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彩る夜に結ぶ  作者: 浅葱 咲愛
四章 消えた過去
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二十二話 葵と屋敷14

作者名変えました。


「ツヤツヤしてるんだね」


撫でるとほんの少しだけ動く。大人しくしていてくれるから私でも怖くない。


「大人しくていいでしょ? 目だって優しそうでいいと思わない?」


「うん」


馬がたくさんいる場所に来て触れ合っていた。


「乗る?」


「結は乗れるの?」


「・・当時は乗れた。今はどうかな・・」


「今日はやめとく」


「彩夜、おはよう。何してるの?」


綺麗な着物を着こなしている瑠璃がそこにいた。後ろには星くんもいる。やっぱり私と違って元がいいと服に着られている感じは無い。


「お馬さんを見に来ていたの。かわいいよ」


「彩夜の近くに馬はいなかったの? 私のそばにはよくいたよ?」


「近くには居なかったかな? ねえ瑠璃、結が街に連れていってくれるって。行く?」


「行く。結理さん、いいのですか?」


結が言い出したことだからい大丈夫と答えようとしたけれど・・・


「彩夜とは行く予定だったのでせっかくなら一緒に行ったらどうかと思いまして」


「ありがとうございます」


瑠璃はこの広いお屋敷に似合っている。元々ここに居たみたいだ。


「瑠璃は綺麗だね」


「?」


瑠璃は自分の顔の良さを知らないのかな?


「結、瑠璃って可愛いよね? 顔小さくて目は大きくてまつ毛長い。そして綺麗な着物がとっても似合ってる」


「うん。でも彩夜だって顔はいい方だと思うけど?」


「いい方だととしても普通の範囲内でしょ?」


瑠璃は誰が見ても美形だとおもうと思う。


「・・まあ」


「でしょ?」


「! 褒めてくれたの? 彩夜だって綺麗だよ。私と違ってこう・・ふわふわしててその髪も瞳も綺麗だと思う!」


んー、瑠璃は本心から言っているのかもしれない。けれど瑠璃の方が何倍も綺麗だからなんだか・・


「うん。ありがとう」


「星、どう思う? どう返すのが正解だったの?」


「僕に聞かないでくださいよ。女性と話すなんて・・母と姉くらいしかないんですよ?」


「普段ここから出ないの? 出たいとも思わない?」


「ここに何もかもありますし・・出る必要がないので・・」


そばで二人が何か話している。


「星、外の方がずっと面白いのに」


「私もそう思いますよ。知らないことがたくさんで楽しいです」


「揃ったし、街に行こうか? でも着替えたほうがいいのかな?」


私にはよくわからない。星くんと瑠璃を見ても・・わからないという顔をしている。


「結理様ー!」


流様が走ってきている。


「何?」


「出かけるのは後にして部屋にお戻りください」


「どうして? 陸の仕事が後になったとか?」


「それが・・・何者かがここに侵入しました。その者は捕らえましたが目的がわからないので確認できるまでは部屋にいてください」


侵入者ってなんだろう? 危ない人?


「結・・」


「もう捕まってるんだから大丈夫。流、おれの居た部屋でいい?」


「はい」


「宿題持ってきてたでしょ? おれもまだ残ってるし、それやって時間潰そうよ」


「うん。教えてくれる? 古文」


中学生になって古文も国語の中に出てくるようになったけれど訳をするのが難しい。


「んー、瑠璃さんか星の方がわかると思うけど? 訳すくらいならできるかなー。秋翔くんからも古典の宿題頼まれてるんだけど、それはちょっと難しくて・・」


「現代のこと言ってもいいの? ダメじゃない?」


「あ、そっか」


「・・実際にそういうことってあるんだね」


現代とは違うというのを実感する。


「侵入者はまだ十代の若い者です。これといって武器にするような危ないものは持っていなかったので目的がなんなのか・・うちには大した情報なんてありませんし」


「普通朝から侵入しないよな?」


「何か焦っていたようです。人を探しているだけだから離して欲しいとかなんとかといってましたけどね、実際のところはどうなのかわからないので・・」


流さんと結の話し方がどこか違う気がする。どうしたんだろう?


