照らした。



「さぁ、行きましょうか」


「「「はい」」」



 そうして僕たちは洞窟型のD級迷宮の奥へと足を進める。天井は5メートルほどと人が問題なく倒れる高さだ。


 今回いる探索者はF級探索者の僕。D級回復系探索者の初芝さんともう1人。D級パワー系探索者の北垣さんともう1人。D級スピード系探索者が1人。

C級魔法系探索者の藤森が1人。C級タンク系探索者が1人と、D級が2人の合計10名だ。


 藤森の灯りを頼りにC級タンク系探索者の人が先頭に立ち、その後ろに藤森たち魔法系、それと初芝さんたち回復系が並ぶ。


 その周りを北垣さんたちパワー系とタンク系、スピード系と僕が左右と後ろからの奇襲を防ぐように隊列を組んでいる状態だ。



「……何もいないな」



 しばらく進むと、先頭に立つタンク系の人がそう呟く。5分ぐらい歩いたはずだが、一向にモンスターが現れる気配が無かったからだ。



「主人、主人よ」


「!? どうした? 大したことじゃないなら、助言とかはしないでほしいんだけど。……それとも僕たちの命に関わること、なのか?」



 エフィーにはあらかじめ同じことを伝えておいた。それにも関わらず話しかけてきたのだ。モンスターが出てこないことといい、何かあるのかも知れないな。



「……主人は、我を信じてくれるか?」


「どう言うことだ?」


「後で怒らないかと聞いてあるのじゃ。詳しくは言えんが……信じてくれるかの?」



 ……正直、今のエフィーが何をしたいのかは分からない。でも、2週間しか一緒にいていないけれど分かる。


 エフィーがわざと不利益な事を仕向けるわけがないと……僕はそう、信じている。なら、答える答えは決まっている。



「あぁ、信じてるぞエフィー。何かは知らんが、お前に全て任せた」


「任されよ主人。決して後悔はさせぬ……と思うぞ。半々ぐらいで」



 ちょっと待てぇぇぇ!!! 最後! 最後の締めが不安要素でしかないんだけど!? 一体何する気なの!? やっぱり教えてくれぇぇぇぇぇっっっ!!!


 そうこうしている内に、僕たちは通路のような場所から一気に広々とした場所へと出た。何かある。そう全員が認識していた。しかし……。



「……1匹もいませんね」



 藤森が《灯火》を何個か前に飛ばしてモンスターを確認しようとするが、その姿は影も形も無かった。


 ピチョンッ。そんな音が反響する。どこから溢れ出た地下水によって水溜りでもできているのかも知れないな。



「……う、ぁ……」



 そう考えていると、パワー系のうちの1人が洞窟の天井を眺めてそんな声を漏らしていた。次の瞬間、上から滴り落ちた一雫を目にする。


 先ほどの音は今見た物と同じだろう。パワー系の人も僕と同じように偶然それを見て上を見たのか。


 そう考えて、僕は特に大した理由もないが、ふと同じように上を見つめる。そして気づいた……気づいてしまった。



「……ーー、です……上です!」



 大量の蝙蝠(こうもり)型モンスターが、こちらを見ていることに。一目見ただけで分かる100匹を超える数の蝙蝠が、赤い目をギラリと光らせこちらを伺っていた。


 僕はとっさに固まってしまったが、声を出して周りに知らせる。その声で北垣さんや初芝さん、藤森も慌てて上を見上げる。


 僕の声が原因だろう。僕の声を合図のようにして蝙蝠型モンスター、名前はバットバットがキシャーッ! と鳴き声を上げながら羽ばたき、僕らへと向かってくる。


 D級洞窟型迷宮での、初の戦闘が幕を開けた。

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