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彩る夜に結ぶ  作者: 浅葱 咲愛
四章 消えた過去
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七話 兄弟2

投稿が遅くなってしまいすみません。


「どれがいいかな?」


「うちはお兄ちゃん達だから・・甘すぎないこのあたりのがいいかも。彩夜芽ちゃんは?」


「小さいから甘くて美味しいのがいいかな? 好きなものって知らないんだよね」


関わってこなかったから好みがなにもわからない。


「クッキーと・・チョコ・・ケーキ系、どれが好きなのかな?」


「私はチョコだね。でも好みって分かれるからわかんないなー」


「そうだよね・・。お兄ちゃんにはどれがいいかわかるんだけどな」


お兄ちゃんにはすでに選んでカゴに入っている。


「それとかどう?」


「何個入り?」


「えっと・・六個」


「これでいいのかな?」


何人かいるから取り合いにならないだろうか? 小さいのがたくさん入っているものの方がいいのかな?


「結、どれにした?」


「秋翔くんに聞いてみてこれにした」


「それずるい!」


「だってどれが美味しいのかわからないし」


そうかもしれないけれど、お土産がどれがいいか聞くのは反則だと思う。


「いちかちゃんたちはこの辺りのが好きらしいよ」


「・・じゃあこれにする」


「あとは自分の分だね」








「これいいね」


「じゃあお揃いにしよう!」


「うん! じゃあ私はこれ」


みーちゃんは仲良くなった子達と一緒に買い物している。部屋が一緒だからその間は話すけれど、部屋から出たら、特に休憩時間はほとんど話す機会はない。


「彩夜乃ちゃんは仲がいい子いっぱいいそうだね」


「まあ、いろんな人と話すことが多いかも。でも・・考えないで色々言っちゃうことも多いから、そんなに多いわけじゃないよ」


「そうなんだ」


「彩夜芽ちゃんは?」


「どうかな? 少ない方じゃない?」


話すことがあるという程度で仲がいいとは言えない気がする。


「ねえ、夢羽ちゃんとあおいちゃんも一緒にまわらない?」


彩夜乃ちゃんはいつも私にくっついているから自然と二人でいることが多い。


夢羽ちゃんとあおいちゃんも仲良くなって一緒にいるのをよく見かける。今日も近くで二人でいる。


「うん。二人だと迷子になりそうだから」


彩夜乃ちゃんは私を引っ張って興味のある場所へどんどん行ってしまう。そうなるとどこにいるのかわからなくなってしまいそうだと思っていた。人数が増えれば行動が遅くなるからきっと迷うことは無い。


「夢羽ちゃん、あおいちゃん、あっちに一緒に行こう!」


「うん!」


「ちょっと待って。私・・これを選んでて・・・」


「味が違うんだ」


「美味しそう」


「うん。これにするね」


夢羽ちゃんともたくさん話すようになった。撮影が始まって同じ場所で生活するようになったらおすすめの本を見せてくれるらしい。


「あ・・あっちもいいかも」


「あっちなんでしょ。順番に行かないとね」


あおいちゃんがうまくまとめてくれる。そんな感じで四人で固まっていれば困らない。








「結理、一人でいるなんて珍しいな」


することがなくなってベンチに座っていると宙がやってきた。


「買い物はすんだ?」


「だからここにきてるの」


最近は誰かが隣にいたから一人なのは久しぶりかもしれない。


「優斗は? さっき一緒じゃなかったっけ?」


「うん。今は・・ちょっと逃げてきた」


優斗はあれからなぜか後ろをついてくる。本人も無意識でやっているらしくなんとなく理由と聞いてみたら首を傾げていた。邪魔では無いけれどどうしたらいいのかわからなくてちょっと逃げてしまった。