「しかも、うちの国の者では無いように見えるんです。言葉が少し違うんですよ」


「へー、どこから来たんだろうな? 彩夜はどう思う?」


結が私に尋ねるその声や仕草が舞台の上の結にそっくりだった。それは演技。でもどうして・・


「南側と東側は少し方言が違うよね?」


「・・流さん、その・・侵入者はどこにいるのですか?」


また瑠璃の顔色が悪い。


「正面の門ですよ」


「ありがとうございます」


「瑠璃!」


瑠璃が走り出した。確かあっちは入ってきた門がある方向だ。


それを流さんが追いかけて・・


「離してください!」


「流さん、どうして?」


流さんが瑠璃を捕まえている。動けないように手を後ろにして掴んでいる。


「彩夜芽さん、事情は後で話します。・・瑠璃さん、あなたは何者ですか?」


「結、瑠璃は何もしてないよ」


「・・・何もしてないわけじゃないんだ」


「瑠璃さん、そろそろ本当のことを話していただけますか? あなただって彩夜芽さんに嘘をつき続けるのは嫌でしょう?」


瑠璃は嘘をついてたの?


「違うの。嘘つくつもりなんて無かったの! それにあんな端っこの村に色葉の跡取りがいるなんて思わなかったの! 私はただ逃げてきただけだったの」


「あなたが勝手に出てくることでうちにも迷惑なのが分かりませんか?」


「流さん、家出したい時だってありますよ」


瑠璃はポロポロ涙を流しながら私をみていた。


「・・・ごめんね。私・・隣・・・三葉家の長女なの。嘘ついてごめんね」


「三葉ってなんだっけ? そういうなら私だってあの村で暮らしてないしお互い様だよ」


何が問題なのだろう? せっかく仲良くなって友達になれそうだったのに。流さんも結も難しい顔をしている。


「流さん、お願いします。きっと侵入者は私の従者です。私を探しにきただけのはずです。ですから・・」


「瑠璃、何か困ってたんだよね? よかったら、それも教えてくれない?」


もう瑠璃は家に帰ってしまうのかもしれないけれどできることはしてあげたい。


「葵は・・あ、ここの隣の国のことね。そこは小さくて海に面してないの。だから葵では取れないけれど必要な物は紅から買っていたの。でもね・・」


紅が荒れてそれから葵とのの関係が悪くなって少ししか買うことができなくなった。そんな時に去年作物があまり育たず食料不足になり国が傾きかけている。今まで紅にしか頼っていなかったため代わりが見つからない。上に立たないといけないことも増え、そこに縁談が持ち上がり嫌々結婚することになり・・・逃げてきた。ということらしい。


「・・よくあるといえばあるような話ですね。受け入れるのは難しいでしょうけれど」


「きっと、私が居なくなってもどうでもいいの。妹だっているし、葵は別に回るもの」


精霊が出るとその年何も起こらないと瑠璃が言っていた。他に故郷に来てほしいとも言っていた。


「海を見にきたのは嘘?」


「本当。どうせ一人じゃ何もできない・・それは家から出てくる前からわかっていたもの。だからね、最後に見てみたいと思ったの」


最後って何?


「うるさい!」


結が突然大きな声で言った。


「探しにくる人が居るなら大事に思われてるだろ。居なくなっていいと思われてない証拠じゃないか。それに、迷惑なんだ。最後って海にでも飛び込む気か? もう葵はあなたがここに来てるのはわかってる。瑠璃さんに何かあってそれでこっちに文句を言われたらどうしてくれる。おれは今、跡継ぎの座から逃げようとしてるのにそんなことがあったらうまいこと嵌められて逃げられなくなるんだ!」


「だって・・」


「だってじゃない。おれだって逃げるために足掻くつもりだ。何もしないでそんなこと言って・・・おれだってここの子じゃないのに、年齢も名前も何もかも本当のことは隠されてるのに」


結にも色々と思うことがあったのかもしれない。聞くだけでも後で聞いてみよう。


「そんなこと私は知らないの!」


「・・妹とは仲良いのか?」


「普通よ。それが何?」


「なら、その妹が困るだろ。急に姉が居なくなって何も思わないと思ってるのか?」


「あの子の方がしっかりしてるもの! 私なんて!」


「・・じゃあ、何かあったら彩夜が悲しむだろう。良くしてくれた友達が悲しむのもどうでもいいって言うのか?」


「・・・」


私は瑠璃と友達になりたいと思っているけれど瑠璃はどう思ってるのだろう?


