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101話~エルフの族長への面会~

 族長のいる場所は少しだけ他の家とは違う。だが、それも少しだけ大きいだとかその程度で、言われなければあまり気づかないほど。それぐらい……普通の家だった。



『これはこれは戦士長サリオンさん! ご無事で何よりです。ヘレスさんも』



 だが、今目の前で喋っている警備隊のようなエルフもいるので、間違えたりすることはないな。それよりも、警備隊エルフも俺たちに訝しげな目を向けてくる。やはり異常なんだな。



『ちょいと族長に話があっての。精霊様が人族を連れてきた。面会を求めていると伝えとくれ』


『せ、精霊様が人族を……? はっ!』



 サリオンさんがそう伝えると、一瞬だけ頭に?マークを浮かべる警備隊エルフだったが、すぐに族長のいる建物の中へと入っていった。


 その後、俺たちは族長の許可を取れたらしいので無事に上がることになった。



『お呼びされてる人以外はこちらでお待ちください』



 先ほどの警備隊エルフが少し広い場所に俺たち以外を案内する。ちなみに呼ばれてるのは俺、琴香さん、大地さん、サリオンさん、ヘレスの5人だ。……いや、エフィーも含まれてるのかな?



「それでは皆さん、これからについて詳しい話をしてくるので大人しく待っていてくださいね? 最上さん、間違っても『ちょうど良いしエルフの里見学してやるぜ!』とかやらないでくださいね?」


「やらねぇよ!? です」



 大地さんが最上のおっさんに向けてそんな冗談を言い、他の人たちのエルフの里にいると言う不安ごとぶち壊す。さすがマスター、みんなの気持ちを明るくしようとしてる。



「空……その、気を付けてね?」


「うん。心配してくれてありがとう」


「し、心配なんて、してない、し……」



 氷花さんがそっぽを向いてしまった。何故だ……?



「空君! 早く行きますよ!」


「あ、はい!」



 琴香さんに急かされて、俺たちはエルフの族長のいる場所へと案内される。少しばかり階段を使って上に上がり、開けた場所に移動した。


 そこの奥には、1人のエルフがいた。金髪で無精髭を生やしたおっさん……だがこれまたイケメン。髭さえなければ多分、二十代と言われても信じられる。


 この人が族長か。でも明らかに戦士長のサリオンさんの方が歳を取ってる感じがするな。



「お初にお目にかかります。私はひ、人族……のマスター……いえ、長をしている栄咲大地という者です』


『サカエザキ……か。儂はエルフの里の族長をしているクルゴンと言う。楽にしてくれ』


「ありがとうございます。では、失礼して……」



 俺が通訳した言葉を聞き、2人が最初の挨拶を交わした。



『サリオンよ、まずは詳しい説明を儂にしてくれないか? 少々は事情を聞いておるが、よく分からんのだ』


『了解じゃ族長』



 族長が口を開き、サリオンさんがその問いに答え始めた。俺たちとの遭遇から、戦闘の結果などの報告から入る。


 その後、俺たち人族は侵略者ではなく、自分たちエルフと似たような状況であったこと。精霊様のお願いで、この場所に1ヶ月ほど人族を泊めて欲しいとのこと。



『ふむ……サリオン、貴方ならの場所にいる人族を倒すことも可能なのか……。それに、精霊様の頼みとあっては致し方ない……。滞在を許可しよう』



 と、族長であるクルゴンさんからは思ったよりも簡単に許可が降りた。……いや、サリオンさんも許可をしているから、それも大きいのかもしれないな。



「寛大な配慮に感謝いたします」


『ふむ……では人族の8人には、先に離れの家に向かってもらおう。精霊様とそこの通訳者は残るように』



 お? なんか俺と琴香さんだけ居残りするように言われたんだが? 精霊についてなんか他の人には話したくないことでもあるのかな?



「なっ! ……いえ、分かりました。篠崎さん、初芝さん、お先に失礼するよ」



 クルゴンさんの言葉を伝えると、大地さんは驚きを見せたがそう言い頭を下げて部屋から退出した。続いて警備隊エルフの人も。残っているのは俺、琴香さん、クルゴンさん、サリオンさん、ヘレスの5人だ。



『それでは精霊様。一体何故、人族をこの場に連れてきたのでしょうか?』


「え? ……だって、私は元は人間ですから」


『なるほど……では、生前の記憶を覚えている、と言う事でしょうか?』


「そうですよ」



 琴香さんとクルゴンさんの会話が進む。それにしてもこの会話、一つ一つがとても重要だな。今の会話で、精霊は亡くなった存在……つまりは幽霊から派生したような存在って認識されてるのか。


 いや、認識というか実際にそうなのかもしれないな。元精霊王のエフィーの力で、琴香さんは癒しの精霊として生き返ったんだから。


 そして、記憶を無くして精霊になる人もいる。なら、エフィーにも生前があったのだろうか? 覚えている……ならあんな子供っぽくは無いはずだから、覚えてないだろうな。生前が子供だった可能性は除外するよ。



『精霊様、私たちエルフ族は精霊様及びに人族の方々を歓迎しましょう。無論自由行動などをさせる余裕はありませんが』


「ありがとうございます!」



 クルゴンさんが改めて琴香さんにそう告げる。



『ふむ、では次に……人族の衣服に隠れていらっしゃるもう1人の精霊様とも、話をさせてはもらえませんか?』



 お、クルゴンさんも気づいてたのか。



「構いませんよ。エフィー、出ておいで」


「呼ばれて飛び出てジャジャジャジャーン! なのじゃ!」



 はいアウトォォォッ!!! やり直しを要求するっ! 



「我はここにいる空を主人とした精霊、エフィーじゃ! 我が眷属たちよ、しっかり頼むのじゃ!」


『お任せください』



 俺が心の中で突っ込んでいる間にも話はすぐに決着した。それと眷属って、エルフたちのことかな? 精霊の眷属がエルフってことか。



「それと、我の存在は人族にバラしておらんのじゃ! 気をつけてほしいのじゃ!」


『分かりました。徹底させましょう』



 そんなこんなで、俺たちの話し合いは一度幕を下ろした。

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