表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
彩る夜に結ぶ  作者: 浅葱 咲愛
四章 消えた過去
81/111

八話 家

予告していた通り、3月になったので題名を変えました。


「なんかあっという間だったね」


帰りの新幹線でみーちゃんやあおいちゃん、ほのかちゃんと話していた。


夢羽ちゃんや彩夜乃ちゃんは帰る方向が全く違うから駅で別れた。


同じ新幹線だけれど行きとは違って感じる。


「宿題終わってないなー」


「自由研究が残ってるんだよね。光月ちゃんたちもある?」


「あるある」


どうしよう? 宿題には何も手をつけてない。お兄ちゃんにバレたら怒られるかな?


その前にお兄ちゃんからきていたメールも見ていない。


「みーちゃん家に遊びに行ってもいい?」


「いいけどね、秋翔くんと仲直りするんだよ」


「喧嘩してない」


「でも秋翔くんはひやひやしてるんじゃない? あの超シスコンのお兄ちゃんだよ」


わかってる。だから帰ったらちゃんとお兄ちゃんと呼んで話してみよう。


「その・・秋翔くんって誰?」


「彩夜ちゃんのお兄ちゃん。そしてのお姉ちゃんの・・」


「の?」


「彼氏?」


「そうなの!」


そんなことになっているなんて知らなかった。


「いや、私も知らないけど・・・この夏に何かあってもいいと思わない?」


「みーちゃんは何かないの?」


途中から明らかに宙との距離が近くなったのを私は知っている。


「ないよ」


そのうち色々教えてもらおう。


「はあー」


「最近ため息多いよ」


思うことが多くてつきたくもなる。


通路を挟んだ向こう側を見れば男子三人が何か話している。


こんな時はいつもと変わらないように見えるけれどふとした時にあの暗い顔をしている。


「そうだ! 連絡先交換しようよ」


「えっと・・どうしたらいい?」


「私が送るから・・」


「どうやったらその画面になるの?」


「えっと・・・」


「ここおしてみて」


また携帯をみてあたふたする。これだけは行きも帰りも同じだった。








「やっと着いたー!」


電車から降りるとみーちゃんは大きく体を伸ばしている。


移動中はあまり動けなかったから肩が凝っている気がする。


「おかえり」


「待ってたよ」


駅の前にはお兄ちゃんと葉月ちゃんがいた。ふわっといく前より心なしか涼しくなった風が吹き抜ける。


「・・・ただいま」


「お姉ちゃん、これお土産」


「ありがとう。楽しかった?」


「うん!」


どうしよう。お兄ちゃんは家にいるものだと思っていたからまだ何も考えてない。


「暑い。秋翔くん、早く帰ろう」


「うん」


まだまだセミがミンミンないている。


「お土産ちゃんと買ってきたから」


「どんなの?」


「それは見てからのお楽しみ」


結が気を遣ってなのかお兄ちゃんと会話をとぎらせないようにしてくれている。


「みーちゃん、宙、またね」


「じゃあね」


手を振って家の方向に歩き出すけれど足が重い。帰りたくない。


「彩夜、どうした?」


お兄ちゃんが寄ってくる。


「荷物重い? 持とうか?」


「ありがとう。でも大丈夫」


前と変わらない? でもまだわからない。


「・・どうだった?」


「・・色々あったよ。多分・・友達かな?も・・出来たよ」


「よかった」


「その子達はね、私と同じ一年生で、東北から来た夢羽ちゃんと港町で育ったあおいちゃん、あと・・」


「ん?」


「その二人だよ」


彩夜乃ちゃんのことは言えない。言った時のお兄ちゃんの反応が怖いから。


「結理は?」


「えっと・・二年の男子が少ないからその辺とはある程度仲良くなったと思う。あと・・優斗?」


「それは?」


「一年なんだけど・・・なんかくっついてくる」


「どういうこと?」


「親がもの後ろをついていく子がもみたいな感じ」


「・・・それは友達か?」


「どうかな? でも優斗ってなんか弟みたいで可愛いし・・兄弟がいたらこんな感じかなって」


今の話を優斗くんに伝えたら喜ぶかもしれない。