「朝、言ってたことってなに?」


「・・その・・、おれっていくつか知ってる?」


「・・そんなの結理の方が知ってるんじゃないの?」


「でも、年齢なんて親から言われたのを思い込んでるだけで・・今の14歳って・奏さんから教えられたことだよ」


宙を見てみればなんとも言えない表情をしている。


「それが合っているのか教えて欲しいって?」


「どこまでが嘘で本当はどこなのかなって・・」


宙だって都合の悪いことは教えてくれないだろう。


「妹達とは二つ離れてるって言われてたからそれが本当なら今16歳ってことになるけど、それは無いと思っている」


「それは両親が言ってたんじゃないの?」


「あの人たちより奏さんの方が信用できる」


そう思っているから宙に聞いているのに。


「その、奏さんが年齢を嘘つく必要は? 一番早いのは元々結理が思っていた年齢を教えることじゃない?」


中途半端だ。宙だってバレているのはわかっているだろうから教えてくれればいいのに。


「じゃあ・・他は? 本当はどれ?」


なにも残っていない可能性もある。


「結理は結理。それは疑わなくていい」


それから少し待ってみたけれど、宙はそれ以外なにも言わない。


「わかった。ありがとう」


「頭痛、まだ治ってないんだろ」


「・・」


酷くないだけでまだ時々痛む。


「結理が全部受け入れたら治る」


「わかった」


それが難しいからきっと治っていないんだろう。


宙からも離れたかった。噴水のある外に出る。


「・・なんだよ」


家だって違うのになんで押しつけられようとしているんだろう? ちょうどいい存在だから? なにも知らないと思って思い通りに動かそうとしているんだろうか?


流も他も、みんなわかってそうしているんだろうか?


景色を眺めていても気が晴れず、もっと曇っていくようだった。








「役が決まったので発表します。いつもの部屋に移動してください」


戻ってくるといきなりそう言われた。


「なんか緊張するね」


「でもみんな同じくらいの役なんでしょ?」


「でも、最初と最後を演じる人は重要じゃない?」


「最初が良くないと見てくれる人は少なくて、最後が良くないと残念な作品になるよ」


なら真ん中くらいの役がいい。


「でも、たまに途中で見るのやめちゃうドラマもあるよね」


ということは・・間も重要?


「どれも大事ってこと?」


「そうだね」


「ちょっとだけの脇役が良かったのに・・」


「私はできれば・・大変かもしれないけど出る時間が長い役がいいなー」


この中では彩夜乃ちゃんだけが長い役をしたいらしい。


「彩夜芽ちゃんと彩夜乃ちゃんは双子か姉妹役かもね」


「そっくりだから他人の役は・・無理な設定かも」


「中身は似てないけどね」


それからまた後でとバラバラに席に着く。


「・・結? 何かあった?」


元気がなさそうに見える。出かける前はこんなじゃなかったのに。


「大丈夫」


「・・うん」


大丈夫と言っているし触れない方がいいのかな?


「では書いたプリントを配ります。裏にして配るので見ないように」


前から回ってくるプリントを一枚だけ取って見ないように後ろに回す。なんかテストの時みたいだ。


「どうぞ、見てください」


役名と簡単な設定。そして一話から十二話までの主役が書いてある。


「・・! 結、最初だよ!」


最初は重要。さっきそんな話をしたばかりだった。


「・・本当だ。彩夜は?」


「えっと・・・五話だって」


真ん中だ。まあちょうど良かったかな? 結は思ったより驚くこともなくいつもと変わらないように見える。


「宙は最後だって」


「優斗も十二話だって」


みーちゃんは七話らしい。あおいちゃんが二話、彩夜乃ちゃんは八話、そして夢羽ちゃんが十話。


「?・・ここにいるのって二十四人より多いよね?」


でも全員ちゃんとした役があるという説明だった。


「三人、四人名前が書いてあるところがあるよ」


「あとは・・毎回出てくる人とか」


目立ち具合が同じってことかな?


