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126話~アクセサリー、《SS》空が欲しいもの~

『ララノア。そうね〜……あの子は基本的になんでも喜んでくれるわよ』


「それは多分、あげているのがヘレスだからだよ。少なくとも嬉しいものの中でも上下はあるだろうし。……それに、嫌われたままは嫌だ」


『まぁ、ララノアを差別しないソラが嫌われてるのはあたしも嫌ね』



 ヘレスが腕を組み、顎に片手を当てて考える素振りを見せる。



「そう言えば聞こうと思ってたんだけど、その首飾りと二の腕に巻いている緑色の布ってなんなの?」



 ララノアちゃんの贈り物について考えていると、ふとヘレスの装飾品に目が行ったのでそう尋ねる。兄弟でお揃いのものとかなら、喜んでくれるかな……?



『この布は戦士としての証よ。これを身につけたなら、里の人たちを守る一人前の大人として認められるって事なの』


「なるほど。じゃあ残念だけどあげれないな〜。首飾りの方は?」


『っ……あたし達の親の、母親の形見よ』


「母親の……そっか。……そうだヘレス、少しだけ協力してほしい」


『っ? 何か思いついたの?』


「思いついたってほどじゃないよ。ただ……何かしら繋がりを求めるのは、誰だって同じだと思ったから」


『良いから詳細を教えなさいよ』


「はい」



 確かに少しだけ回りくどい言い方だったかもな。



「俺はその首飾りの装飾品みたいなアクセサリーを作ろうと思うんだ。……おいこら、あんたが作れるの〜? って表情はやめろ」


『つ、作れるの?』



 驚愕の表情を浮かべるヘレスだが失礼だぞ! これでも水葉に花冠とか作らされたり、ビーズアクセサリーとかも作らされたりしたんだ! 


 それに毎年毎年、水葉に似合うアクセサリーも誕プレで作ったりもしてるんだぞ! 使わないから家に飾ってあるけど……。



「一応、人にあげる事が出来るぐらいには良い感じだと思ってるよ。気に入ってもらえるかは別として……」



 中身も見ずに押し返されたりしたら泣く。



「でもただ俺が作ってもララノアちゃんは嫌がると思う。だから2個作って、ヘラスにも付けていてほしいんだ。そうすれば姉妹の絆とかを思い出せるかなって思って……」


『まぁ……良い案だとは思うわ』


「そう? なら良かった。俺の作った物を付けるのなんて勘弁してくれ、って言われたらショック受ける所だったよ」


『なら訂正するわ、悪い案ね』


「なんでやん!?」



 そんな会話を挟みつつ、その日はお休みとなった。そして次の日の訓練を終えた俺はアクセサリー作りのための材料を探しに、ヘレスと共に森に潜ることにした。白霊草モーリュ採取まで残り8日。



***



 そしてアクセサリーの材料を探した次の日の夜、俺は三度目のララノアちゃんとの再会を果たす。



『…………』



 ララノアちゃんは親の仇でも見るかのように睨みつけてくる。まぁ、唯一の味方のお姉ちゃん……ヘレスが怒られる原因を作ったんだから、そりゃそうかもな。



『むぅ、せっかくお姉ちゃんと2人っきりだと思ったのに……』


『ララノア……っ、ソラ、あたしララノアをひたすら可愛がりたいから帰ってくれないかしら?』


「まさかの裏切り者だぁっ!?」



 ララノアが不服そうな顔で不満を垂れると、ヘレスが口元を押さえて涙声を出す。それから強めにララノアを抱きしめてそんな事を言ってきた。酷すぎる……。



『可愛い=正義よっ! つまりララノア=正義なのっ!』


「暴論すぎる! しかしララノアちゃん=可愛いは否定どころか肯定しかできない……!」



 ちくしょぉ! それもこれも全部ララノアちゃんが可愛すぎるのがいけないんだっ! ……何やってんだ俺たちは?



『…………お姉ちゃんは、その人と仲良いの?』


『「良いよ(悪いわ)」』


「うぉい!?」


『……どっち、なの?』



 そのネタもう良いよって! ララノアちゃん混乱しちゃってるし、話進めるよ?



「ララノアちゃん……これを受け取って欲しいんだ」


「……っ、ほわぁ〜……!」



 俺が取り出したアクセサリーを見て、ララノアちゃんが感嘆の声を漏らす。俺が作ったのはブレスレットだ……と言いたいが、若干ミサンガっぽいアクセサリーだ。


 蔓性の植物が生えていたので、それを軽くほぐして紐にした。それに料理でも出てきた果物の一部……現実でのどんぐりの傘みたいな奴に、綺麗な石を付けた物だ。その石を基調として、色鮮やかに細かく別の石を規則正しく入れてある。



「俺が作ったんだ」



 そう言った途端に表情が曇る。やべっ!