「・・今・・・みんな出かけてるから」


「うん」


駅から家までは近い。話していればすぐに着いてしまう距離だ。


家に着いてお兄ちゃんが鍵を開ける。本当に誰もいないらしい。


「あー、家の中は涼しい」


「アイス食べる?」


「それよりお茶が欲しい」


「洗濯物は早く出してきて。それまでにお茶注いどくから」


「はーい」


荷物を開けて洗濯物の袋を出してカゴに置いておく。


「秋翔くん、もう洗う?」


結が廊下に顔を出して言った。小さい子達がいない静かな家にはよく響く。


「洗濯機に突っ込んどいて」


「はーい。彩夜も入れて」


「うん」


靴下など別で洗うものだけ退けてあとはまとめてぽいっと入れる。


「そういえば・・・彩夜はおれとかの服と一緒に洗濯って何も思わない?」


「だって・・・初日に結に洗濯してもらったくらいだよ。それに一緒に洗った方が水道代かからないし」


そういったことは何も気にしないタイプだから問題ない。


「うん。今更って話か」


「そうだよ」


「・・どうするの?」


結が洗濯機のボタンをピッピと押しながら話す。私はどこを押せばいいかわからないのになんで結ができるんだろう?


「ちゃんと・・言えばいいの?」


「彩夜が思うようにやってみたら?」


「うん」


お兄ちゃんも気を使っているのはわかる。


「ほら、行こう」


リビングに行くとお兄ちゃんはお茶を並べて待っていた。


「ほら」


「ありがとう」


氷が浮かんでいるコップを掴むと手が濡れた。


「これ、お土産。これが秋翔くん、このお菓子がいくつか入ってるやつはあのこ達に」


「ありがとう。喜ぶよ」


「あのね、私も買ってきたよ。おじいちゃん達にとこれはみんなに、これはお兄ちゃんに」


「・・・彩夜芽」


「ごめんなさい。メール見なくて、電話にも出なくて」


怖いから自分から話してお兄ちゃんの言葉を先送りにする。


「それはいいけど・・」


「いきなりあんなこと聞いてごめんなさい」


「・・こっちこそごめん。何も知らなかったから」


「あ・・あのね」


「うん」


手をぎゅっと握った。言わなきゃ。


「お兄ちゃんは・・・ずっと私のお兄ちゃんでいてくれる?」


お兄ちゃんのことは見れなかった。ただずっとコップの中で氷が動くのを見ていた。


「・・・メールにも書いてたんだけど・・そのつもりだよ」


「・・」


「誰がなんと言っても彩夜は妹だから。いちか達より・・比べたらダメだとは思ってるけど大事な妹だから」


「これでもう平気?」


結が私たちを見ている。


「平気・・って?」


「だって二人とも同じことを言ってるから」


「同じこと?」


「実際どうかなんて関係ないと思ってる。これまで通りいてくれるかな?みたいなこと」


それを知ってるから結が絶対大丈夫と言うわけだ。


「結、ありがとう」


「いいって」


「・・・彩夜の・・妹?だっけ? やっぱり似てるの?」


「そっくりだよ」


自分でも似ていると思うから他人からみたらもっと似ているのだろう。


「あのね、一緒に写真撮ったの。えっと・・これ。似てるでしょ?」


初めて友達と自分で撮った写真。


「! そっくり! 名前は?」


「和泉彩夜乃ちゃん。その周りがさっき話た友達なの」


「彩夜乃に彩夜芽・・わかりやすいな」


「苗字は私の椿と同じで・・、私たちの名前はお母さんがつけたとか・・言ってたかも。理由は知らないって」


たくさんのことがあったから話したいことがどんどん湧いてくる。


「彩夜乃ちゃんとも仲良くなったよ」


「そうなんだ」


「これが観光に行った時の。とっても人が多かったよ」


「いいなー、楽しそう」


話はいちかちゃん達が帰ってくる夕方まで尽きなかった。








「・・・」


部屋から出たところでばったりいちかちゃんに会ってしまった。できるだけ会わないように気をつけていたのに。


さっきまで気にしていなかったはずのツクツクボーシの声が妙にはっきり聞こえる。


「あの・・」


「何?」


少し言い方が冷たかっただろうか?


