表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

18/32

第18章 再会

ガコン・・・。

鉄の扉が開く。

「ほぉらよ。歩け。」

鎌の柄から乱暴に海馬は下ろされた。

「いでっ!!」

「だ・・・だれ?!」

奥の方から聞き覚えのある声がした。

「朱夏・・・ちゃん・・・・!?朱夏ちゃんなのかい!?」

「・・・海馬お兄ちゃん!!!!」

「海馬!!こっち!!」

海馬は一生懸命フラフラと奥へ歩いた。

そこには血まみれの心琴を抱きかかえる朱夏とエリがいた。

「そ・・・そんな・・・。心琴・・・ちゃん・・・。」

あまりの光景に海馬は絶句した。

「ごめん・・・なさい・・・。私、つかまる・・・。三上、角田、心琴・・・拷問・・・うけた。」

「桃色の髪の女です・・・。人を傷つけるのを楽しんで・・・ううぅ・・・。」

二人とも泣き崩れる。

「よしよし。二人とも、頑張ったね。」

海馬が優しく檻に手を入れて頭をなでた。

「海馬・・・お兄ちゃん!!!!」

「ふえぇえ・・・。」

朱夏もエリも涙が止まらなかった。

「三上は・・・?」

エリが指を指す。

その方向に視線ぞ移すと三上が壁に磔になっている。

見たところ一番怪我がひどい。

「っ・・・!!」

あまりのひどさに海馬は絶句する。

「・・・さっき一瞬でも疑ったことを反省しなくてはいけないようだね・・・。」

ボソッと独り言を吐き捨てる。

「三上・・・エリ、守った。首輪・・・つけられて・・・逆らえなかった。逆らうと、エリの首、首を絞められる。」

「首輪・・・?」

見ると三上にも先ほど死神がしていたのと同じ首輪。

先ほどの発言を思い出す。


【ばばぁの命令に背くと・・・さっきの・・・妹の首が絞まるんだ。】


「さっきの赤目も同じことを言ってたな・・・。首輪で命令を聞かせているのか・・・。」

状況は思った以上に深刻だということが分かった。

そうしていると、後ろから死神が鷲一を引きずってゆっくりと歩いてきた。

「ほら、お前もそろそろ起きろよぉ・・・。」

死神が鷲一の顔を乱暴に叩く。

「んっ・・・。」

「鷲一さん!!!」

ゆっくりと目を開く。

「こ・・・ここは?」

フラフラする頭で周りを見渡すが、薄暗くてあまりよく見えない。

見たこともないコンクリート製の無機質な部屋に血まみれの診察台、手錠がたくさんかかった壁、牢屋やナイフ。明らかに良い場所じゃないのは察知した。

「拷問部屋だぜぇ。」

「なっ!!!」

鷲一は飛び起きた。

目の前にまず飛び込んできたのは・・・。

「鷲一・・・さん・・・。ごめんなさい・・・。」

朱夏の膝で血まみれで倒れている心琴の姿だった。

「こ・・・心琴!?ここと!!!ここと!!!!!!」

重たい体を這いずって檻に近づく。

そこには、血で赤く染まった彼女の姿があった。

「嘘だと言ってくれ・・・心琴!!!」

檻から手を伸ばす。

頭をなでるが反応がない。

鷲一は床に崩れ落ちた。

「くそっ!!!くそおおお!!!」

鷲一の慟哭が響き渡る。

「お、落ち着いてください!・・・今は眠っているだけです。」

「・・・眠ってる・・・?生きてるのか!?」

がばっと顔を上げる。

再び心琴に手を伸ばす。

鼻と口の所に手をかざすと、息をちゃんとしていた。

「・・・よ・・・よかった・・・死んだのかと・・・思って・・・。」

体中の力が抜けていく。

「はい。先ほどまで会話もできていました。でも、弱っているのは確かです。早く病院へ連れていきたいですが・・・。」

ちらりと死神を見る。

「死神・・・。二人、連れてきてくれた?」

エリが死神に声をかける。

「命令なんでなぁ。ばばぁからの。」

「そういって・・・またこっそり助けてくれてる。」

エリは心配そうな目で死神を見る。

「チッ。勝手に言ってろ。」

死神はそっぽを向くと出口へ歩いていく。

「え?俺らは拘束しないのかい?」

その様子に海馬が聞き返す。

先ほどからこの死神と呼ばれた少年の行動は敵とは思えない。

「桃が鍵持って行っちまった。鍵がねぇと牢屋に入れられねぇんでね」

死神がギザギザの歯でニヤッと笑う。

「命令を破ったら、妹さんの首が絞まるんだろ?大丈夫なのかい?」

「・・・俺は「連れてこい」と言われただけだ。命令には背いてない。」

肩をすくめて死神は歩き始める。

あっという間に暗闇に紛れていった。

「もう一人のガキを探しに行く。あばよぉ。」

その言葉を最後に死神は忽然と姿を消した。


「あの赤目の男は・・・脅されてるんだね?」

海馬はエリを見た。

状況把握と打開策を練るためだ。

