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14話~E級迷宮~

 ん? 電話だ……誰からだ?



「……はっ?」



 僕が再び走って病院から家へ帰っている最中、携帯が鳴る。立ち止まり着信相手の名前を見て驚く。なんと……探索者組合からだった。


 基本的に探索者組合から送られてくる情報媒体はメールだ。B級迷宮以上の発生は全ての探索者に。A級迷宮以上は民衆にも伝えられる。


 でも別に騒ぎになることはない。大抵はすぐに三代大型組合とか呼ばれたりする大型組合が攻略するからな。B級なら震度1の地震速報みたいなので、A級でも震度3ぐらいの頻度だろうか?


 でも例外とかはある。例えば僕が藤森に裏切られた所の迷宮がそうだ。あの迷宮は推定S級迷宮だが、既に攻略されているし、F級探索者がクリアしたなんて格好の的にならないよう、組合の方が配慮してくれた感じだな。


 僕自身も、組合から電話を頂いたことなんて探索者として合格したと伝えられた、その時の一回だけだ。あ、もしかして魔石の鑑定結果が出たとか……? 僕は期待3割不安7割でドキドキしながら電話に出る。



『……もしもし?』



 やばい。相手の顔も見えないのに緊張からか、声が強張る。



『もしもし、そちらF級探索者の篠崎様でよろしいでしょうか?』



 へぇ、事務的だが優しげな女性の声だ。顔も名前も知らない電話先の彼女だが、相手をする僕も自然と気持ちが緩む。



『はい。そうですがどうかしましたか? 何もしてないと思うんですけど……』



 僕は心配しながら要件を尋ねる。不安になり、こちらから要件を急かすような言い方になってしまった。



『ふふっ……し、失礼しました』



 ……笑われた。まぁ良い。僕にとって都合の悪いことではないようだ。



『それと要件ですが、近くでゲートが現れました。魔道具の測定の結果、E級迷宮と診断されました。あなたをとある筋から推薦すると言われたので、こうしてご連絡させていただいた次第です。お受けしますか?』



 良し、やはり問題ではなかった。つまりエフィーがバレたとかは無いな。いや別にボロは出してないはずなんだけど……ほら、隠し事してると過敏になるって言うかなんというか……。


 おっと、それよりゲートの方だ。E級迷宮。それは最低でも、E級探索者が10人以上は必要だと言われているレベルだ。


 もしくはD級探索者が3人以上。C級探索者が1人以上とも言われている。もちろん迷宮の性質によって変わるから、今上げたのも本当に最低限のボーダーラインだが……。


 でも、とある筋ってどう考えても大本さんだよな? 組合で知り合い、他の人いないし……。


 疑われている? ……魔道具か何かを手に入れたと考えられたのかもな。S級迷宮を罠で最深部まで行ったとはいえ、迷宮の入り口にあるゲートへの帰り道も、モンスターがいる場所を通るのだ。


 それを無傷で帰ってきたんだ。何かしら魔道具を手に入れたりしてると考えるのが普通。怪しまないなんて方が無理か……。


 どうする? 事実エフィーとの契約で力は増している。直接戦闘を見られれば、怪しまれるだろう……。いや、逆に考えろ。怪しまれている今こそ、僕の力を見せつけるチャンスじゃ無いか。


 今すぐ本当の力を見せるとまずい。力を加えずF級探索者通りの戦いを見せつけ、むしろ何も持ってませんとアピールしよう! ……せいぜい手を抜かせてもらうぜ!



『はい、受けます』


『かしこまりました。詳細はメールでお送りしますので、ご確認ください。それでは失礼します……ブッ』



 受諾の返事を伝えると、オペレーターの人はそう言って電話を切った。するとすぐにメールが届くので、それを開き確認する。



「主人主人! なんて書いてあるのじゃ?」



 胸ポケットに入った小さなエフィーが尋ねてくるが、僕もまだ読めていないのだ。ちょっと待て、と手で合図する。……なになに……ほうほう……なるほど!


 要約すると簡単だ。E級迷宮が現れた。僕の他にD級探索者2名。E級探索者7名が決定していた。他に近くの探索者を探していた所、僕が選ばれたらしい。



「ーーだってさ。僕の力でいけると思う?」



 僕は要約した言葉をエフィーに伝え、契約で強くなった力か通用するかを尋ねる。



「ふむ、今の主人なら大丈夫じゃ思うぞ。なにせ我と契約しておるのじゃからな。たとえS級迷宮であったとしても守れる自信があるのじゃ!」



 うん、力戻り切ってないのになんか言ってるけど、僕の背中を後押ししようとしてくれてるのは分かるから良いか。


 エフィーも行けないなら無理とはっきり言うだろうし、こんな軽口を叩けるって事は安心だろう……。



「そうだね。……今からすぐに向かうか」



 僕はそうエフィーに告げて走り出した。そうして家に一度帰り、荷物をまとめて目的の場所へと向かう。

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