「あみやげ・・ありがとう。おいしかった」


「ならよかった」











「・・・今日はこれくらいでいい?」


宿題をサボっていたことがお兄ちゃんにバレてしまった。そして一週間ほどお兄ちゃんの監視のもと、宿題をさせられている。


「最後の日に終わるならいいけど」


「・・・終わらないかな?」


私の中ではあと少しで終わる予定だ。


「最後の二、三日に一日中すれば終わると思う」


「そんなに?」


「今日が何日か知ってる?」


いつからか八月いっぱいが夏休みでは無くなった。お盆が終われば二学期が始まってしまう。


そして今はお盆の前。あと十五日ほどしか夏休みは残っていない。


「それは嫌だ!」


「うん。ならもう少ししようか」


「・・・終わらなくてもバレなくない?」


ほとんどの宿題は二学期が始まってすぐのテストの後に提出だ。だからそれまで終わってなくてもわからないはず。


「後でするのが嫌じゃないならいいけど」


「国語嫌い」


「そうだね」


「答え写してもいい?」


「・・・まあいっか」


今はお兄ちゃんもいないし大丈夫。


「えっと・・・・」


長い文章を書き写していく。全部赤になっているけれど黒で書いてから丸をつけるのもめんどくさいからこうしている。


「・・飽きた」


「まだ1ページしか書いてないじゃん」


残っているのは国語と漢字、社会、そして作文。


好きな数学と理科は終わってしまった。


「作文って何を書けばいいの?」


「優等生っぽい答えを書くか思ったことを書くか」


「結は?」


「・・・ちょっとした・・うん。なんでもない」


「教えてよ」


どんな風な言葉で始めるか、そんなのでいいから参考にしたい。


「絶対、真似したらダメだよ」


「・・うん」


何を書いたんだろう?


「二年は社会も作文書けって言われてて・・・社会の先生うるさいと思わない?」


「・・・社会はあんまり授業出たことないからわからない」


「そっか。それで、・・先生のことを中心にちゃんとお題に沿って・・・ちょっとどうかと思うなってところを書いただけ。でもぱっと見はわからないようにしてるから」


真似したらダメと言った理由がやっとわかった。


「結って意外と黒いね」


「そりゃあ誰だってそんなところあるでしょう」


「悪知恵が働くっていうか・・」


勉強だって今までほとんどしていなかったはずなのに今は学校の授業に追いつこうとしているくらいだ。元々頭がいいのかもしれない。


「それくらい考えないとやってられない。・・・厳しいから」


「・・・たまには帰らなくていいの?」


もう何ヶ月も帰っていないはずだ。


「・・・そのことなんだけど」


「うん」


「帰ろうとは思ってる。彩夜もいくよね?」


「うん」


まだ気まずさの残るこの家にいたくない。


「ちょっと行きに半日?くらいと用事で帰ってくるまで二、三日かかるくらい遠くまで出かけようかと思ってる。そこに彩夜は連れていけいないから・・・どうする?」


「・・行く。あっちで留守番しとく」


夜は怖いかもしれないけれど寝てしまえば平気なはずだ。昼間は友梨ちゃん達と居ればいい。


「いつ行くの?」


「いつでもいい」


「じゃあお盆に」


その時はみんないるからここに居たくない。


「いいの?」


「いいの」


頭ではわかっていても行動するのは難しい。ちゃんと結みたいに普通に同じ家に住む家族の輪の中に入り込めたら楽なのに。


「あっちでしたいことある?」


「ない」


「そっか。わかった」


「うん」


























読んでいただきありがとうございます。

これでまたお話に一つ区切りがつきました。もうしばらく夏休みのお話は続くのでドラマのメンバーが出てくるのはもう少し後になります。

次は久しぶりの向こうのお話です。どうなっていくのでしょうか?

次話も読んでいただけると嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