「うん。あの男、死神言う。首輪した奴、金髪で紫色の唇をしたおばさん。」

「ふぅん・・・連覇が魔女って言ってた人かな?」

海馬が顎に手を当てて状況を把握する。

「え!?連覇?いる?」

エリはとても嬉しそうだ。

「ああ。今は死神の妹と逃走中。」

「逃げ切れる・・・?」

「解んないな・・。」

海馬は苦虫をかみつぶしたような顔をする。

「もう一人ヤバいのがいます。」

「朱夏ちゃん?」

朱夏はいつもに増して眉毛がキリリとなっている。

海馬からしたら怒っているのが一目瞭然だった。

「桃色の髪をした女です。年齢は死神と同じくらい。心琴ちゃんと三上を・・・拷問して遊んでいました。」

「げ・・・。拷問して遊ぶ?正気ではないな。」

「目の前で心琴ちゃんが痛ぶられるのを見てる事しかできませんでした・・・。」

海馬はそっと朱夏の頭をなでる。

本当に辛かったのだろう。

海馬はこんな辛そうな朱夏の顔を今まで一度だって見たことはなかった。

「朱夏ちゃんは無事かい?」

優しく言う。

そういうと朱夏は笑顔を取り戻す。

「はい!海馬お兄ちゃんが来てきれたから・・・。もう大丈夫です!」

屈託のない笑顔に海馬は心から安堵する。

「この笑顔を見れただけでも、来た甲斐はあったようだ。」

「だな。」

海馬はさっきまで病室でなよなよしていた自分を笑い飛ばした。

鷲一も海馬の心が晴れたのを感じて口角を上げた。

「無事・・・ではあるんですが・・・実は・・・足が動かせないんです。」

「どうしてだい?」

「先ほどの死神に・・・足の霊魂を切られてしまったようで・・・。」

「・・・あんの・・・赤目やろぉ!!朱夏ちゃんに何すんだ!!!」

立ち上がろうとする海馬をあわてて朱夏が服を引っ張って止める。

「お、落ち着いて!!少しずつ感覚は戻ってきています。時期に戻るそうです!!」

「・・・次会ったらただじゃおかない・・・。」

海馬はそれを聞いてむすっとした顔で再び座りなおした。

「でも・・・。多分・・・あの死神は脅されてるだけなんだろうなぁ・・・。」

「・・・桃って子も・・・」

「!?!?」

弱弱しい声が聞こえて鷲一は檻にしがみつく。

「心琴・・・!!起きたのか!!」

うっすらと目を開けて心琴がこっちを見ている。

「桃って子も・・・多分・・・脅されてる・・・ママに・・・。」

息絶え絶えにつぶやいたのは桃の事だった。

「・・・鷲一・・・会いたかった・・・。」

ゆっくりと手を伸ばす。

鷲一も急いで心琴の手を握る。

「ごめん・・・。怪我・・・しちゃった・・・。」

「ばっかやろぉ・・・。生きてて・・・本当に・・・良かった・・・。」

今は手しか握れない。

本当は抱きかかえてすぐに病院に連れていきたい。

けれども檻の鍵が・・・ない。

ついでに言うとみんなを抱きかかえる体力・・・さらに言うと自分自身が走れるだけの体力さえない。

「ふぅ・・・どうしたもんかな。」

海馬が頭をひねる。

「そうだ!!夢の事!!」

エリが突然思い出したかのように言った。

「桃のパラサイト「イジェクト・ソウル」静電気、魂に宿して体と反発!皆既日食で幽体離脱する。そこに死神「スピリット・リッパー」!!巨大化させた鎌で浮いた魂と体に繋がる紐切るつもり!!この町全員の抹殺、目的!!!日食の時、皆死んじゃう!!」

早口でエリは言い切った。

「な・・・なんだって!?!?」

「それって、つまり・・・どのみち俺ら明日積むんじゃね!?」

冷や汗がとまらない。

エリの夢は予知夢だ。

このまま変化がなく過ごしてしまえば夢は現実となる。

「まずい事になりましたね。」

「明日の12時に・・・このままじゃみんな死んじゃうよ!」

焦るが状況は変わらない。

「どうしよう・・・マジで・・・。」

「・・・どうします?海馬お兄ちゃん?」

朱夏は真剣な目で海馬を見た。

「え!?なんで僕に聞くの!?」

突然会話を振られ、目を丸くする。

「いや、お前以外にいないだろこの状況打破する作戦練れるの。」

鷲一も鼻で笑って海馬を見る。

「海馬、考える!!頑張って!」

エリも・・・

「みんな、海馬さんが頼りなんだよ!」

そして心琴も、海馬を鼓舞する。

「・・・うー・・・うーん!!!!頼ってもらえるのはうれしいが・・・。」

難題に次ぐ難題。

答えなんてないような状況。

しかし、この時の海馬は冴えていた。

「待てよ・・・ちょっと考える時間をくれるかい?」

「ああ。」

「もちろんです!」

解決策は見つかるかもわからない中、海馬はみんなの期待に応えるべく一生懸命頭を悩ますのだった。






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