「ヘレスにも付けてもらった……」



 ヘレスが笑いながら、腕のブレスレットを見せる。



「これでララノアちゃんとお揃いの物で、2人だけの品になったよ……」


『お姉ちゃんと、同じ物……』


「そう。これを2人が付けていれば、お姉ちゃんと一緒にいるような気分になってほしいと、俺は思ってる……貰ってくれるかな?」



 ララノアちゃんは俺の手のひらに乗っかるブレスレットを、怖がりながら、それでもゆっくりと手を伸ばし、軽く手に取った。



『……〜〜っ』



 ララノアちゃんはそのブレスレットを見つめ、触ったりしながら笑顔になっていく。声には出なくても、その表情の緩み具合を分かる。受け取って貰えそうだ。



『本当に、私が貰っても……良いの?』


「もちろん。ヘレスとララノアちゃんのためだけに作ったアクセサリーなんだ。受け取って貰えないなら残念だけど……捨てるしか──」


『やだっ! 私が貰うのっ!』



 俺が意地悪そうな笑みで捨てる、なんて発言をすると、言い切るよりも早くララノアちゃんがブレスレットを大事そうに手で包み込みながら、俺とブレスレットとの距離を取る。



「その様子だと、貰ってくれそうで何よりだよ。ありがとう」


『ぁ……うん。……その、こ、これくれて……ぇと、ブレスレット……をくれて、ぁ……ありがとう、ございます……』


「どういたしましてっ」



 ララノアちゃんが照れ臭そうにお礼を告げてくる。あまりこんな経験をした事がなくて戸惑っているのだろう。受け取って貰えて良かった〜! 白霊草モーリュ採取まで、残り7日となった。



***



 そして、それから6日が経ち、明日には白霊草モーリュを採取しに行く日の夜。



「空君……少し話をしませんか?」



 琴香さんがそんな事を言ってきた。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 前話でヘレスが欲しいものを空に尋ねた際のifストーリーです。ちょっとした暇つぶしですので、読み飛ばしても支障はありません……多分。




『あなたの欲しいものって何かしら?』



 ヘレスがジーッとこちらを値踏みするような視線を向け尋ねてくる。ふむ、これは簡単だな。おそらく何か俺が私利私欲的な物を要求すれば良くないことが起こるんだろう。


 なにか事情は知らないが試されていると見た。なら俺が答えるべき回答は一つだけだ。そう答えれば、ヘレスにも俺がララノアちゃんへの差別意識が無い事をより理解してもらえるはず!



「俺は……ヘレス(の持ってるララノアちゃんの情報)が欲しい」


「は? ……は、はぁぁぁぁっ!? あ、あんた何言ってる訳っ? 意味わかんないんだけど!?」



 ヘレスが朱色に染め上げた顔のまま1歩後退する。まるでこの前の会議の最中に、白霊草モーリュの事で頭がいっぱいになって手を握った時と同じような表情だ。


 でも声のトーンは全くの真逆。くそ、ヘレスが何故にも声を荒らげているのか理解できない! でも激しい感情に飲まれていることは理解できるぞ! 怒りじゃない事もだ! だから余計理解できないんだけどね!



「あ、あたしが欲しいって、どど、どういう意味なのっ!?」



 ん? ヘレスが欲しい? ……いや、別にいらんが? おっと、今の言葉を聞かれたら殺されていたな。


 そんな事よりも、俺はヘレスを欲してなどいないが……なるほど、思い返してみると少しだけ伝わりにくかったかもな。



「ご、ごめん。言葉足らずだった。ヘレスの持ってるララノアちゃんの情報が欲しいって意味で……」



 フッ、これなら多分大丈夫なはずだ。誤解だと分かればヘレスだって鬼や悪魔じゃない。許してくれるはずさ。



「へ? 情、報……? ~~~っ!!! ま、紛らわしいのよこの馬鹿っ! 変な勘違いしちゃったじゃないのっ!」


「ごふっ!?」



 そう伝えるとみるみるうちに、顔を茹でダコのように真っ赤にしたヘレスが怒りだし、最後に一撃、僕のお腹にパンチを放ってきた。何故だろうか? 許してくれなかったわ……。



「フンっ! そ、空が悪いんだからね!?」



 俺が悪い? 何がいけなかった!? ヘレスは腕を組んで僕を少しだけ潤んだ目で見てくる。とにかく確かめねば!



「悪い。所で変な勘違いって一体どんな──」


「う、うるさいわよっ! 欲しいのはララノアの情報でしょ!? 話す、話すわよ! だからさっきのこと聞いたら殺すわよ!? 分かった!? OK!?」


「お、OK……」



 再び怒りで顔を真っ赤にして、胸ぐらを掴んで閉める暴力に打って出たヘレスが脅迫してくる。ひぇっ!?


 結局ヘレスを説得するのに結構な時間が掛かった。ようやく話に入れそうだ。







 これは、有り得たかもしれない過去、その一部……。そしてこのように過程が変わろうと、結果に大した差はない。

 それは砂漠に公園の砂場の砂を少し混ぜた所で大した違いしか得られないように、多少の過程の変化では結果に影響は及ぼさないことと同義。

 しかしあえて言おう。未来という可能性は、無限大だと言うことを……。

 なんか上で壮大に語ってますが、つまりはその場の雰囲気で適当に話や展開が当初の(頭の中にだけ存在する)プロットからズレていくので、ガバがあってもすみません! って遠回しに言い訳してるだけです。

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