「台本は後で配ります。決まっていることはできるだけ言わないようにしてください。家族には話してもいいですが、発表があるまで外には言わないようにと伝えてください」


お兄ちゃんには言うかな? 言わないと後で機嫌が悪くなりそうだ。燈依先生には報告しよう。先生なら広めたりしないだろうし大丈夫。


「次は・・・・ーーーーーー」


その後の休憩はなかなかやってこなかった。










「あの・・」


疲れた。机にぺたんとする。ちゃんと聞いておかないといけない話がしばらくあってそのあとは役の設定の調整だとかで大人の人と話さないといけなかった。


「・・」


「椿さん」


呼ばれて顔をあげる。優斗くん? どうしたんだろう?


「私ですか?」


「そうです」


「あの・・向こうで話をしませんか?」


「はい」


人の少ない場所に移動する。優斗くんとは直接関わりがあるわけではないけれど、彩夜乃ちゃんの弟のような存在で宙と仲良くしているからなんとなく知っている。


「話って・・」


「結理くんのこと・・何か知りませんか?」


「・・言いたくないみたいなのであまり知りません。その・・優斗くんと結って似てますよね? 親戚・・だったり?」


「椿さんはきっといろんなことを知ってるんですよね? 結理くんは・・・実の兄です。兄は人を忘れてしまう癖があるんです。だから・・」


どうりで似ているはずだ。


「どうしてここにいるんですか?」


これの答えで実際どうなのかはっきりする。


「・・やっぱり知ってるんですね。雨の日で・・気づいたらここにいました」


移動には雨が関係しているのかな?


「椿さんはタイムスリップなんてあると思いますか?」


「あるかもしれません。・・この前、流さんに会いました」


「そっか。・・陸、葉、星は?」


「名前は聞いたような・・」


「お姉様じゃなくて・・杏様と華鈴様は?」


「すみません」


名前は聞いたけれどそれだけだ。


「屋敷に行ったんですか?」


「屋敷?」


「いえ・・・」


「あの・・色葉家ってとっても偉い家だったりしますか?」


結は触れられたくなさそうだったから今まで聞けなかったこと。


「藍国では一番・・わかりやすく言うと領主ってところだと思いますよ」


「・・えっと・・現代の日本で言うと?」


「知事とか?」


市長はわかるけれど知事がどれくらい上の人なのかがわからない。


「でも・・この時代ってわかりやすいピラミッドがないし・・なんだろう?」


「さあ?」


「えっと・・県の中で一番偉い家。わかる?」


「なんとなく」


そういえばずいぶん前に結が同じことを説明してくれたような・・。


「彩夜芽ちゃんはこっちの人だよね?」


「うん。・・何度かあっちにも行ったけど」


「・・・やっぱり生まれた時代にいないとだめなのかな?」


優斗くんの独り言のような呟きは私にも深く刺さった気がした。わかっているけれどわかりたくない。


「この時代なのか・・周りの人のおかげなのかわからないけど・・・居心地がいいんだ」


「私は・・・あっちの方が・・」


「そっか。・・もう休憩終わりかな?」


廊下にかけられている時計を見ればあと1・2分で休憩が終わってしまう。


「また・・兄様のこと話していい? こんなのって誰にでもできる話じゃなくて・・」


「うん。彩夜乃ちゃんのことも教えて欲しい」


「いいよ。じゃあまたね」


「うん。ありがとう」


初めてちゃんと話したけれど話しやすかった。


結は優斗くんが弟だと知っているんだろうか? わかって様子がおかしいとか? 


何か思っていたとしてもなにも覚えてない結より覚えていないこともわかって他人として接している優斗くんの方が色々と思うことも多いだろう。


「彩夜芽ちゃん! このお菓子、一緒に食べよう!」


あおいちゃんが呼んでる。


「うん」


彩夜乃ちゃんや夢羽ちゃん達と楽しく過ごすこの時代も楽しい。けれど・・


やっぱり私はあの時代の方が居心地がいい。






読んで頂きありがとうございます。

今回はこれからにつながることがたくさんある回だったと思います。

どんどん成長していく彩夜達、だから悩むことも増えていきます。その悩みをどうしていくのでしょうか?

そろそろあちらの時代にも一度帰らせたいと思います。次かその次にはそんな話になる予定です。

次話も読んでいただけると嬉しいです。

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