「はあー・・・おれはこれでも一ノ宮家と色葉の人達になんとなく伝えるくらいはできるから、紅じゃなくてここと取引すれば? 葵の跡継ぎなんだしそれくらいの交渉はできるんじゃないの? それとも気弱なお姫様にはそんなことも一人じゃできない?」


「それくらいできるに決まってるじゃない!」


あ・・瑠璃、言っちゃった・・。


「ならよかった。あとこれは聞かなくてもいいけど、こことの取引を頼むために一人で抜け出してやってきたってことにすれば怒られないかも?」


「そうだよ! 葵?のことを考えて、もし行くなんて言ったら止められるだろうからとか言ってみたら? 問題解決したら瑠璃が嫌な状況じゃなくなるかもしれないんでしょ? それでもダメだったら・・」


「最悪、脅しでもなんでもやれば? 使えるものは使わないと」


「え・・そんなことは・・」


結が楽しそうな顔をしている。


「なら、大人に箱の中に閉じ込められてもいいの? 瑠璃姫には国のためとかあるのかもしれないけど一番大事なのは自分の幸せだと思うけど」


「私の幸せはあんな場所にはありませんわ。姫だって・・邪魔なのに」


口を尖らせてぐちぐちジメジメしている瑠璃。


「ねえ、瑠璃って好きな人いるの?」


「なっ・・好きな人なんて・・・」


瑠璃がだんだん真っ赤になっていく。やっぱり当たっている。


「そっちか・・・。いざとなればその彼と逃げるのは? 相手によっては可能だと思うけど」


「瑠璃ってお姫様なんだよね? お姫様には大自然の中の暮らしは厳しいかも。私だってお手伝いできることは少ないでしょ?」


「ほら、どこかの村で暮らすのは? そしたら山の中を歩き回る必要もない。でも問題なのは稼ぐ方法・・」


結は葉っぱを収穫してそれを売ってお金にしていたけれどちゃんと知識がないと出来なさそうだ。


「結理様、彩夜芽さん、それ以上悪知恵を話すのはやめてください」


「悪知恵じゃない」


「そうだ! しばらく帰らないでここにいる? あの村に友梨ちゃんっていう子がいるんだけど優しいからきっと瑠璃と仲良くなれるよ。お手伝いさえすれば泊めてくれるかな?」


「友梨なら、迷子でなんとかって適当なことを言っておけば家に入れてくれると思う」


もしダメなら友梨ちゃんを頼るとして・・でもそれは最終手段?


「あの・・結理様、隣国の姫がいるのですからあっちの方の態度でお願いします」


「あ・・瑠璃姫、色々とバレるとまずいのはお互いでしょう? ここは取引しましょうよ」


「良くしてくださいましたからそれくらいのことならします。あなたの秘密を言わなければいいのですよね? 代わりに私のことも実家に伝えないでください。まだ帰りたくありません」


「心配するんじゃない? 何も言わないで出てきたんだよね?」


「そのことですが・・すでに手紙を出しました。明日にでも迎えがくるかと」


流さんは仕事が早いらしい。明日手紙が着くなら、出したのは昨日かな? 昨日のうちから瑠璃の正体をわかってたの?


「そんな・・、とりあえず侵入者に会わせてください」


「それは・・」


「流、それくらい良くない? その人が説得してくれたら瑠璃姫だって聞いてくれるかも」


結は優しい。瑠璃に文句を言いながらも瑠璃が悪い状況にならないようにしてくれている。


「わかりました、そうですね。案内します」







読んでいただきありがとうございます。

今回は瑠璃の正体がはっきりしたお話でした。瑠璃今まで出てきた女の子達とはまた少し違った雰囲気の女の子です。結はまた巻き込まれそうですがどうなっていくのでしょうか?

次話も読んでいただけると嬉しいです。

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