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158話~訃報~

ちょっと死んでて投稿遅れました。まだ大丈夫じゃないです。

「おはよう空」


「うひゃわぁぁぁっ!? あでっ!?」



 目が覚めると一香さんが目の前にハレンチな格好で挨拶をしてきた。僕は驚愕で目が覚め、勢いで後ろに後ずさり、ベッドからずり落ちる。



「お、おい大丈夫か?」


「いい、一香さんがそんな格好してるからじゃないですかっ!?」



 そ、そうだった! 昨日は一香さんと一緒に寝て、その後に…………ぬぁぁぁぁっ!!!



「昨日に全身をしっかり見た奴の言うセリフか、それ?」


「それとこれとは別ですっ! つか恥ずかしくてほとんど見てない! そもそも早く服を着てくださいっ!」


「へいへいっと……。なぁ、お前が私をお着替えさせるプレイってどう思──」


「早く服着てくださいっ!!!」



 僕は恥ずかしさを勢いで押し切った。その後、逃げるようにシャワーを浴びて朝ごはんを用意する。ちょっと寝過ごしたから簡単な物にして……。



「なぁ、せめて顔ぐらいこっち向けろよ」


「む、無理です」



 僕の後にシャワーに入った一香さんが、ご飯を頬張りながらそう言ってくる。だが、僕は昨日の出来事を思い出してしまうので顔もまともに見れなかった。


 くそ、あれは一時期の気の迷いだ! 早く忘れねば! あ、でも後で理由は聞き出さないとな。



「……はぁ、昨日はあんなに近くで見つめあった──」


「口に出すのやめてください!」


「やっほ、みふぇふえふぁ(やっと、見てくれた)」



 一香さんの口を止めようとして、両手が一香さんの口に添えられる。だがそれが一香さんの狙いだったようだ。



「む~~っ!」


「おうおう、頬を膨らませていじらしい雰囲気出しやがって。女の子かっての」



 思い通りに誘導されたのを悔しんでいると、さらにからかう言葉を掛けてきた。くそ、まるで模擬戦と同じ扱いを受けてるかのようだ!!!



「…………それで、なんであんな真似したんですか?」


「自分から切り出すのか?」


「良いから答えてください」



 本当は口に出すのも恥ずかしいが、これだけは聞かなきゃいけない。



「……したくなったんだからしょうがないだろ? お前が可愛すぎたのが悪い」


「理不尽っ!?」



 なんという短絡的な思考だ! したくなったからするとか、獣かよ!? ……いやそれ、僕もだぁ……。



「そうだ、今日も帰ることが出来ねぇ。多分、帰れても明日になると思うわ」


「また呼び出し?」


「同じようなもんだな。ちょっと面倒なゲートが発見されてよ。そこを攻略予定なんだ」


「そう、頑張ってね」

 

「……おう、ぜってぇ攻略してやるぜ」



 なんかすごいやる気に満ち溢れてるな。いつもある余裕がなんかあんまり感じられない。


 ……もしかして、向こうも本当は昨日の行いを意識しているのかも。それならしてやったりだな……いや、何アホなこと考えてるんだ僕……。



「それじゃあそろそろ行くわ」


「了解」



 食べ終わった皿を流し台の所まで持っていき、準備を終えた一香さんが玄関まで向かう。僕もついて行く。いつもしてる見送りだ。



「じゃあな、空」


「行ってらっしゃい、一香さん…………待って」



 そうして一香さんが背中を向けて玄関の扉を開けようとしたところで、僕は無意識のうちに動き出して、一香さんに抱きついていた。……え?



「お、おい、どうした空? ……ははーん、さては昨日の夜中の出来事思い出したな? 帰ってきたら……まぁ、してやっても良いけどよ」



 一香さんは一瞬だけだが驚いた様子を見せるも、いつもの軽口でからかってきた。でも、今の僕はそれどころじゃなかった。


 なんで、抱きついた? 夜中の出来事を思い出したとかじゃない。無意識に……勝手に……体が動いた。これは、あの時と同じ……。


 僕はこの行動に既視感を感じた。それは2年前、翔馬と水葉と3人で帰り、翔馬と別れて家に入って母さんに抱きつかれたりした時に、急に流れた涙と同じ感覚だ……。



「なんだか……行かせたくないんだ。なんでだろうね? 一香さんが、どこか遠くに行っちゃうかもしれないって思って……」


「っ!? ……そんな事ねぇよ。私は帰ってくる。絶対だ」



 有り得ない、信じられない感情を思ったままに口に出すと、一香さんは僕の頭を撫でて、優しく断言してくれた。



「そうだよね、引き止めてごめん。仕事遅れちゃうから急いで行ってきてね」


「おう! 早めに終わらして、絶対に帰ってくるからな!」



 一香さんは元気よく家を飛び出して言った。それから日付が変わった次の日の夕方、テレビを見ている最中に、一通の電話が鳴り響く。



「もしもし」


『もしもし、探索者組合本部の者です。そちら、S級探索者、江部一香様のご自宅でございましょうか?』


「……そうですが、ご要件はなんでしょうか?」



 探索者組合、しかも本部が何の用だ? そう考えていると、テレビの番組が緊急ニュース速報に切り替わる。なんだ?

 


『では、同居されている篠崎空様ご本人で合っていますか?』


『緊急ニュース速報です。とんでもない訃報が舞い込んでまいりました』


「合ってます」



 なんだ、変な胸騒ぎがするんだが……嫌な感じだ。なんで僕の名前を尋ねるんだ? なんなんだよ……。



『動揺せずに聞いてくださいね……』


『日本に5人しかない、あのS級探索者』


『『江部一香さんがお亡くなりになられました』』



 カツン、とスマホの落ちる音が鳴り響いた。

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