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21話~攻略~

 大牙狼が倒れて少しの時間が空き、地震のような振動が僕らを襲った。迷宮を攻略したことにより、ゲートが消滅し始めた合図だ。



「あの、初芝さん。もう十分ですよ。痛くありませんから……」


「いいえダメです! 万が一もありますから。F級なのにあんな危険な真似をして、それでこんな大怪我をしたんですよ? もう少し自分の身を考えてください!」


「で、でもほら、僕たちはこうして誰1人欠けることもなく生きてますし……」


「そう言う問題じゃありません!」



 で、ですよね……。



「心配、したんですからね?」



 初芝さんは泣きそうな声でそう告げる。その言葉に、僕は胸がギュッと苦しくなった。



「……すみません。でも、本当に大丈夫ですから。それよりも、北垣さんや他の人たちの方に行ってあげてください」


「むぅ……そう、ですね」



 初芝さんは僕を何度もチラチラと振り返って見ながら他の人たちの所へと行った。本当に大丈夫なんだけどな……。



「エフィー」


「……主人、家に帰ったら説教じゃ。さすがに無理やりにでも止めようかと思っていたぞ」


「……はい」



 あぁ、味方がいない。まぁ、当然なんだから仕方がない。僕たちはその後、大牙狼や牙狼の素材を回収。ゲートへと向けて歩き出した。



「篠崎君」


「北垣さん? なんですか?」



 その途中、北垣さんが話しかけてきた。怒られるのかな? そう考えた僕だったが、逆に北垣さんは頭を下げた。



「ありがとう。あそこで君が動かなければ、大牙狼を抑える人が居なくなって戦線は崩壊。皆がやられていただろう。これは私の驕りだった。初めてのリーダーで緊張していたのもあるが、戦力の配分も間違えてしまったようだ……。本当に、ありがとう」


「い、いえ……。でも、北垣さんは精一杯やっていましたよ」


「……そう、言ってくれると助かるよ」



 北垣さんは笑顔で僕の言葉を受け止めた。だが、すぐに北垣さんは再び顔を引き締める。



「さて、お礼の方はもう良いだろう。それはそうと、F級探索者がE級迷宮主に戦いを挑むとは何事だ。勝てたから良かったものの、もしかしたら命を落としていたかもしれないんだぞ。それにーー」



 北垣さんのお説教タイムが始まった。こ、心が痛いです……。もう既に僕のライフは0なんですけど……。


 結局僕はこってり怒られた。でも、最後にもう一度だけお礼を言われた。……なんかそれだけで喜んでる僕って単純?

 


「主人よ、少しばかり魔法石が欲しいのじゃが。一応契約も続いてはおるが、備えはしておいた方が良いじゃろう?」



 エフィーの言葉に僕は頷く。そう言えば契約内容には、エフィーには定期的に魔法石を与えるようにだったな。いや、忘れていたわけじゃないぞ?


 そうそう、探索者組合に所属する探索者の収入源は主に二つある。


 一つ目は倒したモンスターの魔法石を換金すること。強いモンスターほど高く換金できる。ちなみに得た魔法石の半分は組合が持っていってしまう。


 まぁ代わりに最低限の給金が保障されているので、低等級の僕らにはありがたい存在だ。


 二つ目は魔石を換金すること。こちらは純度が高いほど値段も高くなる。純度は基本的に迷宮の等級によって変わる。当然、等級の高い方が値段も高い。


 僕も前に潜ったS級迷宮で魔石を採掘していたが、あれはおそらく最高純度の魔石だろう。……幾らになるんだろ?


 要するに、魔法石は半分だが僕らの手には渡るのだ。全員がそのまま換金に出すので魔法石を持ち帰ろうとする僕みたいなのは珍しいだろうな。


 おっと、そんな事を考えているうちに、いつの間にか僕らはゲートの前へと戻ってきていたようだ。


 僕らはゲートを潜り、現実世界へと帰還した。

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