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161話~意外な縁~

 明けましておめでとうございます! お久しぶりですね! それでは更新再開します!


 内容覚えてねぇぜ、もうブクマ外そうかなっ! って人は前話見てね!!! でもあれ期間限定なんで1週間で削除するからそこのとこよろしく!

 あれは……私が9歳の頃、地球に……異世界の迷宮へ繋がる、ゲートが現れた。それから3年が経って、兄貴が発現者になった。


 しかも……当時は日本に5人しかいない、S級の名を冠する、S級発現者として……。



*****



「やっ、はっ!」



 私は自宅の庭で打ち込み用のかかしを作り、無邪気に木刀を振り回していた。


 とても12歳の女の子が好んで触るものでは無いと思う。それでも私はこの木刀を振り続けていた。何故なら……。



「今日もやってるか、氷花は偉いなぁ」


「えへへ~、でしょ!」



 S級探索者、烈火お兄ちゃんが褒めてくれたから。いつも笑顔で頭を撫でてくれるこの大きな手が、私は好きだ……。



「お兄ちゃんは魔法系で後ろにいなきゃいけないでしょ? だから私が剣を持って、お兄ちゃんを守るの!」


「そっかそっか~、でもお兄ちゃんは氷花のことを守りたいけどな~」


「ダメっ! 私がお兄ちゃんを守るの!」



 そんな事を言って、私は木刀での素振りを再開する。素振りと言ってもただ上下や左右にブンブンと振り回しているだけの、子供の遊びの延長線上のようなものだけど……。



「っ、氷花悪い、お客さんだ」


「え? でもピンポン鳴ってないよ?」



 お兄ちゃんがインターホンが鳴るよりも早くに、来客の存在に気づいた。私は気づけなかった……つまり、お兄ちゃんを守れるように、もっともっと強くならなきゃ!



「グッドモーニング! 日本で5人目にして史上最年少S級発現者ぁ! いや、もうすぐ探索者になるがな!」



 玄関でいきなり派手な挨拶を飛ばしてきたのは、制服を着た女の人だった。なんというか女の子っぽくないオラオラ系で、ちょっとびっくりしたことは内緒……。


 私は後で知ったことだが、彼女の名前は江部一香さん……日本で2番目に若い、18歳のS級探索者だったのだ……。

 


「初めまして! S級発現者の綾辻烈火です! ようこそおいで下さいました!」 


「元気よくて良いなお前! 私の作った白虎組合入るか?」


「遠慮します!」


「はっはっは! やっぱ本気で欲しいって思ったやつほど、手には入りにくいもんだな!」



 初対面にも関わらず、お互いに友達のような軽口を言い合いながらの話が始まった。これも後から聞いたことだが、江部一香さんが来た目的は、S級発現者となったお兄ちゃんへの探索者申請願いだった。


 それを引き受けたのが同じS級で1番歳の近い江部一香さんだそうだ。白虎組合は、そんな彼女が作った組合のことで、お兄ちゃんが誘われた時は心の中で猛反対したりもした。まぁ、お兄ちゃんから断ってくれたのでスカッとしたけど……。



「まずはS級発現者への発現おめでとう! あとこれお土産、京都の八つ橋だ!」


「これはありがとうございます! でも確か、白虎組合って大阪を拠点にしてませんでしたか?」


「あぁ、お土産を買い忘れてこの近くの駅で買ったやつだから気にすんな!」


「なるほど!」


「なるほどじゃないよっ! 馬鹿にされてるんだよ!」



 お兄ちゃんは馬鹿だから先輩となる人からの嫌がらせに気づいていない。私はそう感じた。いや、、それもあるが……お兄ちゃんを取られた気がして、変に突っかかったの方が正解だろう……。



「ん? 烈火、この少女はお前の妹か?」


「そうですよ!!! 氷花って言うんです!!! 世界一可愛い妹ですっ!!!!!」


「お、おう? 氷花ちゃん、ゴメンな。決してお兄ちゃんを馬鹿にしてるつもりは無いんだ。烈火もごめん」


「いえ」


「む~~っ! で、でも、失礼! そう、失礼だよ!」



 私は私の誇りのお兄ちゃんをバカにされたと思って、謝った江部一香さんに突っかかる。



「氷花、お兄ちゃんは気にしてないぞ?」


「お兄ちゃんは黙ってて!」


「……はい」


「妹に弱いなお兄ちゃん!?」



 12歳の私の一声でお兄ちゃんが黙りこくる。一香さんもちよっと……いや、だいぶおかしい上下関係に、思わずツッコミを入れるほどだった……。



「ゴメンな氷花ちゃん、お詫びと言っちゃなんだが、木刀の振り方教えてあげるからさ」


「いらない! お兄ちゃんがS級なんだから、私もS級になるに決まってるもん! そしたら私の方が絶対強くなるもん!」



 私はそう自信ありげに胸を張って、近い将来に必ずそうなると確信していた。



「そうか……でも、今は私より強くないよな?」


「っ……」


「早く強くなるなら、ちゃんとした振り方を習っといても損はないと思うぞ?」


「…………じゃあ、お願いします……」



 早くお兄ちゃんの力になりたい……その思いを私は利用されて、話題を逸らされた。その事には一香さんが帰ってから気づくが、やはり八つ橋の件はちゃんとした大人とは言い難い……。



「ちゃんとお願いできるなんて、私よりも偉いな氷花ちゃんは」


「……(ドヤっ)」



 私はふふん、と言いながらドヤ顔をする。勝った……! そう確信した。お兄ちゃんも頭を撫でてくれているし間違いない!


 その後に庭に移動して、江部一香さんから木刀の振り方を教えて貰う。私は今までの全力を見せてやると意気込む。


 堂々と構えを取ってから大きく木刀を振り下ろす。完璧だ! と心の中で笑顔を浮かべて、江部一香さんの方を見た。お兄ちゃんが拍手をくれる。すごいでしょっ!!!



「OK。……じゃあまず、握りはこう……そうだ。そして腕を振り上げて……重心を常に中心に、体幹がブレると動きも鈍くなるし、木刀の威力も弱くなる……そうだ」



 すると江部一香さんが近づいてきて、次々に私の構えを修正していく。最初は腕や腰などを触られるのが嫌だったが、途中から大人しくした。


 だってその方が、物凄くしっくりきてしまったから……。スっと体に馴染むような感覚を覚えてしまったから……。



「そのまま振りおろせ!」


「や、やあぁぁっ!」



 不意に掛けられた声と共に木刀を振り下ろす。ヒュンと風を斬る音が聞こえて、カツーンと良い音が庭に鳴り響く。


 なに、今の……? ほとんど力を入れていないのに、今までよりも速く強い打ちだった……。今の、私が振った一撃……?



「へっ、氷花、お前才能あるぜ!」


「本当っ? ……はっ! と、当然だし! 私はお兄ちゃんの妹なんだから!」



 まるで自分の事のように嬉しそうに笑った江部一香さんを見て、自然と私も笑みがこぼれる。でも慌てて取り繕ったから、多分バレていないはずだ……。



「っし、じゃあちょっと木刀貸してくれ。私が凡人の極地を見せてやるよ」



 私が言われた通りに木刀を渡すと、江部一香さんが素振りと型をやり始めた。私はその美しい刀さばきを見て、心の中で尊敬する人に認定した。

カクヨムで先行投稿されています。

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